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新しい教育とは、新しい人間の見方の発見(その1) as/2253.html
森川林 2014/11/06 20:49 


 ニュートンは、世界を、力学という見方で見ました。それは、力学からの世界の発見でした。
 発見は、見方を変えるだけで、それ自体は何も変えません。しかし、その発見がそのあとに続く世界の改造にさまざまにつながっていったのです。

 今、世界は大きな曲がり角に来ていると多くの人が感じています。これまでのやり方の延長では、いずれうまく行かなくなると誰もが思い始めているのです。
 では、その曲がり角とは何かということは、世界をどう見るかという発見の仕方と結びついています。

 その一つは、環境の面から世界を見るという見方です。
 今の社会の延長では、環境破壊の進展を止められないとすれば、その解決策は、画期的な省エネ省資源技術の開発と、環境を優先する経済の仕組み作りです。
 経済の仕組み作りについては、例えば二酸化炭素の排出権取引は、そもそも二酸化炭素が温暖化に結びついていたかどうかに疑問が出され、これまでの試みは単なる経済的策略のように思われるようになってきました。
 しかし、環境の保護や自然の再生という経済的な需給関係に任せていては解決のつかない問題を、国と国との条約で経済の仕組みに組み込むという発想は、これからますます必要になってきます。

 未来の世界は、自由貿易によって動く金額だけでなく、この国際的に決められた尺度によって動く金額が、経済の大きな範囲を占めるようになるでしょう。
 そして、この理念をもとにした枠組みは、環境保護にとどまらず、人間の自由や幸福や向上のようなところまで指標化する形で発展していくでしょう。
 例えば、ブータンという国で、国民の満足度が高いとすれば、それは輸出品と同じように他国に売ることのできる経済的資産になります。これからは、その国の民度の高さも、それ自体が大きな経済的資産になってくるのです。

 世界の曲がり角に対するもう一つの見方は、今の世界の停滞を新しい需要の不在から見る見方です。
 現在では、生活の必需品に関しては、世界全体の供給力は、世界の需要力を上回っています。問題は、その供給力の余剰がほかのところに向かわずに、需要力の範囲に抑制されていることです。いわゆる豊作貧乏と同じようなことが、世界全体で起こっているのです。
 この解決策は、新しい需要を創造することです。しかし、それは穴を掘ってまた埋めるというような需要ではなく、人間の生活にとって価値のある需要でなければなりません。
 そう考えると、これからの新しい需要は、文化的な需要です。これからは、文化的需要を大衆的に生み出す力を持っている国が、大きな経済的可能性を持つようになるのです。

 さて、世界の新しい見方とともに今後求められてくるのは、人間というものの新しい見方です。
 これからの教育の方向を考える場合、人間をどう見るかということが重要になってきます。(つづく)

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森川林 2014/11/05 18:33 


 寺子屋オンエアは、ウェブ会議システムを使って、少人数での自宅学習を毎日チェックして指導する仕組みです。
 これまでこういうシステムで勉強を教えているところはなかったので、ただ説明をしても実感としてわかりにくいと思います。そこで、既にある従来の勉強法の弱点と比較する形で説明します。

 第一は、通学式の学校や塾での一斉指導との違いです。通学式の一斉指導という教育法の利点は、友達との交流ができることと、教える側の負担が少ないことです。しかし、通学の弱点は、通うのに時間がかかることです。また、一斉指導の弱点は、わかる生徒にとっては参考書を読んで自分で勉強すれば講義を聞くよりももっと能率よくわかることと、わからない生徒にとってはわからないまま講義を聞くだけで終わりになってしまうことです。
 これに対して、寺子屋オンエアの指導の長所は、わざわざ通わなくても自宅で勉強できること、それぞれの生徒が個別に自分に合った勉強をすることができ、その方法もチェックしてもらえることです。

 第二は、紙媒体の通信教材との違いです。紙媒体の通信教材の利点は、自宅でできること、比較的低価格でできることです。弱点は、子供が自分で勉強を始めるのが難しいので親の指示が必要になること、紙の説明だけで理解できるように作らなければならないので、低学年向けの簡単なものは一律に作成できるが、学年が上がると個々の生徒の理解度の差には対応できなくなることです。
 これに対して、寺子屋オンエアの長所は、先生が生徒の勉強状況をチェックできるので、親の指示がなくても勉強が始められることと、個別に対応できることです。

 第三は、通学式の個別指導の塾や、自宅に教えに来てくれる家庭教師などとの違いです。個別指導や家庭教師の利点は、生徒に応じた個別対応ができることです。弱点は、比較的高価なこと、友達との交流がないこと、通学や訪問というものは距離に制約されているので必ずしもよい先生と出会えるとは限らないことです。
 これに対して、寺子屋オンエアの長所は、個別指導でありながら、友達との交流もできることです。また、ネット上の指導のため距離の制約がないので、生徒と先生の相性なども柔軟に調整できることです。

 第四は、ネットを使った通信教育との違いです。ネット教育には多様な可能性がありますが、今出ているものは、紙媒体の通信教材をそのままネット化して発展させたようなものがほとんどです。
 ネットを使っているので、堤出や返却などのスピードがあります。また、紙媒体のものよりもマルチメディアで魅力的な教材が作られ、しかも紙媒体のような印刷や郵送のコストがかからないディジタル配信なので、かなり低価格に作ることができます。

 この典型的な例が、アメリカのMOOCに見られるような一流の授業と優れた教材の無料配信システムです。このネット教育の分野は、いずれはグローバルな数社の寡占状態になると思われます。特に理数系の分野は世界共通ですから、世界の理数系教育を、世界的な1社か2社が独占するというような状態に近づいていくと思います。

 ネット教育の利点は、自宅でできること、優れた教材が低価格で提供されること、マルチメディアの面白さがあること、堤出と返却にスピード感があることなどです。
 しかし、今のネット教育の弱点は、これまでの紙媒体の通信教育をネット化しただけというところにあります。そして、ネット教育を行う企業側の動機は、コストを下げることにあるので、個別指導ではなく一斉指導をスモールステップ化したものになります。そのスモールステップの勉強を生徒が進めていく動機は、ミニテストの評価によって引き出すという形になるのです。

 今のネット教育の弱点は、優れた教材をスモールステップ化した形のものが多いので、低学年の易しい課題のときは誰でもできますが、学年が上がり個々の生徒の得手不得手が出てくるようになると、できる子とできない子の差が出てくるようになります。それをテストで動機づけしても、やはりできる子とできない子の差は出てきます。
 その結果、今の学校や塾の一斉指導が直面している問題である、中間の位置にいる子を焦点に当てた勉強にならざるを得ない面があるのです。

 寺子屋オンエアは、一斉指導ではなく個別指導の教育です。また、授業を教えるような教育ではなく生徒の自学自習を促す教育です。また、生徒が孤独に勉強する教育ではなく、生徒相互の交流も生かす教育です。
 こういう形の教育であれば、できる子はできる子なりに、できない子もできない子なりに、自宅で自分のペースで、個別の指導を受けながら、友達との交流も生かして勉強を進めていくことができます。

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