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奪い合う社会から与え合う社会へ as/2209.html
森川林 2014/09/06 19:46 


 これまでの社会は、奪い合うことによって発展してきました。
 ある人が強力な矛(ほこ)を作れば、ある人はそれ以上に強力な盾(たて)を作るというのが、世の中の進歩の姿でした。
 ある人が鍵を作れば、ほかのある人がその鍵を壊す方法を考えるというのも、かつてはひとつの進歩でした。作ることと壊すことが相まってGDPを高め、社会を豊かにすると考えられていたのです。

 しかし、そこで作られた豊かさが、果たして人間の幸福に結びついているかと考えると、誰もが疑問に思わざるを得ないような状態が増えてきました。
 鍵を作ったり壊したりするよりも前に、鍵の要らない社会を作った方がよいのではないかと、多くの人が感じ始めたのです。
 そして、それまでの作ったり壊したりするために費やしていた時間を、もっと別のことに向ければいいのではないかと思い始めたのです。

 しかし、それは、政策としてできることではありません。
 強力な政府が、賞や罰で強制しても、奪い合うことを前提に発達してきた社会は変わりません。

 一人ひとりの心が変わることによって、新しい社会は生まれてきます。
 しかし、心を変えることができるのは、宗教ではありません。
 人間の心は、命令によってではなく自覚によって変わらなければならないからです。

 これまでは、そういう理想の社会は、遠い夢のような話と思われてきました。
 しかし、今、身近にいくつもそんな理想の片鱗を見ることができるようになっています。

 奪い合うことによって豊かさを追求してきた社会は、やがて静かに過去のものになるでしょう。
 そして、与え合うことによって豊かになる社会が、それと入れ替わっていくのです。
 子供たちの教育も、奪う力をつけるものから与える力をつけるものへ、これから静かに変わっていくのだと思います。

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勉強はのんびり気長にやるほど得意になる as/2208.html
森川林 2014/09/05 20:07 


 小学校低学年の子は、作文でも、勉強でも、読書でも、遊びでも、みんな大好きです。生きていることがうれしくてたまらない時期ですから、どんなことも楽しく好きになるのです。

 ところが、小学校低学年のときに、何かが苦手になることがあります。ときどきあるのは、作文が苦手になるというケースです。
 その原因は、たったひとつ、早く上手に書かせようと思い、注意する量が多くなってしまうからです。

 親が、注意と思っていないような一言でも、子供にとっては注意と受け止められてしまうことがよくあります。
 だから、小学校低学年のころは、どんなに欠点があったり、不十分なところがあったりしても、ただひたすら褒めていればいいのです。

 そして、褒める一方で、気長に長文音読と読書と対話を続けていくことです。
 その音読と読書と対話も、やっているといろいろ気になることが出てきますが、全部そのまま認めて褒めてあげます。
 読み方を注意したり、話し方を注意したり、読む本を決めたりすると、やがて音読も読書も対話も苦手になっていきます。

 褒めるだけで上手になるのかといえば、そのとおりです。
 褒めていれば、みんな上手になり、得意になっていきます。早く上達させようと思い、注意すると、苦手になり、下手になっていくのです。

 人間は、繰り返していれば上達するようにできています。歩き方でも、走り方でも、喋り方でも、文章の書き方でも、続けていれば自然に上手になります。
 学年が上がると、アドバイスによって急に上手になるという場面も出てきます。しかし、その場合でも、それまでの長い蓄積があるから、一言のアドバイスで上手になるのです。

 だから、大事なのは、気長に続けていくことです。そのために、いつも気長に褒めていくことです。
 音読も、読書も、作文も、生活の一部となるぐらいに自然に続けられるようにしていくことが大事なのです。

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ミント 20140917  
低学年の作文、難しく考えてしまうと書けなくなりそうですね。私の子供時代も書き出すまでが時間がかかっていました。本を読む楽しさを実感できたらどんな人が出てくるのか、どういうお話なのか一番好きな部分はどこだったか、こちらが聞きたいなといった雰囲気で話を聞き出すことも大事ではないかと思いました。

森川林 20140917  
 楽しいというのがいちばん大事です。
 勉強になるようにとがんばると、つい楽しくない雰囲気になります。
 楽しんでいること自体が勉強だと思っているといいようです。

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