一般の保護者の方から、勉強の仕方についていろいろ相談を受けます。そのときに、教育産業の影響で、お父さんお母さんが大きく勘違いしていると思うことがよくあります。
そういう例をいくつか挙げますので、参考にしてください。
■1、英語教育は早くからやらせすぎると弊害がある
小学校1~3年生の時期は、日本語脳が形成される重要な時期です。この時期に、英語の勉強をやりすぎると、あとで日本語の能力が正しくつかなくなることがあります。
特に問題なのは、CDなどの音声で英語漬けにすることです。これは、言語能力を損なうばかりでなく、人間のコミュニケーション能力も損なうようになります。
幼児期や低学年のころまでは、機会的な音声には長時間触れさせないことが大事です。テレビのつけっぱなしももちろん大きな害があります。ただし、学年が上がれば、機械的音声の弊害というのはなくなります。
英語の学習は、お遊び程度にやっていれば、プラスにもならないかわりに、大きなマイナスにもなりません。本気でやってしまうところに問題があります。
本格的に英語に取り組んでいいのは、小学4年生以降です。その場合は、できれば教科書的な知識として英語を学ぶのではなく、英語の音声を聴き、英語の本を読むというような英語に慣れるような勉強の仕方を優先させていく必要があります。
お父さんお母さんは、自分が英語で苦労したことがあると、子供には英語を早めに習わせて楽に勉強させたいと考えがちです。しかし、その際に、注意しておくことは、英語が得意で国語が普通の子よりも、英語が普通で国語が得意の子の方が、ずっと将来伸びる可能性が高いということです。英語というのは単なる伝達手段の言語ですが、国語は伝達手段である以上に思考力のもとになっている言語だからです。
■2、大手の通信教育の教材では力がつかない
大手の通信教育は、バランスよくいろいろな教科を総花的に提供するので、かえって肝心の力がつきません。小学生の勉強は、国語も算数も英語も理科も社会もどの教科も少しずつやるのではなく、国語を最重点に、算数は苦手にならない程度に、理科や社会はやる必要がない、などと重点を決めて取り組むことが大事です。
国語の勉強は、読書と対話と作文を中心にすることで力がつきますが、通信教育の多くは、国語の問題のプリントをやるような形で国語の勉強を進めています。国語の問題を解くような勉強では、国語の力はつきません。国語の勉強をしているような気がするだけです。
大手の通信教育のいちばんの弱点は、できなかった問題を繰り返して解くという面が弱いということです。小学校の低中学年では、もともと難しい問題がないので、1、2回間違いを指摘されればそれですぐにできるようになります。
しかし、中学生以上では、できなかった問題は繰り返し解く回数を増やさないと確実に自分のものにはなりません。そういう繰り返しの勉強は、通信教育では、なかなかできないのです。
■3、学習塾は難しいことをやりすぎ。そして、塾に頼ると親が勉強の内容をコントロールできなくなる
学習塾は、受験を目標に勉強を進める関係で、低中学年から難しいことをやりすぎる傾向があります。小学4年生までの勉強は、本質的に難しいものではないので、難しくひねっただけの問題をやらせていることが多いのです。
算数は、難しい問題を出しやすい教科です。しかし、必要以上に難しいことをやる必要はありません。難しい問題は受験期に取り組めばいいので、低中学年では基本的なことがしっかりマスターできていればいいのです。
プリント学習は、できなかった問題だけを繰り返すという形の学習がなかなかできません。プリントがばらばらになってしまうので管理しにくいからです。
プリント学習は、何度も繰り返せないという弱点をカバーするために、できる問題もできない問題もすべて含めて繰り返すという学習になりがちです。このため、無駄な勉強時間が長くなります。
本当は、できる問題は一度だけで済ませ、できない問題だけを何度も繰り返すという勉強法が必要なのです。
学習塾に勉強を任せていると、親は子供の勉強の中身がわからなくなるので、点数の上でだけしか子供の勉強を見られなくなります。親は、中学3年生までは、子供の勉強の内容を把握している必要があります。
■4、一般にどのお母さんも、勉強をやらせすぎ、子供に注意しすぎ
小学校低中学年の勉強は、勉強の習慣をつけるのが目的です。だから、できるだけ短時間で、しかし毎日同じように勉強していくことが大事です。短い時間でいいので、日曜日も祝日も同じことを同じように続けていくのがいいのです。この場合、大事なのは短い時間にとどめておくということです。
しかし、多くのお母さんは、勉強の時間を長くさせすぎる傾向があります。勉強が予定より早く終わると、新たな勉強を追加させることもあります。そうすると、子供はだらだら勉強する習慣を身につけます。集中力がない子のいちばんの原因は、お母さんが勉強を追加させることにあります。低中学年のときに集中力のない勉強の習慣がつくと、肝心の高学年になってからも密度の薄い勉強をするようになります。
また、親が勉強を教えることに熱心になると、叱る回数が増えるようになります。叱られながら勉強したことは頭に入りませんから、叱られる度合いに比例して頭が悪くなります。子供の頭をよくするためには、いつも笑いのある楽しい生活をすることです。
また、低中学年のときに叱られて勉強した子は、高学年になると親に教えてもらおうとしなくなります。本当は、高学年からが親の出番なのですが、低中学年のときに注意されすぎた子は、高学年になってから親のアドバイスを受けようとしなくなります。
■5、テレビとゲームは、時間を制限して。制限できないなら捨てるぐらいの覚悟で
テレビ、ゲーム、そして、最近はスマホ、インターネット、SNSなど、子供の感覚を引きつけるディアが豊富にあります。
これらを頭から禁止するのはよくありません。誘惑の大きいものほど、早めに触れさせて免疫をつけておく方がいいからです。
その免疫の付け方は、時間をコントロールするということですが、子供は自分の力では時間のコントロールはできません。親がこまめにアドバイスをしながら、時には厳しく叱りながら、時間を守って楽しく遊ぶという生活スタイルを作っていく必要があります。
子供の生活習慣を作る際に大事なことは、一度でも例外を認めないということです。何かの都合で例外を黙認してしまうと、習慣がつかないばかりか、ほかの生活上の約束も守れないようになります。
決めたことを守るというのは、子供の責任ではありません。それを守らせるために不断の働きかけをするという親の責任です。
しかし、どの親も、初めから子育てが上手にできるわけがありません。みんな、試行錯誤しながらやっています。
大事なことは、教育評論家の意見や教育産業のコマーシャルに惑わされず、自分の目で子供の様子をよく見ていくことだと思います。
2013年に、作文のコンクール等に入選した作品の一覧です。(題名と氏名は省略)
毎週の作文で傑作を書いている子は多いと思います。機会があれば、ご家庭でいろいろなコンクールに応募してください。
ただし、子供の書いた作文は、たとえ不十分なところがあってもそれがその子の今の実力なのだと考えて、大人が手を加えないようにお願いします。
小1 静岡県 朝日小学生新聞
2013年12月17日
高2 兵庫県 楽天×朝日新聞『読書推せん文コンクール2013』優秀賞
2013年12月25日
小4 栃木県 朝日小学生新聞
2013年12月17日
小6 岐阜県 岐阜新聞
2013年10月19日
小3 沖縄県 児童・生徒の平和メッセージ平成24年度作文部門最優秀賞
2013年11月25日
小3 愛知県 朝日小学生新聞佳作
2013年11月19日
小2 千葉県 市川市小中学校読書感想文コンクール優良
2013年11月14日
小5 大阪府 池田市少年の主張優秀賞
2013年11月12日
小6 神奈川県 朝日小学生新聞特選
2013年11月5日
小4 千葉県 サピア読書感想文コンクールサピア賞
2013年10月28日
小3 青森県 第63回全国小・中学校作文コンクール優秀賞
2013年10月28日
小5 神奈川県 ボーイスカウト少年少女文化作品展理事長賞
2013年10月28日
小5 神奈川県 第一生命夏休み子供ミニ作文コンクール金賞
2013年10月28日
小6 神奈川県 朝日小学生新聞
2013年10月22日
小3 青森県 第63回全国小・中学校作文コンクール最優秀賞
2013年10月23日
小6 大阪府 毎日新聞社主催作文コンクール優秀作品
2013年4月20日
中2 兵庫県 読売新聞の「KODOMO気流」
2013年6月20日
小4 栃木県 朝日小学生新聞
2013年9月17日
小3 兵庫県 神戸児童文集『はぐるま』入選
2013年9月11日
小3 愛知県 朝日小学生新聞特選
2013年9月3日
小4 宮崎県 「明治大学で宮崎の歴史を学ぼう」作文コンテスト佳作
2013年9月4日
小5 神奈川県 朝日小学生新聞特選
2013年9月3日
小3 愛知県 朝日小学生新聞
2013年8月20日
小5 神奈川県 朝日小学生新聞入選
2013年8月6日
小1 千葉県 朝日小学生新聞特選
2013年8月6日
小4 栃木県 朝日小学生新聞特選
2013年8月6日
小1 千葉県 朝日小学生新聞入選
2013年7月23日
小2 兵庫県 朝日小学生新聞入選
2013年7月23日
小4 神奈川県 母の日に贈る第2回手紙コンクール優秀賞
2013年7月12日
小4 栃木県 朝日小学生新聞
2013年7月9日
小3 愛知県 朝日小学生新聞特選
2013年6月11日
小3 愛知県 朝日小学生新聞入選
2013年5月28日
小5 愛知県 朝日小学生新聞
2013年5月14日
小5 神奈川県 朝日小学生新聞
2013年5月14日
小4 東京都 夢見る子ども基金主催第19回「わたしのかなえたい夢」作文の部
2013年5月1日
小4 東京都 文集「せたがやの子」佳作
2013年5月1日
中3 神奈川県 第六十二回横浜市作品コンクール生活・随筆の部優秀賞
2013年4月18日
小6 静岡県 第61回熱海市民文芸コンクール小学生の部俳句佳作
2013年4月17日
小3 東京都 朝日小学生新聞特選
2013年4月9日
小2 東京都 朝日小学生新聞入選
2013年3月27日
中3 東京都 「税についての作文」東京納税貯蓄組合総連合会会長賞
2013年3月28日
小4 愛知県 朝日小学生新聞特選
2013年3月13日
小6 山梨県 朝日小学生新聞賞
2013年3月7日
小6 山梨県 第3回マックス心のホッチキス・ストーリーマックス賞
2013年3月5日
小4 愛知県 朝日小学生新聞
2013年2月27日
小5 神奈川県 文集「かわさき」
2013年2月14日
小6 神奈川県 朝日小学生新聞佳作
2013年1月30日
facebook記事より。
====
子供の作文について、「どう注意したら、もっとよくなるでしょうか」と聞くお母さんがいます。
すると、先生の中にも、「もっとこういうところを注意したらいいのではないですか」と答える人がいます。
これは、ある点では普通の会話で、何も問題はないのですが、実は、大きく見ると、つい注意したくなるお母さんの癖というものがあります。
子供の作文でも、音読でも、読書の仕方でも、大人が見れば注意したくなることはたくさんあります。
しかし、そこで注意したくなる癖をそのまま出してしまうと、子供は次第に作文を見せなくなったり、音読をしなくなったり、読書をしなくなったりします。
特に、子供が小学2年生のころまでは、親の言うことを素直に聞くので、親もあまり考えずに注意してしまうことがあります。
子供が素直なうちこそ、お母さんは、注意はせずにできるだけいいところを見てあげる必要があります。
しかし、躾については、逆に例外なく注意することが大切です。
例えば、玄関の靴をそろえるなどということは、毎日のように言わなければ習慣になりません。
一度でも例外を見逃がすと、習慣はすぐに崩れます。
つまり、勉強などの能力に関することは注意せずに褒めて励まし、躾などの態度に関することは例外なく注意するという使い分けが必要なのです。
▽関連記事
「子供の勉強をコントロールしすぎて親子喧嘩に」
https://www.mori7.com/index.php?e=1566
====