作文の勉強には時間がかかります。
特に小学校高学年から中高生の生徒でしっかりと書く子は、大体1時間半ぐらいかけて書きます。
そして、1200字ぐらいの文章を一つ書き終えると、そのあとすぐに何か勉強的なことをするということはなかなかできません。
よく、15分ぐらいで作文を書いて、そのあと30分ぐらい算数の勉強をして、そのあと漢字の練習を10分して、などと予定を立てたくなりますが、作文はそういう細切れの勉強の中にはうまく収まりません。
作文指導の方法の中には、穴埋め方式で短文を作るような練習をするところがありますが、それはただ穴埋め方式の短文を書いているだけで、その練習をいくらやっても作文力がつくわけではありません。
作文力は、ひとまとまりの文章を書く中で身につくのです。
また、1ヶ月に1回か2回作文を書いて、それで作文の練習をしたことにするところもありますが、作文の勉強の理想は毎日何かを書くことです。少なくとも1週間に1回はまとまった文章を書く時間を取る必要があります。
作文の勉強は、心理的な負担の大きい勉強です。
時間が来て机に向かってすぐに書き出すような子はあまりいません。しばらくは、作文以外のほかのことをして、そのうちに心の態勢が整ってからおもむろに書き始めるという始め方をする子がほとんどです。
特に、学年が上になるほどそういう心理的な負担は大きくなるようです。
言葉の森の通信は、先生からの電話指導があるので、その電話をきっかけに書く気持ちがまとまりますが、そういうきっかけがないと、自分で予定を立てて作文の勉強を始めるというのはかなり難しいと思います。
さて、こういう続けにくい作文の勉強を続けやすくするには、いくつかの条件が必要です。
その第一は、読む力をつけることです。
音読(精読)と読書(多読)によって読む力をつけることで、作文力もつき、書くことが楽になってきます。
第二は、いつもよいところを見て褒めてあげることです。
書いたあとに、欠点を指摘し、悪いところを直して上手にさせようとすると、一時的には欠点は直りますが、その後作文の勉強は続かなくなります。
あらゆる習い事や勉強は、続けることで上達します。作文の勉強もまず続けることを第一に考えていくことです。
第三は、事前の準備です。
小学3年生以上の課題は、題名が決まっている作文と、長文を読んでから書く感想文の2種類で作られています。
題名課題のときは、家族に似た話を取材してくるようにします。感想文のときは、その長文の内容を家族に説明した上でやはり似た例を取材してくるようにします。
作文でも感想文でも、材料があれば書きやすくなります。その材料を集めておくのが事前の準備です。
これは、自由な題名の小学1、2年生でも同じです。
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作文の勉強とは、ほかの勉強と比べてかなり負担の大きい勉強です。
小学校低中学年のころはそれほどでもありませんが、高学年や中高生になると、書くことにかなりエネルギーを使うようになります。
その証拠に、小学生の学年別の平均字数を見ると、小4あたりがピークで、小5、小6になると、かえって書ける字数が低下してくるのです。
それは、書く内容に考える要素が出てくるからです。
お母さん方の中には、「ほら、作文なんてさっさと書いちゃいなさい」と言う人がいますが(笑)、小学校高学年以上の生徒にとっては、なかなかそういうわけにはいかないのです。
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受験の主要科目は、国、数、英です。
この中で、最も差がつきにくいのが国語です。というのは、国語は全くできない人でもそこそこの点数を取ることができる代わりに、よくできるからと言って満点を取ることは難しい科目だからです。
これに対して、数学と英語は、勉強力の差がはっきり出ます。特に、数学は大きい問題ができるかできないかで全体の点数が大きく変わってきます。だから、受験を左右するのは、数学と英語なのです。
では、なぜ数学と英語は、勉強力の差が出るのでしょう。それは、問題作成に人工的な要素が盛り込めるので、さまざまなレベルの難しい問題を作れるからです。
だから、学習塾も予備校も、数学と英語に力を入れています。そして、国語には力を入れていません。
国語は差がつきにくいから力を入れないということもありますが、それ以上に、勉強をさせてても力がつかないから、塾でも予備校でも力を入れられないのです。
もちろん、受験指導をするという建前上、塾や予備校は一応国語も教えるようにはなっています。しかし、国語は教えても力がほとんどつかないとわかっているので、問題集をやらせて解説を詳しくするような勉強しかしていません。
国語力をつけるとうたっているところも、せいぜい解き方のコツを教える程度の指導です。解き方のコツがわかると、確かにある程度の点数は上がります。しかし、それは国語力がついたのではありません。
国語力は、実は国語のテストではあまり測ることができません。
本当の国語力は○×式のテストではなく、文章を読み、それをもとに文章を書かせることでわかるからです。
だから、今後、このような国語の試験が増えてくると思います。
本当の国語力は、受験のときにも役立ちますが、それ以上に社会に出てからも役に立ちます。
数学や英語の場合は、社会に出てからはあまり使わない人もいます。逆に、仕事などで使う場合は、学生時代さぼっていた人でもがんばれば比較的短期間で身につけることができます。
これに対して国語力は、社会に出るといやがうえにも使わざるをえなくなります。
文章を読むことでも、書くことでも、話し合いをすることでも、考えることでも、すべて広義の国語力が必要です。
しかも、こういう国語力は、必要になったからといって短期間では身につけることができないのです。
だから、子供時代の国語の勉強は、国語の成績を上げるということももちろん大事ですが、それよりももっと大事なのは、読む力、書く力、考える力をつけるといことを考えていくといいのです。
そういう国語力は、問題集を解くような勉強法では、決して身につきません。
実際に文章を読み、考え、文章書くことによって身につくのです。
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国語力と国語の成績は少し違います。
国語の成績は、解き方のコツによって上げることができますが、国語力は毎日の読み書きによってしか上げることはできません。
そして、国語の成績は、国語力によって上限が決まってくるのです。
受験に役立つのは、国語の成績と国語力の両方ですが、社会に出てからも役に立つのは国語力の方です。
だから、国語の勉強は、成績を上げるだけでなく国語力をつけるつもりで取り組んでいくといいのです。
はじめまして。いつも森川様の記事を楽しく拝読させて頂いております。
現在私は30代前半の社会人ですが、子どもの頃から国語が苦手で、今の仕事でもとても苦労しています。
色々記事を参考にさせて頂き、国語力の向上のために本の暗唱を毎日しております。本は、三木清の『哲学入門』です。300字くらいに区切って、毎日100回音読し、10日間で同じ文章を計千回音読しています。
ただ、私のように30過ぎてもこのように暗唱していけば国語力は向上していくのでしょうか?
ご回答よろしくお願いします。
サムさん、こんにちは。
読んでいただいてありがとうございます。
読むのは自分の興味のある本ですから、「哲学入門」が好きならそれはそれでいいと思います。
しかし、300字を100回は長すぎます。
何事も続けて6ヶ月ぐらいたつと、効果がわかってきます。
もっと短い時間(10分ぐらい)でできるやり方にして、半年継続を目安にしていくといいです。
それから、国語力の基本は多読と難読(復読)ですから、その音読暗唱と並行して、自分が楽しく読める本を1日50ページ以上を目標にして読んでいくといいです。
がんばってください。
ご回答ありがとうございました。
そうですね、結構長い気がしますので、毎日の暗唱する分量を減らして多読と並行してやっていきたいと思います。
アドバイスありがとうございました!
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