●小学校1、2年生から3年生に移るときに大きな変化
言葉の森でこれから勉強してきたみなさんが、新年度から新しい学年でどういう勉強をするかということを説明します。
まず、大きく変わるのが小学校3年生からです。小学校1、2年生の生徒は、これまで自由な題名で作文を書いていました。「きょうのこと」や「このまえのこと」という内容の作文が多かったと思います。
小学校1、2年生のときにテーマを決めた作文を書こうとすると、材料が見つからないことがあります。また、材料が見つかってもそれを長く書く力がまだありません。作文を書く練習の中には、文章を書くことと、何を書くか考えることの両方がありますが、小学校低学年では、その書くことを考えることを両方行うのは負担が大きいのです。だから、今日あったことなどのように、書くための材料がそのまま事実としてあることを、その事実の起こった順序で書いていくというのが1、2年生の練習です。
しかし、小学校3年生からは、自由な題名の作文ではなく、題名の課題が与えられた作文を書く練習をしていきます。これは、例えば、「がんばったこと」「いたかったこと」「ないしょの話」などという題名です。また、月に1回は、長文を読んで感想文を書く練習をしていきます。
小学校1、2年生の教材に、毎週の課題の長文がありますが、1、2年生のころはこの長文は特に使いませんでした。しかし、小学校3年生から、毎月第3週目に、この長文をもとに感想文を書く練習をしていきます。感想文を書くためには、長文を何度も読んで内容を消化している必要がありますが、3週だけ長文を読んでくるという形だと忘れてしまうことが多いので、感想文のある週も、題名課題だけの週も、毎日長文を音読する自習をしておくといいのです。
自由な題名から課題の題名に移ると、初めは急に書きにくくなったように感じます。「この題名では、書くことがない」という場合が出てくるのです。そして、毎年、何人もの生徒から、「1、2年生のころのような自由な題名で書きたい」という声が出てきます。
この場合の対策は、次のとおりです。
まず、作文の授業がある日までに、課題集を見て、次の週がどういう課題なのかを確かめておきます。次に、その題名に合わせて作文に書く材料を見つけます。課題の中には、「ひとりでお使いに行ったこと」などという題名もありますから、まだひとりでお使いに行ったことがないような人は、1週間の間にお使いに行く経験をしておくというのが材料の準備になります。そして、自分の経験だけでは、材料に限界があるので、お父さんやお母さんに似た話を取材するようにします。
似た話を取材するというのは、小学校1、2年生のころにしていた人もいると思いますが、自由な題名のときは、お父さんやお母さんも似た話のしようがないことが多かったと思います。ところが、小学校3年生の題名課題になると、お父さんやお母さんも、更におじいちゃんやおばあちゃんも、似た話の焦点が絞られるので話をしやすくなります。こうして、子供の作文の課題をもとに、家庭で楽しくお喋りをすることができるというのが作文の勉強の特長です。
小学校3、4年生のころに、家族で作文の課題をもとに毎週対話をする習慣を作っておくと、その習慣を小学校高学年の難しい作文課題になったときも延長して続けていくことができます。小学校3、4年生の課題では、子供が自分の経験だけで書くこともできますが、小学校5、6年生の難しい課題になると、子供の経験だけでは実例が見つからないということも増えてきます。
例えば、小学校5、6年生では、受験作文の課題に出てくるような抽象的なテーマが多くなります。「思いやり」「努力」「自立心」などというテーマになると、子供自身の経験だけでなく、親の経験談が作文の内容を深める役割を果たします。
しかし、家族で特に対話をする習慣のなかったような子供の場合は、小学校5、6年生になってから急にそういう話を切り出すことがなかなかできません。親子の対話が本当に必要になる高学年のころに、その対話の習慣を作るのでは間に合わないことも多いのです。そこで、小学校3、4年生のころから対話の習慣をつけておくことが大事になってきます。
自由な題名から、題名課題、感想文課題に上手に移行するためには、作文を書いたあとの対応も工夫していく必要があります。特に感想文課題のときは、これまで自由な題名で上手に長く書いていた生徒が、急に短くしか書けなくなってきます。その場合、子供本人がうまく書けなかったと自覚しているので、周囲のお父さんやお母さん、そして先生が、「感想文課題は難しいから、字数は短くてもいい」ということと、「こういう難しい勉強に取り組むことに意義がある」ということを子供にしっかり伝えていく必要があります。
そして、感想文課題のときも、お父さんやお母さんに似た話を取材できるように、毎週の長文を音読し、子供が自分なりにその長文の内容を把握しておくことが必要になります。授業の前に長文を1回だけ読んで、自分の経験の範囲だけで書くのでは、感想文課題はなかなか書けません。作文の勉強というのは、作文を書いている1時間の勉強だけではなく、そのために長文を読んで家族で対話を交わすという準備の時間も勉強に入ります。その準備のときに、作文を書く力がついてきます。そして、それは、やりがいのある楽しい準備なのです。
(つづく)
facebookの関連記事。
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今日の記事は漫画です。
小学校1、2年生から作文なんて、まだ早いと思っている人が多いと思いますが、中学生や高校生になるまで長く続けられる子は、小学校1,2年生のころから始めた子が多いのです。
それは、なぜかというと、学年が上がり課題が難しくなっても、それまでに書き慣れているので、その難しい課題も自然にこなしてしまうからです。
逆に、中高学年になってから始めると、難しい課題になると詰まってしまうことが多くなります。
というのは、言葉の森では、小学校3年生から感想文の勉強が入り、小学校5年生から受験にも対応できる難しい感想文が入ってくるからです。
そして、中学生では意見文、高校生では論説文と、課題はどんどん高度になります。
作文の勉強というのは、問題を解く勉強と違って、自分の中から書くものが出てこないと進みません。
だから、作文のような主体的な勉強こそ、低学年からスタートする必要があるのです。
以下は、今日のfacebook記事からの引用です。
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勉強を長く続けられる子の共通点は、小学校低学年の早めの時期から始めていることです。
しかし、学年が上がり勉強に飽きる子の共通点は、小さいころに勉強をさせられすぎていることです。
ここから出てくる結論は……。
早めに始めて、楽しく続ける、ということです。
言葉で言うのは簡単ですが、これがなかなか難しい。
早めに始められるようなお母さんは、どうしても熱心になりすぎで、楽しく続けられるお母さんは、スタートが遅くなりがちです。
だから、大事なことは、勉強の内容を絞って、その絞ったことだけを確実に毎日続けることです。
その絞った勉強の中でいちばん大事なのが読書と対話です。
読書や対話というのは、勉強のように見えないかもしれませんが、子供たちの思考力を育てる最も重要な要なのです。
今日は、ちょっと雨模様。
しかし、暖かい雨なので、草木の春の準備のようなお湿りです。(先日の大雪とは大違い。)
もうすぐ新年度です。
草木も、人も、新しいスタートに向けて動き始めているようです。
それでは、今日もいい一日をお過ごしください。
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