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難しい問題と、難しそうに見える問題 as/2219.html
森川林 2014/09/17 19:52 


 算数数学の勉強で、一見難しそうに見える問題があります。しかし、答えを見て、解き方を知って、「なあんだ。そうなのか」とわかる問題は、難しい問題ではありません。難しそうに見える問題です。
 では、難しい問題とは何かというと、答えを見て、解き方を知っても、その解き方の考え方を理解するのが難しいという問題です。

 世の中に新しい考えが登場したとき、それは、多くの場合、理解するのが難しい考え方として登場してきました。
 ニュートンの力学もそうだったでしょう。ケインズの経済学もそうだったでしょう。近年では、量子論というが理解の難しい学問かもしれません。

 そういう本当に難しい問題に取り組むことが思考力をつける道です。
 難しそうに見える問題は、パズルのような問題ですから、いくら時間をかけても考える力はつきません。受験の算数数学の問題には、そういうパズルのような問題も多いのです。
 だから、受験勉強の仕方は、自分であれこれ考えるよりも、すぐに答えを見て解き方を理解することです。そういう勉強を積み重ねているうちに、初めて見る難しそうな問題にも、おおよその見当がつくようになってきます。しかし、それは、パズルに慣れたというだけで、思考力がついたというのではありません。

 では、小中学生で、本当に難しい問題に取り組むような勉強はできるのでしょうか。
 その一つが、難しい文章を読むことです。
 難しい文章といっても、さまざまな段階があります。ヘーゲルやハイデッガーのように超がつくほど難しい文章もあります。しかし、小学生には小学生なりに難しい文章、中学生には中学生なりに難しい文章というものもあるのです。
 その学年相応の難しい文章として参考になるのが、入試問題です。

 国語の入試問題集を読書がわりに読んでいると、書いてあることはわかるが、それを自分のものとして理解するのは難しいということがよくあります。
 そのとき、その子の頭の中では、新しい語彙や新しい概念や新しい思考法が育っているのです。

 しかし、問題集読書は、ひとりではなかなか続けにくいものです。
 本当は、子供が音読をして、それを近くで聞くともなしに聞いているお父さんやお母さんが、音読の終わったあと、その文章の内容に関して家族みんなで似た話をし合うような機会があればいいのです。

 言葉の森では、この家庭では続けにくい問題集読書を、寺子屋オンエアなどで続けやすくする仕組みを考えているところです。

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低学年の漢字力、計算力をどうつけるか as/2218.html
森川林 2014/09/16 19:55 

 漢字力や計算力は、勉強の基礎です。しかし、基礎ができたから、その後の学力が自然につくというわけではありません。だから、必要以上に計算力や漢字力に力を入れる必要はありません。社会生活では、電卓でも検索でも自由に使えます。計算力や漢字力が社会生活を左右すことはありません。

 しかし、基礎ができていないと、その後の学力はつけにくくなります。特に、今の受験勉強では、計算のスピードや正確な漢字力が要求されますから、受験期には、計算や漢字の力はひととおり完成されていなければなりません。

 ここから出てくる結論は、いかに短い時間で能率よく計算力や漢字力をつけるかということになってきます。
 計算や漢字に長時間かけると、肝心の考えたり遊んだり本を読んだりする時間が少なくなってしまいます。計算や漢字の練習は必要ですが、能率よくやっていく必要があるのです。

 能率よい勉強のいちばんの鉄則は、同じ教材を同じ順序で同じように繰り返すことです。
 例えば、漢字の問題集でも、ページがばらばらになったものや、いろいろな種類のものを次々にやるというのは、あまりよくない勉強の仕方です。
 1冊の問題集(あるいは漢字集)だけを徹底してやれば、その漢字を覚えるだけでなく、その漢字がその問題集(あるいは漢字集)のどのへんに出てきたかということが頭に入ります。この「どのへんに出てきたか」ということがわかるというのが、繰り返し勉強の大事なところです。

 計算の練習でも同じです。九九がよい勉強法なのは、同じ順序で声を出して繰り返すからです。この九九の練習でも、単語カードのように、表に「3×4」と書き、裏に「12」を書くようなものを作って練習するのでは、かえって時間がかかります。ばらばらにしたものを使うのは、仕上げ段階で定着度を試すときです。身につけるときには同じものを同じ順序でやっていく方がいいのです。
 もし、単語カードのようなものを作るとしたら、それをカードとしてばらばらにしたものではなく、1枚の一覧表にしたものにしてそれを指などで答えを隠しながら繰り返すことです。そのようにすれば、その計算がそのシートのどのへんにあったかということが自然に頭に入ります。この「どのへんにあったか」ということがわかるぐらいに同じものを繰り返すことが大事なのです。
 この計算シートは、エクセルの表があればすぐにできます。たとえ3×4=12や3+4=7に習熟するには、
┏━━━┓
┃12 ┃→(このセルは、「=A2*B2」などという式にする)
┣━┳━┫
┃3┃4┃→(このセルがそれぞれA2、B2の場合)
┣━┻━┫
┃ 7 ┃→(このセルは、「=A2+B2」などという式にする)
┗━━━┛
 大事なことは、この計算の一覧シートを計算ごとにばらばらに切り離さずに、1枚の印刷物にしてそれをずっと使い続けることです。

 勉強に時間のかかる子に共通するのは、いろいろな教材に取り組んでいることです。
 今は、豊富な教材が手に入る時代ですから、それだけに、早めに1種類に絞って取り組むことが大事なのです。

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