■京都府立桃山高校 2010年 40分 600字。 自然科学
社会科学的な問題としてではなく、自然科学的な問題として考える。
第一段落は、説明。「野生化したアライグマによる京都の社寺の被害のような例は、これからも形を変えて起こると思われる。現に、最近では、日本の湖沼に本来いないはずのブラックバスやカミツキガメが繁殖していることが問題になっている。ほかにも……」など。
第二段落は原因。「その原因は、アライグマの国内持ち込みの例でもわかるように、アライグマがペットとして飼えるようなものでないという認識が足りなかったことになる。それは、ひいてはそういう知識を伝えることのできる科学者の責任だとも言えるのではないだろうか。原子力発電所などについても、国民が判断する材料はマスメディアから流されている情報だけであることが多い。このようなときに、科学者が……」。」など。
第三段落は対策。「しかし、既に問題が起きている今できる対策は、やはり被害が拡大しないようにするためのアライグマの生態の研究である。人間と自然の生き物は共存する必要がある。アライグマ以外にも、クマやシカやスズメバチなど、人間の住んでいる場所の近くで摩擦を起こしそうな生き物は多い。これからの生き物を排除するのではなく共存していくことが大事である。……」など。
第四段落は、まとめ。「確かに人間は自然をコントロールすることによって、住みよい世界を作ってきた。しかし、これまでは生き物たちの都合を考えずに、人間だけの都合で自然を改変してきた面が多い。これからは……。」など。
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■千葉公立高校 特色化・一般入試 2009年度 60分 600~800字
人間は長い歴史の中で、さまざまな見方や学問の力によって、自然現象や人間社会、人間の生き方などを探求してきました。あなたが、日頃関心を持っている学問分野を一つあげて、その分野があなたの生き方や考え方に与えた影響について書きなさい。
第一段落は、説明。「私がいちばん関心を持っている学問分野は、教科で言えば国語だが、学問として言うと文学ということになるだろうか。私は、昔から国語の授業が好きで、教科書などは学年が新しくなるたびに、その日のうちに全部読んでしまうことが多かった。また、国語の授業では積極的に発言し……。」など。
第二段落は、影響1。「文学の分野を学ぶことによって、私は自分の経験だけでは得られない広い知識を得ることができた。また、現代の人だけでなく、過去の人がどのように感じ考えていたのかも知ることができた。例えば、私が好きな古典のひとつは『枕草子』で、その中で……。」など。
第三段落は、影響2。「また、文学という学問を学ぶことで、私は自分でも文章を書き、自分の考えを表現することができるようになった。私は、今自分のブログで毎日感じたことを書いているが、文章を書くことによって、自分の知識を確かめる機会が増えた。例えば、あるとき、国際連合と日本の常任理事国化について意見を書こうとしたとき……。」など。
第四段落は、まとめ。「学問分野には、理科や社会や数学などの分野もある。それらも確かに人類の進歩に大きく貢献してきた。しかし、私は、それらの学問分野の根底に、言葉によってものを考えるという文学の分野があるのではないかと思う。私はこれから……。」など。
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受験作文のエッセンス第3弾。
考えられる影響を挙げるだけでなく、その根拠となる体験実例がしっかり書けることが大切です。
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■神奈川県立柏陽高校 前期 2010年度 60分 300字+300字
問1は省略。300字の感覚を身につけておくこと。消しゴムは使わずに、頭の中で全体の骨格を考えてから一気に書く。「理由」というキーワードを早めに使う。
差がつかない問題なので、深く考えずに、多少はずれていてもいいからすばやく思いつくことが大事。例えば、「身長の高い人は体重も重い」「右目の視力がよい人は、左目の視力もよい」など。
問2
600字程度の課題にも対応できるようにヒントは長めに書いてあるが、短くするためには実例などを省略してもよい。
第一段落は、説明。「グラフを見ると、教科の種類に関係なくどの教科においても、朝食をとるグループの方が、朝食をとらないグループよりもペーパーテストの成績がよい。」など。
第二段落は、考えられる要因1(字数を短くする場合は実例を省略してもよい)。「考えられる要因としては第一に、朝食をとる子は家庭における自分の時間管理ができているために、テストのための勉強もうまくやれるのではないかということである。例えば、私は毎日朝食を取っているが、それは夕方寝る時間がほぼ決まっているからで……。」など。
第三段落は、考えられる要因2(字数を短くする場合は、要因は1つでもよい)。「第二の要因は、朝食を取る子は、小さいころから家庭での生活が安定しているため、テストの前に限らず勉強も計画的に進めているのではないかということである。私も小さいころ、夜更かしをしようとすると母親に、『毎日同じように生活する方がいいんだよ』とアドバイスされたことがある。……。」など。
第四段落は、まとめ。「相関関係があるということと、因果関係があるということは、区別して考える必要がある。また、推測される因果関係についても、条件をさまざまに変えた調査によって裏付けることが必要だ。また、更に重要なことは、例外についての研究で、このグラフの例で言えば、朝食をきちんと取っているのに成績が悪い生徒や、朝食を全く取っていないのに成績がよい生徒がいれば、その背景を探る必要がある。」など。
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受験作文のエッセンス第二弾です。
因果関係と相関関係について理由を書く問題です。
全体の骨格を考えてから一気に書くことは特に受験作文の場合大切です。
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■東京都立西高校 2010年度 600字
生きるということは徐々に生まれることである。(サンテグジュペリ)
象徴的なテーマなので、生き方の主題で。
「生きる」「徐々に」などがキーワード。キーワードは、結びに生かすと効果的。しかし、生かすためには、文章力が必要になる。
第一段落は、状況実例と意見。「小学生のころ、アサガオの植え替えをしたときに、水やりを忘れて枯れさせてしまったことがある。しばらく、そのままにしていてある日、見てみると、根の近くに新しい緑の葉が出ていた。それを見たとき、生き物の生命力に驚くとともに、待つことの意味について学んだような気がした。機械的なものは、壊れたときに待っていても直ることはない。しかし、生命や人間については、待っていると徐々に育つということが多いように思う。私もまた、徐々に生きることの大切さを忘れないようにしたい。」など。
第二段落は、そのための方法1。「そのためには第一に、物事の可能性に目を向けることだ。昔、学校のテストでかなり悪い点数を取ったとき、先生が、『間違えるからそれだけ成長する』と教えてくれた。この言葉を聞いて、今できたかできなかったかということよりも、それをこれからどう生かすかを考えることが大切だと……。」など。
第三段落は、方法2。「第二に、社会の側にも、『徐々に生きる』ことを待つようなゆとりが必要になる。現代の社会はともすれば、すぐに結果を見出そうとする。例えば……。」など。
第四段落は、反対理解とまとめ。「確かに、世の中にはスピードと成果が要求されるものもある。例えば、織田信長が桶狭間に向かったときのように、その一番が勝敗を決する場面だ。しかし、人間の本当の成長は、徐々に生きることにある。私もこれから……。」など。
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シンプルかつわかりやすい解説です。
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教室は、もうすぐ七夕。
今年は、どんな夢を書くかなあ。
今日からにぎやかに子供たちの短冊が飾られる予定。
もうすぐ夏休み。
夏休みと言えば、読書感想文(笑)。
言葉の森では、今、受講案内を申し込まれた方に、小学生から高校生まで作文や感想文の書き方がわかる小冊子(全16ページ)をプレゼントしています。
https://www.mori7.com/at/mima.html
大人の方でもどうぞ。
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googleリーダーが7月から使えなくなるので、いろいろ試した結果、Yahoo!のRSSリーダーに引っ越ししました。
最初は使いにくいように思っていましたが、慣れてくるとそれなりに便利です。
googleはRSSリーダーの提供をやめて、googleナウという方向に力を入れるそうです。
つまり、その人の興味関心のありそうなコンテンツを先回りして提供してくれるサービスです。
自分で探しに行く手間が省ける反面、あまり主体性がないような気も……。
今の子供たちをめぐる教育環境の先回りとちょっと似ていると思いました。
これからの世の中は、選択式の時代ではなく記述式の時代です。
選択肢の多さに満足せずに、自分で作る力を大事にしていく必要があると思いました。
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今の子供たちは、考える勉強が苦手で、選択する勉強の方が好きなようです。
情報の選択肢が増えたので、その中のいくつかを選んでコピーして組み合わせれば、それでひとつの作品ができあがります。
そういう社会状況なので、自分で苦労して作り出すよりも、コピー&ペーストで仕上げてしまえばいいという感覚になりがちなのだと思います。
記述力をつけるためには、記述の力だけつけようとしても限界があります。
記述力の前提として、読解力と思考力がついている必要があるからです。
提供される情報の量に埋没しないためには、情報を読み取る力と考える力が育っていなければなりません。
そのための方法が、長文を読み、親子で対話し、感想文を書くという言葉の森の勉強が目指しているものなのです。
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漢字のテストというと、すぐに書き取りのテストを連想しがちです。それは、書き取りのテストの方が点数をつけやすいからです。
しかし、子供たちの学力を高めるために大事なのは、漢字の読みの方で、読みの重要さに比べれば、書きの重要性はずっと低いものなのです。
言葉の森に、今来ている高校生の生徒が、小学生のころ海外で暮らしていて、今も英語で勉強する高校に通っているために、漢字の書き取りがかなりできません。「こんな字も書けないのか」というものが書けません。
しかし、書いている文章の内容は、漢字を抜きにすれば高校生らしい立派なものです。だから、パソコンで自分の文章を打ち直せば、漢字は自動変換されるので、ちゃんとした文章になるのです。
社会に出て、手書きで何かを書く必要に迫られたときだけ、ちょっと困ることがあるかもしれませんが、仕事を進めていく上ではほとんど支障はありません。苦手なところで勝負せずに、自分の得意なところで勝負していけばいいからです。
一方、読みができなければ、少し難しい漢字の出てくる本は読もうという気がおきません。
6歳のころ四書五経の素読をさせられた湯川秀樹が、学校に上がっていちばん役に立ったのがどんな本でも読めたことだったそうです。
小学生の漢字は学年別に配当されているので、書き取りはその学年に沿ってやっていけばいいのですが、読みだけは学年を越えて先に進めていく必要があります。
それは、世の中にある漢字は、学年別に出てくるわけではないからです。
そこで考案したのが、言葉の森の漢字集。
今、これで漢字の読みの先取りを進めていこうと思っています。
道ばたに、カタバミの花が咲いていました。
カタバミはよく家紋として図案化されています。
可憐な花ですが、どこでもたくましく生き続けるという生命力が賞賛されたようです。
今日も穏やかな夏の空が広がっています。
それでは、6月のしめくくり。
今日もいい一日をお過ごしください。
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よく、「暗唱は、何の役に立つのか」と聞く人がいます。
暗唱した素材そのものでも、暗唱するための記憶力でもなく、「暗唱する」という方法を知っていることが、いろいろな勉強をする上で役に立つのです。
そして、もうひとつ、これはなぜそうなるのかわかりませんが、暗唱をしていると発想が豊かになるようなのです。
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道路の横の植え込みになぜか野生のナスの花。
安倍内閣の成長戦略のひとつとして、国家戦略特区構想が議論されています。その中に、公立学校の運営を民間に委託する特区構想が盛り込まれています。
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公立学校運営を民間委託 国家戦略特区で議論
2013.5.29 19:13
政府は29日、規制緩和などで企業を誘致する「国家戦略特区」に関する作業部会を開いた。公立学校や有料道路の運営を民間に委託する案や、外国人医師の国内での医療行為を解禁する案など特区の具体策を議論。
国家戦略特区は「世界で一番ビジネスをしやすい環境をつくる」のが目的。対象は大都市圏に加え、地域で農業関連の特区なども検討する。
具体策では他にも、羽田、成田両空港で離着陸の割り当てを柔軟化することや、先進医療の保険外併用診療の範囲拡大、都心の居住促進に向けたマンションなどの容積率見直しといった項目を重点的に検討している
産経ニュースより
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130529/plc13052919150017-n1.htm
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そこで、言葉の森が、こういう民間委託に関わる場合を考えてみました。
まず、第一は、小学校高学年から中学生、高校生における作文小論文指導です。
現在、学校における作文指導は、小学校低学年のころはかなりよく行われていますが、学年が上がるにつれてだんだん行われなくなっていきます。それは、生徒の作文を添削することで先生にかなり負担があるからです。
特に、中学や高校では国語の専科の先生が指導するようになるので、その先生が担当する生徒の作文を評価するというのは、時間的にほとんど不可能になってきます。
ところが、言葉の森は、森リンという自動採点ソフトを開発しています。また、項目指導という、生徒が自分で自分の作文を評価できるシステムを作っています。
現在、学校には1クラスの生徒が同時に使えるパソコンがあるはずですから、作文の授業のときは、パソコンルームでクラス全員が作文を書く形で進めることができます。
まず、課題の長文を事前に読み、その長文をもとに自宅で家族で話をしてくるのが予習です。この家族との対話というのも、教育的意義があります。
次に、授業の前に、書き方の方向を説明します。この説明は10分程度です。言葉の森の電話通信の時間と同じぐらいです。
そのあと、生徒が一斉に作文を書きます。書き終わった生徒から、その作文を森リンで採点します。機械の自動採点ですからその日のうちにすぐに語彙力などの点数が出ます。
そして、次の授業は、その森リン点の上位の生徒の作文をみんなに見せ、なぜその作文の点数が高かったのかを説明します。これなら、作文の勉強がゲームのような感覚で楽しくできます。
作文の学習で最も大事なことは、まず文章を書く機会を増やすことです。
しかし、150字や200字の短い記述問題をやっても、書く力はつきません。また、その文書の内容も、生活作文のようなものばかりではやはり力がつきません。
しっかりした論説文を読み、その文章に対する感想を600字から1200字の範囲で書くという学習を、毎週何回か続けていく必要があります。
こういう作文の学習を続けることによって、子供たちの思考力や創造性が、教える先生の負担を増やさない形で育っていくと思います。
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