予想外のランニング(小5の部より)
らめき
「どこまで行くの?」
「河口まで。」
「えーっ。」
ぼくの学校では毎年二月、近くの川沿いを走るマラソン大会がある。走ることは好きだったが、マラソンのような長距離を走ることは、あまり好きではなかった。そんなぼくをきたえようと思ったのか、お父さんが一緒にランニングをしようと誘ってきた。とても寒い日だったのであまり気分は乗らなかったが、学校のマラソン大会が近いということもあり、練習のつもりでランニングをしようと思った。お父さんはマラソン大会で走るコースを下見しようと言っていた。お父さんは走ることが大好きでいつも休みの日には必ずジムに行って走っている。耳がちぎれそうなくらい寒い日だったが、しばらく走ると体がポカポカして、だんだん暑く感じるようになった。マラソン大会で走る予定のコースを過ぎてもまだ、お父さんは走り続けていた。ぼくはいやな予感がした。
予感は的中した。途中、休けいを取りながら走り続けるお父さんについて行った。ここではぐれたら、一人で家に帰れないと思い必死だった。ついに、マラソン大会の予定コースをはるかに過ぎ、河口に到着した。ぼくはヘトヘトだったが、さらにお父さんは埋め立て地の方へ続く道を進んでいった。ぼくはその時、足が棒のようなっていた。足の感覚がなくなり、もうだめだと思った時「足湯」という文字が目に入った。さすがにお父さんも疲れたのか足湯で休けいすることになった。少し熱めのお湯に足を入れるとジワーっと温かさが伝わってきて、いやされてきた。ぼくにとってその時の足湯は、まるで砂漠の中のオアシスのようだった。結局、三十分のつもりで出かけたランニングが三時間の長距離マラソンになってしまった。
お母さんが通っていた小学校でも、毎年冬になるとマラソン大会が開かれていたそうだ。走ることが苦手なお母さんは毎年この季節になると、ゆううつな気分になっていたそうだ。数回転校を経験したお母さんだが、どの学校でもマラソン大会はあったらしい。学校の運動場をただひたすら何周も走り続ける大会。大きなグラウンドを貸し切ってする大会。学校の周囲を走る大会。どれも辛い思い出だそうだが、特に学校の周囲を走る大会ではその学校が山の上にあったため、かなりの坂を上ったり下ったりしたらしい。ゴール直前には「心ぞう破りの坂」と呼ばれる場所もあったそうだ。マラソン大会は嫌だったが、ゴールした後は清々しい気持ちになり達成感でいっぱいになったと言っていた。
今年もマラソン大会の季節がやってきた。お父さんと走ったおかげで学校のマラソン大会のコースが短く感じられる。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」というが、今回に限っては良い結果につながった。今年は、十位以内を目指すため、
「河口まで走ろう。」
今度はぼくからお父さんを誘ってみようと思う。
理想と現実(中2の部より)
れたす
私の通う学校では、「LIFE」という総合的な学習の時間がある。その授業では主に自分の夢について考え、三年間かけて自分の「夢プラン」というものを完成させる。なお、それぞれの夢の膨らませ方は学年によって異なる。たとえば、一年生だったら保護者に話を聞く。また二年生は、職場体験をして、三年生は修学旅行中に自主研究をする。こうして生徒たちは、そのとき出会った人の生き方について学んでいくのである。
理想を持つことは大切だ。なぜなら、理想を持つことでより生き生きとできるからだ。私が小学校中学年のころ、シール交換と同じようにプロフィールシートを友達に配って書いてもらうというのが流行った。私も、かわいいプロフィール帳を親にねだって買ってもらい、とにかく色んな人にそれを配ったのを今でも覚えている。私は先日、その小学生の頃の思い出が詰まったプロフィール帳を久しぶりに開いてみた。小学生らしい文字で書かれたそれは、とてもロマンチックな内容だった。たとえば、「あなたの夢は何ですか?」という質問には、全員が何かしら回答していて、読んでみるとケーキ屋さんやキャビンアテンダントなどの夢あふれる職業が沢山あった。私はふと、今、これを周りの子に渡したら一体この質問の答えを持っている人は何人いるのだろうかと考えてみた。もしかしたら、ほとんどの人は小学生の頃に書いたような夢の職業から、夢と言えるものなんてないと言って、無回答へ変わってしまうのかもしれない。このように、夢を大きく持ち、またそれを素直に語ることが出来る小学生の方が、毎日を塾や部活などの拘束された時間の中で忙しく生きる私たち中学生よりも、より人間らしく生きることができるだろう。
しかし、現実を見ることも大切だ。なぜなら、理想ばかり追っていると最後に痛い目に合うのは自分だからだ。私は、中学一年生の時から志望校判定の出来る模試を塾で受けている。一年生のときは、まだ中学校に入ったばかりだったので、名の知れていて漠然と行きたいと思う高校を志望校に設定すれば良かった。しかし、二年生になってからは模試の回数も増え、きちんと考えて志望校を設定しなければならなくなった。なぜなら、どれだけその高校に行きたいと思っていても、そこを合格するだけの学力がなければ落ちてしまうからだ。また公立高校は、私立高校と違って一校しか受けられないのでなおさらである。つまり、これまでは見なくてもよかった「現実」だが、合格を勝ち取るためには自ら凝視しなければならないのである。こうして二年生も終わろうとしている今、まだまだと思っていた高校受験ももう目前に迫っている。そしてこれから、この高く大きな壁を越えようとする過程でますます様々な現実に向き合わなければならなくなるだろう。
確かに、理想を持つことも現実を見ることも大切だ。しかし、一番大切なのは
「夢があるから行動するのではなく、行動するから夢が生まれる。」
という名言もあるように自分と向き合う時間を持つことである。私は、これから始まる忙しい日々にうもれてしまうことなくうまく自分を保っていきたいと思う。
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子供が家庭で勉強する場合、小学校低学年までは親の言うとおりに子供が勉強をするのでうまくいきます。しかし、子供が自己主張できる年齡になると、親子だけの勉強には単調さという限界が出てきます。
そこで、ネットを利用して、友達の勉強している様子、先生の見ている様子が共有できる仕組みを考えました。これが、寺子屋オンエアです。
受験勉強に対応するための一時期だけは、志望校の問題の傾向に対するテクニックが必要ですが、その時期以外の小中学生の勉強のほとんどは家庭の中で十分にできるものです。(受験対策も、もちろん家庭でもできますが)
しかし、小中学生の時期は、まだ勉強に対する自覚がありませんから、単調な勉強にはすぐ飽きてきます。そこで、その単調な勉強を、友達や先生と共有することで意欲的に続けられるようにしました。
まだ試運転中なのは、ソフトとハードの使い方でわかりにくい点があるからです。しかし、いずれ誰でもできる簡単な仕組みが作れるようになると思います。
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算数・数学の勉強は、1冊の問題集を百パーセントできるようになるまでやることが基本です。
学習塾の教材や通信教育の教材がよくないのは、ファイルして繰り返すことがしにくいからです。教材がばらばらなので、既にできている問題もまたやるようになり、できなかった問題も、反復する回数が少ないので、いつまでもできないままになります。こういう能率の悪い教材で勉強するために、勉強に長い時間をかけるようになるのです。
毎日の勉強は、時間ではなくページ数で決めておく必要があります。低学年の場合は、勉強する習慣をつけることが第一ですから、分量はできるだけ少なくしておくことです。そして、予定していた時間よりかなり早めに終わった場合でも、勉強の追加はさせず、最初に決めた分量ができれば終了としておきます。
算数・数学の問題集を解くときは、自分で答え合わせをしながらやっていきます。できなかった問題は、答えを見て、子供が自分で理解するようにします。
勉強が終わったら、子供から親に、どこができてどこができなかったか、どこがわかりにくかったかなどを説明させます。
親が教えるのではなく、子供が自分で理解して、子供が親に説明するというのが、よい勉強のスタイルです。
親が教えると、子供は自分で考えようとしなくなります。そのため、何度も教えるようになり、やがて親が子を叱りながら教えるようになります。これが最も望ましくない勉強スタイルです。
子供が親に教えるようにすると、子供は自分なりに考えて説明しようとします。その説明がどんなに下手でも、自分で説明することによって理解が深まっていきます。親は、ただそれを感心しながら聞いていればいいのです。これなら、親子喧嘩になることもなく、家庭で能率のよい勉強ができます。
なお、算数・数学の通信教材では、「でき太くんの算数クラブ」がおすすめです。
教育方針が自学自習を基本としているので、子供が自分の力で勉強を進めていく工夫がされているからです。
http://www.dekita.co.jp/
どのような勉強でも、その根本に哲学があることが大事なのだと思います。
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学校の勉強は、小学1年生から始まりますが、入学する時点で既に大きな学力差があります。それは、勉強の差ではなく、家庭における日本語環境の差です。
ですから、小学1年生で既にある差は、学校での勉強をいくらがんばっても、ますます広がっていく傾向にあります。例えば、家で毎日本を読み親子で楽しく対話をしている環境の子と、家ではテレビとゲームばかりで親子の対話がほとんどない環境の子とでは当然大きな差がつきます。この差は、学校や塾の勉強をいくらしても埋められないものです。
そこで幼児期から、プリント学習ではない形で学力の土台を作るために、親子で作文を書くという幼児コースを始めました。
子供は、親のしていることを真似したがります。親が楽しく作文を書いたり読書をしたりしていれば、子供もそれを見て、必ず自分もそういうことができるようになりたいと思います。
そして、親の書いた作文を見れば、そこに使われている漢字の読み方を自然に覚え(そのためには、ルビをふって漢字を書いておく必要がありますが)、原稿用紙の使い方も自然に覚えます。
学力というのは、算数の問題が解けたり、漢字が書けたり、英語が読めたりすることではありません。そういう能力は、勉強力で、その勉強をすれば誰でもできるようになります。
学力とは、日本語で考える力です。それは、勉強として身に付けるものではなく、生活の中で文化として身につけていくものです。その文化を身につけるのに最適な時期が幼児期です。
これが幼児作文コースの取り組みの意義です。将来は、親子による暗唱などの企画も取り入れていきたいと思っています。
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保護者の方から、次のような相談がありました。
「作文は、おかげさまですっかり上手になったので、今度は別の習い事をして、それが一段落したらまた作文に戻りたいと思います」
あれもこれも、バランスよくやるというのはよいことですが、そのバランスの前提として、幹となるものがなければなりません。
音楽も、スポーツも、国語も、算数も、英語も、全部人並み以上にできればそれに越したことはありませんが、平凡なことわざにもあるように、「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。では、どの一兎(いっと)を中心にするかというときに、基準になるのは保護者の哲学です。
人間は何のために生きているのかといえば、人に好かれていい子になって褒められて幸せな生活を送るためではありません。自分なりに世の中に新しいものを創造し、それによって社会に貢献し、そのために自分自身を向上させ、それらが結果的に自分の幸福に結びつくというのが目指すべき人生だと思います。
どの分野でも、何かを創造するときに、幹となるものは学問です。学問というのは、受験のための勉強という狭いものではありません。そして、学問のもとになるものは日本語です。
だから、子供の教育で最も大事にすることは、家庭における言葉の文化を豊かに育てていくことです。子供の教育では、日本語(国語)の力を育てることが幹です。そのために、家庭での音読や対話のきっかけを作る言葉の森の勉強は優先して続けていくのがいいのです。
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自習表の書き方のより詳しい説明は、
https://www.mori7.com/as/1733.htmlをごらんください。
週グラフの作り方
まず、自分の毎日の自習の項目を決めます。例えば、漢字の読み(よ)、漢字の書き(か)、音読(お)、暗唱(あ)、算数数学問題(さ)、問題集読書(も)、英語暗唱(え)、読書(ど)などです。勉強だけでなく、お手伝いなどを入れてもかまいません。
自週の記録の右下の週グラフに1から7までの番号を縦横にランダムにふります。
1日目の自習がひとつでもできたら、週グラフの1の番号のところを赤で囲み、交差したマスをその赤色で塗ります。
同様に、2日目は青、3日めは赤と交互に色を塗って行きます。
赤と青が、縦と横に隣り合わないように、ぶつかったときは斜めに交わして色を塗ります。
色の塗り方のパターンには、次のようなものがあります。
色を塗っていくと、模様が表れてきます。(これは5日目)
横グラフの作り方
自習の記録の右に、横グラフを作ります。
○のところは左から赤で、×のところは右から青で塗ります。
赤と青が、縦と横に隣り合わないように塗っていきます。(これは5日目)
縦グラフの作り方
自習の記録の下に、縦グラフを作ります。
○の数だけ下から赤で塗り、×の数だけ上から青で塗ります。
赤と青が、縦と横に隣り合わないように塗っていきます。(これは5日目)
自習表の完成
7日間で、「週グラフ」「横グラフ」「縦グラフ」が完成します。(図では、自習の記録の○と×は省略しています。)
毎日続けられるように、少しがんばればできることを自習の項目の中に入れておきましょう。
自習表の代わりに、市販の10mm方眼罫のノートを使うこともできます。
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小学校1、2年生のころは、誰でもお父さんやお母さんの言うことよく聞きます。だから、この時期は、勉強の習慣を最もつけやすい時期です。小学校3年生になると、自己主張ができるようになるので、「なんで」「どうして」と言うことが多くなり、習慣を作ることが難しくなってきます。
1、2年生の勉強で大事なことは、四つあります。
第一は、決まったことをやり続けるということです。子供が、時間になったら、「あれをして、これをして、これをやったらおしまい」というように、条件反射的に自習ができるようになるぐらい決まりきったやり方を作っておくことです。
第二に、勉強は自分でやることが基本です。親が教材を用意したり、採点したり、間違えたところを教えたりしていると、親に依存した勉強になります。時間になったら、子供が教材を用意して、自分で答え合わせをして、決めた分量が終われば自分で終えるというようにしておくことが大事です。
第三に、繰り返しの勉強に慣れることです。現在は、カラフルな外見だけの面白そうな教材が多いので、子供たちは新しい教材を次々にやるような勉強に慣れています。しかし、面白そうな教材を次々にやっても力はつきません。実力をつけるための教材は、平凡なことを何度も繰り返すようにできている教材です。そういう繰り返しの勉強が、勉強の本来の姿だと自然に納得できるのが小学校低学年です。
第四に、勉強を長時間やらせないことです。低学年の勉強の目的は、習慣を作ることですから、勉強の成果を上げるところまで目指さなくてもよいのです。この時期の勉強は、時間をかければ誰でも成績が上がり、先の進度まで進むことができます。しかし、そういうふうにして勉強の量を多くしたり、難しい問題を解かせたりした子は、勉強というものに対する否定的な印象を持つようになります。勉強の中身が重要になるのは、小学5年生からです。それまでは、学力の土台を作る時期で、特に低学年は、学力の土台を作るための習慣を作る時期なのだと考えておくことです。
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