ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2482番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
英語を学ぶのは小4以降――帰国子女の日本語教育の基本は家庭 as/2482.html
森川林 2015/12/01 10:00 


 外国語を意識的に学んでよい時期は、10歳以降です。その時期以前に、母語以外の言語にさらされると、母語が正しく成長しません。これは、既にいくつかの研究で確かめられていますが、その研究の結果が広がっていないために、いまだに幼児期から英語の勉強をさせてしまう人が絶えないのです。

 中には、親自身が、日常会話で子供に話しかけるときに英語を使っているということさえあります。この結果、どういうことが起こるかというと、肝心の日本語も英語もどちらも中途半端な子供が育ってしまうのです。

 母語が正しく成長しないという結果が出てくるのは、少し年齢が上がってからのようです。ですから、小学校時代は、日本語も英語もどちらもそれなりにできるような気がしてしまうのです。

 言語は、人間がものを考えたり感じたりするための最も根底にある土台です。算数や理科や社会などの教科と同じような勉強のひとつの科目なのではありません。

 言葉の森の生徒の保護者の中には、英語教育に携わっている人もいます。また、子供を英会話教室に通わせている人もいます。ですから、ここで早期の英語教育を批判することは、それらの人の気持ちを逆なですることもあると思います。

 しかし、何事も、おかしいと思ったらやり直せばいいだけです。早期の英語教育に違和感があると思ったら、ただそれをやめて、もっと日本語を豊かにする生活に切換えていけばいいのです。

 日本に住んでいる子の日本語教育は、よくないことをやめればいいだけですから簡単です。
 しかし、難しいのは、海外に住んでいる日本の子供の日本語教育です。特に、小学校3年生までの低学年の時期に海外で暮らさざるを得ない場合は、かなり厳しい環境に置かれていると考えられます。

 低学年の日本語教育は、家庭でしかできません。
 これが、日本語力が既に定着している小学校4年生以降の海外生活であれば、既に形成されている日本語力の基礎の上に現地の言葉を学べばよいのですから、かえってプラスになります。
 小3以前か小4以降かという時期の違いが決定的なのです。

 しかし、小3以前の子供の場合は、親との生活を楽しむ時期という有利な点があります。小4以降になると、親よりも友達との生活の方が優先されるようになります。ですから、この親と一緒にいることを好む時期の利点を生かしていくことが大事です。

 そのためには、海外で生活する場合でも、家庭では日本語で話すことを徹底することです。父親が日本人でない場合は、父親はその父親の言語で、母親は日本語でという区別をはっきりさせておけば、子供は混乱しません。
 日本人である母親が、日本語と現地の言葉を両方使うようなことを家庭で行うと、混乱が生じるのです。

 今、日本では、国際人を育てるという名目で、英語教育の必要性がさまざまなところで唱えられています。しかし、コミュニケーションの道具としての言語は、今後必ず機械によって代替されるようになります。それは、自動車の自動運転が昔は夢物語であったのに、今では現実の日程までのぼってきているのと同じです。

 道具には、道具として発展する方向が内在しています。道具の不十分さを人間の努力で補うというのは、過渡的な現象です。
 人間は、道具には委ねられない人間だけができることに、時間を費やしていくべきなのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
帰国子女(12) 英語教育(10) 

記事 2481番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
21世紀に求められる教育と仕事と森林プロジェクト as/2481.html
森川林 2015/11/30 11:01 


 塚澤健二さんの「そして偽装経済の崩壊が仕組まれる」(ビジネス社)に、「これだけ違う『二十世紀』と『二十一世紀』の価値観」と題して、わかりやすい対応の表が書かれています。
http://www.amazon.co.jp/dp/4828418504
 20世紀は、成長社会で、戦争の世紀でした。そこから、経済的な用語にも、ストラテジー、タクティクス、ターゲットなど戦争用語が使われていました。
 それに対して、21世紀は、成熟社会で、生命(生物)の社会になっています。使われる用語も、インキュベーション、ハイブリッド、コラボレーションなど生物学的な用語が多くなっています。

 また、20世紀は、正解のある時代で、良い大学を卒業して大企業に就職することがひとつの幸せのパターンになっていました。そこで求められる能力は、試験処理能力で、良いか悪いか、損か得か、正しいか正しくないかが客観的に判断できる社会でした。

 これに対して、21世紀は、正解のない時代で、良い大学を出ることや大企業に入ることが必ずしも成功とは言えなくなっています。こういう社会で求められる能力は、クリエーション能力で、好きか嫌いか、信じるか信じないかを基準に、自分を軸として決断することが求められるようになっています。

 戦後すぐの1950年のころのサラリーマン比率は34パーセントでした。これが2012年には88パーセントになっています。つまり、ほとんどの人が会社に勤めるような人生を送っています。
 これまでの社会では、会社勤めは正解でした。会社が成長する形で、日本が成長してきたからです。しかし、これからの時代は、日本の成長が鈍化する中で、会社の成長も停滞してきます。そして、その中でもなお成長を続ける会社は、機械化を進め、雇用を減らしていけるような会社です。

 これからの子供たちが暮らす社会は、正解のない社会です。だからこそ、そこで必要になるのがクリエーション能力と決断力なのです。
 では、これまで正解のある人生を送ってきた大人が、正解のない社会での生き方を子供に伝えることができるかと言えば、それは難しいと思います。

 そこで生まれているのが、女性を中心としたミニ起業志向ではないかと思います。
 たぶん、多くの人は、これからの社会は自分の力で仕事をしていかなければならない社会になると直観的に感じています。それがたとえ小さな試みであっても、自分自身がそういう経験を少しでもしていれば、子供が同じような決断をするときに助けになることができるのです。

 政府は、昨年全国300か所に創業塾を開き、全国で13000人の創業希望者を募りました。
 日本の国自体が、これからは独立起業精神を持った人が続々と現れるのでなければ発展しなくなっているのです。

 言葉の森は、現在、森林プロジェクトという、誰もが作文指導を行える仕組みを作っています。このプロジェクトに、今後は寺子屋オンエアの指導を組み合わせ、そこに、作文検定や暗唱検定やプレゼン作文発表や幼児親子作文などの企画を取り入れていきたいと思っています。

 誰もが小さな独立の仕事を始めることによって、日本の社会が活性化していきます。
 世の中には、少子化だから需要が減るのは仕方ないと考える人もいますが、人口の多さが生み出す需要は、結局「物」の需要でしかありません。

 これからの時代に必要なのは、「物」の需要ではなく「事」の需要です。そして、「事」の需要は、人口に比例するのではなく、その国民の文化度や向上心に比例します。
 そういう新しい社会を切り開く大きな可能性を持っている国が日本なのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森林プロジェクト(50) 政治経済社会(63) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習