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作文は答えのない勉強だが、言葉の森でやれば答えに近い指導ができる as/1752.html
森川林 2013/02/25 12:03 


 今日のfacebookページの記事に、作文は、やりようによっては楽しい勉強だが、やりようによっては苦しい勉強になるということを書きました。
 実は、この差は、とても大きいのです。いつもにこにこ楽しそうに作文を書く子もいますが、その一方で、いつも注意されながら書く苦しい勉強になっている子もいるようです。

 作文は答えがない勉強なので、子供の書く作文をいちばん身近に見ているお母さんは、ついひとこと注意をしたくなります。
 ところが、作文というものは、注意してすぐに上手に書けるものではありません。会話の改行のようなことひとつとっても、小学校低学年の子は、何度も言われて初めて少しずつできるようになります。それを、一度で直そうとすると、親子げんかのようなことになるのです。

 一般に、作文の指導というと、誰が教えても、思うようには行きません。それは、答えのない勉強なので、教える側がつい高いレベルのことを要求してしまうからです。

 ところが、言葉の森の作文指導は、決まった手順どおりに教えれば、そういう無理がありません。
 その理由は一つには、項目指導というものを行っているからです。この項目指導は、言葉の森だけの指導法ですが、この教え方をするだけで誰でも楽に作文を書くことができるようになります。

 しかし、項目指導だけでは、進歩に限界があります。
 項目指導は、どんな苦手な子も書けるようになるという点では優れた指導法ですが、より上手に書くための指導をするという点では、ややものたりないのです。項目が全部できるようになり、時間内に必要な字数が書けるようになったとしても、それは作文の土台ができたということにすぎません。

 そこで出てくるもう一つのツールが、森リン点です。
 森リンというのは、言葉の森が開発した小論文自動採点ソフトですが、文章力がある程度以上ある生徒の場合は、この森リン点が進歩の目安になります。

 例えば、小3から作文の勉強を続けている中3のU君の1年ごとの森リン点は、下記の表のようになっています。

学年字数森リン点森リン点のグラフ
中3121590
中2129879
中1123387
小694279
小546967
小473371
小331263

(データは、毎年の12月1週のときの作文としました)

 これを見るとわかるように、字数は学年が上がるごとに増えています。しかし、小学校6年生で1200字以上書くようになると、もう字数では作文の進歩の度合いはわかりません。
 そこで、森リンの点数を見ると、森リンの点数は、毎年少しずつ上がっていきます。もちろん、1200字の文章で出る差はほんのわずかです。しかし、この1点や2点の差が、実は文章力の上ではかなり大きな差になっています。(中2のとき、ちょっとスランプがあったようです)

 言葉の森では、毎月の清書を、できるだけ保護者の方にパソコンでテキスト化していただくようにしています。それは、森リン点の経過が家庭でも把握できるようにするためです。
 清書のパソコン入力をするようにしてからデータがかなり蓄積されてきたので、これから森リン点を目標にした勉強がだんだんできるようになると思います。

 作文は答えのない勉強と書きましたが、言葉の森は、答えに近いものを作ることによって、作文の勉強をよりやりやすいものにしています。

====今日のfacebook記事より====

 作文は、うまく生かせれば、すごくいい勉強になります。
 親子の対話が弾むし、子供の思っていることがわかるし、毎週の作文が記念になるし、書く力がつくし、読む力がつくし、盛りだくさんです。

 しかし、うまく生かせないと、すごく苦しい勉強になります。
 子供は嫌がるし、親は怒り出すし、その結果、全然書けなくなって、たまに教室にSOSの電話が来ることもあります(笑)。
 でも、ほとんどの場合、ちょっとした水の向け方ですぐにまた書き出せるようになります。

 普通の勉強は答えが決まっているので、子供も、親も、舗装された一本道を迷いなく進めます。
 しかし、作文は答えがないので、ときどき藪の中に入り込んでしまうことがあるのです。

 そんな作文を、小学校低学年から始めて、高校生の終わりまで続ける生徒もいます。(大学生になっても続ける生徒もいます)

 たまたま入試に小論文の試験があって、それまでの勉強が生かせることもよくありますが、小論文の試験がないことももちろんあります。

 しかし、それまでの勉強の過程で、書くことや考えることが好きになったというのがいちばんの成果なのだと思います。

====引用ここまで====

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勉強を通して人間力を育てること。小学校低学年からの作文教育と家庭学習 as/1751.html
森川林 2013/02/24 08:41 



 これからの教育で最も大事なことは、子供たちのトータルな人間力を育てることです。そして、その人間力の土台の上に専門の学力を身につけられるようにすることです。そういう教育の基盤は、家庭にあります。

 小学生のころから塾で詰め込まれる勉強をしてきた子の中には、肝心の高校生になっても自分の力で勉強できないという子も多くいます。大事なのは、成績という結果ではなく、自分の力で勉強するという過程なのです。

 今は、教育の目標が混迷しています。子供の将来について、漠然と、医者、弁護士、公務員などになれればいいと考えている家庭は多いと思います。しかし、それらの仕事が果たして今後もあてのある仕事であるかどうかはわかりません。

 大きな企業に入ればそれなりに安心ですが、ずっと先には大企業の将来もどうなるかはわかりません。世界をリードしてきたアメリカのGMもフォードもクライスラーも、昔は将来を心配する人など誰もいませんでした。日本という国全体が、他のアジア諸国との相対的な関係で後退し始めている中では、日本の国内での場所だけ考えていることはできません。

 そして、今は会社に入っても仕事が続かずに途中でやめてしまう子も多いのです。この原因は、これまでの教育が、トータルな人間力というものを軽視して、勉強の成績だけに目を向けてきたことによります。だから、成績は一応よくても、たくましく生きていく力に欠けている子も増えているのです。

 このトータルな人間力を育てる核となるものは家庭です。家庭で、子供たちが将来社会人として自立する土台を育てておく必要があります。そして、その人間力の土台の上に、大学で専門の学力を身につけ、それを武器に世の中を渡っていく必要があります。

 では、人間力とは何なのかというと、それは、共感力、自立心、向上心、思考力のような能力と特性です。ところが、今の受験を目指す塾の教育の中では、その人間力と対極の教育が行われてしまうことも多いのです。

 受験勉強を能率よく進めるためには、競争に勝つことを目標にし、与えられたことに嫌でも素直に従い、合格以外のことには気をつかわずに、スピードを要求される勉強に慣れなければなりません。これらの特性は、自己中心性、従順性、小さな自己満足心、条件反射的な学力です。

 小学生という人間形成の初期に、こういう特性を身につけてしまうと、家庭の中でそれを挽回する力がないと、そのまま人間力の乏しい大学生になってしまいます。大学生になって、より大きな人間力を身につけ、より専門的な学力を身につけるという土台は、実は小学生時代の家庭教育に結びついています。

 だから、子育てを勉強だけに絞らないこと、勉強を他人任せにしないこと、家庭で勉強を通して人間力を育てることを、子供の教育の目標としていく必要があるのです。

 言葉の森は、この春から、作文という自分で考える勉強に加えて、家庭学習のアドバイスに力を入れていきます。中学3年生までは、塾に行かなくても家庭で充分に勉強ができます。しかし、その土台は、小学校の低学年から作っていく必要があるのです。


====今日のfacebook記事の引用====

 これまでの勉強は、日本丸のいい場所に乗ることでした。
 日本という国自体が、欧米のキャッチアップという目標で大きく動いていたので、それでよかったのです。
 そして、そのために、受験勉強が過熱し子供たちの教育が塾任せになってきました。

 子供の教育で最も大事なことは、将来仕事のできる社会人となることです。
 そのために必要な能力は、共感力、自立心、向上心、思考力という人間力と、専門の学力です。
 ところが、勉強の目的が受験の合格に絞られると、そういう人間力のついていない大学が増えてきたのです。

 大学入試はゴールではありません。
 本当は、大学はそこで専門の学力を身につけ、リーダーシップのような人間力を更に育てる場です。
 大学生になってから、そういう生活ができるかどうかは、子供が小さいころの家庭教育に結びついています。

 日本丸の動きが遅くなった分、アジア全体は大きく動いています。
 人間力と専門の学力さえあれば、自分でボートを作って漕ぎ出すこともできるのです。

====引用ここまで====

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