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わかりやすいのはビジュアル、使えるのは言葉 as/2684.html
森川林 2016/09/24 07:23 


 タブレットを使った教育の特徴は、ビジュアルでわかりやすいことです。
 しかし、このわかりやすさが問題です。いろいろなことがわかりやすく映像で説明されるので、わかった気になるのです。

 わかることは使えることではありません。結論のような外側がわかるだけで、わかったことでおしまいです。
 だから、知識を再現するテストには間に合いますが、そこから自分で何かを作り出すということができません。

 作り出すためには、不自由な言葉を使わなければなりません。
 ビジュアルは、生まれつき誰でも何の練習をしなくてもわかりますが、言葉は読み書きの練習をして初めて使えるようになります。

 大人は、読み書きに慣れているので、言葉による理解も、映像による理解もそれほど差を感じません。
 だから、わかりやすい映像の方がよいと思ってしまうのです。

 しかし、読み書きの力をつける途上にある子供には、映像による理解より先に言葉による理解をさせる必要があります。
 不自由な言葉を自分なりに映像化して理解するのが本当の理解です。
 最初からわかりやすい映像で理解させてしまうのは、小骨を取った魚を食べさせているようなものです。

 もちろん、子供の勉強には、不必要な難しいことをする必要はありません。
 しかし、言葉を使えるようになることは、人間らしい生活を送る第一歩です。

 だから、読み聞かせや読書で言葉に慣れることがまず第一に重要な教育で、ビジュアルな理解はそのあとにするものなのです。

 何事も始めるのに遅すぎるということはありません。
 読み書きが苦手だったら、まず今日から、読書か読み聞かせを短い時間でいいので毎日することです。
 そして、テレビとゲームとインターネットは捨てなくてもいいので、決めた時間以外は取り出しにくいところにしまっておくことです。
 これを半年間続ければ、誰でも大きく変わってきます。

この記事に関するコメント
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森川林 20160924 1 
 読み書きが極端に苦手な小学生が増えているような気がします。
 読書の大切さということが言われるようになったので、小学生全体の読書量は増えています。
 しかし、読書は基本的に家庭に任されているものなので、中に全く読書をせずにビジュアルなものだけに囲まれて暮らしている子もいます。
 読み書きの力は、学校でつけるものではありません。
 家庭でつけた読み書きの力を前提にして、学校で勉強を教えているのです。
 しかし、何事も始めるのに遅すぎることはありません。
 子供が読み書きが苦手だと思ったら、今日から毎日10ページの読書を始めればいいのです。


jun 20160924 2 
これからお母さんになる方、また、今子育て中の方は、危機感を持ってほしいと思います。

jun 20160924 2 
17年近く講師をやっていますが、以前に比べると読み書きの不自由な生徒が増えているような気がします。

touko 20170113 77 
海外で受ける日本の通信教育も、だいぶ映像化・タブレット式が増えてきました。とっつきやすいけれど、記憶に残らない勉強になりがちなこと、そして、それに気づかないで勉強した気になって満足してしまうことが、大きな落とし穴のように感じます。

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学校は難しいことをやってできる子とできない子の差をつける場ではなく、誰でもできることを全員にしっかり徹底させる場 as/2683.html
森川林 2016/09/23 20:28 

(△雨の中でも植物は元気。)

 小学校3年生のお母さんから、教育相談がありました。
 学校で感想文の宿題が出たのだそうです。その出し方が、学校では10分で書けるところまで書いて、あとは家での宿題とするということでした。字数は、原稿用紙3枚ということです。

 そして、その子は当然、学校の10分間では題名と名前しか書けず、あとは家でじっくり書こうと思って原稿用紙を持ってきたのだそうです。
 それを見て、お母さんは、どうして学校である程度まで書けなかったのかと思い、つい子供に注意するような感じになってしまったということでした。

 お母さんの気持ちとしては、学校の先生がやっていることだから、当然誰でもできることで、字数が原稿用紙3枚というのも、普通に小学3年生として要求されるレベルなのだろうと感じたのだと思います。

 言葉の森の作文では、よく書けていると先生に褒められているのに、学校でこんなにできないとはどういうことかと思ったのでしょう。
 そこで、電話で相談してきたのです。

 その話の最初の方だけ聞いて、私はすぐに子供の問題ではなく学校の問題だとわかったので、お母さんの説明が終わったあと、次のように言いました。

(1)小学校3年生で感想文の宿題を出すというのは、その先生が小3の子供の教育について何もわかっていないのです。(感想文がしっかり書けるのは小5からです。かなり優秀な子でも小4ではまだ無理があります。)

(2)10分で感想文を途中まで書けるというような子はまずいません。(文章を書くというのは、しかも感想文を書くというのは、計算の練習とか漢字の書き取りのようなこととは違うのです。)

(3)原稿用紙3枚というのは、小3で書く字数ではありません。(小3は、普通に1時間の授業で書く場合300字から600字が平均的な字数です。)

(4)そんなことで子供を苦労させる必要はありません。読書と音読だけ毎日やっていれば十分です。

(5)学校で子供はいろいろ大変だと思うので、お母さんは家では子供のことをいつも優しく褒めてあげてください。

(6)感想文の宿題は、お母さんが書いてあげてもいいです(笑)。

 先生というのは、どうしてこういう難しいことをさせて、できる子とできない子の差をつけようとするのでしょうか。
 先生の仕事というのは、その学年で誰もが必ずできなければならないことを、全員にできるようにさせることです。宿題を出すとしたら、その誰もができるべきところで出すことです。

 そして、そもそも感想文のような指導の難しいことは、学校の授業の中でやるべきことで、それを家庭での宿題にするようなものではありません。

 先生という仕事をしている人は、学校の先生も、塾の先生も、そういう教育の本質というものを自覚してほしいと思います。
 実は、言葉の森の講師も、新しく採用されたばかりの人は、ついそういう差をつけるような指導をしてしまうことが多いのです。
 先生は、易しいことを確実に教えるということにもっと自信を持って取り組んでほしいと思いました。

この記事に関するコメント
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nane 20160923 1 
 子供は何でも吸収します。
 だから、小さい子には、褒め言葉や楽しい言葉をたくさん吸収させるのがいいのです。
 みんな、叱ったり注意したりするような言葉を吸収させすぎです。
 
 と……、自分もついみんなを注意してしまった(笑)。


森川林 20160923 1 
 私がよく思うのは、先生というのはどうして難しいことを教えたがるのかということです。
 そして、どうして欠点を直すことに力を入れたがるのかということです。
 たぶん根が真面目だからということもあると思います。
 しかし、小中学校の勉強というのは、もっと楽しくやっていればいいのになあとよく思います。
 それで何も問題ないのです。


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