言葉の森では、以前、作文検定試験を行なっていましたが、通学の生徒か近距離の生徒しか正式には受検できないという難点がありました。
通信の生徒も自宅でできればよいのですが、自宅では時間を一律には決められないので不公平に思う人も出てくる可能性がありました。
しかし、今、寺子屋オンエアで自宅学習をモニターする仕組みができたので、これを応用すれば自宅での作文検定もできるという見通しが出てきました。
例えば、検定試験の日時だけ決めておいて、その時間に、自宅からネット上の作文検定試験会場に参加してもらいます。
参加した時点で問題が渡され、その場で課題の作文を書きます。
書き方は、言葉の森の毎回の指導のように、表現項目を入れて、字数と時間制限のある中で書いていきます。
書き終えたら、その作文をデジカメなどで撮影してアップロードする形で堤出します。
小中高生のほとんどは、この試験のやり方で実力判定をしますが、更にその上のレベルを目指す人には、森リン判定も加えます。
つまり、課題が出されたら、手書きではなく、その場でパソコン入力で書いていくのです。パソコン入力に慣れている人には、手書きよりもずっと楽に速く書けると思います。
森リン採点の場合は、項目と字数と時間の評価以外に、語彙力の評価が加わります。
同じように項目を入れて必要字数を書いている人でも、語彙力の差はあります。その語彙力は、普段読んでいる読書や長文の質と量でおおよそ決まってきます。
また、森リン採点を補佐するものとして、人間の目による評価もありますから、ただ多様な語彙を使えばよいのではなく、その語彙が不自然ではない形で使われている必要があります。
インターネットによる自宅での作文検定は、まだ環境が整っていない人の方が多いので、一般化するのは少し先になると思います。
しかし、寺子屋オンエアなどで環境の整っている人は既に何人もいるので、まずそういう人たちからウェブの作文検定を実施していきたいと思っています。
問題を解く形の勉強がなぜ身につかないかというと、問題を解いて正解だったときはそれはもともとわかっていたことですからその問題を解く時間は無駄だったということになるからです。
何時間勉強しても、その勉強時間のほとんどが問題を解いて正解だった場合、その勉強時間は何もしなかったと同じことなのです。それよりも読書をしていた方がずっと多くのことが身についたはずです。
では、問題を解いて不正解だったときはどうかというと、この不正解の問題は、日を置いて四回から五回繰り返す必要があります。不正解というのは、本来そのように根が深いものなのです。
ところが、小学校低学年のときの不正解は、一度ですぐにわかるものがほとんどですから、学年が上がっても、ほとんどの子供は不正解をそのまま確認して勉強を済ませてしまうのです。
したがって、本来の勉強の仕方を取り戻すためには、問題を解く形の勉強を改善する必要があります。
それには、まず第一に、問題を解くのではなく読む勉強を勉強の中心にすることです。それは、読書、長文音読、そして問題集読書です。この形の残らない勉強を勉強の中心とすることです。
第二に、問題を解く場合は、本人が答えと照合しながら問題を解くぐらいにフィードバックを早くし、不正解だったり理解が不十分だったりした問題には△印をつけ、その不正解の問題を四回でも五回でも繰り返せる仕組みを作っておくことです。
そして第三に、不正解の問題がなくなるまで、一冊の問題集を完璧に仕上げることです。
勉強というものは、これまでは勉強する「物」としての教材が重要な役割を果たしていました。よい教材があれば、それがそのままよい勉強結果に結びついていたのです。
しかし、これから重要になるのは、勉強する「事」」としての勉強の仕方です。
経済においてと同じように教育においても、供給過剰の時代には、物から事へと重点が移ってきます。
では、正しい勉強の仕方はどのようにして身につけたらよいのでしょうか。それは、正しい勉強の仕方を知っている人に、子供の勉強の仕方を見てもらうことです。
勉強を見てもらうのではなく、勉強の仕方を見てもらうのです。
勉強の仕方さえわかれば、子供は自然に勉強するようになります。その結果、テストの成績も上がるようになります。
テストを目的とした問題を解く勉強をやめて、勉強を身につけることを目的とした問題を読む勉強を中心にしていくことです。
言葉の森では、今、寺子屋オンエアという企画で、家庭における自学自習をチェックする仕組みを作っています。それは、この本当の勉強の仕方を身につけてもらうためです。