寺子屋オンエアでは、子供は、家庭で自分の決めた時間に勉強に取りかかります。その際に、その日に何の勉強をどこまでするかという目標を先生に連絡します。
勉強の開始時刻に寺子屋オンエアの画面に入ると、既に先生がいて、同じ時間帯で勉強しているほかの生徒もいます。生徒の場合は、カメラが机上に向いているので、見ようと思えばほかの生徒がどんな勉強をしているのか見ることができます。しかし、実際には、そういう他人のことは誰も特に関心は持たず、自分の決めた勉強に取り組みます。
寺子屋オンエアではない場合の家庭学習の弱点は、孤独な勉強が長続きしにくいことにあります。しかし、寺子屋オンエアの場合は、先生もいるし、一緒の時間に勉強している生徒もいます。しかも、自分が勉強する内容をあらかじめ先生に連絡しているので、勉強が終われば先生にその日の勉強の内容を説明することになります。だから、ひとりでも集中して勉強することができるのです。
しかし、もちろん中には、わからないところを適当に飛ばして勉強してしまう子もいます。ここで大事になるが親の役割です。
寺子屋オンエアでは、先生がその子の勉強の概要を把握しチェックするだけでは不十分なところもあります。そこで、親がその時間にその場にいない場合は、帰宅後でいいので、子供に、その日の勉強でわかったこととわからなかったことを説明してもらうのです。
子供が熱心に説明すれば、それはよく理解できていたということです。その反対に、子供がよくわからないと言うところがあれば、親が一緒に考えてあげます。
小中学生の勉強は、親の助けで解決するものがほとんどです。解説の詳しい参考書的な問題集であれば、その解説に沿って説明すればいいのですからそれほど苦労することはありません。しかし、中には親では説明しにくいものもあるかもしれません。その場合は、親が先生に質問して確認しておけばいいのです。
小中学生の勉強で大事なことは、能率よく教えてもらうことではありません。もともと義務教育のレベルの勉強は、誰がやってもできるようになるものです。
大事なことは、自分で勉強する習慣をつけること、その勉強の中身を親が把握していること、必要に応じて相談できる先生がいることです。
この中で特に大事なのが、自分で勉強する姿勢を子供のうちから作っておくことで、この姿勢は、塾や予備校に通うとか、ノルマを課されるとか、賞や罰や競争で意欲づけされるとかいう形ではかえって育ちません。
本当の勉強は、高校生や大学生になってから始まります。そのときに自分の意志で進んで勉強するようになるために、小中学生時代のうちに、自分で勉強する習慣をつけておく必要があるのです。
さて、オンエア特別講座の読書感想クラブで個性を伸ばし、寺子屋オンエアで全教科のバランスのよい学力をつけたあとに、もうひとつ大切な勉強があります。それは作文です。
勉強に限らずどの分野でも、最後に必要になるのは読む力と書く力です。
外国語の学習でも、ヒアリングとスピーキングは、身近なコミュニケーションのためには必要ですが、それだけではその外国語で学問や仕事をする段階にまで行きません。聞くこと話すことに比べて、読むこと書くことは質の違う難しさがあるのです。
これは、日本人における日本語の場合も同様です。上手に喋る人はたくさんいますが、上手に文章を書く人はずっと少なくなります。
文章を書くということは、勉強や仕事の集大成という面があります。それ以外にも、考えを深めるために文章を書くという面もありますが、他人に見せてわかるように書くということは、作文の勉強の第一の目標で、それはそれまでの勉強全体のまとめという意味を持っているのです。(つづく)
※次は、「作文を書くこと――プレゼン作文発表とオンライン作文指導について」です。
今の受験中心の勉強の弊害は、よくできる子にも、普通の子にも、よくできない子にも表れています。
よくできる子は、自分のペースで先の学習まで進んだり、より難しい問題に取り組んだりしていけばいいのです。それは、受験の勉強を先取りするということではありません。受験勉強の先取りは、かえって頭を悪くします。
受験的な勉強は、受験の最後の1年間でやればいいと考えて、それまでは本当の学力をつけるための教科書レベルの勉強を先取りし、自分の興味に応じてより高度な勉強も追加していけばいいのです。
自分のペースでする勉強の方法が、家庭での自学自習です。
ただし、子供が自分の力で自然に自学自習するということはまずありませんから、大人が、自学自習しやすい体制を作り、それを運営していく必要がります。
しかし、それは、大人(親や先生)が子供に一方的に教えこむような従来のスタイルの勉強ではありません。大人は、体制を作り、子供の自学自習がスムーズに行くようにやり方をチェックし、必要に応じて子供の質問に答えるという役割に留まります。
大人がリーダーとなって引っ張っていくのではなく、子供が自主的にやることを、大人がサポートしていくという役割です。この大人とは、親と先生ですが、特に小学生までは親の役割が重要になります。
例えば、子供が算数の勉強をしていてわからない問題にぶつかった場合、解説を読んでもわからないとき、子供は普通、身近な人である親にまず聞きます。そのことによって、親は子供の学習レベルがわかり、子供の理解度に応じた説明をすることができます。
そして、親が説明をしても子供がよく理解できない場合は、今度は親が先生に説明の仕方を質問するという形に進みます。そして、その結果をやはり親が子供に伝えなおしていくのです。
中学生の義務教育までの勉強では、子供の質問はすべて親が最初に対応するつもりで臨んでいくことです。そのことによって子供の勉強の実態がわかり、早めに的確なアドバイスができるようになるからです。
自学自習のもとでは、親子の勉強はそれほど多くの親の時間を取るものではありません。
親が子供に教え込む形の勉強では、子供の勉強時間と同じ時間だけ親がつきっきりでいなくてはなりません。しかし、自学自習の勉強の体制ができれば、子供は勉強時間のほとんどを自分の力でやっていきます。
親は、勉強の結果を子供に聞き、子供にわかったこととわからなかったことを説明してもらえばいいのです。子供が、わかららないところをは手を抜いてやっているのではないかという不安がある場合は、いくつかポイントを絞って質問し、子供に答えてもらえばわかります。
そして、親は子供が自分の力ではわからなかったところだけ一緒に考えて説明してあげればいいのです。その上で、親にも説明しにくいところがあれば、親が先生に質問し、それをまた次の日に親が子供に説明していきます。これが、家庭における自学自習のスタイルです。
ところで、今の教育方法の多くは、こういう自学自習の形ではありません。
低中学年の早い時期から勉強を外部の機関(塾や通信教育)に任せると、親が子供の勉強の実態が把握できなくなります。親が見ることのできるのは点数という結果だけで、勉強の中身はブラックボックスになっていきます。すると、親がアドバイスできるのは、子供の勉強の取り組み方という外見だけになり、「遊んでいる暇があったら勉強しなさい」などという外側からの強制しかできなくなってきます。
こうなると、子供はポーズとして勉強するようになります。ポーズの勉強とは、簡単にできる問題を手を動かして長時間解くような勉強です。
時間をかけているわりに成績が上がらないというのは、勉強をポーズとしてやっているからであることが多いのです。
勉強を外部の機関に丸投げすれば、それがどんなによい塾や学校や通信教育であっても、同じように親の関与は外面からだけのものになります。
子供の勉強は、いずれ親の手から離れるとしても、少なくとも小学校時代、できれば中学校時代までは、親が子供の勉強の中身にも関与できるようにしておく必要があります。それが家庭における自学自習の体制の土台になります。
このような家庭での自学自習を実現するために、言葉の森が今行っているのが寺子屋オンエアです。(つづく)
※次は、「寺子屋オンエアでの勉強の仕方について」です。