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学力不足のもとになる読書離れ――読書第一勉強第二で本当の実力を育てる as/2294.html
森川林 2015/01/21 10:13 


 読書をしていれば国語力がつくわけではありません。確かに低学年のうちは、読書量と国語力の間には高い相関関係がありますが、学年が上がるにつれて、その度合は低くなってきます。
 読書と国語力の関係が学年が上がるにつれて低くなるのは、高学年で求められる国語力が難しい文章を読み取る力だからです。読書好きな子と言っても、その読書の質には大きな差があり、ほとんどの子がその学年相応に楽しんで読める本は、高学年の国語力には結びつかないことが多いのです。
 しかし、それにもかかわらず、なぜ読書が大事かというと、易しい読書もしない子は、難しい文章は更に読もうとしないからです。

 現在、学校で行われている勉強のかなりの部分は、記憶力の再現です。テスト前の一夜漬けで結構点数が取れるようなものが、学力と思われているのです。ですから、読書の有無は、当面の学校の成績にはあまり関係しません。
 しかし、学年が上がるにつれて、勉強の中には考える要素が増えてきます。国語に限らず、理科でも社会でも、更には数学でも、そしてもちろん英語でも、国語的な考える力がないと、単に記憶と手順だけでは対応できなくなります。そういう段階になったときの学力のもとは国語力なのです。

 最初は易しい読書であっても、文章を読み慣れている子は、国語の問題の難しい文章も次第に読み慣れていきます。そして、国語の問題に出てくるような難しい文章の中に面白さを見出すようになると、今度はそこからさかのぼって読書も次第に難しいものを楽しむようになります。
 言葉の森の港南台教室の中学生や高校生の中で、ときどき、「この本借りていっていいですか」と、その学年には難しい本を借りていく人がいます。もちろん、その反対に、こちらが、「この本、面白いよ」とすすめても、「いや、今はいいです」と断る生徒もいますが(笑)。難しい本をよく借りていく生徒は、普段の成績は普通でも、受験期になると成績が急上昇します。考える力があるので、最後の1年間ですぐに実力が伸びるのです。

 受験期に入る前は、どうしても学校や塾のその日その日のテストの成績などに目が向きますから、すぐに役立つ知識の勉強を優先し、読書は時間のあるときに読むものと考えてしまう人が多いのですが、実はそれは逆です。
 普段の生活の中では、読書を再優先し(と言っても、読書を勉強よりも先にすると読書だけになってしまうので、時間的には勉強のあとに読書という流れにするといいのですが)、勉強は読書よりも優先順位の低いものと考えておくことです。それが、長い目で見て子供の実力を本当に育てることになるのです。


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自前主義、本質志向、起業精神 as/2293.html
森川林 2015/01/19 08:24 


 経済がリセットされるとき、新しく生まれる三つのトレンド。
 カタカナ語を使わずに言うと、経済の行き詰まりがいったん終焉を迎え初期化されるとき、新しく生まれる三つの社会的精神的傾向。かえってややこしい(笑)。

 その三つのトレンドのうちの一つが、自前主義、つまり生活の基本はできるだけ自分たちでやろうということです。
 これまでは、物やサービスを買うという形で、あるいは行政のサービスを受けるという形で、他人任せにすることが一般的でした。
 しかし、これからは、生活に密着したものは、自分たちの家庭や地域の中で、自前でやっていこうという動きが出てきます。そして、その範囲は、生活の周囲から次第に広がっていきます。

 二つ目が、本質志向です。
 自分たちでやるから、自然に本質的なものを志向するようになります。
 農業でも、商品化して人に売るときは、曲がったキュウリではだめで、何しろ見た目のよさが重要になります。しかし、自前で作るときは、曲がっていようが虫が食っていようが気にせずに、何しろ安全なものを作るようになります。
 これが、農業に限らず、あらゆる分野で起こります。
 その本質志向の普及を加速させるのが、インターネットによる情報交換です。

 三つ目が、起業精神です。
 自前主義、本質志向なら、自分の得意な分野で社会に貢献しようという人が次々と出てきます。
 そして、世界の大きな流れは、大企業になればなるほどますます人件費を削る方向に進みます。なぜなら、工業時代の物を売る仕事は、サービスという「物」を売る仕事も含めて、既に供給が過剰になっているからです。
 まだ途上国には膨大な需要があるという人もいますが、人間の求める需要は人間の自然の数に応じてしか増えませんが、機械の作る供給は機械的にいくらでも増やせます。だから、膨大な需要もすぐに供給で埋め尽くされるのです。
 そこには当然環境の問題も出てきますが、環境保護もまた新しい需要として、新しい供給によって埋められていきます。

 こうして、これまでの大衆消費社会はそのまま残りますが、それはもはや社会の後景に退き、それに代わって、各人が各人の好みに応じて生産する社会が生まれてきます。
 やがてそのミニ生産の中から、突出したものが出てくると、それが「道」の文化として確立するようになります。
 この「道」の文化は、高度化するにつれて、広い裾野を形成するようになります。こうして、日本発の新しい文化的経済が生まれるのです。

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