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国語力をつけるための勉強としての要約と対話について as/1763.html
森川林 2013/03/11 06:25 


 本題に入る前に。

 今日は、3月11日です。
 facebookに、東北と日本の復興についての記事を書きました。

====
 3.11は、すべての心ある人たちが日本を守るために一体となった日です。
 日本は、これからどんどんよい方向に向かうでしょう。
 それは、真実が次々と明らかになり、みんなの気持ちがますますひとつになってきたからです。
 東北と日本の復興に向けて、更に力を合わせていきましょう。

 福島の子供たちの健康被害は、全くなかったようです。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16419

 ニュースのリンク先を追加。(9:10)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130308/k10013054841000.html
====

 東日本大震災をきっかけに、数多くの真実の情報が日本中に広がりました。
 それらの貴重な出版物やブログの記事に感謝したいと思います。


 さて、本題です。
 今回は、昨日の続きで、要約よりもよい勉強法についてです。

 要約という勉強は、それはそれなりにいいのですが、難点は時間のかかることと、評価する人がいないとできないように思われていることです。
 言葉の森では、以前から、解く勉強ではなく読む勉強、形の残る勉強ではなく形の残らない勉強ということを言っていますが、この場合も、それがあてはまります。

 要約に時間がかかるのは、形の残る勉強だからです。形を残すことにこだわるから、内容がかえっておろそかになりやすいのです。
 大事なことは、要約を書くことではなく、元の文章を読み取ることです。だから、読み取ったことがわかればいいのです。
 その方法が対話です。

 例えば、子供がある長文を読むとします。言葉の森の課題の長文は1600字程度のものが多いので数分で読めます。しかし、難しい内容のものは1回読んだだけではあまり理解できないので、何度も繰り返し読む必要があります。
 文章というものは、もともと理解できるようにできています。その理解の仕方は、ひとつひとつの単語の意味を調べて積み上げるような分析的な方法によってではなく、文章全体を繰り返し読むという総合的な方法によってです。

 文章の理解というものは、○と×がつけられるような平面的なものではありません。浅い理解から深い理解へと何層にも分けられるような性質のものです。繰り返し読むことによって、最初はわからなかったことがだんだんわかるようになるという読み方ができるのです。

 そして、その文章を読んで自分なりに理解できた範囲で、子供がその内容をお父さんやお母さんに説明します。これが対話の出発点です。
 お父さんやお母さんは、元の長文を読んでいる必要はありません(読んでいてももちろんいいのですが)。ただ、子供の説明を聞いて、その内容がわかればいいのです。

 もし、説明がわかりにくければ、質問をすればいいだけです。文章の内容を自分なりに理解している子なら、そういう質問にもそれなりに答えられます。
 ここから更に発展して、お父さんやお母さんが、その説明に関連した似た例を話したり、互いに感想を述べ合ったりすれば、文章の理解はより深まります。

 対話は、要約に比べると形の残らない勉強です。しかし、準備も要らなければ評価も要りません。ただ家族で楽しく話をするだけで、要約よりももっと深い文章理解の勉強ができるのです。

 しかし、この対話という勉強法は、それなりの工夫も必要です。それは、家庭における対話の文化を作っておくという工夫です。

 多くの家庭では、子供が親に長文の内容を説明して、それをもとに楽しい対話が始まるというような経験をしていません。子供もそういう話をすることに慣れていないし、親もそういう話を聞くことに慣れていません。

 だから、最初は、子供に長文の内容を説明させても、ぽつりぽつりとしか話せません。親も、それを聞いているうちにいらだって、説明の仕方を注意するようになりがちです。それでは、楽しい対話ではなく、厳しい詰問になってしまいます。

 また、親が似た例を話すときも、本当は自分の体験に根ざしたことを話すのが大事なのですが、親の体面上知っている知識を話すだけになってしまうことも多いのです。そうすると、これも楽しい対話ではなく、つまらない講義を聞いているような話になってしまいます。

 では、楽しい対話をするためには、どうしたらいいのでしょうか。
 それは、子供が小学校低学年のまだ小さいころから、家族で楽しく真面目な話をする機会を作っておくことです。高学年になって難しい長文を読めるようになってからの対話では、うまく行かないことも多いのです。

 対話の第一の条件は、親が一切注意をしないということです。これは、作文にも、音読にも、暗唱にも共通します。

 よく子供が作文を見せてくれないという相談がありますが、それは作文を見て注意したことが何度かあったからです。同じように、音読を親の前でするのを嫌がるというのも、その音読の仕方を何度か注意したことがあったからです。子供が、親の前で長文の説明をするのを嫌がるとしたら、それは説明の仕方を注意したことがあったからです。

 言葉というものは、外から注意しなくても、繰り返すうちに自然によくなっていく性質があります。お父さんやお母さんが、今普通に文章を書いたり、読んだり、説明したりできるのは、だれかに注意されてできるようになったのではありません。長年、言葉の生活をする中で自然に身につけていったのです。
 だから、子供の作文や音読や説明も、自然に任せていれば自然にいいものになっていきます。

 それでは、なぜそれらの勉強をするかというと、機会を増やすことによってよりよいものになるからです。そして、機会を増やすためには、楽しく行うことが大事です。楽しく行うためには、小学校低学年(実はもっと小さい幼児)から、子供が文章を書いたり読んだり話したりすることを褒めて伸ばしてあげる必要があるのです。

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国語力をつけるための勉強法としての要約について as/1762.html
森川林 2013/03/10 06:40 


 今日のfacebook記事に、要約についての話を書きました。

====facebook記事より====

 先日、保護者の方から、「子供に要約の練習をさせたいが、忙しくて見てやれないのでどうしたらいいですか」という質問を受けました。
 その方法は簡単です。親が見てやろうなどと思わなければいいのです。(笑)

 親が要約を見ようとすると、元の文章を読まなければなりません。
 そして、要約が妥当かどうかを評価しなければなりません。

 そういう時間のかかることをしていると、親が忙しいときは子供の勉強が進まないということになってきます。
 親が見てやれなくても、子供の勉強が進むような工夫をすることが勉強を長続きさせるコツです。

 要約の勉強で大事なのは、要約の結果ではなく、要約をするために文章をよく読もうとする過程の方です。
 大事なのは、形に残ったものの方ではなく、形に残っていないものの方なのです。

 「でも、それでは……」という人もいると思うので、続きはホームページの方に書きたいと思います。

====引用ここまで====

 要約の練習について、まず、私があまりよくないと思う方法を挙げます。
 しかし、この方法がいいと思って実行している人もいると思うので、それはそれでかまいません。
 大事なのは、方法ではなく継続することで、やり方が多少異なっていても続けていれば必ず効果が出てくるからです。

 第一は、要約の材料として、新聞のコラムや社説など使う方法です。理由は、コラムは文章が易しすぎるからで、社説は遠回しの書き方が多いからです。
 第二は、段落ごとに要約をして、その要約をつなげてまた要約するという方法です。理由は時間がかかるからです。
 第三は、文章の末尾の方を中心に要約するという方法です。これは方法というよりも、要約らしく見せるためのテクニックであってあまり力はつきません。
 第四は、小学校4年生ぐらいから要約の練習をすることです。要約力には年齢があって、小4では要約は無理です。小5でもかなり難しく、小6でやっと要約らしくなり、中学生になるとずっと楽に要約できるようになる、という感じです。

 では、要約の練習はどのようにしたらいいのでしょうか。

 まず、要約する文章の素材は、入試問題集などの問題文にします。説明文と物語文がバランスよく出てきますし、内容も読み応えのあるものが多いからです。
 ただし、大学入試レベルになると、私立大学の問題文などの中には、わざと読みにくい悪文を出しているところもあるので、そういう読みにくい文章は避けます。

 最初に、文章を読みます。
 そのときに、自分で、面白いと思ったところ、よくわかったところに傍線を引きます。
 大事なところに引くのではありません。というのは、最初は何が大事かわからないことが多いからです。
 色を変えたボールペンで線を引くという人もいますが、それはすすめません。面倒だからです。
 文章を読むときに大事なことは、じっくり読むのではなく、最後まで一気に読み切ることです。なぜかというと、入試問題の文章は、最後まで読んで初めて全体の構成がわかるという形になっているものが多いからです。

 次に、同じ文章をもう一度読みます。
 そのときは、最初に傍線を引いたところを中心に全体を読むので、読み方は一回目のときよりも早くなっています。
 読むときには、また同じように面白いと思ったところ、よくわかったところに線を引きます。2回目に読むときには、大事そうなことも検討がつくので、大事だと思うところにも傍線を引きます。

 3回目は、傍線を引いたところを中心に飛ばし読みをします。
 そして、傍線を引いた箇所だけを何度か飛ばし読みをしていると、文章の全体の構造が自ずから頭に入ってきます。
 この文章の全体の構造が頭に入るようにするために、自分が主観的に面白いと思ったところ、主観的によくわかったところに傍線を引くのが大事なのです。
 客観的な要約をするためには、その土台としてその文章が主観的に自分のものとして読み取れていることが必要だからです。

 文章の全体の構造がわかると、そこで初めて、要約をするのに大事な箇所の検討がつくようになります。
 そこで、大事なところをいくつかピックアップするのです。大事なところを丸で囲んでもいいでしょう。

 この丸で囲む箇所の数は、要約の指定の字数によって違ってきます。
 一般に、一つの文の平均の字数は、50字程度と言われています。易しい文章では短く、難しい文章では長い傾向があります。
 だから、150字の要約だったら3文でまとめるぐらいが目安になります。200字の要約なら、4文か5文でまとめることが目安になります。
 丸で囲んだ箇所を、うまくつながるように途中の言葉を入れてまとめればそれが要約になります。
 要約は、自分なりの言葉で書いてもいいのですが、そうすると採点する人が読み違えやすくなります。文章中のキーワードはできるだけそのまま生かして書いていきます。

 ついでに言うと、要約ではなく記述式の問題の場合は、答えの文章を書くときに、説明や意見をそのまま書くだけでは不十分です。
 自分の書く説明や意見と対比するものを挙げて、輪郭をはっきりさせる文章を書くことが大事です。
 例えば、「○○は、Aである」と書くだけでなく、「○○は、BではなくAである」と書くということです。

 以上、要約の書き方を説明してきましたが、実は要約よりももっといい勉強の仕方があるのです。(つづく)

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