言葉の森が作文と国語の指導を始めたころ、そういうことを教えているところはどこにもありませんでした。
こちらの知らないところでそういう教室があったのかもしれませんが、少なくとも、ネットで検索するかぎりでは、作文教室とか作文講座とかいう言葉自体が、言葉の森以外はどこにもありませんでした。
だから、言葉の森の作文と国語の指導は、すべてオリジナルで始めたのです。
その作文と国語の指導法を言葉の森のをホームページなどに公開していたので、その後、それを見て、作文や国語の指導を始めたところも多かったようです。
実際に、名前を出せば誰でも知っているような大手の学習塾や大手の通信教育の人が、言葉の森の作文指導をわざわざ聞きにきたぐらいです。
それまでの学習塾は、一応全教科教えるが、成績を上げることができるのは、算数数学とか、理科、社会、英語などの教科で、国語は名前こそあるがそこで成績を上げることは期待されていないという状況でした。
これは私が思ったことではなく、学習塾を経営している何人もの人が言っていたことです。
今でも、国語の授業は、それを聞いたからといって国語の力がつくわけではないと多くの人が思っているようです。
その端的な例は、高校の国語の授業です。
大学入試に向けての国語の力をつけるために、高校の国語の授業を真面目に聞くという高校生はたぶんいないと思います。
国語の授業は、入試に対応するものではなく、もっと別の勉強なのです。だから、意味があるとも言えるのですが。
国語の指導がそのような感じですから、作文の指導法などはどこにもありませんでした。
日本には、生活綴り方運動などに見られるように、先人たちの優れた作文教育の伝統がありました、それは国語の勉強というよりも、作文を書くことを通して人間の生き方を深めるというような文学的な運動でした。
だから、生活綴方運動の中で優れた作文を書く子供たちは生まれましたが、作文が上手に書けない子供たちをどう指導するかということはあまり考えられず、また、生活作文から意見文に移行する流れなども十分に研究されていませんでした。
それを言葉の森が一歩ずつ、小論文を書くことに結びつく低学年からの作文指導という形で開発し、その作文指導に対応する読解力をつける指導という仕組みを作っていったのです。
ですから、今は、作文が苦手な子でも、得意な子でも、どういう子が来ても対応することができます。
また、受検の作文の課題についても、小学校の編入試験から、中学、高校、大学入試までどんな課題を聞かれても対応できます。
また、国語の勉強についても、ほかのところでは国語力をつける方法などを教えるところはないと思いますが、言葉の森では家庭でどういう取り組みをするかということまで教えられます。
ただし、国語力のない子の場合は、それまでの家庭の国語的生活に問題があったことが多いので、家庭学習を続けるには保護者の忍耐力も必要になります。
このように、作文と国語の指導については、言葉の森はたぶんいちばん豊富な実績を持っています。
ですから、作文や国語の勉強をする教室を探している方は、ほかの教室の体験学習と並行してもかまいませんので、まず言葉の森の体験学習を受けてみることをおすすめします。
今日は、朝から静かな雨です。
つい先日までの夏の延長のような暑さとはうってかわって、急に秋が深まったようです。
――そういえば、セミの声も聞かなくなったなあ。
そんなことを思いながら雨雲の空を見上げていると、ふと昨日暗唱検定を受けた小学2年生の子の言葉が浮かんできました。
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル……」
――なるほど。そういう人ばかりになったら、社会はもっと穏やかで住みよいものになるだろうなあ。
――そして、そこにお祭り好きな人が加われば、穏やかでしかも楽しい社会になるだろうなあ。
そんなことをふと思ったのです。
――雨ニモマケズ 風ニモマケズ……。
日本語は、昔から言霊と言われるように、ただ意味を表すだけでなく、人の心を動かします。
それは、日本語の側ではなく、日本語を受け取る日本人の側に言葉によって心を動かされる要素があるからのようです。(「日本語人の脳」より)
小学校低学年のころから、こういう日本の文化を反映した詩や文章を音読し暗唱している子は、自然にそういう日本の感性が身についていくと思います。
そして、日本語は感性を豊かに表すだけでなく、論理の言葉も十分に表を力を持っています。
だから、世界中の書物が日本語に翻訳されているのです。
暗唱という教育方法は、昭和の初期まではかなり広く行われていたようです。
明治維新を担った若者の多くは下層武士階級でしたが、その人たちの教養のもとになっていたものも古典の暗唱文化でした。
この日本語の暗唱文化をもう一度復活させたいと思い、暗唱検定の仕組みを作りました。
そして、日本の古典にいろいろ触れてみると、日本には本当に豊かな文化資産があるのだということに改めて気付きました。
漢詩、論語、古事記、万葉集、古今集、百人一首、枕草子、源氏物語、平家物語、方丈記、歎異抄、花伝書、徒然草、奥の細道、五輪書、葉隠、和俗童子訓、言志四録……。
いつか、誰もが自分の好きな古典の一節を暗唱するような、そういう雰囲気の教室を作っていきたいと思っています。
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雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
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「雨ニモマケズ」
宮澤賢治