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これからの世界、日本、教育 1 as/2192.html
森川林 2014/08/04 10:39 


●世界の変化と統合

 世界の歴史は、大きな目で見れば統合の方向へ向かっています。望むと望まざるにかかわらず、やがて地球は一つの統一した政府によって運営されるようになるでしょう。
 しかし、この統一のビジョンは、人によって文化によって異なります。大きく分ければ、それは、ヨーロッパ的な統合のビジョンと、日本的な統合のビジョンとに分かれるように思われます。

 ヨーロッパ的な統合のビジョンの根底にあるのは、自由な個人主義あるいはエゴイズムを前提とした社会観です。その究極の姿として、支配するものとされるものが、階層状に分かれたカースト制度的なものが想定されているように思えます。
 それに対して、日本の統合のビジョンは、個人主義ではなく家族主義を前提とした社会観で、人類が一つの家族として多様性を保持したまま共存していくような世界を目指していると思います。

 欧米のエゴイズムをもとにした文化は、科学技術を大きく発展させました。
 しかし、その発達の前提となっていた個人主義が、現在、行き詰まりを見せています。
 これからは、今ある科学技術の土台を生かした新しい文化として、日本の思想や文化、社会制度、政治制度が見直されてくると思います。政治制度の一つには、日本の天皇制もあります。また、文化の中には、日本語もあります。

 軍事力が伴わなければ、現在の世界では発言力がないと考えている人もいますが、今の科学のもとでは、軍事力は次第に意味を持たなくなりつつあります。核を持てば相手を支配できるという時代は、他国が核を持っていなかった時代の話です。これからの社会では、核兵器を含めた軍事力の有無は、他国を支配する手段にはなりません。核兵器よりも、もっと根本的なものが、これから日本で生まれてくると思います。

●日本の国際化と日本語の国際化

 世界は、ますます一つの大きな統一体になっていきますが、これからの国際化は、日本が世界に合わせることではありません。国際化とは、日本が世界に出ていくことです。そのために、日本語を世界に広め、日本の文化と日本の社会制度を、新しい社会のモデルとして世界に提案していくことが必要になってきます。

 これまで、言語というものは、伝達の側面からだけ考えられてきました。伝達の面から言えば、英語は世界中で最も多くの国で通用する言語です。また、中国語は、世界で最も多い人口を擁している言語です。
 しかし、言語の伝達機能は、自動翻訳機の発達によって、どの言語も等しい利用可能性を持ってきます。いちばん大きな差は、その言語によって表現される語彙が、世界の現在の事象をどれだけカバーしているかということです。そういう点で、英語、日本語、ドイツ語、フランス語などは、現在の社会、政治、経済、文化をカバーするのに十分な語彙を持っています。
 日本語の今持っている語彙力の可能性を維持するためにも、日本人はできるだけ、カタカナによる外来語を使わずに、翻訳された言葉をあてはめていくことが大事です。

 言語の役割は、伝達の面から言えば、必要な語彙力さえ伴っていれば、どの言語でも同等です。今は、習得に時間がかかるという理由によって、最もよく使われている英語が、世界共通語の役割を果たしています。
 しかし、言語の役割には、伝達の機能以外に、その人の考え方やものの見方の土台として機能するという面があります。ちょうど、コンピュータのOSのような役割があるのです。これを、言語の伝達的側面に対して、言語の教育的側面と呼びます。

 この言語の教育的機能の面で、日本語の持つ力は、他の言語に比べてより大きいのではないかと考えられます。だから、日本語の国際化は、日本人が望む以上に、世界の人々から、思考のツールとして、それぞれの国の母語とともに日本語を習得することが求められるようになってくると思います。
(つづく)

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読解力の基本は、多読と難読 as/2191.html
森川林 2014/07/31 21:48 


 読解力の基本は、多読と難読です。(難読というのは、「難しい本を読む」という意味での造語です。)
 多読ということに関して言えば、小学生が1週間に読む本の冊数は2~3冊です。1冊の本のページ数は200ページ程度ですから、1日に平均して50ページぐらい読んでいることになります。1ページを読むスピードは約1分というのが普通ですから、毎日1時間近くの読書をしているというのが平均的な読書時間です。これには、学校での読書時間は入れず、家庭での読書時間だけです。
 この読書量の差はかなりあり、家庭で本をほとんど読んでいない子もいれば、毎日暇さえあれば本を読んでいるという子もいます。
 この読書量の差が、小学生時代の子供の国語力の差になっています。だから、小学生時代は、国語の勉強をして国語の成績が上がるというわけではありません。国語の勉強というのは、つけたしのようなもので、基本になっているものはそれまでの読書の蓄積なのです。

 しかし、学年が上がるにつれて、単なる多読だけでは国語力は伸びないようになってきます。易しい本はいくら読んでも、読む力にはならないのです。
 例えば、小学1年生のころであれば、漫画も国語力にはプラスになります。しかし、小学校高学年では、漫画をいくら読んでも国語力をつけることにはなりません。また、中学生や高校生になれば、物語文を読むだけでは、論説文を読む力はつきません。このように、学年に応じて、その学年相当の難読が必要になってきます。
 中学入試の国語の問題の中には、岩波ジュニア新書などから選ばれた文章が載ることがあります。岩波ジュニア新書は、中学生から高校生を主な対象にした本です。小学生で、岩波ジュニア新書を趣味の読書として読むような子はまずいません。しかし、そういう文章を読まなければ、小学校高学年にふさわしい国語力はつかないのです。

 この多読と難読は、読み方がかなり異なります。多読の基本は、自分の好きなものをたくさん読むことです。大人の目から見てくだらないと思われるような本であっても、好きな本を楽しく読むことで、文章を味わって読む力がついてきます。読書の好きな子は、書かれた文章から、その情景をありありと思い浮かべることができます。この本の世界に没頭する力が、物語文の読解力の基礎になっています。
 一方、難読は、一度読んだだけではわからないような難しい文章を繰り返し読むことが基本になります。繰り返し読むためには、音読をしたり傍線を引いたりして読むことが必要になります。声に出すとか、手を動かすとかいう作業をしなければ、繰り返し読むということはできないのです。

 算数・数学の勉強は、わからなくなったらわかるところまで戻ってスモールステップで進むという勉強の仕方ができます。
 国語の勉強は、そうではありません。わかることとわからないことがはっきり分かれていず、文章全体の60パーセントぐらいわかるが40パーセントぐらいはわからないというような、グレーゾーンが曖昧に広がっているのです。
 その文章を何度も音読することによって、特に誰から教えられるわけでもないのに、自然に分かり方が、70-30になり、80-20になってきます。
 そのための読み方が音読で、そのための教材が難読の長文なのです。

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