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思考力をつける作文と、その裏づけとなる問題集読書 as/2300.html
森川林 2015/01/28 10:18 


 言葉の森の作文指導は、小学校低学年のときは楽しく書くのが基本です。間違いを直すことばかりに熱心な指導では、確かに間違いは直りますが、それよりもすぐに書くことが嫌いになってしまいます。

 間違いは、作文の中で直すのではなく、読む力をつける中で直すのです。
 一年生で会話をカギカッコで書くことと改行することができない子がいたとします。この子に、カギカッコと改行を教えて、次回から直るということはまずありません。何度も何度も同じことを教えても、それができるまでに何ヶ月もかかるのが普通です。
 なぜかというと、普段の日常会話で、会話にカギカッコがついていたり、改行されたりしていることはないからです。あったら、漫画です。

 会話のカギカッコと改行は、本の中で現れます。本を読んでいる子は、自然に、会話はカギカッコがついていて改行されていることを見ています。そういう読書の蓄積がある子は、もし会話のカギカッコと改行ができていないときも、一度説明するだけで次回からはすぐに正しく書くことができるのです。

 言葉の森の作文指導は、低学年のころは楽しい作文ですが、高学年になると考える作文になります。
 低学年のころの楽しい作文の経験があるからこそ、高学年の考える作文も同じように楽しく取り組めるのです。

 考えるというのは、抽象的に考えるということです。
 例えば、意見について理由を書くというときに、理由が書けずに実例を書いてしまう生徒がかなりいます。自分の経験したことに結びつけて書くことはできるのですが、誰にも共通する一般的な理由として書くという抽象的な思考ができないのです。
 この考える力、思考力も、読む力から来ています。

 子供たちが読む本は、物語文がほとんどです。物語文は、ストーリーという事実中心に書かれているので、わかりやすく誰でも読めます。
 これに対して、説明文や意見文は、ストーリーがありません。その代わりに、物事の因果関係などの抽象的な構造が文章の骨格になっています。こういう文章を読むことによって、作文を書くときも抽象的な構造のある作文が書けるのです。

 ところが、子供たちが楽しく読める説明文は、あまりありません。身近なところでは、小学生新聞に載っているコラムなどが読みやすい説明文ですが、こういう文章が本として出されることはほとんどありません。

 そこで、おすすめするのが、国語の入試問題集です。入試問題集の問題文の中には、読みにくい悪文もありますが、概して内容的に優れたものが多いからです。また、内容に興味を持った問題文であれば、出典を参考にしてもとの本を読むこともできます。

 しかし、この問題集読書は、家庭ではなかなかできません。形だけやっているように見えても、ただ眺めているような読み方をしている子が多いのです。
 言葉の森では、寺子屋オンエアなどで、この問題集読書にこれから力を入れていきたいと思っています。

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森川林 2015/01/26 20:59 


 「作文がなかなか書けないんです」という相談を受けることがあります。特に、小5以上の難しい感想文課題になると、何をどう書いていいか全くわからないという子も出てきます。
 しかし、そこであれこれアドバイスをするのは、単なる対処療法で、子供に書かせることはできても何も実力はつきません。まして、書いたあとに赤ペンで懇切丁寧な添削がされても、それで何か身につくということはまずありません。作文は、書く前の準備がほとんどすべてなのです。

 では、どうしたらよいかというと、それは毎日長文を音読しておくことです。朝ご飯の前に音読をすると決めておけば、読まなければ朝ご飯が食べられないのですから、自然に読むようになります。ひどいやり方だと思う人もいるかもしれませんが、それぐらい生活に密着したものにしないと、退屈な短時間の勉強は定着しないのです。
 たまに、朝ご飯は食べないという人もいますが、その場合は、夕ご飯でもいいのです。必ず毎日読むようにすることが大事です。時間にすれば1200字程度の長文の音読は3分でできますから、決して負担になる量ではありません。大事なことは、やると決めることだけです。

 ただし、音読については、決して読み方を注意しないことが大事です。いつも、「よく読めるようになったね」と優しく褒めてあげることです。
 子供が高学年になると、親の前で音読することを嫌がるようになります。それは、それまで親が子供の音読を注意していたからです。

 子供の音読を聞くともなしに聞いていると、親が似た話を思いつくことがあります。そこで、親自身の体験に基づいた似た話をしてあげます。
 受験の国語問題に出てくるような文章は特に微妙で難解なものが多いので、子供は一応読むことは読めてもその文章に書いてあることが実感できません。そのときに、お父さんやお母さんが自分の体験に結びつけて似た話をしてあげると理解がぐっと深まるのです。

 この音読と対話によって、語彙力が増え、似た例が増え、難しい感想文が上手に書けるようになります。
 だから、作文の勉強は、書く前の準備が重要なのです。

 これに対して、算数(数学)は解いたあとがすべてです。
 よく子供の中に、問題集を熱心に解くだけ解いて、自分で丸付けもせずに終わってしまう子がいます。「丸付けはしたの」と聞くと、「あ、まだだった」ということが時どきあるのです。
 また、丸付けも本当は、1問解いたらすぐに丸付けをするぐらいの細かな丸の付け方の方がフィードバックが早いのでよいのですが、1ページを全部解いてからまとめて丸付けをする子がほとんどです。

 なぜ丸付けが大事かというと、算数の勉強は、間違えた問題を間違えないようにすることが勉強の本質だからです。
 ところが、小学校低中学年の算数の勉強では、そのような間違える問題はほとんどありません。なぜなら、低中学年の勉強は計算の仕方に慣れる勉強ですから、合っているものをどんどん解いて解き方に慣れることが勉強の中心になっているからです。

 その低中学年の勉強の癖が抜けずに、高学年になっても、できる問題をどんどん解くことが勉強だと考えてしまう人が多いのです。
 算数の勉強で必要なのは、できる問題を解くことではなく、できない問題をできるようにすることです。だから、解いたあとの丸付けと、間違えたときの解法の理解が大事なのです。


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