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寺子屋オンエアをなぜ始めたか as/2089.html
森川林 2014/02/19 14:54 



 小学校低学年までの子供たちは、お父さんやお母さんを基準にして暮らしています。だから、この時期は、親の言うことをよく聞きます。

 しかし、小学3年生から、次第に親よりも友達を基準にすることが多くなり、その状態が中学2年生くらいまで続きます。

 中学3年生になると、自我が成長してくるので、友達という他人よりも自分自身の内面が基準になってきます。

 したがって、小中学生の勉強を軌道に載せるためには、友達関係を生かしていく必要があります。

 江戸時代の寺子屋で多くの子供たちが早朝から昼過ぎまで素読やなぞり書きのような単調な学習を続けられたのは、一緒に机を並べる多数の友達がいたからです。つまり、一緒に同じことをする仲間がいると、退屈なことでも続けられるのです。

 「見える学力見えない学力」を書いた岸本裕史さんが始めた家庭塾でも、運営がうまく行くコツは、やはり友達が数人集まるということでした。ただし、その代わりに、私語は厳禁という明確なルールがありました。子供たちの集団学習に、先生や親という大人が必要なのは、子供たちだけでは必ず最もお喋りな子に全体が引きずられるからです。

 教育法制化運動の向山洋一さんの著書に、受験時代に経験した集団学習の効用の例が載っていました。向山さんは、受験生時代、友達の家に行って一緒に勉強をしたそうですが、ただ一緒にいるというだけで、互いに別のことを黙々とやっていたそうです。そして、勉強が終わって帰るときに、二人で囲碁や将棋をして短いおしゃべりを楽しんだということです。

 このような例を見ると、勉強でも仕事でも、長時間続ける意欲は、同じことをしている誰かが一緒にいるというところから来ていることがわかります。ところが、友達と一緒に勉強するという環境が、個人ではなかなか用意できません。岸本裕史さんが提唱したように、近所の家族どうしの持ち回りで家庭塾を開くというのが理想ですが、狭い住宅環境という問題や、少子化で近所に友達が少ないという問題で、なかなか簡単に集まって勉強するという仕組みは作れません。

 そこで、ほとんどの家庭は、近くの学習塾に子供を通わせるようになります。家で子供がひとりで勉強するだけでは、すぐに飽きてくるからです。しかし、学習塾の問題は、勉強が他人依存になりがちだというところにあります。

 自分のペースでできる自習を家庭で行えるようにし、しかも家庭をネットでつなぎ、同年齢の子供たちが一緒に勉強している様子がわかるようにして、先生も(時には親も)そのオンエアの勉強に参加できるようにするというのが寺子屋オンエアの構想です。

 現在、寺子屋オンエアに参加されるモニターを募集しています。詳細をお知りになりたい方は言葉の森までお問い合せください。

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盛りだくさんの言葉の森の企画(その3)モノクロの旧社会からカラフルな新社会へ as/2088.html
森川林 2014/02/18 07:32 



 第七は、森林プロジェクトです。。
 先に書いた、第一から第六までの企画を、森林プロジェクトの中でも実現させていきたいと思っています。

 その森林プロジェクトが、これから広がっていく背景とビジョンを説明します。
 その説明とは、これからの世の中の流れがどう変わるかということです。
 自分たちの生活がどう変わるかということ以上に大事なことは、子供たちの未来の生活がどう変わるかということです。そして、未来が大きく変わるとしたら、そのための準備を今からしていく必要があります。

 これまでの社会を仮に旧社会、これからの社会を仮に新社会と呼ぶとすると、新社会に向けての準備は、あるところまでは旧社会における準備と重なっています。
 例えば、基本的な学力をつけるというのは、旧社会でも新社会でも差はありません。しかし、その先が違ってきます。

 旧社会では、子供たちの教育は学力の向上から始まり、やがて受験勉強へと進みます。その受験勉強の先にあるものが、安定した高収入の限られた恵まれた職業となっているところが、これから大きく変わります。
 旧社会での恵まれた職業というものは、新社会では必ずしも恵まれた職業とはなりません。旧社会とは全く違う新しい職業が、新社会での恵まれた職業になります。
 現代の子育ては、その新社会の方向も見ながら進めていく必要があります。

 では、新社会はどのような特徴を持っているのでしょうか。
 最も大きな影響力を持っているものは、ネットによる都市化の進行です。その都市化がネットの中で世界的な規模で広がっていきます。

 ネットによる都市化は、リアルな都市化よりも更に稠密な都市化になります。
 都市の特徴は、高い人口密度を背景に、多数のニッチな産業が成り立つところにあります。例えば、田舎には小さな本屋しかありません。それも、よく売れそうな雑誌だけが主に並んでいるような本屋です。だから、これまでは若者は田舎に住みたくなかったのです。
 これに対して、都会では大きな本屋があるだけでなく、専門書に特化した本屋も成り立ちます。人口密度が高いので、個人の多様な要求に応えることができるのです。
 しかし、ネットの本屋は、都会の本屋よりも更に専門化細分化しても成り立ちます。それは、ネットがきわめて人口密度の高い空間だからです。アクセスの回線さえ太ければ数千万人が一か所の店に入ることもできます。

 だから、ネットでは、さまざまなカラーの専門店が成り立ちます。このカラー化の根本には、売り手の感性があり、その感性のもとには売り手のパーソナリティ(人格)があります。
 ある一つのカラーにこだわる売り手が、その同じカラーにこだわる買い手に商品を提供するという形で商売が成り立ちます。人口密度が高くしかもまだ資本主義的な大企業が登場していないころの江戸時代の社会と同じような環境が、ネットの中で広がりつつあります。
 この無数のカラフルな感性の登場が、新社会の特徴です。それは、その外見だけの変化ではなく、いずれ経済の根本を大きく変える力を持っています。

(つづく)

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