言葉の森では、小学2年生までの作文の題名は自由です。題名課題が出てくるのは小3からで、感想文課題が多くなるのは小5からです。
なぜ、小2までが自由な題名なのかというと、与えられた課題では書くことがないという子が出てくるからです。
小3以上でも、同様に、与えられた題名では書くことがないという場合もあります。しかし、自宅で予習の準備をする際に、お父さんやお母さんに似た話を取材すれば、書くことがないということはなくなります。また、この対話によって実例ばかりでなく、語彙や感想を書く力も向上します。書く前に、書くことを準備するという過程が大事な勉強なのです。
小学2年生までの自由な題名でも、もちろん準備は必要です。それは、お母さんの声かけです。今度の作文にどういうことを書くのか事前に聞いてあげるのです。
小学2年生のころは、毎日が新しい経験ですから、毎日のように「今日のこと」「昨日のこと」を書いてもかまいません。
しかし、中には、書くことがパターン化し、毎回同じように、同じ遊びの話を書く子も出てきます。
そこで、言葉の森では、それぞれの月ごとに、家庭で楽しく取り組める遊びや行事の実行課題を作っています。
https://www.mori7.net/jk/index.php?n=p&p=12&tuki=12
12月の行事でしたら、クリスマスの飾り付けや、お正月の準備、年賀状の作製、大掃除などがあります。それらを遊びに関連させて、芋版で年賀状を作る、松ぼっくりでクリスマスツリーを作る、みかんの汁で文字を書くなど、いろいろな企画が考えられます。
日曜日などに、そういう遊びを家族全体で取り組みます。その際に、できればその遊びの場面を写真や動画で撮っておき、あとで思い出せるようにしておきます。
そして、その遊びの話を、写した写真や動画などを見ながら、次の週の作文の課題として書いてみるのです。
遊びというものは、お金をかけたり時間をかけたりしなければできないものではありません。むしろ、そういうお金や時間をかける遊びは、子供が飽きてしまうことも早いのです。
だから、作文の題材を作るために、旅行に行くとか、ディズニーランドに行くとかいうことは必要なく、例えば、近所の公園でシートを敷いて朝ご飯を食べてみるというような簡単なすぐにできる遊びでいいのです。
この実行課題をもとにした作文発表会を、1月に、幼長から小2までの生徒を対象に行う予定です。(参加は自由)
やり方は、12月の実行課題をもとに(もちろん、実行課題に載っているもの以外でもかまいません)、親子又は近所の子供たちも入れて、行事や遊びに取り組みます。
その取り組みをもとに作文を書き、それを写真や絵と一緒に、12月4週までに「画像の泉」にアップロードしてもらうのです。その際、名前などの固有名詞は消しておくといいと思います。
https://www.mori7.net/izumi/
この実行課題作文発表会は、子供がそれまでに書いた作文の中でいちばん面白そうなものを一つ、写真や絵を添えてアップロードし直すだけですから、手間はかかりません。
この12月の実行課題作文と絵や写真を、1月に、生徒どうしが見られるところに展示します。
実行課題の作文を書く際に注意してほしいことは、子供は作文に、肝心なことは書かずにどうでもいいことばかりを書くもので、それをそのまま認めてあげることが大事だということです。
たとえ、作文という形の中には出てこなくても、親子で楽しく遊んだ経験は子供の中に残っているからです。
「子どもの脳がどんどん良くなる」などの著者鈴木昭平さんによると、自閉症、アスペルガー症候群、多動性障害、学習障害、更にはダウン症などの発達障害の子供たちに共通する原因は、右脳の働きの過剰と、それに対する左脳の働きの相対的な著しい低下にあるそうです。
鈴木さんは、それらの子供たちの活発な右脳の働きを生かし、高速に左脳の言語脳に働きかけるフラッシュカードを使った方法によって、劇的な改善例を生み出しています。
現在、子供たちの発達障害は年々増えているようです。
「発達障害の増加と懸念される原因についての一考察」より
https://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/35777/2/WasedaKyoikuHyoron_26_1_Sakatsume.pdf
この発達障害の軽度のものは、注意力欠如や理性的なコントロールが効かない性格などとなって現れています。
学校における学級崩壊には、こういうコントロールの効かない子供たちによるものがかなりあると思われます。
このような発達障害を持った子供たちは、これまで医療によっても教育によっても改善する見込みはあまりありませんでした。
しかし、鈴木さんの行っている方法によると、そういう子供たちが、早い場合はその日から症状の改善が見られるというのです。
その方法は、私(森川林)なりの言葉で簡単にまとめると、第一は親の笑顔、第二は食事の改善、第三は高速言語入力(インプット)のようです。
この高速言語入力という言葉は、こちらで勝手につけた名前ですので、詳しくは、鈴木さんの本を読んでもらうのがいちばんよいと思います。
「子どもの脳にいいこと」
http://www.amazon.co.jp/dp/4877951571
「やっぱりすごい!! 新・子どもの脳にいいこと」
http://www.amazon.co.jp/dp/4877952020
「子どもの脳がどんどん良くなる」
http://www.amazon.co.jp/dp/4845422298
高速言語入力の原理は、次のようなものです。
まず、発達障害の子どもは右脳の働きが活発で左脳の働きが弱いという仮定から出発します。
それは逆に言えば、左脳の働きが弱かったために、それをカバーするものとして右脳の働きが活発化したとも言えると思います。
右脳は、見聞きしたものを分析せずに、一括して瞬時に処理できるので、通常の言葉かけなどは遅すぎて集中できません。
そのために、落ち着きがなく、周囲に対して理性的な配慮や行動のコントロールができず、興味があるものにすぐ行動を起こしてしまうという結果になるのです。
この活発な右脳の働きを生かして、言語を高速にインプットすることにより、言語脳である左脳の働きを活性化し、左右の脳のバランスを取るというのが、鈴木さんの行っている方法です。
具体的には、ひらがなや色や形の描かれたフラッシュカードを、言葉を声で言いながら0.5秒から0.2秒の高速で次々に見せていくというやり方です。
この際に、鈴木さんが特に強調しているのが、親の笑顔です。笑顔でなければやってはいけない、とまで言っています。
なぜ笑顔が大切かというと、次のような理由があるからだと思います。
まず、子供は直感的に、明るいもの楽しいものの方に目を向けます。その反対に、暗いもの怖そうなものは、本能的に避けようとします。
真面目な親や先生の表情は、暗く怖くなりがちです。そういう状態では、子供は働きかけを受け入れる前に、接すること自体を拒否してしまうのです。
ここからは、私の考えですが、このフラッシュカードによる右脳経由の左脳活性化の先にあるものが、超速読による左脳経由の右脳活性化だと思います。
また、もうひとつの左脳経由の右脳活性化の方法が、超暗唱という方法です。
超速読とは、ただ左脳の力で速く読む速読ではなく、右脳の力で全体を一目で読み取るような速読です。、
超暗唱とは、二百字や三百字の暗唱ではなく、五千字や一万字の暗唱です。
右脳経由の左脳活性化は、発達障害の子供たちを改善する方法ですが、左脳経由の右脳活性化は、通常の子供たちの創造性を高める方法になると思います。
言葉の森の教室にも、これまで、「学習障害と言われたのですが、作文が書けるでしょうか」というお母さんから何件か相談がありました。
これまでの例では、それらの子供たちは、集団生活にはなじみにくい面はあったのかもしれませんが、作文の勉強ではほとんど何の問題もありませんでした。むしろよくできる子の方が多かったのです。
ですから、学習障害という言葉は、学校や病院による無責任なレッテル貼りのようにも思っていました。
しかし、実際に、発達障害と言われる子が増加している現状を見ると、やはり対策を考える必要があります。
今考えているのは、発達障害と言われる子供を持ったお母さんたちと連携して、ウェブ上で改善の工夫をしていく「高速言語入力クラブ」の企画です。
また、もうひとつは、普通の子が五千字一万字の暗唱を目指す「超暗唱クラブ」の企画です。
いずれも、googleハングアウトやskypeやfacebookなどを利用して、相互の交流の中で行っていきたいと思っています。