6月27日の朝、「そういえば、オカメインコのバノと、文鳥のサク、両方ともまだ表に出していなかったなあ」と思いました。
これから暑くなると、窓を開けることが多くなるので、うっかりバノたちを部屋の中に放しているときに窓を開けたら、表に出ていってしまうかもしれません。
ペットで飼われている鳥は、いつも室内にいるために遠近感がなくなるらしく、外に出すと帰れなくなってしまうようです。
そこで、まだあまり飛べないうちに、ときどき表に出して距離感をつかませておけば、いざというときにすぐに帰れるようになるだろうと考えました。こういう発想が問題あるらしいけど……(笑)
ちょうど、スズメのえさやりの時間になったので、バノとサクを肩に乗せたまま表に出ました。すると、肩の上で、バノがぐっとジャンプしようとする重みが感じられました。
やはり鳥だって、朝の明るい空のもとでは、思いきり飛んでみたくなるのでしょう。ってのんきなことを言っている場合ではありません。
バノは、そのまま力強くジャンプすると、空高く舞い上がり、ぐるりと大きく弧を描き、しばらく上空を飛んでいましたが、やがて「ピー、ピー」とうれしそうに鳴きながら、駅のほうへと飛んでいきました。
「さようならあ! バノー」なんて言っている場合ではありません。仕方ないから、飛んでいった方を探しに行ってみましたが、小さい鳥のことですから、どこにも見つかりません。そのかわり、根性の悪そうなカラスが、朝の街のあちこちにたむろしていました。
「おい、オカメインコ、見なかったか」
「アホー」
朝、出勤してきたみんなに事情を話すと、ここでも露骨に、「ばかねえ」という雰囲気。
しかし、そこで、ネットの掲示板やツイッターに投稿したらというグッドアイデアが出て、早速あちこちの迷子鳥の掲示板やツイッターに投稿してきました。
それから5日後の7月2日、突然、知らない人からメールが来て、「お宅のバノちゃんではありませんか」という情報。迷子鳥の掲示板に、「7月2日、能見台でオカメインコを保護。金沢警察署に預けられています」という記事が載っていたのです。
港南台から能見台までというと、直線距離で約5キロ。いつも室内で放しているので飛ぶことに慣れているから、風に乗れば飛べない距離ではありません。
早速、金沢警察署に電話をして、7月11日に面会に行くことになりました。
台風一過の暑い夏の日でした。
名犬ゆめも一緒に連れて、金沢警察署へ。窓口は、会計課の落とし物係です。
カゴの中のオカメインコに面会すると、やはり、あのバノでした。
でも、警察の人にとっては、鳥なんてみんな同じに見えるでしょうから、「本当にそう?」というような感じです。
そこで、カゴから出して、「バノちゃん」と手に止まらせると、また元気よく飛び立ち、警察署の中を飛び回りはじめました。みんな、飛んでいるバノと、飛ばしたこっちを注目。「受けてる!」じゃないだろ。
窓の高いところに止まったバノをやっと手に止まらせ、再びカゴに入れると、近くにいた赤ちゃんをだっこした人が、
「わあ、かわいい。見せてくれますか」
とカゴに近づいて、赤ちゃんと一緒にバノをずっと見ていました。
警察署の人に、お礼のお菓子を持ってきていたのですが、「これは、仕事だからいいんです」と受け取りません。日本の警察は清廉です。
それから、バノを車に入れて、ゆめと一緒に港南台まで約20分、教室に帰ってきました。
帰ってから、それまでひとりでいた文鳥のサクと一緒にすると、サクは大喜び。早速、バノの背中に乗って遊んでいました。
「バノちゃん、もう飛んでっちゃだめだからね」
というか、飛ばしたおまえが悪いんだろ、という声がどこかから聞こえてきそうな夏の午後でした。
言葉の森が読書感想文の指導を始めるまで、読書感想文のわかりやすい書き方というものはありませんでした。
それまでは、感想文というと、感想を書くものだと思う人が多く、同じようなことを何度も書くような書き方になりがちでした。感想や意見というものは、本質的にはシンプルなものなので、それを長く引き伸ばして書くことはできないのです。
また、感想を書くかわりに、あらすじを長々と書くような子もよくいました。小学生の勉強としては、感想文を書くよりも、このようにあらすじを書く方がずっと勉強にはなるのです。しかし、あらすじを長く書くだけでは、書く方も、読む方も、面白くありません。
言葉の森が提案した感想文の書き方は、似た例を通して題材をふくらませ、そのふくらんだ題材から感想を書くという書き方です。しかも、これを抽象的な理屈として説明するのではなく、「第一段落には何を書いて、第二段落には何を書いて」と、子供たちに誤解の余地のないように説明したので、誰でも簡単に感想文が書けるようになったのです。
感想文の書き方の具体例は、言葉の森のホームページの右上にある「ホームページの全記事」のフォームで検索できます。ここに、「読書感想文」という文字を入れて検索すると、書き方の例が出てきます。
読書感想文の書き方―小学校低中学年
https://www.mori7.com/as/537.html
読書感想文の書き方―小学校高学年
https://www.mori7.com/as/538.html
読書感想文の書き方―中学生
https://www.mori7.com/as/539.html
「桃太郎」を例にした感想文の書き方
https://www.mori7.com/as/1314.html