悪い読書感想文指導の例は、次のようなものです。
先生「自由に書いてごらん。」
生徒「先生、できました。」
先生「どこどこ。うーん、これがだめで、あれがだめで、ここもだめで、あっちもだめだ。」
生徒「じゃあ、どうしたらいいんですか。」
先生「それは自分で考えるんだ。」
そして、中に、よく書けた子がいると、
先生「みんな、こういうふうに書くんだ。」
褒められたごく少数の子は、なぜ褒められたのかわかりません。注意された大多数の子は、どうしたら褒められるようになるのかわかりません。
しかし、たくさんの生徒を教えているから、中に必ず上手に書く子がいるので、こういう指導でも通用するのです。
よい読書感想文指導の例は、次のようなものです。。
先生「最初に、こう書いて、次にこう書いて、あれを入れて、これを入れるといいよ」
生徒「先生、できました。」
先生「どこどこ。なるほど、あれも入れたし、これも入れたね。よくできた。」
生徒「わあい。」
すべての子が、どう努力したらよいかわかるので、誰でも書けるのです。
しかし、なぜこういう指導が行われていないかというと、誰でも書ける方法は、苦手な子でも書けるので、レベルが低いと思われてしまうからです。
ところが、言葉の森の読書感想文指導は、この誰でも書ける書き方で、例年いろいろな賞をもらう子がいるのです。
読書感想文指導の目的は、上手な作品を書かせることではありません。
読書感想文を通して、子供の書く力を向上させていくことが第一の目的です。
今、学校や塾で行われている読書感想文指導の多くは、指導がなくて評価だけがある教え方になっています。
では、どうしたらよいかというと、家庭でお母さんが書き方を教えてあげればよいのです。
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国語の勉強というと、ほとんどの人は、国語の問題集を解くようなことを考えると思います。しかし、問題集をいくら解いても、その解説をいくら聞いても、国語力はつきません。
国語力とは、国語の問題を解く力ではなく、日本語の文章を読み取る力だからです。更に言えば、その読み取る力の土台の上に、日本語の文章を表現する力だからです。
国語力があれば、国語の問題を解く力は、短期間で身につきます。
例えば、高3の生徒が、夏休みの8月ごろ、試しに国語のセンター試験をやってみると、平均点と言われる6割ぐらいしか取れないことがあります。
しかし、その生徒に、1、2時間解き方を説明するだけで、次の週からは、満点近い成績を取れるようになることが多いのです。それぐらい、国語力と国語の成績との間にはギャップがあります。
だから、基準にするのは、国語の成績ではなく、国語力です。
その国語力は、どうやってつくのかというと、それは、繰り返し難しい文章を読むことによってです。
ところが、その単純なことがなかなかできません。なぜできないかというと、難しい本を読むということは、真っ暗なでこぼこ道をろうそくの火を頼りに進むようなものだからです。
これに対して問題集を解く勉強は、明るい舗装された道を、わかりやすいクイズを解きながら進むようなものです。
だから、ほとんどの人は、やりやすい問題集を解く勉強をしてしまうのです。
難しい文章を読むためには、読むという行為を外化させる必要があります。それが音読です。
黙読では、途中で挫折してしまう文章も、音読であれば読み続けることができます。そして、読み続けているうちに読む力がついてくるので、やがて黙読でも読めるようになってくるのです。
この音読は、小学校低学年から始められます。大事なことは、どんなに下手な読み方をしても、間違った読み方をしていても、すべて褒めてあげることです。
音読が続けられなくなるいちばんの原因は、読み方の注意だからです。注意を一切しなくても、読み続けていれば読み方は自然に上手になっていきます。
しかし、注意をすれば、すぐに親の前で読むことを嫌がるようになり、結局肝心の音読を続けることができなくなってしまうのです。
小学校高学年になるころから、問読(問題集読書)に取り組むことができるようになります。
国語力をつけるための最適の文章は、新聞のコラムよりも、むしろ実際の入試問題の文章です。
力のある生徒は、この入試問題集の文章を喜んで読みます。力のない生徒は、読むとすぐに眠くなります。だから、ここでも音読が必要になるのです。(つづく)
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記述力をつけるためには、まず難しい文章を読み取る力をつけることです。そのためには、問題集の問題文を読書がわりに読む方法が有効です。それも、一度で終わるのではなく、同じ問題集を5回繰り返し読んでいくようにします。
読む力は書く力の土台ですが、書く力には独自の要素もあります。それがスピードと字数と構成力です。勉強の仕方は、問題集の問題文を読み、自分なりの感想を50字なら50字と字数を決めて書きます。
そのときに大事なことは、書きながら考えたり、途中で消したり読み返したり直したりせずに、最初にしばらく考えたあと字数ぴったりまで一息で書くようにすることです。
作文の字数とスピードは、慣れという面があるので、それぞれ自分なりの癖のようなものがあります。努力して速く書こうとすれば、だんだん速く書けるようになります。長さも、努力によって長く書けるようになります。
書き方のコツは、第一に、文中の言葉をできるだけ使うことです。自分なりに考えたことを書くのは大事ですが、そのままでは幼稚な書き方になることが多いので、それを文中の少し難しい言葉を使って書くようにするのです。
第二に、要求された字数いっぱいまで書くことです。「50字から100字の間でまとめる」というのであれば、書く力のある子は自然に100字いっぱいまで書こうとします。だから、採点する側も、多く書いている子の方に好意的な見方をするのです。
第三に、難しい問題のときも空欄にはしないことです。何を書いていいかわからないときは、設問の文章を一部引用しながら書くぐらいでもいいのです。ただし、これはあくまでも試験のための方便で、これで実力がつくわけではありません。
第四に、物事を対比するような形で書くことです。ただ、「Aである。」と書くのではなく、「Bではなく、Aである。」又は、「確かにBもあるが、しかしAである。」という書き方をすることです。実際にそういう形で書かない場合でも、考え方としては、物事を対比して輪郭をはっきりさせておくことが大事です。
第五に、物事の二面性に着目して書くことです。これも、ただ「Aである。」と書くのではなく、「Bであるとともに、Aである。」「Bである一方、Aでもある。」「Bであると同時に、Aである。」という書き方をするということです。(つづく)
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小さい子に、「赤は止まれ、青は進め、黄色は注意」と教えても、断片的な知識を条件反射的に覚えさせているにすぎなません。ほとんど、「お手」「おかわり」と同じレベルです。
子供には、「赤から青に変わるときは何。」というように、文で教えることが大事です。本当に必要なのは、正解となる知識ではなく、その途中の過程で文を読み取る力だからです。文で話しかけることによって、単なる知識ではなく、理解の力が身につきます。
更に工夫をするには、そこに思考を加えることです。「青から赤にはすぐ変わるけど、どうして赤から青にはすぐ変わらずに途中で黄色が入るのかなあ」などと考える話をするのです。
ここで大事なことは正解ではなく、その途中の過程で考えようとする姿勢を身につけることです。だから、間違ったことを言ってもいいのです。自分なりに考えようとしたことが大事だからです。
子供の頭のよさのほとんどは、問題集のプリントなどによってではなく、この親子の対話によって作られています。
これは、学年が上がっても同じです。
小学3年生以上の作文は、題名課題が中心で、そこに時どき感想文課題が加わります。この作文感想文の課題をきっかけにして、子供が親に似た例を取材する機会が出てきます。
そのときに、親は決して、「そんな似た話なんてない」などと言ってはいけません。たとえ、似た話がすぐには見つからない場合でも、何とか拡大解釈をして似た話を考えようとする姿勢が、子供の考える姿勢を育てるのです。
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小学校低中学年のころの勉強で、難しいものを長時間やらせるのは全くと言っていいほど意味がありません。
なぜかというと、そのころの学年で難しいものでも、学年が上がるともっとずっと簡単にできるようになるからです。低中学年で長時間勉強したことは、高学年になるとずっと短時間でできるようになります。
だから、苦労して低中学年で難しいものを長時間やっていた子と、低中学年で簡単な基本的なものだけ短時間やっていた子とが、同じ高学年になると、すぐに同じレベルになってしまうのです。
よく出される例は英語です。小学校低学年から英語の勉強をしていた子と、中学生になって初めて英語の勉強をした子とで、英語の成績に差があるのは夏休み前ぐらいまでです。中学1年生が終わるころには、その差はもうすっかりなくなり、あとは中学での英語の勉強次第になるのです。
同じことは、算数数学でも言えますし、国語の漢字書き取りでも言えます。知識的な分野の勉強は、先取りすることにあまり意味がないのです。
しかし、低学年からやっていた方がいいこともあります。それは、知識的なものではなく、運動的なものや音楽的なものです。そして、この運動的、音楽的なものと同じものが、国語力なのです。
この国語力は、国語の勉強をして身につくものではありません。読書や対話の中で自然に身につくものです。この自然に身についた国語力が、読解力、思考力、表現力となって表れます。
だから、その子の本当の学力がどのくらいかということは、ペーパーテストを見てもわかりません。ペーパーテストは、一夜漬けでも点数が上がる面を持っているからです。
一夜漬けでは決して上達しないものの一つが作文です。作文の評価は、氷山のようなもので、表面に現れているものの何倍もの隠れている部分があります。その隠れている部分は、その子のそれまでの読書や対話のトータルな質と量なのです。
だから、小学校低中学年からの勉強で最も大事なものは、国語の勉強です。
算数数学や英語の勉強は、あとからでも比較的短期間で取り戻すことができます。しかし、国語力は、表面に表れている差はそれほど大きくは見えないものの、その小さい差を取り戻すことが実に大変なのです。
寺子屋オンエアで、国語の問題集読書を第一の勉強としているのはこのためです。(つづく)
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言葉の森では、寺オンをより充実させるために、現在次のような取り組みを予定しています。
●問題集読書の音読が確実に続けられるように、skypeのビデオメッセージに入れることを考えています。
問題集読書は音読が大事です。答えの書き込みは、音読の準備にすぎません。また、感想50字は、記述の練習という意味もありますが、主に問題集読書の勉強を形あるものにするための方法です。
問題集読書の1回目は、答えを書き込むことに時間がとられるのであまり読めなくてもかまいませんが、2回め以降は音読に専念することが大事です。ところが、多くの子は、感想を書く方だけに力を入れて音読をおろそかにしているようです。
そこで、音読が確実にできるように、音読を毎回skypeのビデオメッセージに3分間以内で録音してもらうことを考えています。
ビデオメッセージは、担当の先生はときどきしかチェックできませんが、生徒にとっては、こういうメッセージ録音のような形に残るものがあると続けやすくなると思います。
また、将来は、このビデオメッセージを、漢字集音読、長文暗唱、英語絵本暗唱などにも広げていく予定です。
●開始時の電話は、楽しい雑談もするようにします。またお喋りのための会場も設ける予定です。
子供たちの学校での勉強は、最初に友達とのお喋りがあり、そのあと勉強が始まり、勉強が終わるとまた楽しいお喋りがあるという形で進んでいます。
寺オンも、最初から最後まで勉強だけでは息が詰まるので、最初は、生徒にその日の近況報告をしてもらい、そのあと勉強を始めるようにしたいと思っています。
この近況報告は、生徒が自分なりに面白く工夫して話ができるようにすると、親以外の大人と詳しく話をする機会になるので、将来面接などの受け答えの練習になると思います。(実益も兼ねて)
また、早く寺オンに参加したとき、寺オンの勉強が終わって一息つきたいときなどに参加できるように、生徒ページのリンク先に「青空が見える校舎の屋上」という会場を設ける予定です。
ここでは、環境映像と環境音楽を流し、空いている先生が待機しているようにし(当面、中根先生)、誰でも自由に話に来られるようにします。
保護者の方も、ご相談やご質問があれば、この「青空が見える校舎の屋上」においでください。勉強に関する質問のような話でももちろん結構です。月~金の16:30~20:00。リンクはその日ごとに更新。
「屋上」に人がたくさん来て入りきれなくなったら、屋上のほかに、「グラウンド」「中庭」「裏山」など新しい会場を人数に応じて設けていく予定です。
※この記事は、今週発行する予定の「寺子屋オンエア通信」の末尾におまけとして書いたものですが、この記事だけでも面白いので、ホームページに載せました。
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そうなんです。
感想50文字をうめるのは、力が入っていて、
音読大丈夫かしら?と気になっていました。
文章を読み取る力をつけさせたいです。
聞かれている事に、確実に答えられるようになってほしいです。
hayashi様、コメントありがとうございました。
これから難読に力を入れるために、実験的にskypeメッセージ録音をやっていく予定です。
当面、屋上にそういうコーナーを作っていきます。
また、ご連絡しますのでお待ちください。
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In Deepというブログを主宰している岡靖洋さんが、6月17日の記事で、ジェイコブ・バーネット君という当時13歳の天才少年の講演の話を載せていました。
これを見ると、これからの勉強の大きな方向がわかる気がします。この少年の言っていることは、ひとことで言えば、何かを学ぶことに時間を費やすのではなく、自分で考えることに時間を使おうということです。
現在、子供たちが勉強しているものの多くは、本質的に必要な学力からかけ離れてきています。特に、受験勉強になると、人間に必要な学力というよりも、テストで差をつけるための学力というものが勉強の中心になってきます。
現在の受験勉強の本質は、パズルのようなものです。だから、解き方がわかれば誰でも解けるようになります。しかし、解き方を知らずに自分で解こうとすると長い時間をかけないと解けません。その解き方をたくさん知っておくというのが今の受験勉強になっています。そして、その傾向は年々加速しています。
この高学年での受験勉強の影響で、低中学年の勉強も、その時期の子供が学ぶ必要の全くないものが入るようになってきています。それは、例えば、算数の問題で、わざとわかりにくい書き方をした文章題などです。それが、低中学年の勉強の難問のように思われていますが、それは難問でも何でもありません。それで何か学力がつくわけではありませんから、そういう難問を解かせる勉強は、ほとんど時間の無駄だと思います。
この時間の無駄と思われる勉強が子供たちの生活時間の多くの部分を占めているために、子供の時期に本当に必要な、自由な遊びや経験や読書や対話や思索の時間が圧迫されているのです。
子供たちが社会に出るころに必要になっている学力は創造力です。これからは、自分の目で世の中を見て、自分の力で新しいものを作り上げていくことが必要になります。しかし、従来の勉強生活に適応しすぎた子は、他人から提供される情報を咀嚼することが中心になり、与えられた目標に合わせることが自分の人生の目標のようになりがちなのです。
しかし、創造力にも土台となるものが必要です。それが、本質的な学力です。差をつけるための勉強ではなく、高校までの教科書レベルの基本的な知識と技能は、誰でも身につけておく必要があります。
そして、もう一つ大事な学力は、思考力です。思考力は、読解力と表現力とセットになっています。社会に出てどんな仕事をするときでも、何かを読み取り、何かを表現する必要が出てきます。その読解と表現には、広義に考えればもちろん数学や理科も含まれます。しかし、多くの人にとって直接必要になるのは、国語的な意味での読解力と表現力です。
ところが、現在の勉強では、国語はさまざまな理由で後回しになっています。その理由は、国語は勉強の仕方がわからない、勉強しても成果が上がらない、そのかわり勉強しなくても0点のようなひどい点数にはならない、からです。
そのため、学校でも学習塾でも、国語は、教科書を読み、漢字の読み書きをし、問題集を解くといような勉強になっています。しかし、これで国語力がつくと考えている先生は、たぶんひとりもいません。
国語の勉強で大事なのは、難しい文章を繰り返し読み、その内容と表現を自分のものにすることです。しかも、それを短時間でよいので、毎日続けることなのです。(つづく)
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今年の企画のうち、面白いと思うものは、一つはいかだ作り、もう一つはウニ遊びです。(海遊びに似ていますが)
それから、1日目に、なかなか寝られないという人がいると思うので、ナイトハイクもあります。
勉強については、普段あまりできないことをやっていきたいと思います。
できれば、その日の様子を撮影して、家族限定のfacebookグループなどにアップロードしたいと思います。
夏の自然寺子屋合宿の参加者は、24名です。(男子14名、女子10名。小2以下(3名)、小3(5名)、小4(7名)、小5(5名)、小6(4名))
参加者には、後日詳細をお送りします。
おおまかな日程は、次のとおりです。
【1日目】7月29日(水)
午前……集合/教室で勉強(昼食の弁当持参)。
午後……野島でイカダ作り。
夕食……自炊
夜……ナイトハイク
【2日目】7月30日(木)
朝食……おにぎり
午前……海岸で遊び(ウニやイシダタミガイがいます)
昼食……バーベキュー
午後……自然動物園
夕食……自炊
夜……作文
【3日目】7月31日(金)
朝食……パン
午前……教室でゲーム/解散
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