今日(2月20日)のfacebookページに、「中3までの勉強は、塾に行かなくても家庭でできる」という記事を書きました。
なぜ、中3までかというと、中3までは子供はひとりでは勉強の計画まで立てられないので、親が助言をしてあげる必要があるからです。
====facebook記事より====
中学3年生までの勉強は、家庭学習で充分にできます。
必要なものは、教科書と市販の参考書・問題集だけです。
年に数回、全国学力テストを受ければ、自分の位置が客観的にわかります。
受験に対応するためには、志望校の過去問に取り組めばいいのです。
昔の子供は、学習塾にも行かず、通信講座も使わず、余裕のある生活の中で必要な学力をつけていました。
今は、市販の教材が昔よりも充実しているので、更に家庭学習は容易になっています。
家庭学習というと、親が教えるようなイメージを持つ人も多いと思いますが、いい勉強法は、できるだけ教えない勉強法です。
家庭教師でも、教える家庭教師はすぐに成績が上がりますが、その後すぐに伸びなくなります。教えない家庭教師の方が、生徒は伸びるのです。
教えない勉強法というのは、子供が自分で問題を解き、答え合わせをし、自分で間違ったところを理解する勉強法です。そして、その間違ったところだけを反復して練習する勉強法です。
どんな難問でも、4、5回反復すれば確実にできるようになります。これで、本当の実力がつくのです。
子供が自分で理解できないときだけ、親や先生に聞きます。だから、親や先生の出番は、ほとんどありません。
もし、親や先生の出番が頻繁にあるようなら、それは問題集のレベルをもっと易しくする必要があるということです。
親子で勉強すると喧嘩になるという人もいますが、それは親が教えようとするからです。
親は、子供が自分で勉強するのを、横で静かに見ていればいいのです。忙しいときは、家事をしていればいいのです。でも、もちろん横でにぎやかなテレビを見ているのはダメです(笑)。
家庭学習の利点は、親子の対話や読書の時間が増えることです。
塾に行かない分、夕方の時間に余裕があります。
親が教材を把握しているので、勉強の中身でも話題が共有できます。
他人に任せる勉強をしていると、親子で共有できるのは点数だけになってしまうのです。
ただし、教材の選択から、毎日の勉強時間の管理まで親がやらなければならないとすると、そのための準備が大変です。
だから、家庭学習のコンサルタントのようなものがあればいいのです。
これからの学習塾は、そういうコンサルタントのようなものになっていくと思います。
また、小学校高学年から中学生ぐらいの子供は、他人と一緒に勉強したがります。
ひとりで勉強できるのは、高校生になってからです。
だから、同じような勉強をする近所の子供が一緒に勉強できる場があればいいのです。
それは、家庭でも、地域の集会所でも、又は、従来の学習塾でもいいと思います。
こういうことが普通に行われるようになれば、子供たちはもっと時間の余裕のある中で、もっと学力をつけていくことができるでしょう。
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中3まで塾に頼らずに勉強した子は、高校生になっても、予備校に頼らずに自分で勉強していけます。
勉強は、独学でやるのが最も能率がいいのです。
塾や予備校を利用するのは、模擬試験で全国の位置を知りたいときだけです。
今は、そういう模擬試験だけのサービスを提供してくれるところもあります。
ただし、人に見てもらわないと、できない勉強もあります。できないわけではありませんが、独学だと能率の悪くなる勉強です。
それは、音楽や運動や作文のように、答えのない勉強又は練習です。
国数英理社の勉強が独学の方が能率のよい理由は、答えがあるからです。
言葉の森の通学教室では、これまで作文だけを教えてきました。
しかし、低学年から塾通いで多忙になる生徒が年々増え、それに反比例するような形で中学生になってから勉強疲れをする生徒が増え、そして肝心の実力があまりついていない生徒が増えるのを見て、家庭学習のアドバイスをすることにしました。
家庭学習と言っても、親が時間を割いて教えるのではありません。
親は、勉強全体のアウトラインを決めて、あとは子供が勉強したことを報告するのを聞くだけです。
もし、子供から質問があれば、そのときは一緒に考えてあげます。小中学生のときに苦手な科目があった親でも、大人になれば理解力がついているので少し考えればわかることが多いのです。
それでもわからない問題があったときは、教室の先生に聞きます。親が聞いても、子供が聞いてもどちらでもかまいません。子供が聞いたときは、今度はそれを親に説明させます。すると、更に理解が深まります。
こういう勉強法は、小学校低学年から始めた方がやりやすくなります。高学年や中学生になってから始めるのでは、親が子供の勉強に追いつくまでが大変だからです。でも、もちろんやれば誰でもできます。
親の姿勢で大事なことが二つあります。
一つは、家庭学習が習慣になるまで、例外を作らないことです。うっかり忘れたというようなことが続くと習慣にならないので、かえって大変です。
もう一つは、いつもにこにこ褒めてあげることです。注意するようなことが多くなると、親も子も疲れてきます。
しかし、この二つ、例外を作らない、いつもにこにこという親の姿勢は、子供が小学校低学年のころまでに決まってしまうことが多いのです。
だからこそ、勉強の中身が簡単で時間もあまり取らない小学校低学年のうちに、家庭学習の習慣をつけておくことが大事なのです。
経済学者の野口悠紀雄さんは、都立日比谷高校から東大工学部に進みましたが、中学生、高校生のときの英語の勉強の基本は、教科書を音読することでした。
実は、これが、勉強一般に当てはまる最も能率のよい方法なのです。
その要点は、
(1)1種類の教材に絞ること
(2)それを繰り返すこと
(3)読むことに徹すること
です。
ところが、多くの小学生、中学生、高校生が、正反対の勉強をしているようです。
それは、次々と目新しい教材をやってみる、1回かせいぜい2、3回やっておしまいにする、一生懸命に解く、という勉強法です。
「1種類を」「繰り返し」ということはよく言われていますが、「解くのではなく読む」ということはあまり言われていません。
読む勉強がなぜ大事かというと、解く勉強は、読む勉強の5倍から10倍ぐらい時間がかかるからです。例えば、文章の書き写しという勉強法があります。しかし、ある文章を1回書き写している間に、同じ文章なら5回は音読することができます。問題を解く勉強では、もっと差がつきます。
これを、国語の勉強だけでなく、算数・数学にも、英語にも、理科、社会にもあてはめて考えることができます。普通、問題集というと、問題を解くためのものと考えがちですが、この問題集も答えと一緒に読めば読む勉強にすることができます。
和田秀樹さんの数学の勉強法が、ちょうどこの勉強法でした。問題を見てわからなかったら解法を見て理解するという勉強の仕方ですから、問題を解く勉強ではなく、問題と解法をセットで読む勉強法です。
この読む勉強法を家庭学習の基本にしていくことで、能率のよい勉強ができるのです。