勉強の中には、知識の再現性を評価するものがあります。それは、時間をかけて努力すれば、ある意味でだれにもできる分野です。例えば、「日本でいちばん長い川は」「信濃川」という、クイズ番組のような学力です。
しかし、本当に考える力のある子は、こういう単なる「知っている」という知識にはあまり興味を持ちません。逆に、考える力のある子供たちが好きなのが作文です。それも、学年が上がり、自分なりに考える要素が増えてきた作文は、書くこと自体が知的刺激になります。
考える要素のある作文とは、例えば、「宿題はよいか悪いか」という題名を複数の理由で書くというような作文です(中1の課題)。この課題で、中学1年生が作文を書くと、理由を考えるという抽象的な思考ができずに、単なる実例だけを書いてしまう子がかなりいます。しかし、実例を書くのはまだいい方で、中には、「よいか悪いか」という問題の立て方ができずに、「好きか嫌いか」という感覚のレベルで考えてしまう子もいます。(大人でもいると思いますが)
理由や方法や原因という抽象的な思考をすることができず、すぐに実例を書いてしまう人は、現実の世界もやはり実例としてしか見ていません。そういう人は、話題は豊富なように見えますが、その話題の背後にある本質を考えることはあまり得意ではありません。
抽象化能力とは、現実の背後にあるより抽象度の高い本質を見る力です。高学年の作文力の中心は、この抽象化能力ですから、作文力のある子は、社会に出てからもますますその学力に磨きをかけていくことができるのです。
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質問:書くのに時間がかかりすぎ、ほかの勉強に差支えが出てくるのですが。
回答:書き始める前に、「今日は90分で終わる」などと制限時間を決めて、その時間になったら、途中であっても、「つづく」という形にして終了するようにしてください。
生活時間との関連で、「今日は忙しいから15分でとりあえず要約と感想だけ書いておしまい」などとしてもいいと思います。
できるだけ翌日以降に持ち越さず、その日のうちに片付けるようにすることが大事です。
質問:国語の成績がなかなか上がらないのですが。
回答:まず、実際に成績の悪かった国語のテストを親子でもう一度解き直してみることです。そうすると、弱点がわかります。
よくある原因は、速読力の不足、難読力の不足、解答の仕方の不理解です。速読力と難読力をつけるためには、問題集読書が効果があります。毎日10ページなどと目安を決めて読んでいくといいと思います。(参考ページは、「国語の勉強法」)
https://www.mori7.com/bennkyou.html
質問:作文がなかなかじょうずにならないですが。
回答:作文力は、その子のそれまでの読書や対話などの言語生活を反映したものですから、上達に時間がかかります。また、小学生のときにいい作文を書いていた子が、中学生の意見文中心の課題になると一時的にうまく書けなくなることがあります。しかし、いつもよいところを褒める一方で、毎日の自習を続けていれば、作文力は必ず上達してきます。
子供の勉強は、毎日自習をして作文を書くことで、お母さんの勉強は、それを毎日褒め続けることと考えて取り組んでいってください。
質問:どんな本を読んだらいいのでしょうか。
回答:原則は、子供が楽しく読める本です。日本の子供向けの読書環境は充実していますから、書店や図書館で手に入りやすい本でかまいません。本の奥付を見て、印刷回数の多いものであれば人気のある本です。
漫画は悪くはありませんが、漫画しか読まないと読解力は低下します。また、テレビやゲームの時間が長すぎると読解力は低下します。
大事なことは、どんな本を読むかということよりも、家庭で毎日必ず読書時間を確保することです。「毎日、家での勉強のあとに読書を50ページ以上」などと決めておくとよいでしょう。
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ブレーカーの工事をしていたために、本日5月21日(木)11:30〜16:30まで事務局の電話が使えませんでしたが、いま直りました。
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現在、事務局が停電中のため電話が使えません。
しばらくお待ちください。
5月21日13時
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パソコンで作文を送信すると、森リンの点数が表示されます。
この点数は、作文検定の点数と大体同じです。どういう文章を書くと点数が高くなるかということを研究していきましょう。
▼級ごとの難易度
小学生の級は、目標の字数が書けていればほぼ合格圏内です。中学生の級は、目標の字数が書けていてしかも項目と表記ができていれば大体合格圏内です。しかし、高校生の級は、語彙の点数が高くないと合格圏内に入りません。また高校生の級からは誤字も減点になるので、誤字があるだけでも合格はかなり難しくなります。
▼字数が最重要
小1は200字、小2は400字、……小6以上は1200字が字数の目標です。小6以上の人は、75分以内にこれだけの字数を書くのですから、書くことにかなり慣れている必要があります。時間をかければ長く書けるという人は、早く書き上げる練習をしていきましょう。時間をかけても長く書けないという人は、書く力よりも先に読む力をつけていきましょう。
▼思考語彙は、考える言葉
思考語彙は、論理的に書く文章では点数が高くなります。したがって、実例を生かして書く小学生の作文では、この点数はあまり高くなりません。文章のジャンルによって点数の枠が決まってきますから、小学生のうちは、思考語彙の点数はそれほど高くなくてもかまいません。高校生で思考語彙の点数が低い場合は、接続語や助動詞を工夫して論理的な文章を書いていくように心がけましょう。
▼知識語彙は、難しい言葉
知識語彙は、学年による成長の差が点数の差として出やすい分野です。例えば、小学生が「おなかがすいたので」と書くところを、高校生は「空腹なので」などと書きます。文字数は少なくなりますが、その文字が表す意味は変わらないので、密度の濃い言葉で書くことになります。このような語彙が知識語彙です。知識語彙は、実例のジャンルによっても異なってきます。身近な体験実例よりも社会的な実例の方が知識語彙の割合は高くなる傾向があります。高校生で知識語彙の点数が低い場合は、社会実例を増やしていくように心がけましょう。
▼表現語彙は、語彙の多様性
表現語彙は、語彙の種類の多様性です。「ご飯を食べて、たくあんを食べて、さしみを食べた」と書くよりも、「ご飯を食べて、たくあんをかじって、さしみをつまんだ」と書く方が、表現語彙の点数は高くなります。表現語彙の点数が低い場合は、できるだけ多様な表現をするように心がけましょう。
▼語彙のバランス
思考語彙、知識語彙、表現語彙のうち、ある点数だけが突出して高いと、文章のバランスが悪くなるので、かえって総合点は低くなります。例えば、思考語彙だけが高いと、骨組みだけの堅苦しい文章になります。知識語彙だけが高いのは、経済用語などを使いすぎて重い文章になっている場合です。表現語彙だけが高いのは、固有名詞などが多く、事実の羅列になっている文章です。全体のバランスを考えながら、それぞれの点数が高くなるようにしていきましょう。
▼項目
それぞれの級に必要な項目があります。項目は、キーワードが入っているかどうかが基準で、キーワードが入っていないと減点になります。内容的にできているかどうかということで評価をすると、検定委員の主観による差が出てしまうので、単純にキーワードの有無で評価をしています。
▼表記ミスと表記注意
表記ミスは、小4以上の段落、小5以上の常体統一、高1以上の誤字なし、ができていない場合の減点です。高校生以上は、漢字で書くところをひらがなで書いていた場合も誤字と同じ扱いとなります。
表記注意は、表記上の注意ですが、減点にはなりません。
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3月4週に行った作文検定模試の結果を、5月中に返却します。
検定結果の見方でわかりにくいところがありましたら、掲示板などでご質問ください。
https://www.mori7.com/hubo/
[1a]
作文検定の結果が出ています。該当の級に合格しなかった場合は、「○点証明」のように、点数の証明だけを行っています。
最高点は100点前後ですが、全体の点数の分布によって決まる点数なので、100点満点ではありません。(点数については、以下同じ)
[1b]
該当の級に合格した場合は、「○点○級認定」のように、級の認定を行っています。
[2]
作文の総合点です。この総合点から、表記ミスや項目不足の減点をした点数が作文検定の点数になります。
[3]
作文の字数です。改行などによる空白を入れない正味の文字数です。
[4]
思考語彙の点数です。考える語彙が豊富な場合は高得点になるので、作文のジャンルによって大きく異なります。一般に生活作文が中心の小学生の場合は点数が低く、論説文が中心の高校生の場合は点数が高くなります。
下の棒グラフは、全体の点数の分布と自分の点数の位置を表しています。(グラフについては、以下同じ)
[5]
知識語彙の点数です。複雑な概念を表す言葉が多いと高得点になります。一般に、小学生では点数が低く、高校生では点数が高くなります。
[6]
表現語彙の点数です。語彙の多様性を表しています。実例の種類を広げたり、言い回しの仕方を工夫したりすることによって点数が高くなります。
[7]
総合点の位置と思考語彙、知識語彙、表現語彙の点数の位置を表しています。
総合点は、字数、思考語彙、知識語彙、表現語彙のバランスによって決まります。
[8]
思考語彙、知識語彙、表現語彙をイメージ化したものです。ひし形の縦と横の長さが同じに近いほどバランスが取れています。
[9]
検定委員による講評です。
[10a]
受検した級の項目とキーワードの表です。
[10b]
キーワードが入っていない場合は、キーワード不足の減点が表示されています。
[11]
手書きの原稿をもとに、検定委員がテキスト化したものです。このテキスト化した原稿をもとに字数や語彙の集計をしています。
※テキスト化した原稿には入力ミスがある場合がありますが、その入力ミスによって点数が低くなることはありません。
[12]
手書きの原稿です。
※今回はスキャナの設定が変わったため、きれいに読み取れない原稿がかなり増えてしまいました。読み取れない原稿は原本で照合してテキスト化しています。
[13]
表記ミスの表示です。
小4以上は、段落ができていないと減点、小5以上は、常体統一ができていないと減点になります。
高校生以上は、誤字も減点になります。
[14]
表記注意の表示です。
表記注意は、「これからできるだけ気をつけましょう」という意味なので、減点にはなりません。
[15a]
受検した級に合格しなかった場合は、取得した点数の証明書が発行されます。
この証明書は、外部に対する正式の証明書としての効果はありません。
[15b]
受験した級に合格した場合は、取得した級の認定証が発行されます。
この認定証は、外部に対する正式の認定証としての効果があります。
(ただし、作文検定模試の場合は、正式の認定証とはなりません)
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言葉の森の低学年の長文音読を難しく感じる方が多いと思います。
読む力には個人差があるので、長文音読は、次のように進めていってください。
第一に、その子が無理なく読めるところまでを毎日読むようにするということです。
一編の長文を全部読むのに時間がかかる場合は、最初の一段落だけ読んでおしまい、という形にしてかまいません。大事なことは、一日の量は短くてもいいから毎日読むということです。
第二に、いつも褒めてあげるということです。どんなにつっかえて読んだとしても、読み終えたときに、「だんだん上手に読めるようになってきたね」と褒めていると、不思議なことに本当に上手に読めるようになっていきます。どうしても、子供の読み方が気になって直したいという場合は、「今日は、お母さんが読むから聞いているだけでいいよ」と言って、お母さんやお父さんが読んで聞かせてあげてください。それを何度か続けているうちに、読み方の指導をしなくても同じように読めるようになってきます。
第三は、意味のわからない言葉が出てきたときです。長文の中には、低学年の子が日常には接しないような言葉が出てきます。しかし、そのときに意味を調べさせる必要はありません。音読の目標は、すらすら読めるようになることですから、意味不明の言葉でもそのまま読めればそれでいいと考えていってください。
しかし、子供は、何度も読んですらすら読めるようになり、読み方に余裕が出てくると、必ず意味のわからない言葉を聞いてきます。そのときこそ、お父さんやお母さんの出番です。その言葉の意味をお父さんやお母さんの今持っている知識の範囲で(つまり新たに辞書などで調べたりせずに)説明してあげるのです。聞く力が育つのは、聞きたいことを聞くからです。そして、説明するときは、できるだけ面白く長々とお喋りを楽しむようなつもりで話してあげることです。
このような音読の仕方によって、読む力や聞く力とともに、親子のコミュニケーションも育てていくことができます。
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文章を読む力は、想像以上に大きな個人差があります。
計算力や漢字力は点数に表しやすいので、一見大きな個人差があるように見えますが、実はその差は大きくありません。
これらの勉強は、勉強した量に比例して身につくものなので、あとからいくらでも追いつくことができます。小学校低学年の成績はあてにならないというのは、この理由からです。
ところが、文章を読む力(読解力)はそうではありません。
文章を読む力は、だれもが同じように持っています。点数に表しにくいので、どの子もあまり差がないように見えます。これは、聞く力も同じです。
しかし、読む力や聞く力は、勉強した量に比例して身についたものではありません。日常生活の中での読む経験や聞く経験を通して、あたかも自然に身につくかのように身についていったのです。
読む力や聞く力の差は、次のようなときに表れます。説明書などの文章を渡されたとき、読む力のある子は、だれに言われなくてもすぐに読み始めます。読む力のない子は、自分からは読み始めません。自分では読まずに何が書いてあるかを他人に聞こうとします。
学校の先生などが、少し込み入った説明をするとします。聞く力のある子は、一度でそのとおりに実行します。聞く力のない子は、難度も聞きなおしますが、なかなか実行できません。
これらの読む力や聞く力は、その子がこれまでの日常生活でどれだけ読む力や聞く力を使ってきたかということに比例しているので、一度差がつくと、その差は広がるばかりとなります。
低学年のころは、目につきやすい勉強に力を入れるのではなく、目につかない読む力や聞く力を育てていくことが大切です。読書や対話が重要だというのは、そのためです。
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