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問題文の接続詞を四角で囲む子――国語の勉強法は他の勉強法とは異なる as/2507.html
森川林 2015/12/30 07:40 


 国語の問題文の読み取りの仕方で、線も何も引かずにきれいに読む子がいます。そういう読み方では、設問を見て問題文に戻ったときに、該当する箇所がすぐに見つかりません。だから、正確に読み取れません。
 問題文には線を引いて読む必要があります。

 一方、問題文に、ていねいにも接続詞は四角で囲み筆者の意見は波線を引き、というような読み方で読む子もいます。これでは、時間がいくらあっても足りません。
 今の国語の問題は、差をつけるために読む文章の量が多くなっています。途中で考えたり、読み返したりしている暇はないのです。

 では、どうして、このような接続詞を四角で囲むというやり方をするかというと、国語の勉強をいかにも勉強らしくやりたいという事情があるからです。同じように、わからない言葉を逐一辞書で調べるというのもそうです。
 そういう明確な方法論を持った勉強をしたいという気持ちはわかりますが、それはあくまでも外見上の勉強らしさです。

 国語の勉強法は、他の教科の勉強法とはかなり異なります。それは、スポーツや音楽の勉強法と似ています。理屈でわかる以上に、自然に体が動いていくまで練習することが必要なのです。
 国語の場合の練習とは、入試問題のレベルの文章を読み慣れることです。その際、線を引いて読みますが、途中で確認のために立ち止まったり読み返したりはしません。ただひたすら前へ前へと読んでいき、線を引くのは、面白いと思ったところだけにします。

 ときどき、大事なところに線を引くと考えている人がいますが、読んでいる途中にその箇所が大事かどうかはわかりません。大事なところがわかるのは、全部を読み終えてからです。だから、読んでいる途中は、面白いと思ったところ、よくわかったところ、という主観的なところに線を引くのが大事なのです。

 主観的な線の引き方をして、最後までできるだけ早く読み終えるようにすると、文章の全体像がわかります。国語の場合は、この全体像がわかるということが最も大事です。
 特に、入試問題の場合は、次のような性格の文章がよく出題されるのです。

 ひとつは文章の書き出しの部分に、難しくわかりにくい、しかし内容的には意味のない文章が入ってくることです。読む力のない生徒の多くは、ここをじっくり読んでしまいます。読む力のある生徒は、「わかりにくい文章だなあ」と思いながらも気にせずに先を読んでいきます。それは、最後まで読めばわかるという見通しがあるからです。
 実力のないときほど、難しいことを重要だと思い、実力がついてくるほど、難しいところも易しいところも同じウエイトで読めるようになるのです。

 もうひとつは、文章の最後の数行にあたるところで、全体の意味がやっとわかるような話が入ってくることです。だから、問題文を最後まで早く読んだ人ほど理解が深まり、途中の難しいわかりにくいところを詳しく読み取ろうとした人ほど理解が浅くなるのです。

 さて、問題文を最後まで読み、設問に取りかかると、もう一度問題文に戻って確かめる作業が必要になります。そのときに、主観的に線を引いたところが生きてきます。
 線を引いた箇所が、「面白いと思ったところ」「自分なりによくわかったところ」という主観的なものですから、その箇所が目印になって、探したい箇所がすぐに見つかります。
 これがもし、「その文章に即して大事なところ」という客観的に見えるが、自分の感情が動いていないところであると、その線を引いた箇所は目印になりません。
 道を覚えることと似ていて、目印は主観的な最初にピンと来たところがいちばんいいのです。

 一方、問題文をきれいに、線も引かずに読んでいる人は、戻って確かめるという作業にもっと時間がかかります。
 よく、設問を先に見てから、問題文を読むという読み方をするという人がいますが、これもほとんどの場合かえって時間がかかります。

 しかし、こういう主観的なところに線を引いて最後まで素早く読むという読み方は、慣れていないとできません。だから、練習量が必要になります。
 練習量を確保するためには、国語の問題集などを解いてたのでは駄目です。問題を解かずに問題文を読む練習だけをしていくのです。

 物語文の読み方は、説明文の読み方とは少し異なります。この場合も線を引きながら読むことは同じですが、その物語的な文章に没頭して味わいながら読むのです。自分がその中の登場人物であるかのように読んでいると、設問を見たときにも、自分の経験を聞かれているような感じですぐに答えられます。

 この場合も、物語の本を没頭して読んだ経験が生きてきます。だから、国語力は、問題集を解くような勉強をするよりも、好きな本を味わいながら読んでいた方がずっと力がつくのです。

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めぐちゃん 20160401  
国語力は読む力だとハッとしました。
勉強の仕方が間違っていたように思います。


森川林 20160401  
 めぐちゃんさん、ありがとうございます。
 国語ははっきりした成果が見えにくい気がすると思いますが、読む勉強をしていくと必ず成績が上がります。

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満ち潮の時代、引き潮の時代――ブルーオーシャンはどこにでもある as/2506.html
森川林 2015/12/25 21:16 


 満ち潮の時代というのは、人口が増えて、所得が増えて、シェアが広がり、売上が上がり、規模が大きくなり、部下も増えていくという経済成長の時代です。
 それに対して、引き潮の時代というのは、人口が減って、売上も減って、所得も減り、規模も縮小していくという今のようなデフレの時代です。

 満ち潮の時代では、大きい船に乗ることが成功の条件でした。
 だから、勉強にしても、スポーツにしても、音楽にしても、できるだけメジャーなものをやっていた方が潰しが効きました。
 大きい船に乗っていれば、船自体が満ち潮で上昇していくので、小さい船に乗っているよりも見返りは大きかったのです。

 今の大人の多くは、こういう満ち潮の時代を生きてきました。だから、その時代の価値観が根強く残っています。
 そのために、つい多くの人がやっているのと同じものをやる方がプラスになると考えてしまうのです。

 ところが、現代は既に引き潮の時代になっています。
 引き潮の時代では、何もかもが縮小していきますから、大きい船に乗っていると、今度は逆に減っていくものを奪い合う競争が小さい船よりも激しくなります。
 満ち潮のときに有利に働いていたものが、引き潮のときには反対に働くようになるのです。

 しかし、こういう引き潮の時代の対処の仕方を経験している大人はほとんどいませんから、引き潮の時代でもまだ、より大きなより安全な船に乗ることを志向してしまうのです。

 今の日本の社会を見てみると、さまざまな分野で、何々不況というものが生まれています。
 人口が減っていて、必要なものがほぼ満たされている社会では、物は年々売れなくなっていくのが当然です。

 そして、たまに市場の広がる分野が見つかると、参入者がどっと入ってきます。そして、そこもすぐにレッドオーシャンになります。
 もう仕事を引退したような年配者だけは、とりあえずこれまでの蓄積があるので、危機感をそれほど感じてはいないというだけです。

 では、引き潮の時代には、どういう生き方をしていけばいいのでしょうか。
 そのコツは、メジャーなものから離れて、誰もがあまり見向きもしない小さな個性的な船に乗ることです。
 引き潮の時代には、小さな船だから入れるような小さな入江があちこちにできます。そこでブルーオーシャンを見つけていくのです。

 満ち潮の時代は、誰もが納得するような合理的な答えがある時代でした。だから、みんなが迷わずその道を選ぶことができました。
 引き潮の時代には、誰にも共通するような答えはありません。勘と運と持続力だけが頼りです。
 しかし、だから、逆に面白い時代だとも言えるのです。

 そして、潮の満干(みちひ)があるように、引き潮の時代のあとには、また満ち潮の時代が来ます。
 そのときに来る満ち潮は、今の満ち潮とは違うところに広がります。
 今の引き潮の時代は、次の満ち潮の準備の時代とも言えるのです。

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