ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2165番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/5
暗唱は完璧にできるところに意味がある as/2165.html
森川林 2014/06/28 12:32 


 暗唱は、「てにをは」も含めて1文字も間違えずに、途中でつっかえたり考えたりせずに、最初から最後まで一気に滑らかにできるのが本来の形です。
 貝原益軒は、百字の文章(四書五経など)を百回、空で読み空で書くという暗唱法を提唱しました。時間にすれば30分ぐらいの暗唱練習です。これだけやれば、誰でも1文字も間違えずに滑らかに暗唱できるようになります。これが、昔の寺子屋の勉強の基本でした。
 しかし、現代の子供が、百字を百回読むというような暗唱法で練習できるかといえば、そういうことはまずできません。そこで、言葉の森では、1日の回数をもっと少なくして、最終的にひとつの文章(900字)を百回読むような暗唱法にしたのです。このやり方を覚えていれば、将来、自分が本当に暗唱したい文章があったときも同じやり方ですぐに暗唱できるようになります。言葉の森の暗唱は、暗唱法を身につけるための暗唱でもあるのです。

 暗唱は、文章を覚えることが目的ではありません。何度も繰り返し音読することが目的で、その結果としてその文章を覚えることになるということです。だから、暗唱チェックの仕方は、文章を覚えているかどうかにしていますが、それは覚えたかどうかを見るためではなく、暗唱の練習を毎日していたかどうかを見るためなのです。

 なぜ、文章を覚えただけでは不十分で、覚えたあとも繰り返し暗唱し完璧に言えるようにするかというと、そのようにして暗唱した言葉は、日常生活のほかの場面でふと思い出すようになることがあるからです。
 覚えたものをただ再現できるというだけであれば、それは「覚えた」という衣服を着たようなものですから、時間がたてば衣服を脱ぐように忘れてしまいます。ところが、覚えた以上に更に繰り返した暗唱は、日常生活の場面でふと口をついて出ることがあります。このときに、暗唱した文章は、脱ぎ着できる衣服ではなく、その人の身体の一部のようになっています。

 これは、読書でも同じです。いろいろな本をたくさん読むのはよいことですが、それはいろいろな衣服を次々に着てみたというような読み方です。たくさん読んだわりに、自分の身についているものは少ないのです。
 それとは反対に、自分の好きな数冊の本を何度も読むような読み方をすると、その本は衣服ではなく身体の一部のようになります。だから、子供時代に、同じ本を何度も読んだという経験のある子は、読む力や書く力がつくのです。

 繰り返した言葉は、ただ理解するための言葉ではなく、表現するための言葉になります。その表現できる言葉が、その人の思考力のもとになる言葉になるのです。


この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 

記事 2164番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/5
言葉の向こうにある現実を見る as/2164.html
森川林 2014/06/27 20:38 


 保護者の方から、次のような相談がありました。「計算はできるが、算数の文章題ができない」
 これだけ聞くと、国語の読解力がないことが原因のように考えられがちですが、事はそう簡単ではありません。

 小学校低学年の場合は、文章題が解けないのは読解力がないことが原因の場合もあります。しかし、その読解力も、ある言葉の意味がわからないというようなことであるかもしれません。
 例えば、「2列目には3人が……」というような文章があった場合、「列」という概念がわからないためにできないということもあるのです。

 小学校高学年の場合は、文章題が解けないのは、読解力がないからではなく、問題となっているその算数の考え方自体が難しいからということもあります。
 例えば、「ある長さのリボンから20センチ切り取ったとき、残りのリボンの長さが最初の長さの70パーセントだったとすると、最初のリボンの長さは何センチあったのでしょうか」というような問題は、国語の読解力の問題というよりも、算数的な考え方を図解する練習ができているかどうかという問題になるのです。

 こういうことは、その子の解いた実際の問題を、親や先生が同じようにある程度解いてみないとわかりません。
 文章題が苦手というときは、どの文章題が苦手なのかということを見る必要があるのです。

 もうひとつ別の話です。
 中学入試の作文の試験で、「時事問題や社説のようなところから問題が出される」という情報が、学校又は塾の説明会であったようです。
 しかし、その話を聞いたお母さんが、実際にいろいろな社説を見てみると、中学入試に出るような内容の社説というのは、あまりなかったそうです。

 同じように、時事的な問題が出るからといって、時事的なニュースをまとめた参考書などを勉強しても、まずほとんど役に立ちません。
 時事的な問題がなぜ出るかというと、時事問題の知識を問うためではなく、その時事問題に出てくるような現代の社会の背後にある文化を問う問題を出すためです。
 だから、いちばんの対策は、社説を読んだり、時事問題の参考書を読んだりすることではなく、実際の入試問題集の問題文を読むことです。

 勉強で大事なのは、試験の点数ではなく、その点数の向こう側にある問題の内容です。
 だから、子供の勉強を見る際に大事なことは、その子のできなかったところを表面的に見るだけでなく、親も実際に解いてみることなのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 算数・数学(22) 
コメント461~470件
……前のコメント
受験作文のコツ nane
 書き出しの意見は、単純に、最初に思いついた意見にすることが 9/10
記事 4128番
受験作文のコツ 森川林
 受験作文にはコツがあります。  それは、限られた時間で、 9/10
記事 4128番
ひらがなのまだ nane
 正しく書けていない作文を直して上達するのは、書く力のかなり 9/9
記事 4127番
ひらがなのまだ 森川林
 書けない子に書かせることはできません。  無理に書かせた 9/9
記事 4127番
女の子も楽しめ 森川林
 あおさん、ありがとうございます。  作文ゲームは、小3ぐ 9/4
記事 4122番
【募集】(9/ 森川林
 プログラミングコースの講師養成研修を行います。  参加費 9/4
記事 4125番
【連絡】(9/ nane
 オンラインのプログラミングコースは、Zoomを使った、少人 9/3
記事 4124番
【連絡】(9/ 森川林
 プログラミング学習の面白さは、自由に創意工夫ができること、 9/3
記事 4124番
【連絡】(9月 nane
 模試の問題は、よく考えて作られています。  だから、模試 9/3
記事 4123番
【連絡】(9月 森川林
 連絡が遅くなってしまいましたが、公立中高一貫校の適性検査模 9/3
記事 4123番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
WinSCPの 森川林
ダウンロードとインストールは、特に問題なく、次々と進めて 12/4
プログラミング掲示板
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習