選択式の問題の解き方のコツは、これまでにもいくつか書きました。
「国語の勉強法」
https://www.mori7.com/as/769.html
「読解力をつけるには」
https://www.mori7.com/as/514.html
今回は、選択式の解き方ではなく、文中から文を抜き出す形の問題についての説明です。
まず第一に、問題を解く力以前に、文章を読む力がなければなりません。
問題文を読まずに、設問を見て設問の周辺だけの文章を読んで書くのでは正解率は上がりません。
なぜ問題文を読まずに解こうとするかというと、まだ読む力がないからです。なぜ読む力がないかというと、その生徒が普段なじんでいない語彙があちこちに使われているからです。
大人でも、初めて経済学の本を読むとか、哲学の本を読むとかすると、なじみのない語彙があちこちに出てくるので、普段と同じペースでは読めなくなります。これと同じで、子供にとってなじみのない言葉が続くと、全体を読むのが億劫になるのです。
ですから、
問題を解くコツを学ぶことと並行して、入試問題に出てくるような文章を読み慣れておく必要があります。問題集の問題文を読んで、その内容を身近なお父さんやお母さんに説明する練習をしていくと読む力がつきます。ただし、注意することは、説明がどんなに下手でも忍耐強くにこやかに聞いてあげることです。
第二に、問題の文章を線を引きながら読んでいくということです。
一般に、難関校ほど、国語の問題文は長くなります。何ページにもわたるような文章を読むときに、自分で傍線を引いた箇所があると、その周辺にどんなことが書いてあったかがわかりやすくなります。
だから、傍線を引く箇所は、大事なところというよりも、自分がよくわかったところや、印象に残ったところになります。
第三に、設問に該当する箇所を問題文中から探します。「文中の言葉を使って」という条件が書いていない場合でも、文中の言葉を生かして書いた方が点数はよくなります。それは、採点する人が理解しやすいからです。
国語の問題の原則は、答えは文中にあるということです。しかし、その文中の場所が問題です。易しい問題では、設問で指示された箇所の直後に答えの文章があります。難しい問題の場合は、設問で指示された箇所の前の方に答えの文章があります。更に難しい問題の場合は、設問から大きく離れたところに答えの文章が載っています。
ですから、難しい問題になると、疑問を感じさせるような正解もよくあります。時には正解が間違っていると思われるものさえあります。
国語の問題は点数を見るのではなく、どういうレベルの間違いをしているか見る必要があります。そして、内容を把握している上での間違いであれば、その問題を正解にできるまでがんばるというのは多くの場合時間の無駄です。国語の問題は確率的にできればよいと考え、それよりも確実に正解を絞れる他の勉強に時間を割いていくことです。
第四に、志望校の傾向を知ることです。国語の問題は、それが難しい傾向として出されているか易しい傾向として出されているかで、取り組む姿勢がかなり違ってきます。
言葉の森で毎月4週目に、選択式の読解問題を出していますが、小学校5年生以上の生徒が初めてこの読解問題を解くと、かなり低い点数になります。それほど極端に難しい問題ではないのですが、比較的難しく作ってあるので、そういう心構えのない生徒はあっさり間違えてしまうのです。
そういう生徒でも、解き方のコツを教えると、次の週からはすぐに得点が上がります。そして、
解き方の要領がわかってくると、問題文を読むときも気合いを入れて読むようになるので、更に得点が上がるようになります。
勉強のよくできる子とできない子の差は、毎日の家庭学習の習慣の中にあります。
毎日の家庭学習の習慣は、親の接し方によって左右されます。
いちばん大事な基本は、子供のやったことをまず認めて、そして褒めることです。
ところが、多くのお母さんやお父さんが、認めて褒めるのではなく、注意して直そうとするのです。
例えば、音読を聞いたあと、「もっとこういうふうに読みなさい」というような注意です。又は、作文を書かせたあと、「ここの文がおかしいから直したら」などという注意です。子供に長文の説明をさせたあと、「もっとわかりやすく説明して」などという注意もそうです。
子供の読んでいる本を見て、「もっとちゃんとした本を読みなさい」などという注意も同じです。
注意したくなる気持ちは確かにわかります。子供の音読や作文や説明や読書は、大人から見れば欠点がすぐ目につくからです。
しかし、そういう注意をされた子供の立場になって考えてみると、子供はこういうふうに思っているのです。
「せっかく、がんばってやっていたのに、そのがんばったところは全然見てくれずに、いつもだめなところだけ見つけて注意される」
そういう気持ちが続くと、子供は、親の前で音読や作文や説明や読書をすることを嫌がるようになります。そうすると、毎日きちんとするという習慣ができなくなるのです。
勉強のよくできない子の共通点は、毎日の決まった習慣がないことと、いつも注意されていることです。なぜ習慣がつかないかというと、いつも注意されるからなのです。だから、最初の出発点は、子供のやったことをいつもそのまま認めて褒めてあげることです。
直したいところがあっても、そこには何も触れずにただ手放しで褒めることが大事なのです。下手な音読でも、「だんだん読むのが上手になってきたね」といつも褒めていれば、本当に上手になっていきます。逆に、「もっとこう読みなさい」と直そうとすると、どんどん下手になっていくのです。
子供はどこで上達するかというと、注意によって上達するのではなく、継続によって上達するのです。継続させるためには、いつもいいところを見て褒めてあげることです。