寺子屋オンエアで勉強している生徒向けに、家庭学習のポイントを説明しました。
一般の方にも参考になると思いますので、要点を転載します。
なお、寺子屋オンエアは、3月16日からシステムを作り直すためにしばらくお休みになります。
4月から、時間帯なども増やして新たにスタートする予定です。言葉の森の生徒で、寺子屋オンエアの無料体験学習を希望される方はお問い合わせください。
■問題集や本には、付箋を
問題集や図書は、何ページから勉強するのかすぐわかるように、付箋などを貼っておいてください。
■国語の勉強から始め、読書は最後に
時間切れにならないように、まず国語の勉強から始めてください。
そのあと算数数学や英語の勉強を行い、読書は最後の空いている時間にやるようにしてください。
(これは寺子屋オンエアでは、国語の勉強は、感想を聞き質問をする時間を取るため、優先的にやってもらっているためです。)
■国語の問題集読書は、音読か線引きで
問題集読書で大事なことは、同じ文章を何度も読むことです。
そのために、必ず音読や線引きをしながら読むようにしてください。
ただし、音読の仕方について注意はせずにいつも褒めるようにしてください。
■勉強はできるだけ毎日同じように
勉強は、寺子屋オンエアのある日もない日も、日曜も祝日も、できるだけ毎日同じようにやってください。
ただし、国語の問題集読書は、寺子屋オンエアのない日は感想まで書く必要はありません。負担なく続けられるように音読だけを行っていってください。
■算数数学は、計算と答えをノートに書き、問題集には○×を
問題集に計算や答えを書き込むと、繰り返しの勉強ができません。計算と答えはノートに書くようにしてください。
また、繰り返しの勉強をしやすくするために、問題集には必ず○×をつけておいてください。
■算数数学のできなかった問題は
算数数学は、できなかったところを理解することが大事です。家庭で時どき、できなかったところの理由を聞いてあげてください。その理由はうまく説明できなくてもかまいません。説明しようとすること自体が勉強になります。
算数数学で、できなかったところは、解答を見て理解しますが、解答を見ても理解できないときは、その前のページにある例題と解説を書き写すようにしてください。書き写した例題と解説は、解説の部分を手で隠して説明できるようになるまで繰り返し読んで覚えてください。
算数数学は、一度で理解させようと思わずに、何度も繰り返して慣れることが理解することなのだと考えておいてください。
お母さんが子供に算数数学の解き方を説明するときは、問題集に載っている解説に沿って説明するとしやすくなります。
■カメラの位置は、勉強中はできるだけ上の方から
パソコンの下に、パソコンの本体と同じぐらいのサイズの薄い板を敷き、その板の手前(つまりパソコンの手前)にクリップでウェブカメラをセットすると、勉強中はほぼ真上から勉強しているところが写せます。
カメラの設置の仕方は自由ですが、できるだけ勉強しているところがわかるようにセットしておいてください。
(これは、寺子屋オンエアでは、ウェブカメラで勉強している様子をモニターしているためです。)
■音声はヘッドセットで
パソコン内蔵のスピーカーを使うと、その音をマイクが拾ってしまうので、相手が聞き取りにくくなります。
話をするときは、ヘッドセットをして話をするようにしてください。
ただし、勉強しているときは、ヘッドセットをはずして、パソコンの内蔵スピーカーにしておいてかまいません。
保護者と話をする場合がありますので、保護者用のヘッドセットも分岐ケーブルを使ってあらかじめセットしておくとよいと思います。
(寺子屋オンエアでは、skype(スカイプ)を使って先生と生徒が打ち合わせをするためえす。)
■保護者の方は特に近くにいられなくても結構です
寺子屋オンエアの勉強中、保護者の方は、特に近くにいられなくて結構です。
今はなかなか一緒にいる時間が取れない保護者も多いと思いますので、子供だけが勉強して、保護者が不在の状態でももちろんかまいません。ただし、その場合は、必ずその日に勉強したことを見せてもらい、これも優しく褒めてあげるようにしてください。
理想的な状態は、子供が勉強している間、保護者は近くで読書や家事などの自分なりのデスクワークをしていることです。そして、子供の勉強の様子を見るともなく見て、聞くともなく聞いて、勉強が終わったあと、優しく褒めてあげることです。
子供の勉強の様子を注視していると、つい注意したくなるので、自分なりの仕事をしながら近くにいるという状態が理想です。
私は、その数日前からひどい風邪気味になって、当日は体調が最悪でした。
その日に大きな地震があり、その後のニュースで、原発の事故が発生したと知りました。
最悪の事態を想定して、いろいろと仕事の手を打ちましたが、13日になって、なぜかふと「日本は、もう守られた」と思いました。
その後しばらくして、私が普段読んでいる本の著者がそれぞれ次々に、3.11に関する本を出しました。
それらを読んでいて、やはり、その3月11日を境に日本が変わったのだと思いました。
日下公人さんは、太平洋戦争の戦前派と戦後派になぞらえて、東日本の震災前派と震災後派を分けました。それぐらい、日本人の意識が大きく変化したのです。
その変化は、まだ途上です。
しかし、世の中は大きくよい方向に動いています。
私たちにできることは、自分の今いる場所で、よりよい日本を作っていくことです。
そういうことを、誰もが特に口に出すこともなく、黙々と実践しているのだと思います。
ベストエフォートとは、「最大限の努力はするができないこともある」という意味で使われます。重点は、「最大限の努力」の方ではなく、「できないこともある」の方にあります。
インターネットの世界では、通信速度や通信の品質でベストエフォートという言葉がよく使われました。
しかし、A型気質の日本人には、なかなかそういう発想ができません。電車が定刻どおりに発着するのは、日本の社会では当然のように思われています。これが、「○時○分に着くように最大限の努力をするが、着かないこともある」というのでは、ほとんどの人が納得しないでしょう。
そういう律儀な性格が、日本社会の発展の基礎になったのは確かです。
しかし、このベストエフォート型の発想が必要になる分野は、インターネット以外にもあるのです。それが、教育の世界です。
子供の教育は、工業製品のように、これとこれを組み合わせたら必ずこれになる、というものではありません。さまざまな個性や例外や逆説があるのが人間です。
しかし、全くランダムというわけではなく、こういうことをすれば確率的に大体こうなるだろうということは予測がつきます。
そこで大事になるのが、ベストエフォート型の発想です。
子供の勉強の姿の理想的なイメージは、まず時間が来たら勉強に集中して取り組み、その勉強によって分からなかったことがすぐに分かるようになる、というものでしょう。
しかし、そういう理想の姿は、現実にはほとんどありません。
時間が来てもなかなかやらず、人に言われてやっと取り組み、だんだん熱心にやってきたかと思っても、結局昨日できなかったことが今日もできない、という状態が普通なのです。
ここで、多くの真面目なお母さんは、切れてしまいます(笑)。その結果、「それなら、もう塾に行きなさい」となることも多いのです。
別に、塾に行くのがよくないのではありません。勉強の自覚がまだできない小中学生のころは、受験期の1年間は、やはり塾で受験型の勉強をした方がいいのです。それは、長時間の勉強時間が確保できるからです。
しかし、差し迫った受験がない時期は、できるだけ家庭で自分のペースで勉強していく方がいいのです。
その家庭での勉強に必要な発想がベストエフォートです。「集中力と理解力の伴った理想的な勉強をするように最大限の努力はするが、できないこともある」という勉強の仕方です。重点は、「最大限の努力」ではなく、「できないこともある」の方です。
なぜ、そういう勉強hの仕方が大事なのかというと、このベストエフォート型の勉強であれば、毎日できるからなのです。
勉強の本質は、毎日の気長な繰り返しです。毎日やっているうちに、たまに集中して理想的な勉強をするときはあるかもしれませんが、毎回それを求めていたら息切れして、結局毎日やることができなくなります。
週に数回集中して理想的な勉強をして、あとは遊んでいるよりも、土日曜も含めて毎日同じような勉強をあまり面白くもなさそうに勉強している方が、ずっと実力がつきます。
毎日続けるための心の姿勢が、ベストエフォートなのです。