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12月の森リン大賞より(中3の部) as/2311.html
森川林 2015/02/15 20:57 


言葉に愛を
ぎんぎつね

 日本では、欧米人の名前をカタカナでそのまま読むが、中国や朝鮮人の名前は漢字で書き、日本の読み方で読む。これは何も日本に限ったことではない。中国でも、日本と同じように欧米人の名前はそのまま読み(漢字の当て字になるが)、日本人や朝鮮人の名前は自国の読み方をするのだ。たしかに、自国の読み方だろうが相手の国の読み方だろうが、本質的には変わらないのかもしれない。しかし、人は大切な人には「私」の属する国、文化を認めてほしいと願うものだ。それは相手に対する尊重が伴うものだからだ。私は、言葉に感情を込められるような生き方をしていきたい。
 そのための方法としては第一に、相手の名前など、言葉に対して愛情を持って接することだ。生まれた子供に名前をつけることはその両親にとって一大イベントである。世の中にはいろいろな名前があるが、命名される名前はその年によって一定の傾向があるらしい。近年、人気な名前は音の響きが重視される傾向にあるそうだ。名前の意味だけでなく、読み方まで気を配ることに、私達がどれだけ「音」を気にしているのかがわかる。つまり、それは逆に言うと、私達が相手の言葉を大切にした時、初めて私達は相手とより良い関係を築くことができるということだろう。
 また、第二の方法としては、国同士の間でも、相手の言葉や文化を尊重しあうことだ。かつて、アジアからヨーロッパ東部に至るまでの広大な領土を有したモンゴル帝国はチンギス・ハンを起源として、実に20世紀まで中央ユーラシアの各地で君臨し続けたそうだ。途方もなく巨大な帝国を長く存続させられたのは一体なぜなのだろうか。それは、フビライ・ハーンの、支配した各地域の文化や言語を尊重した政策のおかげらしい。モンゴル帝国の一部に取り込まれても、その生活はほとんど変わらなかったことが人びとの抵抗を少なくし、それが帝国の維持につながったのだろう。
 たしかに、合理的に物事を進めるためには、言葉を記号のように扱うほうが便利な場合もある。もし、みんながみんな自分の名前の読み方にこだわっていたら、自分も相手も疲れて、関係も悪化してしまうだろう。しかし、「家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである」というように、名前などの言葉もまた、外から見るための符号ではなく、その中で生きている人間と密接に結びついているのである。それを否定するということは、その人を否定することにもつながり、決してプラスにはならないはずだ。私は、言葉というものを感じ取ることができる感性をもって、生きていきたいと思う。

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12月の森リン大賞より(中1の部) as/2310.html
森川林 2015/02/15 20:51 


行列の利点
らみわ

 行列というものは、日本ではもう当たり前の現象になっている。スーパーや駅、さらにはトイレまで、いたる所に行列が存在する。そのため、私は行列をつくらず、バラバラと人が散らばっているところをあまり見たことがない。外国ではそれが当たり前だと聞いたときはおどろいた。テレビのニュースで、頭がキーンとならないふわふわのかき氷行列を見たことがある。ものすごく長くて、四時間以上並ぶものもあった。だが、それでも横入りをせずに並ぶのは日本人の長所だと思う。私は行列に賛成だ。
 その理由は第一に、ルールを守ることによって物事がスムーズに進むからだ。例えば、スポーツがそうだ。私は三年生のとき、体育の授業でキックベースをした。キックベースというのは、野球とサッカーを組み合わせたような遊びだ。しかし、一人の男の子がルールを破ってしまい、試合がなかなか進まなかった。例えば、もうアウトになっているのにそのままホームに走って点を入れたりして、試合を中断させていたのだ。結局、いつもその男の子がいるチームと相手チームは、試合がいつも授業内に終わらず、引き分けになってしまっていた。だが、それを何人かの男の子が注意し、しっかりとルールを守るようになった。私はそれを見て、流石に悪いと感じたのかな、と思った。それからは、どのチームも授業内に試合が終わるようになった。スポーツはプレイヤー全員がルールを守らなければ、スムーズに行うことができないのだ。電車やバスでは、降りる人が降りてから乗ることで、スムーズに乗り降りすることができている。私は中国に行ったことがある。日本と中国では、やはり文化が違うようで、中国人は降りる人も乗る人も同時に乗り降りしていて時間がかかっていた。関西の人も、そのような傾向があるらしい。だが、降りる人を優先にすれば時間を短縮できるだろう。
 その理由は第二に、ルールを守らないと混乱が起こるからだ。最近話題になった東京駅百周年記念のスイカを得るためになんと一万五千人ほどの人が並んだそうだ。私は電車などには興味がないのだが、ニュースで知った。どうやら、夜からは並んではいけない決まりだったのだが、ルールを破った人がいて、駅員が注意しなかったらしい。それが原因で、しっかりとルールを守った人がスイカを買うことができないという事態が発生してしまったらしい。中には九州から来た人もいたそうだ。それで、しっかりとルールを守ったのに、スイカを買えなかった人たちが怒って東京駅の模型を壊してしまったらしい。一部の人がルールを守らなかったせいで混乱が起こってしまったのだ。空港でもそうだ。日本の海外旅行者数は、千百五十万人を突破した。海外からの日本旅行者数は三百万人台だ。それだけの人が集まるのだから、行列をつくらなければ空港は大混乱してしまう。
 確かに、個々の事情を考慮しないことには問題があるが、「悪いことそのものがあるのではない。時と場合によって悪いことがあるのである。」という名言があるように、行列本来の良さを認識するべきだ。東日本大震災のときも日本人は行列をつくり、外国人をおどろかせた。そのときも、行列の長所はきっと生かされただろう。私は、それを知り、日本人に生まれて本当によかったと思った。私は、これからも行列の良さを認識していきたい。

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