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公立中高一貫校受験向けの勉強法(その2) as/2141.html
森川林 2014/05/15 04:51 


●じっくり考えて1問解くよりも、答えを見ながら10問読む

 勉強の能率で、最も差のつくのが、解く勉強法と読む勉強法の違いです。ほとんどの人は、問題を見ると、自分で解こうとします。自分で解くまでは答えを見ないという方法で、1問を解くのに時間をかける人が多いのです。

 そういう解き方ではなく、答えを見ながら10問読む方がずっと能率のよい勉強になります。

 大学入試の問題集では、問題のすぐ近くに答えの載っているものがかなりあります。それは、高校生になると自然にそういう能率のよい読む勉強法をする人が増えるからです。

 ところが、小中学生の問題集は、答えが別冊になっているものがほとんどです。これは、小中学生は勉強の自覚がまだないので、答えを写して形だけやったように見せる子がいるためです。

 だから、小中学生のときに、親から勉強の意義を理解させておく必要があります。つまり、勉強は、人に見せるためのものではなく、自分を向上させるためのものだということを、折にふれて伝えていくのです。

 そういう教え方をしていれば、塾や学校のテストで悪い点数を取ったときでも、驚くことはなく、むしろ弱点がわかってよかったと喜べるようになります。

●最後は書く力

 書く力は、言葉の森で毎週作文を書いていれば、自然に身につきます。

 書く勉強は、負担が大きいので、ひとりで続けるのは難しい面があります。もし、家庭で書く勉強をするとしたら(これは、作文のような長い文章ではなく、50字から200字の短い記述式の問題を解くときに、言葉の森で教えている方法ですが)、問題文を読んでそれに対して、150字なら150字の字数を決めて感想を書く練習をしていくことです。

 このときに大事なのは、AではなくBであるというように、対比のはっきりさせた文章を書いていくことです。

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公立中高一貫校受験向けの勉強法(その1) as/2140.html
森川林 2014/05/14 04:46 


●説明文を読み取る力をつける

 公立中高一貫校の問題は、ほとんどが文章と図表で書かれています。だから、これらの説明的な文章を読む力が必要になってきます。

 ところが、子供たちがしている読書のほとんどは、物語文です。つまり、ストーリーに沿っていれば理解できる易しい文章を読んでいることが多いのです。

 物語文の中には、会話だけでストーリーが成り立つようなものもあります。読む力をつけるために大事なことは、ストーリーの面白さだけでなく、地の文の説明がしっかり書かれている本を選ぶことです。

 また、物語文だけでなく説明文を読む機会を増やしていくことも大切です。昔、シミュレーションゲームの攻略本などは、小学生の読む説明文の導入的な文章として効果がありました。今はそういうものはあまりありません。

 現代では、それぞれの子が、その子の趣味に合わせた説明文の本を、図書館を利用して探していく必要があります。例えば、男の子なら、電車の本や恐竜の本、女の子なら、料理の本や、ファッションの本などになるでしょう。

 更に、ストーリのある説明的な文章として、伝記の本を読むのもおすすめできます。

 しかし、最も効率的なのは、理科や社会の参考書、そして、国語の入試問題集、更には公立中高一貫校の入試問題集を読書がわりに読んでいくことです。

 これらの説明文をばりばり読みこなしていく力が、公立中高一貫校受験向けの基礎学力です。

●教材の選び方

 公立中高一貫校受験の勉強として、最もよい教材をひとつ挙げるとすれば、それは全国の公立中高一貫校の過去問題集です。どんな勉強も、まず原典にあたることが大切です。

 多くの人は、公立中高一貫校受験向けの問題集や参考書や学習塾に頼ろうとしますが、そのようにワンクッション置いたものではなく、直接過去問にあたることが大切です。

 この考え方は、社会に出てからも役に立ちます。例えば、会社の仕事でも、何か問題があったときには、まず現場に行ってみることです。現場に行かずに、他人からの説明を聞いていたのでは、わからないことが必ずあるからです。

 最もよい教材が、1年前の過去問だとすると、次によい教材は2年前の過去問です。要するに、過去問に直接あたることが、教材選びの原則です。

●計算力をつける

 公立中高一貫校の受験対策で、意外と見落とされがちなのが計算力です。もちろん、計算力は、数学の力というよりも、むしろ実務の力です。計算力は、生活やビジネスでは役に立ちますが、学問に役立つというわけではありません。有名な数学者でも、計算はあまり得意でないという人も多いのです。

 しかし、現実の社会生活を送る上では、正しく速い計算力は、いろいろな場面で役に立ちます。だから、江戸時代でも、読み書きと算盤(そろばん)の教育が行われていたのです。

 受験でも、この計算力はかなり重要です。特に、公立中高一貫校の算数の問題では、考える問題はパズルや図形のものに限られてくるので、理科や社会との融合問題の中で、比の計算や割合の計算が出されることが多いのです。

 このとき、割り算をするスピードと正確さにかなりの差が出てきます。誰でもできる計算なのですが、それを早く済ませられる子は、ほかの問題に時間をかけて取り組むことができます。

 割り算をのスピードを上げるには、練習によって慣れなければなりません。江戸時代には、九九のように割り算を暗唱する勉強法がありました。言葉の森でも、いつか繰り下がりのある割り算の暗唱をやっていきたいと思っています。

(つづく)

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