言葉の森の音読は、1週間毎日同じ長文を音読するのが原則です。
同じものを読むのは退屈ですから、毎日の音読に飽きてくると、早口で読んだりわざと文章の一部を変えて読んだりする子も出てきます。しかし、そのように飽きてふざけて読むのは、その子に創造性がある証拠です。
ふざけて読んでいるのを見たら、「面白い読み方しているね」と笑って感心していればいいのです。どのような読み方をしていても、毎日読めば必ず力はついてきますから、明るく楽しく続けていくことが大事なのです。
毎日音読していると、文章の一部は、見ないでも読めるようになってきます。覚えようとして読むわけではありませんが、繰り返し読んでいると、自然に覚えてしまうのです。
この自然に覚えた文章の一節が、将来自分が作文を書くに、自然に出てくる語彙やリズム感になります。
繰り返し読んでいると自然に覚えてしまうという読み方の延長に、暗唱があります。
暗唱は、文章を覚えるのが目的ではありません。繰り返し読むことそのものが暗唱の目的です。
繰り返し読めば暗唱できるというのは、実は、やってみた人でないと、なかなかその実感がわきません。
今のお父さんやお母さんは、子供のころ文章を暗唱したという経験がないと思います。
もう二つぐらい上の世代の曾祖父母のころの人たちは、子供時代に暗唱をした経験のある人がかなりいます。その当時の人達は、勉強の基本が音読と暗唱だったのです。
音読と暗唱という勉強の仕方は、江戸時代の貝原益軒までさかのぼります。益軒は、四書五経などの文章百字ずつ百回空に読み空に書くという勉強の仕方を提唱しました。
こういう繰り返しの勉強法が、寺子屋の勉強の基本になっていました。
繰り返しや反復というと、理解や思考の反対のように考える人もいると思いますが、そうではありません。繰り返して身につけたものの土台があるから、思考力も伸びるのです。
それは、例えば、次のような比喩で考えるとわかりやすいと思います。文章のひとまとまりを暗唱できるぐらいに繰り返し読むと、その文章のまとまりが、一つのバケツに入ります。
普段、人間が考えるのは、言葉というバケツで、そのバケツを組み合わせることが文章を書くとか考えるとかいうことになります。大きいバケツを持っている人は、小さいバケツを持っている人よりも、より大きく速く考えることができるのです。
この大きいバケツの話は、作文力について言えるだけではありません。読解力についても同じことが言えます。
ひとまとまりの文章を何度も音読していると、それが難しい説明文のようなものであれば特に、新しい文章を読み解くときにその音読した文章の枠組みを使って理解することができるのです。
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暗唱へのハードルが高いという人は、まず音読からですね。
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言葉の森では、毎日の自習として長文音読をすすめています。毎日音読をしていると、わずか3、4分の勉強ですが、文章のリズム感がついてきます。また、作文に書く語彙も、次第に増えてきます。
中学1年生のとき、言葉の森の勉強を始めた中国人の生徒がいました。日本語は喋れますが、本を読もうとしても漢字が読めません。中国から来ていますから、漢字はよく知っているのですが、日本語の漢字と中国語の漢字は、読み方も意味も違います。ひらがなばかりの本なら読めるという感じでした。
体験学習で最初に作文を書いたときは、わずか数行で、それも間違いだらけの文章でした。しかし、もちろん、言葉の森はその間違いをわざわざ直しはしません。作文に間違いがあるのは、作文の問題ではなく、読む力の問題だからです。
そこで、その生徒のお母さんに言ったことは、
「毎日、課題フォルダの長文を1編音読してください。3、4分の勉強ですが、毎日続けるのは大変なので、朝ごはんの前に読むようにして、読まなかったら朝ごはんは抜きということで(笑)。そして、どんな読み方でもいつも褒めてください」
ということでした。
漢字が読めないので、全ルビのページを作り、その生徒だけ特別に全部の漢字にふりがながつく長文にして毎日音読をしてもらうことにしました。
すると、半年ぐらいたったころから、作文力がぐんぐんついてきて、中学3年生になるころには、普通の日本の中学生よりもずっと語彙の豊富な立派な文章を書くようになったのです。そして、もちろん第一志望校に合格しました。
毎日音読を続けた本人も素直でえらいのですが、いちばんがんばったのは朝ごはん前に、中学生に毎日の音読を続けさせたお母さんだったと思います。
小学生のころの作文は生活作文が多いので、語彙力の差はそれほど大きくは出ません。生活作文というのは、日常生活で話すような言葉が中心ですから、誰でも大きな違いはありません。もちろん、それで、音読や読書の習慣がある生徒は、同じことでもより気の利いた言葉で表すことができます。
音読による語彙力の差がついてくるのは、説明文や意見文を書くようになってからです。ここで出てくる語彙力の差は、読んでいる文章の質の差ですから、ただたくさん本を読むだけでなく、ある程度の難しさを持った文章を何度も繰り返し読んでいることが必要になるのです。
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こんにちは。通信受講生(小4男子)の母です。
中国人の生徒さんの話、とても参考に、そして励みになりました。
ここでの「長文」とは課題フォルダの「長文 11.2週」などと書かれたものを、1週間同じものを読む・・・という方法でいいのでしょうか?
音読と暗唱とではどちらを先にお勧めされますか?
息子は漢字が苦手。こつこつ努力するのを嫌います。
熟語の意味が分からない。別の単語で説明してもわからずなかなか勉強が進みません。
読書も、やさしい本は読めますが、毎晩少しずつ読み聞かせをしていた中学年向けの本を、続きは自分で読んでみるよう渡すと「意味が分からない」と数ページでなげだします。
どうしたら力がつくのか思案しています。
1週間同じものを読み、週に1回、家族でその長文について楽しく話ができるといいです。
長文の方が楽です。暗唱はやや負担が大きいです。だから、どちらかに絞るとしたら、長文音読の方です。
長文音読は、意味を調べさせたり、説明してあげたりする必要はありません。意味はわからなくていいので、すらすら読めるようになることだけを目標にしてください。
読書は、難しい本を与えすぎだと思います。親から見てレベルが低すぎると思う本が子供にとってはちょうどいい本です。
読書は楽しく、音読の長文は難しくという使い分けです。
ご回答ありがとうございました。
長文音読、こつこつ楽しく続けてみます。
(親も、ほめ言葉の練習をしなければ?!)
本選び、ゾロリは全部読んでしまったのでその次が難しい・・・。「読み聞かせの途中で与えてみた」のは、岡田淳さんの作品で、息子とほぼ同学年の子供の、学校の物語なので自分で楽しく読めるかなと思ったのですが。。。
残念ながらfacebookはやっていないのでこちらでお勧めの本は見ることができませんが、じっくり探してみます。
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