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帰国子女と受験作文 as/2461.html
森川林 2015/11/09 09:36 


 帰国子女の受験では、作文、小論文の課題が出されるのが一般的です。
 教科の成績は勉強をしていたかどうかで差が出るので、その生徒が暮らしていた海外の教育環境によっ違いが出てしまうため、あまりあてにならないからです。
 それに対して、作文力はその生徒の思考力と関連があるので、その生徒が持っている学力の可能性とほぼ一致しているからです。

 帰国子女の受験作文で大切なことは、志望校の過去問を分析することです。
 中学受験の場合は、ほとんどが、現地での生活の経験を問うような課題です。しかし、難しい学校になると、世界の平和についてどう考えるかというような、社会的なテーマが出されるようになります。
 高校受験の場合は、現地での経験を問うようなテーマは逆に少なくなり、やはり世界平和の問題や、国によって異なる文化の違いの問題など、より社会的なテーマが多くなります。

 現地での経験を問うような問題の場合、対策は二つあります。
 ひとつは、親子で現地の経験を話し合っておくことです。その話を通して、子供本人が自分の経験の中で作文の材料に生かせる個性的な体験を発見していきます。
 文章の評価には、表現力の評価だけでなく、実例の面白さの評価も自然に入ってくるので、個性的な体験を書けるようにしておくことが大事なのです。

 もうひとつは、子供が作文を書いたあとに、その作文の中の経験をより一般的な視点でとらえられるように、これもやはり親子で話し合っておくことです。
 一般的な視点とは、「人間にとって」とか「人間は」とかいう言葉で表されるような感想のことです。
 例えば、民族は違っても人間の共感の本質は同じだとか、あるいは逆に、現地の文化と日本の文化の違いについて考えさせられた、などという感想です。
 こういう一般的な感想は、小6ぐらいの子供の場合、聞かされれば理解することができますが、自分から考えつくことはなかなかできません。だから、親子の話し合いが必要になるのです。

 社会や文化の問題の場合は、読書によって考える材料を増やしておくことが大切になります。
 高校受験でしたら、次のような本が参考になります。(絶版なので中古しかありません。)
「日本人のこころ」(岡田彰雄 筑摩書房)
http://www.amazon.co.jp/dp/4480880038

 ちなみに、国語の問題で比較文化論が出るのは、日本だけの特徴のようです。それだけ日本文化は、欧米や他のアジアの諸国の文化とは違うところが多いのだと思います。

 作文小論文の対策としては、とりあえず出そうなテーマで10本書いておくことです。その10本をいずれも傑作に仕上げ、それを何度も繰り返し読む練習をしていくのです。

 作文試験のときに、自分がこれまで書いた作文の中から、2つか3つの表現を使うことができれば、実力の120パーセントを発揮したことになります。
 作文試験が、他の教科の試験と比べて不安になりやすいのは、実力が充分に発揮できるかどうかわからないからです。
 自分の書いた傑作を何度も読むという練習をしておけば、ほぼ実力が発揮できると考えておくとよいと思います。

 言葉の森の作文指導の特徴は、構成を重視して書くことです。そのため、評価する人からは、「構成がわかりやすい」とよく言われます。
 構成を重視して書くために、書く本人にとっても書きやすく、読む人にとっても読みやすいのですが、これには長所も短所もあります。
 長所は、実力のある生徒は実力が発揮しやすいということですが、短所は逆に、実力(語彙力)がない生徒の場合は、その実力不足がはっきりと出てしまうことです。
 実力をつけるためには、作文の勉強とは別に,読書と対話とできれ問題集読書によって思考力(語彙力)を鍛えておくことです。

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外国人と日本語――それぞれの関心に合わせた日本語の本の読書会を計画中 as/2460.html
森川林 2015/11/08 10:51 


 外国語を学ぶ動機の中に、読みたい本がその外国語でなければ読めないということがあると思います。

 私(森川林)も、昔、プログラミングの勉強をしようと思ったころ、日本にはいい本がないので、英語の本を取り寄せて読んだことがあります。
 英語を勉強することそのものを目的にしていたのでは、英語の本など読まないのですが、自分で知りたいことがあると自然にそういうことができてしまったのです。

 言葉の森のfacebookグループ「日本語for外国人の島」には、今約340人の参加者がいます。
 参加している外国人の方に共通しているのは、日本のアニメの魅力にひかれて日本の文化に関心を持ったということのようです。

 日本には、アニメ以外にも、欧米にはない独自の豊かな文化があります。この日本の文化を、外国人の日本語学習に生かすことができるのではないかと思ったのです。

 外国人が日本語を学ぶが場合、日本語の文法や単語や短い会話の習得のようなものから入ることが多いと思います。
 しかし、それらのテキストを見てみると、独学でやり続けるには意志力と忍耐力がかなり必要なように思えます。

 日本には、これから両親が外国人だという子供も増えてきます。それらの子供たちに共通している問題があるようです。
 日本語は規則性が高いので、日常会話のレベルでは友達との交流の中ですぐに身につきます。しかし、小5以上になり、勉強の中に概念的な言葉が出てくると、読む力が弱い子は勉強についていけなくなることが多いというのです。

 そこで考えたのが、日本語の本による読書会です。
 日本には、さまざまなジャンルの本が、易しいものから難しいものまで多様にそろっています。外国の本を翻訳したものであれば、そのま英語の原本が対訳として使えます。

 日本語のできる日本人が中心になり、日本語を学ぼうとする外国人や外国人の子供たちを対象に、それぞれの興味とレベルに合わせた日本語の本の読書会を開くのです。
 この読書会には、外国にいる日本人の子供たちや、帰国子女の子供たちも参加できます。

 現在、googleハングアウトやskypeで、距離や国境に関係なく、顔を見ながらリアルタイムで会話が楽しめるクラウドサービスが無料で利用できるようになっています。

 これらのインターネット技術を利用して、今後、「日本語for外国人の島」や「帰国子女の原」のfacebookグループの中で、日本語の本の読書会を開いていきたいと思っています。
 そういうことに関心のある日本人の方は、ぜひご参加ください。

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touko 20160910 77 
「好きこそものの上手なれ」
興味のあることを学ぶためなら、ツールである言語の習得もより容易になりますね。


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