言葉の森の作文指導の特徴は、毎週担当の先生が電話で指導することです。
こういう事前の電話指導があるので、その子の実力に応じた作文の書き方のアドバイスができます。
紙だけの作文通信指導がなぜ長続きしないかというと、子供が書き始めるきっかけが作れないからです。
電話指導は、声だけの指導と思われがちですが、これが意外と深く先生と生徒の信頼感を生み出しています。そのため、何年も同じ先生の指導を受けて勉強を続ける生徒がいるのです。
しかし、言葉の森の電話通信指導にも、弱点はあります。
それは、電話のあとすぐに作文を書き始めない生徒がいる場合です。
中学生ぐらいになると、自分で勉強時間の融通をきかせられるので、すぐに始めずにあとで書こうと思ってしまうことがあります。
しかし、作文の勉強というのは、開始するときの精神的エネルギーが、あらゆる勉強の中で最も大きな勉強です。だから、学校の感想文の宿題なども、多くの生徒は締切ぎりぎりにならないと着手できないのです。
電話のあとすぐに始めれば比較的楽にできることも、時間がたつとなかなかできなくなります。
しかし、電話指導だと、こういう生徒を途中で励ますような対応はできません。
もうひとつは、小学生で途中で詰まってしまう生徒がいる場合です。
こういうケースはそれほど多くはありませんが、勉強を始めて間もないときや、感想文を初めて書くときは、途中で書けなくなってしまうことがあります。
そのときは、すぐに教室に電話をして聞けばいいのですが、それをせずに、子供に何十分も自力で書かせようとしてしまう保護者も多いのです。
書くことに詰まって10分もしたら、もうあとは時間がたてばたつほど、いくら時間をかけても自分の力で書けるようにはなりません。
こういうときも、電話指導では、途中で生徒にアドバイスをするようなことができません。
そこで、言葉の森では今、従来の電話指導の枠を超えた新しいオンライン指導の方法を計画しています。
この冬からそのモニター生徒を募集する予定です。
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港南台教室で、全員に自習表を配り、6日間全部つけてきた人には福袋ということにしました。
よくつけてきた子が多かったのですが、つけ方のコツがまだよくわかっていない人もいたようです。そこで、自習表をつけるコツをいくつか。
まず第一に、まとめて塗らずに、一つできたつど一つ塗るというようにすることです。
まとめて塗ると、ただの色塗り作業のようになってしまい、かえってくたびれます。できたつど塗っていると、自分の自習が次第に形になっていく様子がわかるのでやる気が出てきます。
第二は、できそうなことをすることです。しかし、できそうだと思っていても、何かが長引いて、ほかのことができなくなるということもあります。
そういうときは、途中で軌道修正することです。最初に決めていたとおりにできないから、途中からもう少し簡単なものにしぼるというようなやり方をしていきます。そして、最終的に全部できることを目標にするのです。
しかし、それでもどうしてもできなかったということはあります。
したがって、第三に、どうしてもできなかったときは、赤と青の塗り分けではなく、できなかったところを黄色で塗ることです、
できなかったことも、できなかったという形にしておけば、それはそれで達成感として残ります。
うやむやのうちにできなかったとするのではなく、はっきりと自覚してできなかったということにしておけば、その土台の上にまた翌日も新しい気持ちで取り組むことができます。
さて、子供の自習の項目を親が見ると、楽にできることしかやっていないように感じることがあると思います。
特に、小学校高学年から中学生にかけては、わざとそういうことをやりたくなる時期にあたります。うまくさぼりたいとか、裏をかいてみたいとか、ごまかしてみたいとかいう心理が成長する時期なのです。
だから、要領よく手を抜いてやっていることに目くじらを立てる必要はありません。子供と同じように、大人も笑って見てあげていればいいのです。
しかし、同時に、折にふれて、人間の生き方について話をしておく必要があります。
それは、勉強でも、仕事でも、人に見てもらったり、人に褒められたりするためにやるのではなく、自分が成長し、将来社会の役に立つことをするためにやるのだということを、家族の談話の時間などに言っておくのです。
こういう骨格さえたまにしっかり話しておけば、普段は楽しく面白くやることを中心にしていっても何も問題はありません。多少の脱線があっても、それは大目に見ておけばいいのです。
自習表は、塗り方がわかるようになると、楽しくなると思います。
子供がなかなかやらないというときは、まずお母さんが自分でやってみて、その楽しさを味わってみるとよいと思います。
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本を読まないとか、本を読ませてもすぐ飽きるというのには、いくつかの理由があります。
多くの人は、そこで、子供が興味を持つような面白い本がないからだと考えがちです。確かに、誰でも引き付けられるような面白い本というものはあります。そのひとつは、「宇宙人のいる教室」(さとうまきこ著 フォア文庫)。大きな字ですぐに読み出せ、ほとんどの子がすぐに最後まで読み続けてしまいます。そして、内容にももちろん感動があります。
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しかし、本を読まないとか、すぐ飽きるとかの本当の理由は、本の側よりも、むしろその子の側にあります。
それは、第一に、まだ読む力がないことです。例えば音読で時どきつっかえながら読むような子は、まだ読む力がないので、本を読んでいても、その楽しさを味わう以前に、文字を追って頭に入れる苦しさの方が先に立ちます。だから、どうしても長く読み続けられないのです。
では、どうしたらよいかというと、それは読み慣れることです。読み慣れるためには、短いページ数(例えば10ページ以上)でよいので、何しろ毎日読む時間を作ることです。
このぐらいのページ数であれば、強制しても何も問題はありません。むしろ、最初は強制的に読ませなければ読むようにはなりません。読ませれば読む力がつき、読む力がつけば楽しくなります。その逆ではないのです。
本を読まない理由の第二は、親が、その子の読書力よりも難しい本を読ませようとしたり、長い時間読ませようとしたりすることです。しかも、良書と思われているものには、暗い本が多いので、子供は読んでいても楽しくないことが多いのです。
では、なぜ暗い真面目なつまらない本を良書として読ませようとしてしまうかというと、それは子供が本を読まない理由の三つ目です。
子供が本を読まない理由の第三は、親が自分自身楽しく本を読む習慣が持っていないからです。
昔は本を読むのが好きだったということと、今楽しく本を読んでいるかということとは違います。
子供に毎日本を読ませるためには、親も毎日楽しく本を読む生活を続けている必要があります。
親が仕事で忙しくて読めないというのなら、子供も同じように毎日遊びや勉強で忙しくて読めないのです。実際、子供に本を読まない理由を聞くと、ほとんどの子は、「暇がないから」と言います。また、「読みたい本がないから」と言う子もいます。しかし、本当の理由は、読む習慣がないからなのです。
では、どうしたらよいかというと、家族全員で読書の時間を作るのです。
その時間は、例えば10ページ以上と決めて、誰もが自分の好きな本を読みます。本の読めない小さい子がいれば、その子は読み聞かせです。
子供に本を読ませるためには、まず家庭の中で読む環境を作っていくことが大事なのです。
小学校時代、勉強優先で読書を後回しにした子と、読書優先で勉強を後回しにした子がいた場合、どちらの子の方が将来学力がつくかというと、それは明らかに読書優先の子の方です。これは、単純すぎる言い方のように思うと思いますが本当です。
勉強は、いつからでもやればすぐにできるようになります。しかし、読書力や読書の習慣はすぐにはできません。
そして、読書の力という土台があれば、勉強の力はその上にすぐに建てることができるのです。
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