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記事 1770番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/26
国語力をつける根本的な勉強法 2「文章理解の前提としての漢字の読み取り」 as/1770.html
森川林 2013/03/22 07:02 



 国語も算数も、学校では勉強の教科として同じように扱われているので、つい国語を30分やったから、次は算数を30分やって、これで両方同じぐらい勉強をしたという感覚になりがちです。
 しかし、ドイツでは、小学校1年生の国語の授業時間は、算数の授業時間の2倍から3倍、最初のうちはもっと多くの時間があてられています。科学技術の教育を重んじる国だからこそ、国語の授業に力を入れているのです。

 なぜ国語に力を入れるかというと、国語は単なる教科のひとつではなく、言語によってものを考える基盤だからです。
 だから、国語は勉強として取り組むよりも、まず家庭での言語教育として取り組まれる必要があります。それが家庭における読書と対話です。

 読書の基礎になるものは、ふたつあります。ひとつは、文法的な理解です。もうひとつは、文字の理解です。
 文法の骨格は、対話によって形成されます。子供が最初に接する言葉は、母親や父親との対話を通して与えられるものです。ここで、子供は言葉と感情と環境の結びつきを経験します。
 だから逆に、テレビやCDなどの音声に、幼児期に接しすぎると、言葉と感情の結びつきを経験できなくなることがあります。

 子供と両親との対話で大事なことは、量と質です。できるだけ多く対話を交わすことと、できるだけ質の高い対話を交わすことです。この対話を通して、子供は豊かな語彙力と高度な文法力を身につけます。

 もうひとつの文字の理解は、文字を読むことによって習得します。
 ここで、日本語の漢字仮名交じり文の、漢字の読み取りが重要になってきます。

 ひらがなの文字がまだスムーズに読めない幼児期には、本をひとりで読むことはなかなかできません。しかし、読む文字を口に出してそれを耳から聞くことによって、次第に文字を見ただけで言葉が理解できるようになります。
 しかし、読めない漢字が出てきた場合は、その部分だけは霧がかかって見えないような状態になるので、前後のひらがなのつながりから文脈を理解するしかありません。
 ここで、その漢字にふりがながふってあると、子供はそのふりがなを通して文章を読むことができます。この経験を何度か繰り返す中で、その漢字のイメージが読み方とともにわかるようになります。すると、やがて、ふりがながふってあったとしても、漢字の方を読むことによってより確実に文章を把握することができるようになります。

 漢字は、ただ読めるだけでなく、文脈の中で使われるイメージを伴って読めることが大事です。

 世間の漢字教育では、漢字が書けることを重視しがちです。それは、漢字の書き取りは試験で点数化しやすいからです。
 しかし、漢字の書き取りよりも大切なのは、漢字の読み取りです。
 ところが、この漢字の読み取りでも、ただ読めればいいというのではありません。また、読んで意味がわかればいいというだけでもありません。読めて意味がわかるとともに、その漢字によってありありとイメージがわくことが大事なのです。
 それは、なぜかというと、ある文章を読む中でその漢字を見たときに、その漢字がただ読めるだけでは不十分で、生き生きとしたイメージを伴って読めることが重要だからです。

 よく、新しいジャンルの本を読むときに、その本の中で使われているさまざまな語彙にまだなじんでいないために読書がなかなか進まないという経験をすることがあります。例えば、哲学の本を初めて読むとき、経済学の本を初めて読むときなどです。
 それは、漢字が読めて、意味も理解できるが、その漢字の持つイメージがまだ自分のものになっていないからです。

 ここに、子供の漢字教育の重要なヒントがあります。(つづく)

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記事 1769番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/26
国語力をつける根本的な勉強法 1 as/1769.html
森川林 2013/03/21 06:00 



 国語の勉強法には2種類あります。
 ひとつは、対処療法的な勉強法、もうひとつは根本治療的な勉強法です。

 対処療法的な勉強法というのは、言葉の森のホームページの「国語の勉強法」に書いてあるような理詰めに考える解き方を身につける勉強法です。

 国語というと感覚的な読み取りだと思っている人が多いので、選択した答えが間違っている場合でも、なぜかとと問う人が少なく、「当たった。はずれた」というレベルで考えてしまう人が多いようです。しかし、それでは試験にはならないので、問題の背後には必ずその裏づけになる理屈が隠されています。その理屈を考えることが国語の問題の解き方です。

 この理詰めに解くという解き方を知るだけで、国語の成績が急に上昇することがあります。
 世間でよく行われている国語の指導とは、こういうものです。「国語力は読書では身につかない」などと豪語する人がときどきいますが、それはこの理詰めのテクニックを教えれば成績が上がるということで言っているのです。

 しかし、理詰めに解く勉強法だけでは、国語の成績はすぐに限界が来ます。
 理詰めに解くのが対処療法的な勉強法だとすると、対処療法では対応できないレベルがあるのです。それが、本当の意味での読解力です。
 つまり、テクニックで成績が上がるのは、その生徒の本当の読解力の範囲までなのです。だから、国語力をつけるためには、根本的に読解力を向上させなければなりません。それが、根本的な勉強法です。

 根本的な国語力をつける前提は、まず文章が自然に読めるということです。
 日本語の文章は、日本で生まれ育った人なら誰でも自然に読めると思われがちですが、その読み方には深さの差があります。ある文章があった場合、それを表面的に読むか、より深く読み取るかの差が、その人の読書生活の中に現れてきます。

 子供時代に、読んでいる本が面白くて止まらなくなった、という経験を持つ人は多いと思います。そのときの読み方が深い読み方です。
 つまり、文章を読むことが読むという意識なしにできるようになり、書かれている内容に没入できる状態になることです。読解力の根底には、この読んでいる内容に引き込まれて、自分がまるでその本の中にいるような状態になることがあります。

 言葉の森では、読書は読解力の大前提だと教えています。「国語の成績は読書では身につかない」という考え方とは正反対です。それは、文章の内容を生き生きと味わうような読み方こそが、文章を読み解く前提になるからです。これは、特に物語文の読解にあてはまります。物語文を読む前提は、登場人物に感情移入しながら読む読み方ができるということだからです。

 だから、小学生時代は特に、国語の問題集を解く勉強のようなことをするよりも、読書をたっぷりしておくことが大事なのです。(つづく)

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touko 20170310 77 
日本語の勉強にも共通する点があると思います。テストの解き方と、本当の語学力をつけることは別だと、改めて思いました。

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幼児や小学1年生の作文指導は、書かせるよりも読ませることを as/1768.html
森川林 2013/03/19 18:01 



 幼児や小学校1年生から作文の勉強をする子が増えています。
 小学校でも、書くことに力を入れるということで、低学年から日記などの宿題を出すところが増えてきているようです。

 しかし、小学生のころの作文指導は、大人はつい間違いを直すこと中心に見てしまうので注意が必要です。
 これは、お母さんでも同じです。
 真面目で熱心な先生やお母さんほど、間違いがあるとすぐ直してしまいたくなるのです。

 ところが間違いは、そこで直さなくても読む力がつけば自然に直るものがほとんどです。
 間違いを直すことによって、せっかく褒められると思って書いた子供の作文をけなすかたちになってしまうところに大きな問題があります。

 しかし、間違いを直さないと、その間違いが定着しやすくなるのも事実です。
 では、どうしたらいいかというと、最初から間違って書かないようにすればいいのです。

 最初から正しい書き方をするためには、正しい書き方をよく読んでおく必要があります。
 だから、作文を書く前に、読書をたっぷりしておく必要があるのです。

 低学年のころの作文指導は、上手に書くことを目的としません。
 正しい書き方を身につけ、楽しく書くことを学ぶために勉強していきます。
 低学年のときに楽しく書くためには、できるだけ直す注意をしないことです。
 そして、この楽しく書いた土台の上に、中学年になってからの表現を工夫した作文、高学年になってからの考える作文。中学生や高校生になってからの創造性のある作文と続いていくのです。

====facebook記事より====

 昔、教室に浪人生がひとり、お母さんと一緒に来ました。
 「作文というのが苦手で、実は小学生以来今まで、夏休みの宿題などは母が全部代筆していた」と言うのです。
 お母さんも、大変でしたね。

 「でも、今回浪人になったのをいい機会に、小論文の勉強をしようかと思って」ということでした。
 そこで、いつものように、「大丈夫ですよ」(笑)

 早速、その場で体験学習。
 子供も、親も不安そうです。特に、子供の方は作文を書いたことがない……。

 しかし、小6相当の課題(といっても、実はかなり難しい)を説明して、書いてもらうと、何と書けるではありません。
 親子でびっくり!
 というか、何が何でも書けるように説明してしまうのです。

 その後、教室に通うようになり、1年間毎週しっかり作文(小論文)を書いて、大学も無事に合格。
 毎週休まず来て、毎回力作を書いていました。

 どうしてそれまで作文を書けなかったかというと、小学生の低学年の時期に、作文に関するトラウマがあったのです。
 最初に作文を書いて喜んで先生に見せたら、自分が褒めてもらいたいところは全然褒めてもらえず、逆に自分が予想もしなかったところで注意されたのです。
 「文の終わりには、まるをつけなきゃね」とか何とか。

 文章を書く上でルールなどは、誰も教えなくても、本を読んでいるうちに自然に身につけます。
 だから、低学年のうちは、直さなくていいのです。

 そして、低学年のうちほど、作文はすぐには直りません。本を読んでいる量がまだ少ないからです。
 小学校低学年のうちは、作文に力を入れるよりも、読書や対話に力を入れていくのがいいのです。

====引用ここまで。====

【参考記事】
対話を生かした、幼児と小学校低学年の作文学習
https://www.mori7.com/as/1764.html

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記事 1767番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/26
学力の要は国語力、国語力の要は作文力。作文は対話によって力がつく as/1767.html
森川林 2013/03/18 04:58 


 学力の中で最も大事なものは国語力です。国語力が、他の教科の土台になっているからです。文章を読み取る力があるからこそ、国語以外の教科の勉強も理解することができるのです。

 しかし、この国語力ほど曖昧なものもありません。他の教科であれば、出題範囲が決まっていれば、その部分の勉強をすれば必ずよい点が取れます。勉強すれば成績はよくなるというのが、国語以外の他の教科の勉強の特徴です。
 国語はそうではありません。せいぜい漢字の書き取りや、文法の勉強をする以外、することがないのです。

 国語の勉強というと、多くのは人は国語の問題集を解くような勉強を考えます。しかし、問題集を解いて、手応えのあるような国語力がつくでしょうか。解いたら解いただけで、何も身についているような実感がないのです。

 世間の国語の勉強というのは、ほとんどそういうものです。
 通信教育の教材でも、国語の勉強というのは、市販の問題集をやるのとほとんど変わりません。問題を解いていると何か勉強をしているような気がしますが、実際は何も身についていないのです。

 では、国語の勉強はどのようにしたらいいのでしょうか。
 国語力の中心は、読解力です。文章を読んで理解する力です。しかし、この読解力には、浅くしか読めない読解力と、深く読める読解力の差があるのです。
 文章として書かれているのは日本語ですから、誰でもそれなりに読むことができます。しかし、その文章の内容について質問されたときに(これが国語の問題です)、その質問に的確に答えられる人と答えられない人がいるのです。

 だから、文章を深く読む力が読解力というものです。
 読解力はどのようにしてつくかというと、その文章をもとに自分なりにいろいろ考えることによってなのです。

 そこで登場するのが作文です。
 言葉の森の作文は、小学校低学年のうちは文章を書くことが中心ですが、学年が上がるにつれて、文章を読んで書くという形になっていきます。最初は日常的な事実中心の作文ですが、次第に、感想文のウエイトが増してきます。そして、その感想文のもとになる文章のレベルが上がっていくのです。

 その文章をもとに、自分なりに似た例を考え、自分らしい感想を書かなければならないとなると、嫌でも文章を深く読まなければならなくなります。
 しかし、文章が難しくなると、ひとりで読み取ることができなくなります。その文章は読めるが、読めても何を書いていいかわからないという状態になるのです。

 世間一般の作文通信教育では、こういうときはお手上げです。小学校低中学年の作文を書くところまでであれば、書く段階を追って説明してあれば誰でも一応は書くことができます。
 しかし、肝心の難しい文章を読んで感想文を書くというような高度な学習になると、紙の上だけでの通信教材では手も足も出ないという場面が増えてくるのです。

 ひとりでは読み取れない文章を読み取る助けになるのは、他の人との対話です。
 言葉の森の作文指導は、先生が毎週電話で説明をします。ですから、生徒の読み取れた範囲で更に詳しい説明をすることができます。電話で生徒の反応を聞きながら、その生徒に合った説明をすることができるのです。
 これが、作文による国語力アップの勉強法です。

 先生が生徒に、文章の内容を聞き、似た例や感想を聞きます。
 その生徒の答えに合わせて、先生が更に詳しい説明をします。
 生徒が浅くしか読めないときには、もう少し詳しい説明を、生徒が深く読み取っている場合は、更に発展した説明をすることができます。これが電話通信の対話による作文の勉強法です。

 また、この対話には、生徒とその家族の対話も含みます。
 言葉の森の作文の学習では、似た例を家族に取材するという項目もあります。お父さんやお母さんに、似た例を聞くと、その対話の中で自然に理解が深まっていきます。
 文章を読み取る力は、その文章をもとにさまざまな人と対話をする中で育っていきます。

 問題集で、文章を読んで、質問に答えて○や×をつけられ、赤ペンで添削されるというような勉強法では、自分の文章力の結果がわかるだけで、何も力がついたことにはなりません。
 国語力は、その文章をもとに、ほかの人の話などを参考に、自分なりに深く考える中で初めて身についてくるのです。

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言葉の森の対話式の作文指導と、他の通信講座のスモールステップ式の作文指導 as/1766.html
森川林 2013/03/14 20:46 



 言葉の森の作文指導は対話式です。
 言葉の森以外の他の通信講座は、対話式ではなく、スモールステップ式です。

 しかし、このスモールステップ式の作文通信指導は、次のような弱点があるので実力がつきません。

 まず、スモールステップ式の教材は、電話指導のような個別の対話なしにすべての生徒に作文を書かせるために、いちばん実力の低いところに合わせて作られているからです。
 これは、作文のよく書ける子にとっては、不必要な回り道になります。
 低学年の生徒なら、易しい勉強ですから喜んでやるかもしれませんが、それによって何の力がついているわけでもありません。ただ遠回りをしているから易しくできるだけなのです。

 そして、もっと大きい問題は、このスモールステップ式の指導が通用するのは、小学校低学年の易しい課題までだということです。
 小学校中学年になり、感想文や説明文の課題が多くなると、子供の実力は大きく開いていきます。難しい課題でもよく書ける生徒と、難しい課題になると全然書けない生徒に分かれてきます。
 そうなると、教材で対応することはできなくなります。

 スモールステップが有効なのは、算数の計算や漢字の書き取りなどのようにひとつひとつの単元が分かれているような場合です。
 作文のようにトータルな全体が評価されるものは、小さな単元には分けられません。作文力や読解力は、もともと単元に分けられるような能力ではないのです。

 言葉の森の電話指導は、、課題が易しくても難しくても、その子の特性に応じた指導ができます。
 だから、学年が上がるほど対話式の電話指導の長所が生きてくるのです。

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絵がかければ、言葉の森の作文が始められる as/1765.html
森川林 2013/03/13 19:42 



■読んで聞かせるのが「読み聞かせ」、話させて書くのが「話し書き」

 まだ字が書けないのに、どうして作文が書けるのでしょうか。
 読み聞かせということをご存じだと思います。まだ、自分で本を読めない子が、お母さんやお父さんに本を読んで聞かせてもらいます。
 この読み聞かせをたっぷりしていると、いつの間にか自分で本を読む力が育つのです。
 逆に、子供に自分で本を読ませようとして、読み聞かせをあまりしないようにしていると、子供が自分から本を読むことがどんどん遅れていきます。

 よく、小学校に上がったのを機に読み聞かせをやめたら、それから本を読まなくなったということがあるのはそのためです。
 読んで聞かせてあげることは、自分で読むことの反対にあるものではなく、自分で読むことを助けているものなのです。

 同じことが作文にも言えます。
 子供が、その日の出来事を絵に描いて、お母さんやお父さんに話します。それを、お母さん、お父さんが作文に書いてあげるのです。
 読書の前に行うのが読み聞かせだとしたら、作文の前に行うのは言わせ書きとでも呼ぶのでしょう。しかし、語呂をよくするために、ここではお話し作文という名前を使います。
 読み聞かせと同じように、話をさせて書かせるお話し書きが、作文の新しい練習方法です。

■なぜお話し書きが大事なのでしょうか

 小1、小2のころの学校の作文指導は、書き方の間違い直しが中心です。
 例えば、「ぼくわ」ではなく「ぼくは」と書く、文の終わりに「。」をつける、会話はカギカッコで書く、など、大人から見ればあたりまえのことのように見えますが、子供の世界では初めて知ることなのです。
 子供が普段楽しくお喋りをしているときの言葉は、「ぼくわ おとおさんに はやくいこおって いったんだよ」と、子供の耳には聞こえています。「、」や「。」やカギカッコは、耳には聞こえないのです。
 学校での初めての作文で、自分の知っている言葉のとおりに楽しく書くと、そこにたくさん×がつけられ、そこから作文嫌いになってしまう子が多いのです。
 しかも、大人にとってはそんな簡単なことと思うようなことが、子供にとってはそうではありません。「ぼくわ」を「ぼくは」と直すまでに何度も注意され、何週間もかかる子が多いのです。会話のカギカッコなどは、何度注意されても直らず1年間かかる子もいます。
 しかし、それは、注意されたから正しく書けるようになったのではありません。本を読む量が増えてくるにつれて、自然に書き方のルールになじんで、それで正しく書けるようになったのです。

 学校の初めの楽しいはずの作文の勉強を注意ばかりで始めないためには、最初から正しく書けるようにしておけばいいのです。

■本の好きな子の共通点は、親も本が好き。だから、作文が好きになるには

 読書好きな子は、親も読書が好きだという調査結果があります。
 お父さんやお母さんが楽しく本を読む姿を見ていると、子供も自然に本を読むのが好きになるのです。
 だから、子供が作文を好きになるには、親が楽しそうに文章を書く姿が見られるようにするといいのです。

■親子の対話で楽しく作文

 担当の先生から、毎週決まった時間に電話があります。(ご希望の時間を決めていただくことができます。)
 都合により電話を受けられないときは、その分をほかの日にふりかえることもできます。

 毎週の電話の内容は、こんな感じです。
「今日の作文は、そのときの会話を思い出して、『まるで……のよう』という言葉を使いながら、100字を目標に書いてください。」
 その電話の説明を聞いてから、お母さんが子供と楽しくお喋りをします。
 お母さんと話をしながら、いつの間にか作文を書く力がついているのです。

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対話を生かした、幼児と小学校低学年の作文学習 as/1764.html
森川林 2013/03/12 05:46 



 言葉の森の作文の勉強は、対話を通して行うのが特徴ですが、特に、幼児や小学校低学年の作文では、家庭での対話を作文の学習に生かすことができます。

 例えば、幼児と小学校1、2年生の作文の課題は、ほとんどが「自由な題名」となっています。それは、小学校低学年までの時期に、「ぼくのお母さん」とか「わたしのお父さん」などという題名を指定した課題を書かせることは無理があるからです。
 この「自由な題名」を対話によって豊かにしていくことができます。

■作文の学習は、まず親子の対話から

 幼児や小学校低学年の生徒が作文の学習をするときは、まず親子の対話から始まります。

 最初は、あまりよくない例です。

母「何を書くの?」
子「ゲームのこと」
母「あら、今日も……」

 これでは、いい作文は書けません。
 いいやり方は、作文の授業があるときまでに、子供と対話をしておくのです。

母「この1週間、どんなことがあった?」
子「えーと、あれもあったし、これもあったし、あ、こんなこともあった」
母「じゃあ、これか、これか、これがいいんじゃないかなあ」

 こういうのが事前の対話です。
 次の週に書く課題が感想文のときは、子供が課題の長文の音読をしておき、その音読した内容に基づいて対話を進めていきます。
 子供が作文に何を書くか決めたら、そこからまた話が発展します。

子「じゃあ、これを書こう」
母「お父さんにも、聞いてみたら」
子「お父さん、ぼく、○○のことを書こうと思うんだけど」
父「ほう、お父さんにも、子供のころこんなことがあったよ」
子「じゃあ、田舎のおばあちゃんにも電話して聞いてみよう」

子「おばあちゃん、今度作文に○○ということ書くから、書いたら送りますね」
祖母「うん、ありがとう。そういえば、おばあちゃんにもこんなことがあったよ」

子「おばあちゃんにも、こんなことがあったんだって」
父母「ハハハ」

 大事なのは、作文という結果ではありません。書く前に考えたり話したり聞いたりする中で、作文力、思考力が育つのです。
 だから、たまたま何かの事情で作文が書けない日があっても、作文の勉強ができなかったということではありません。その前の対話の中で、作文の勉強はもう半分以上できているのです。

 しかも、こういう対話は、親にとってはほとんど負担ではありません。
 子供と話をする時間さえあれば、家族の対話は楽しい団らんのような形で進んでいきます。



■先生からの電話指導も楽しい対話で

 言葉の森の電話指導も、先生と生徒の対話から始まります。

先生「もしもし、○○ちゃん、今日は何を書くの」
子「あのね、今日はね、こんなことがあって、あんなことがあって……」
先生「へえ、おもしろそう。じゃあ、全部しゃべると作文のエネルギーがなくなっちゃうから、続きは作文に書いてね」
子「はあい」

 そして、子供は、すぐに机に向かって作文を書き出します。

子「えーと……」

 ところが、いい内容のときほど、なかなか書き出せないことがあります。
 そのときは、教室に電話をして、追加の説明を聞くことができます。

子「うーん、どうやって書いていいかわからないなあ」
母「じゃあ、教室に電話して聞いてみたら」

 しかし、この場合も、家庭の対話でうまく作文を書き出すことができます。

母「お母さんと一緒に考えてみようか」
子「うん」

 ここで使えるのが構成図という方法です。
 構成図の実際の書き方は、言葉の森のホームページで動画を見ていただくことができますが、やり方はいたって簡単です。
 お母さん又はお父さんが、子供と話をしながら、散らし書き風のメモとして、短い文をどんどん書いてあげるのです。
 ここで大事なのは、子供がきちんとした文を言うのではなく、お母さんやお父さんが自分の考えで文を書いてあげることです。



■構成図を書く具体的な手順

 子供が作文をなかなか書き出せないときは、親が構成図を書いてあげます。
 構成図とは、作文用紙の裏など白紙の部分を使って、作文に書くことを短文で散らし書き風に書いていくことです。
 幼児や低学年で、まだ作文の書き方がわからないときは、構成図ではなく、直接作文用紙に作文を書いてあげてもかまいません。

 親が気軽に書いている姿を何度か見せていると、子供は自分で構成図を書くか、直接作文を書くかするようになります。
 大事なことは、子供に無理に書かせようとするのではなく、親が楽しく書く姿を見せてあげることです。

母「じゃあ、お母さんと一緒に作文を書こう。えーと、何を書くんだっけ」
子「○○のこと」
母「それでは、最初にその話を絵をかいてみてね」

 小学校2、3年生では、作文を書く前に、そのときの様子を絵でかくという項目があります。
 絵は、ほとんどの子がかけますから、親は近くで見ていなくてもかまいません。

子「絵がかけた」
母「へえ、これは何なの」
子「これはぼくが……してるの」
母「じゃあ、こっちは」
子「これはね……」

 しばらく絵を見て話したあと、作文を書きます。絵に説明を書き加えてもかまいません。
 絵には色も塗ることができますが、絵をかくのにあまり時間がかかる場合は、色は作文のあとに塗るようにします。
 絵が苦手な子の場合は、絵を省略してもかまいません。
 小学校3年生以上は、特に絵はかかず、すぐに作文の構成図を書いてかまいません。

母「どんなことがあったのかな」
子「えーと、ひる休みに友だちとおにごっこをしたの」
母「ふーん、だれとしたの」
子「けんちゃんと、たけこちゃんと、あきおくんと」
母「あきおくんが来るの、めずらしいね」

 このように、子供と話をしながら作文に書く材料を集めます。
 少し話をしたら、すぐに構成図を書いていきます。

母「それでは、一緒に話をしながら書いていこうね」
子「うん、いいよ」
母「えーと、まず、『ぼくは、きょう、中休みにおにごっこをしました。』と」
子「ひる休みだよ」
母「あ、そうか。『中休みではなく、ひる休みでした。』と」
子「うん」

 構成図は、間違えたことを書いてしまっても、消しゴムなどは使わずに、続けて書いていく方が勢いがつきます。

母「それから、『いっしょにあそんだ子は、けんちゃん、たけちゃん、あきおくんです。』と」
子「あ、みよこちゃんもいたんだった」
母「『それから、みよこちゃんもいました。』と。『ぼくは、みよこちゃんが大すきです。』と」
子「えー、ちがうよ」
母「まあ、いいじゃない」

 構成図は、のびのびと書くことが大事ですから、少し脱線したことを書いてもかまいません。
 1枚の用紙が大体埋まるぐらいまで構成図を書きます。
 子供から話を引き出そうとすると、なかなか進まないことがありますから、親が想像したことを書いていってもかまいません。

母「『その日は、とてもいい天気でした。』」
子「うーん、くもっていたかなあ」
母「じゃあ、『くもっていました。』と。そして、『空には、ヒバリがとんでいました。』」
子「そんなのとんでないよ」
母「『地面からモグラも出てきました。』」
子「ハハハ」
母「『そんなことはありませんでした。』と」

 構成図は明るく早いテンポで書いていき、作文が気軽に書けるものだという感じを伝えるようにします。



■構成図を書いたあと

 構成図を1枚埋めるのにかかる時間は、10分から15分ぐらいです。慣れれば早くなりますから、最初は時間がかかってもかまいません。
 しかし、あまり長く時間がかかった場合は、その後の作文は書かずに、構成図を書いただけで作文の勉強をおしまいにしてもかまいません。
 構成図を書いたあと、作文を書く時間があるときは、次のようにします。

母「じゃあ、この構成図を見て、作文を書いてごらん」
子「うん。ここに書いてないことも書いていいの」
母「もちろんいいよ。自分で自由に書いてね」

 幼児や小学校低学年で、まだ作文の書き方がわからないときは、親が作文用紙に代わりに書いてあげます。
 そして、その作文を子供に読んでもらうか、親が読んで聞かせてあげます。
 子供が、自分でも続きを書きたいと言えば、自由に書かせてあげます。
 これが幼児や低学年の作文の勉強になります。

 小学校低中学年で、自分で作文が書ける場合は、構成図をもとにして書いていきます。
 その際、構成図に書いてあることをそのまま書いただけの作文になってもかまいません。
 模倣を繰り返しているうちに、必ず自分なりの文章を書くようになるからです。
 そして、子供が作文を書いたあとは、必ずいいところを見て褒めてあげます。

子「書けた」
母「わあ、すごい。コピーして、おばあちゃんにも送ろうか」
子「やったあ。でも、おばあちゃん、読めるかなあ」
母「きっと楽しみにしているよ」

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国語力をつけるための勉強としての要約と対話について as/1763.html
森川林 2013/03/11 06:25 


 本題に入る前に。

 今日は、3月11日です。
 facebookに、東北と日本の復興についての記事を書きました。

====
 3.11は、すべての心ある人たちが日本を守るために一体となった日です。
 日本は、これからどんどんよい方向に向かうでしょう。
 それは、真実が次々と明らかになり、みんなの気持ちがますますひとつになってきたからです。
 東北と日本の復興に向けて、更に力を合わせていきましょう。

 福島の子供たちの健康被害は、全くなかったようです。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16419

 ニュースのリンク先を追加。(9:10)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130308/k10013054841000.html
====

 東日本大震災をきっかけに、数多くの真実の情報が日本中に広がりました。
 それらの貴重な出版物やブログの記事に感謝したいと思います。


 さて、本題です。
 今回は、昨日の続きで、要約よりもよい勉強法についてです。

 要約という勉強は、それはそれなりにいいのですが、難点は時間のかかることと、評価する人がいないとできないように思われていることです。
 言葉の森では、以前から、解く勉強ではなく読む勉強、形の残る勉強ではなく形の残らない勉強ということを言っていますが、この場合も、それがあてはまります。

 要約に時間がかかるのは、形の残る勉強だからです。形を残すことにこだわるから、内容がかえっておろそかになりやすいのです。
 大事なことは、要約を書くことではなく、元の文章を読み取ることです。だから、読み取ったことがわかればいいのです。
 その方法が対話です。

 例えば、子供がある長文を読むとします。言葉の森の課題の長文は1600字程度のものが多いので数分で読めます。しかし、難しい内容のものは1回読んだだけではあまり理解できないので、何度も繰り返し読む必要があります。
 文章というものは、もともと理解できるようにできています。その理解の仕方は、ひとつひとつの単語の意味を調べて積み上げるような分析的な方法によってではなく、文章全体を繰り返し読むという総合的な方法によってです。

 文章の理解というものは、○と×がつけられるような平面的なものではありません。浅い理解から深い理解へと何層にも分けられるような性質のものです。繰り返し読むことによって、最初はわからなかったことがだんだんわかるようになるという読み方ができるのです。

 そして、その文章を読んで自分なりに理解できた範囲で、子供がその内容をお父さんやお母さんに説明します。これが対話の出発点です。
 お父さんやお母さんは、元の長文を読んでいる必要はありません(読んでいてももちろんいいのですが)。ただ、子供の説明を聞いて、その内容がわかればいいのです。

 もし、説明がわかりにくければ、質問をすればいいだけです。文章の内容を自分なりに理解している子なら、そういう質問にもそれなりに答えられます。
 ここから更に発展して、お父さんやお母さんが、その説明に関連した似た例を話したり、互いに感想を述べ合ったりすれば、文章の理解はより深まります。

 対話は、要約に比べると形の残らない勉強です。しかし、準備も要らなければ評価も要りません。ただ家族で楽しく話をするだけで、要約よりももっと深い文章理解の勉強ができるのです。

 しかし、この対話という勉強法は、それなりの工夫も必要です。それは、家庭における対話の文化を作っておくという工夫です。

 多くの家庭では、子供が親に長文の内容を説明して、それをもとに楽しい対話が始まるというような経験をしていません。子供もそういう話をすることに慣れていないし、親もそういう話を聞くことに慣れていません。

 だから、最初は、子供に長文の内容を説明させても、ぽつりぽつりとしか話せません。親も、それを聞いているうちにいらだって、説明の仕方を注意するようになりがちです。それでは、楽しい対話ではなく、厳しい詰問になってしまいます。

 また、親が似た例を話すときも、本当は自分の体験に根ざしたことを話すのが大事なのですが、親の体面上知っている知識を話すだけになってしまうことも多いのです。そうすると、これも楽しい対話ではなく、つまらない講義を聞いているような話になってしまいます。

 では、楽しい対話をするためには、どうしたらいいのでしょうか。
 それは、子供が小学校低学年のまだ小さいころから、家族で楽しく真面目な話をする機会を作っておくことです。高学年になって難しい長文を読めるようになってからの対話では、うまく行かないことも多いのです。

 対話の第一の条件は、親が一切注意をしないということです。これは、作文にも、音読にも、暗唱にも共通します。

 よく子供が作文を見せてくれないという相談がありますが、それは作文を見て注意したことが何度かあったからです。同じように、音読を親の前でするのを嫌がるというのも、その音読の仕方を何度か注意したことがあったからです。子供が、親の前で長文の説明をするのを嫌がるとしたら、それは説明の仕方を注意したことがあったからです。

 言葉というものは、外から注意しなくても、繰り返すうちに自然によくなっていく性質があります。お父さんやお母さんが、今普通に文章を書いたり、読んだり、説明したりできるのは、だれかに注意されてできるようになったのではありません。長年、言葉の生活をする中で自然に身につけていったのです。
 だから、子供の作文や音読や説明も、自然に任せていれば自然にいいものになっていきます。

 それでは、なぜそれらの勉強をするかというと、機会を増やすことによってよりよいものになるからです。そして、機会を増やすためには、楽しく行うことが大事です。楽しく行うためには、小学校低学年(実はもっと小さい幼児)から、子供が文章を書いたり読んだり話したりすることを褒めて伸ばしてあげる必要があるのです。

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