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「灘→東大理3の3兄弟を育てた母の秀才の育て方」を読んで as/2286.html
森川林 2015/01/06 20:24 


 同じ教材を使っていても、同じ塾に行っていても、同じ先生に教わっていても、子供たちの成績は同じにはなりません。よくできる子とできない子の差は必ず出てきます。
 では、その違いはどこから出てくるかというと、それは決して生まれつきの差ではなく、家庭学習を含めた家庭での育て方の差なのです。

 しかし、その育て方というのは、なかなか伝えにくいものです。それは、典型的な例というものが、あまり身近にないからです。
 その意味で、うまく子育てをした家庭の例は、これから子育てをするお父さんやお母さんの参考になります。

 受験は、合否を競う競争という面が中心になりがちですが、同時に子供たちにバランスのよい学力をつけるひとつのきっかけとして取り組んでいくことができると思います。

 この本の全体の内容は、それぞれ読んでいただくとして、言葉の森が普段述べていることと共通している点について、主な目次を紹介します。

1章の 3「子どもはとにかく褒めて褒めて褒め倒す」
    9「母親の知的好奇心が子どもをつくる」
   11「自分の読書は家事よりも優先させる」

3章の22「おもちゃは我慢させない、制限しない」
   30「テレビなどの『画面』はなるべく見せない」

7章の55「何よりも読み・書き・そろばんから始める」
   56「早期の英語教育は必要ない」

8章の62「お母さんの音読+解説で国語の成績は上がる」

 褒めれば、子供は気分よく勉強するので、どんどんはかどります。注意をしたり直したりすれば、だんだん暗くなり勉強が進まなくなります。何しろ褒めることは、褒める方にとっても、褒められる方にとっても健康によいものです。

 読書好きな子に育てるには、お母さんが子供の前で本を読んでいる姿を見せることです。「昔読んでいた」というのはだめで、「今もいつも本を読んでいる」というのが大事です。お母さんが、忙しくて本を読んでいる暇がないと言えば、子供も同じことを言うようになります。

 テレビは、見る場合でも、1週間の予定を決めて見ることです。食事中は、必ずテレビは消しておきます。見たい人だけがヘッドホンをつけて、外部に音が流れないように見るのが理想です。特に幼児がいる家庭では、テレビはできるだけつけないことです。

 小学校低中学年のころの勉強の基本は、第一が読書です。第二は算数が普通にできることです。英語は必要ありません。

 国語読解力の中心は、難しい文章を読む力ですが、その難しい文章をどう読むかというと、繰り返し音読することと、その音読をもとに親子で対話をすることです。
 その対話も、子供の話を聞くというよりも、お父さんやお母さんが自分の体験談を中心に似た話を楽しく話してあげることです。
 親子の対話の際に大事なことは、子供の音読の仕方や説明の仕方を決して注意しないことと、脱線してもいいので何しろ楽しく話をすることです。

 家庭で、そういう対話の習慣のあるうちは、まだあまりないと思います。しかし、今の家庭で親子で曲がりなりにも対話の習慣ができるようにしておけば、その子供が親になったとき、今度はもっとたやすく家庭での対話ができるようになります。
 親子の対話は、二世代にわたって家庭の文化を作っていくという気長な気持ちで取り組んでいくといいと思います。

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問題集読書で、記述式の語彙力と、読解問題の消去法を身につける as/2285.html
森川林 2015/01/05 21:00 


 国語でも、算数数学でも、英語でも、もちろん理科や社会でも、問題集を解くために使うのは密度の薄い使い方です。
 問題集は、読むために使うことで、解くよりも何倍も深くしかも早く内容を身につけることができます。

 例えば、国語の記述問題でも、模範解答を読めば、記述にどういう語彙が要求されているかがわかります。入試問題で記述に要求される語彙は、普通の受験生が普通の生活では使わないような抽象的な語彙です。そういう語彙が、問題という文脈の中で読めるのですから、問題と答えを読むこと自体が記述の勉強の基本になります。

 読解問題でも同じです。ほとんどの人は、合っている答えを探そうとします。合っている答えを探して見つかるぐらいなら、わざわざ入試問題として出てきません。
 入試問題は差をつけるための問題ですから、合っているものを探しても答えは見つかりません。合っていないものを探して、合っていないところがないものが正しい答えという仕組みになっています。
 それが理解できるのも、問題集を読むことによってです。問題を「解く」だけでは見落としてしまうことが、間違った選択肢も含めて「読む」ことで気づくのです。

 算数数学でも、基本は同じです。問題を地道に解くのは、低中学年のまだ簡単な問題で、しかも計算の練習も兼ねているような問題を解くときだけです。
 高学年や中学生になれば、問題を見て、解けそうだったら答えを見て解き方を確認し、解けそうもなかったらやはり答えを見て解き方を理解し、あとでその問題を繰り返すために×をつけておくのです。
 真面目すぎる生徒の中には、中学生や高校生になっても、明らかに解ける問題をきちんとていねいに解いている人がいます。解ける問題を解くのは、勉強ではなくただの作業です。

 ところが、読む勉強というのはあてのない感じがするのか、子供も親も先生も、解いて形の残る勉強をさせがちです。
 言葉の森では、今、寺子屋オンエアで国語の問題集読書をしていますが、これも寺子屋オンエアという形でなければ、子供が自分ひとりではなかなかできないと思います。
 これから、この読む勉強というものをもっと広げていきたいと思っています。

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