ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2666番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/1
国語力をつけるには――国語力を難しい文章を読み取る思考力 as/2666.html
森川林 2016/09/12 09:46 


 国語力をつけるということについて、途方に暮れてしまうお父さんお母さんが多いと思います。
 国語と言っても、普段使っている日本語です。わざわざ勉強しなければできないなんておかしい思うのが普通です。

 漢字が読めないとか書けないとかいうのであれば、知識の問題ですから原因がわかります。しかし、読解の問題ができないとか、記述が書けないとかいうことになると、普段読み書きしている日本語なのになぜできないのか、ということになるのです。

 実は、子供は、読めないのでも書けないのでもありません。
 正解になるような読み方、書き方ができないのです。

 それは、国語の問題の正解というものが、その文章を深く読み、深く書くことを要求しているからです。
 ということは、国語は、浅く読むことも深く読むこともできるということです。

 日常生活では、日本語は浅く読み取っても十分に間に合うことがほとんどです。
 浅い読み方と深い読み方にそれほど大きな差はないからです。

 しかし、国語の問題にされるような国語の文章は、浅く読んだら×になり、深く読むときに初めて○になるようにできています。
 もちろん、普通の学校の国語のテストでは、そのようにややこしい問題は出ません。
 入試問題レベルになると、そういう問題が出てくるので、塾で勉強していると、国語ができないということが出てくるのです。

 では、どうしたらよいかというと、いちばんの対策は深く読める難しい文章を読むことに慣れることです。
 普段、子供が読む文章、本とか教科書とか雑誌とかいうものは浅く読めるようにできています。こういう文章をいくら読んでも、深い読み方はできません。
 そうではなく、直接、入試問題に出てくるような文章を読むようにするのです。

 難しい文章でも、全く読み取れないわけではありません。国語の読み取りは、何パーセント読めるかという濃度の問題ですから、グレーの範囲が人によって違います。
 これが、算数数学などほかの教科の勉強と違うところです。
 算数数学であれば、できるとできないはある程度はっきりしています。途中の計算式によって点数が加算されることはありますが、本質的にできたかできないかの問題になっています。

 国語はそうではありません。読み取れる割合によって、易しいからわかる、難しいけどわかる、難しいからわからないという差が出てきます。この「難しいけどわかる」から「難しいからわからない」の間にもさまざまな中間域があります。

 このわかる度合いは、難しい文章を繰り返し読むことによって次第に増えてくるのです。
 場合によっては、個々の文を取り上げて、その意味を先生に聞くということもあります。しかし、基本はあくまでも自分で読み慣れるということです。

 そのための練習法が、問題集読書です。
 小学3年生までは、そういう無理をする必要はまだないので、ただ読書をしっかりしていればよいのですが、小学5年生ぐらいになると、入試問題集のような難しい文章を読む勉強が必要になってきます。
 ここで、国語の勉強の有利さが出てきます。日本語の文章は、繰り返し読んでいれば、自然に少しずつわかるようになってくるのです。

 では、国語が得意になっている人は、もう国語の勉強をしなくてよいのでしょうか。
 入試に関して言えば、そうです。国語は、いったん読む力がつき問題を解くコツがわかれば、もう勉強をしなくても必ず一定の点数は取れるようになります。
 だから、受験勉強は、入試で差がつくような、そしてあとからの追い込みで間に合うような教科を中心に対策をしていけばいいのです。

 しかし、入試という目標を離れて考えると、国語の難しい文章は、入試問題よりももっと先のものがあります。
 それは、大学生になってから読むような、日本や世界の古典です。

 話は、個人的なことになりますが、私が大学生のときに読んで、難しいので読むのをあきらめた本は、ハイデッガーの「存在と時間」でした。それは、特に、それを読み切ろうという決心がなかったからですが、もしそういう決心があったとしても読んで理解するまでにはかなり時間がかかったと思います。

 もうひとつ苦労して読んで、うっすらとしかわからなかったのが、ヘーゲルの「精神現象学」でした。全部読んだので、全体像は頭に入ったのですが、意味が取れないところがあまりにも多かったのです。
 しかし、その後、フランスの哲学者イポリットの「ヘーゲル精神現象学の生成と構造」という本を読んで、初めて大体がわかるようになりました。大体と言っても、半分ぐらいだと思いますが。

 このときに思ったのが、入門書が概論書というものは、原典とは全く違うものだということです。
 「ヘーゲル入門」などという本はありますが、こういう本を読んでも教科書的な外側の知識がわかるだけで、ヘーゲルが考えた過程がわかるようなことはまずありません。だから、大学生の読書は、まず原典を(翻訳で)読んでみることです。

 そして、私は、数年間このように難しい文章を続けて読んでいるうちに、普通の難しい文章が楽に読めるようになったのです。
 つまり、難しい文章を読むことによって、普通の難しい文章が簡単に読めるようになったということです。

 こういう経験があるから、国語力の本質は思考力にあるということがわかってきたのです。
 日本では、国語の勉強は、文化的な情緒の面があまりにも強調されすぎています。
 それは、もちろん国語のひとつの面ですが、国語の本質とは少し違います。
 世界のそれぞれの国に共通するその国の国語の本質は、その国語で考える思考力なのです。


 だから、国語の勉強は、国語的なものにとらわらず、幅広く難しい文章を読み取る力ということで考えていくとよいと思います。
 そのためのいちばん手に入れやすい教材が、実際の入試問題です。
 その入試問題を読む勉強法でいちばんやりやすいものが問題集読書です。
 そして、その問題集読書を楽に続けられるのが、寺子屋オンエアでの毎日の音読になると思います。

 ただし、家庭で確実に音読の習慣ができれば、それでも十分です。
 言葉の森の作文課題集には、毎週の長文が載っています。それを、感想文課題でない週も含めて、毎日1編音読していくのです。
 1200字から1600字の文章ですから、3分ぐらいで読み終える分量です。
 これを毎日読んでいると、1週間同じ文章を読むことになりますから、途中で文章の一部は暗記するぐらいになります。それぐらい繰り返し読んでいると、そこに書かれている難しい語彙が自然に自分のものとなり、読み取る力がついてきます。

 この長文音読が最も重要になるのが小学5年生以降です。それは、考える力がついてくるのが小学5年生からであり、課題の文章がこの時期から難しくからです。
 小学4年生までは、そのウォーミングアップとして、毎日音読する習慣をつける時期と考えておくとよいと思います。

 しかし、学校の勉強が忙しくなるのも、この小学5年生あたりからです。
 そのため、夜に音読の時間をすることにしていると、いろいろな用事が重なって毎日読むことが難しくなります。
 だから、小学校低学年のうちから、朝ご飯前に音読をするという習慣をつけておき、小学5年生以降の多忙な時期も音読の習慣だけは崩さないようにしていくといいのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

jun 20160912 2 
問題集読書を真面目に続けている生徒は、作文に使う語彙も変わってくるようです。

namura 20160913 10 
問題集読書をつづけることで、難しい文章にも慣れます。
自分で時間を決めて、毎日問題集読書を行う習慣をつけたいですね。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 問題集読書(33) 

記事 2665番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/1
科学の面白さを多くの子供に as/2665.html
森川林 2016/09/12 06:23 


 農業では、同じ土地に同じものを作り続けていると、連作障害が出てきます。
 しかし、自然の山は、同じ土地に同じ植物が、何年どころか何千年も何万年も育ち続けています。

 川田薫さんは、これを、自然の山には岩があり、岩石から出たミネラルが植物を活性化させるからだと考えました。
 そして、その仮説を検証するために、岩石の溶液を液体窒素で凍らせ電子顕微鏡で観察すると、2ナノメートルの鉱物の超微粒子があることがわかったのです。(「地球農学の構想」より)

 こういう実験の過程を聞いていると、子供だったらわくわくしてくると思います。
 そして、いつか自分も科学者になっていろいろな発見をしたいと思うはずです。

 しかし、子供たちの科学者の夢を砕くものがあります。
 私は、それが、受験数学ではないかと思います。
 数学が苦手だからという理由で、早々と理系をあきらめてしまう子がいるのです。

 数学そのものは、理屈どおりに成り立つものですから、本来面白い勉強です。
 しかし、受験で差をつけるために出される数学は、子供たちに数学に対する苦手意識を作り出しているだけのような気がします。

 数学に限らず、勉強はもっとわかりやすく、本質的なものを教えていくべきです。
 国語も英語も理科も社会もそうです。

 勉強は、子供たちに差をつけるためにあるのではなく、みんなが理解するためにあるのです。
 勉強がわかりやすければ、もっと多くの子供たちが科学の面白さに感動を持てるようになると思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

sizuku 20160927 51 
中学受験の段階で、「私は文系だと思う」「ぼくは理系だから」と文理を意識する子が多いです。勉強はこれからだというのに。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 算数・数学(22) 
コメント91~100件
……前のコメント
合格しなくたっ 森川林
 英語辞書さん、その心意気が大事です。  本気で取り組む人 12/11
記事 4000番
合格しなくたっ 英語辞書
2024年度受験生です。私は偏差値59で都立国際高校を目指し 12/10
記事 4000番
読書力はすべて 森川林
「なぜ文系も理系も「東大現役合格」は現代文が得意なのか」とい 12/10
記事 4880番
受験勉強などは 森川林
 子供たちに、あとまで残る勉強は、読書と作文と対話です。 12/9
記事 4879番
創造発表クラス 森川林
中学生以上の子供たちは、ChatGPTを活用して探究学習を進 12/7
記事 4875番
小4~小6の 森川林
オンライン授業と対面式授業を比較する人がいますが、その発想は 12/4
記事 4871番
音読の宿題は、 森川林
ブンブンどりむの監修者である齋藤孝さんは、よく知りもしないで 12/3
記事 4870番
サービスの多い 森川林
「東京、カッペね」の広告。 https://www.mor 12/2
記事 4869番
小学456年生 森川林
 言葉の森は、これまでは作文指導がメインでした。  その後 12/1
記事 4868番
齋藤孝さんの「 森川林
国語読解力をつけるためには、読む力と解く力を分けて考えること 11/30
記事 4867番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習