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記事 2457番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
遊びは創造性を育てる勉強 as/2457.html
森川林 2015/11/05 09:31 


 子供のころ、近所の原っぱで泥団子を作って遊びました。だんだん、粘土質のあるいい土のあるところがわかるようになり、そこで硬い団子を作って遊んでいました。
 そのうちに、その硬い団子にロウ石の白い粉をつけたらどうなるだろうと思い、団子の周りに塗ってみると、つやつや光る団子になりました。
 そのうちまた、この白い粉に炭を混ぜたらどうなるだろうと思い、ロウ石に炭を混ぜて塗ると、銀色に光る団子になりました。
 そのうちにまた、この泥団子の上にまた泥を塗るとどうなるかと思い、何重にもなった硬い銀色に光る泥団子を作りました。
 遊びの面白さとは、このように次々と創意工夫が生まれてくることです。

 これに対して、小学生のころの勉強は、本当につまらないものでした。
 答えの既にある話を聞いているだけですから、退屈で退屈でたまらず、教科書のほとんどすべてのページに落書きを書いて遊んでいました。

 勉強というものは、小中学生のころは,大部分が枠の決められた世界です。
 これが、高校生や大学生になれば、やり方によっては創意工夫が生かせるのだと思いますが、小中学生の義務教育には、まずそういうことはありません。(灘中の橋本先生の「銀の匙」の授業などはその数少ない例だと思いますが)
 だからこそ、義務教育は教育の基礎として大事なのだとも言えますが、子供にとってはそのつまらなさはやはりできるだけ避けたいものです。
 だから、学校の勉強の枠の決められた時間を取り戻すかのように、放課後は夢中になって遊んだのです。

 遊びがなぜ楽しいかというと、自分の自由意志でいくらでも工夫ができるからです。
 コンピュータ・プログラミングの初期の世界は、こういう遊びで溢れていました。使える材料が少なく必要な知識が限られていたので、誰でも遊びに参加でき、そこで新しい発明や発見をして楽しむことができたのです。
 ところが、その後コンピュータが発達すると、プログラミングの世界は、次第に勉強の世界になっていきました。
 今の若い人が、昔の若い人のようにはコンピュータ・プログラミングに燃えないのは、遊びの要素よりも勉強の要素の方が多くなって来たからだと思います。

 ところで、これからの時代に必要なのは、すべての人が自分の個性と創造性を発揮していくことです。それが、個人にとっても社会全体にとっても、理想となる生き方です。
 すると、これからの教育は、答えのある勉強を教えるだけではなく、創造性を育てる遊びを教えるようになっていくと思います。

 今の教育は、つまらない勉強にカラフルな彩りとおいしそうな味付けをして、何とか子供にたくさん食べさせようとしていますが、本当はそういうところにはもうこれ以上力を入れなくてもいいのです。
 なぜなら、人間には、誰でももともと知的な向上心があるのですから、基本的なところだけをきちんと押さえておけば、あとは必要に応じて学んでいくのです。

 大事なことは、子供たちの創意工夫ができる遊びを考案して、そこで子供たちが自然に工夫することを学ぶ機会を作ることです。
 これからの教育は、勉強の教育と同じぐらい、自由な遊びの教育が必要になってくるのだと思います。

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mae 20161115 9 
昔からある鬼ごっこのような単純な遊びにも「イマドキルール」ができていて面白いと思うことがあります。今、環境自体が昔とは変わりつつありますが、その中で、子供は自由な発想で、遊びに創意工夫をしているですね。

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中学生になる前に、勉強に取り組む姿勢を作る as/2456.html
森川林 2015/11/04 08:50 


 子供が中学生になると、親の手から離れるようになります。勉強面でも、生活面でも、親の指示を待つようなことはせずに、自分で判断してやるようになります。
 しかし、自分でやるようになっても、自分で正しくできるとは限らないのです。

 中学生を見ていて、よく思うのは、勉強に対する位置付けがないまま勉強をしている子が多いことです。
 これまでの経験で、次のような例がありました。そのどの子も、真面目で素直で性格もよく勉強もそれなりによくできている子たちでした。
 一人は、学校から出された宿題を、ほとんど答えを写してやったことにしていました。もう一人は、やはり学校の宿題をいつも友達のノートを写してやっていました。
 また、facebookグループの「中学生の勉強相談室」でよくある質問が、「この答えを教えて」です(笑)。解き方や考え方を教えてではないのです。
 これらに共通しているのは、すべて、人に見せるための勉強という考え方です。自分自身の向上のための勉強ではなく、先生や親に何か言われないように勉強の形だけ見せているのです。

 しかし、こういう子供たちも、成長につれて自然に目覚めていきます。高校受験がある場合は、中学3年生になり受験が迫ってくると、誰に言われるでもなく、勉強の中身を考えるようになります。
 しかし、受験がない場合は、形だけの勉強が中3以降も続くことがあります。

 では、親はどうしたらよいのでしょうのか。
 貝原益軒が81歳のときに著した教育論「和俗童子訓」では、「予(あらかじ)め」という考え方が中心になっています。問題が生まれてから対策を考えるのではなく、問題が生まれる前に対策を立てて実行しておくという考えです。

 これは、中学生の勉強にもあてはまります。
 中学生になる前、つまり小学生のまだ親の言うことをよく聞く時期に、親が指図して勉強をさせることだけに力を入れるのではなく、子供の自覚を促す勉強の仕方に力を入れるのです。

 小中学生の勉強は、難しいと言ってもたかが知れています。特に小4までの勉強は、やれば誰でもできるようになる簡単な勉強です。この時期の勉強でよい点を取るようなことはどうでもいいことです。
 だから、よい点を取ることに力を入れるのではなく、何のために勉強するのかという勉強に取り組む姿勢を伝えることに力を入れていくのです。

 そのためには,例えばテストなどでも、点数を見るのではなく、その点数の中身を見ることです。
 ひとつの例として言えば、次のようなことです。
 子供がテストを見せて、「このテストの最後の方は、時間がないから適当に選んだら○になって百点になった」などと言ったとき(まれな例ですが)、親は、「それは、よかったね」などと言うのではなく、穏やかに次のように言うのです。
「勉強は、自分自身を向上させるためにやるのだから、時間がなかったりわからなかったりしたら、答えを適当に書かずに、ちゃんと×にしてもらうんだよ。悪い点数を取った方が自分のためになるんだからね」
 こういう一言が、子供が中学生になったときに生きてくるのです。

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