ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2714番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/1
教わる勉強はつまらないのが当然、学力のある子は個性を伸ばす勉強を as/2714.html
森川林 2016/10/14 06:16 


 学力はあるのに、その学力のわりには成績がよくないという子がいます。よくないとは言っても、普通よりはずっといいのですが、その子の実力からすれば、もっといいはずなのにという生徒です。

 そういう子に共通しているのは、勉強が嫌いだということです。と言うと、身も蓋もありませんが、正確に言うと、教わるだけの勉強が嫌いだということなのです。

 数学者の岡潔さんは、中学生のころ、数学の勉強が嫌いで勉強は何もしなかったそうです。しかし、中学ですから定期的に数学のテストがあります。そのときは、出題範囲の単元を短期間で全部暗記して高得点を取って済ませていました。
 つまり、学校で教わる数学は、決まった答えのある勉強だから、わざわざ勉強をするというような興味がわかなかったのです。

 勉強の嫌いな子も、程度の差はあれ、こういう岡潔さんの気持ちと共通のものを持っています。教わるだけの授業が退屈で仕方ないのです。
 今の学校の勉強は、先生に言われたことを長時間やる生徒の方が成績がよくなりますから、勉強の嫌いな子は、もちろん成績面では不利です。

 しかし、この勉強の嫌いな子の方に、将来の大きな可能性がある気がするのです。
 その証拠に、こういう勉強の嫌いな子が、いったん受験勉強などに本気で取り組み始めると、短期間で見る見るうちに成績を上げるからです。
 いったん自分でやろうと決心すると、岡潔さんが試験前に出題範囲を全部暗記したように、受験勉強の範囲を全力で身につけるようになるからです。
 すると、半年ぐらいの間に、成績が急上昇していきます。

 こういう様子を見ていると、今の学校の勉強は何かおかしいのではないかという気がします。
 現在、学校で行われている一斉授業は、教材も教育設備も不足している時代に、全国民が同じような基礎学力を持ち工業化する社会に対応できるようになるために作られてきました。

 しかし、今は、これらの条件自体が大きく変化しています。
 一つには、教材や教育設備というインフラは、個人が家庭でも十分に準備できるようになってきたからです。
 もう一つには、これから必要な学力は、みんなと同じ学習範囲で高得点を取ることではなく、自分が関心を持つ個性的な学習範囲で第一人者となることだからです。

 個性的な学習範囲でダントツの力をつけるためには、みんなと同じ学習範囲は8割できていれば十分です。8割というのは、東大の推薦入試で言われた「センター試験で8割の学力の担保」というような意味での8割です。

 しかし、今の学校教育は、受験勉強という重箱の隅をつつくような出題範囲で子供たちに高得点を取ることを求めています。
 すると、真面目な子ほど、自分の本来の学力に気が付かず、勉強に対する苦手意識を持ってしまうことも多いのだと思います。

 この状態を改善するためには、子供に勉強の計画を立てさせることです。
 親や周囲の大人が、学校の勉強は8割できていれば十分で、そのための勉強はするが、それ以上の勉強をする時間は自分の個性を伸ばす時間に充てる、という大きな方針を示してあげる必要があるのです。


 こういう個性を伸ばす勉強をしているのが、小1~3対象の読書実験クラブと、小4~6対象の思考国算講座です。
 参加している子は、選抜しているわけではありませんが、学力のある子ばかりです。そして、教わる勉強ではない自分で考えたり作ったりする勉強を楽しんでいるのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

記事 2713番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/1
作文力は思考力――学年が上がるほど、本を読むことが作文力の支えになる as/2713.html
森川林 2016/10/13 06:39 


 小学生のころの作文は、最初は生活作文から始まります。
 自分の身の回りに起こった身近な出来事を文章で書いていくのです。

 実は、これだけでも子供たちにとってはかなり大変です。
 普段の生活で、言葉のやりとりは音声で行われていますが、それが文字のやりとりとして行われることはほとんどないからです。

 特に、まだ本を自分で読めるようになったばかりの小学1、2年生の子にとってはそうです。
 だから、大人が、できて当然と思っているような、「わ」と「は」の区別や、文の終わりに「。」をつける、などということが勉強のような形で教えられなければできないのです。

 しかし、子供たちは、自分が文字を書けるということがうれしくてたまりません。だから、間違った書き方であっても、喜んでたくさん書こうとします。
 小学2年生の時期は、この「長く書く」ことに燃える時期です。自分が作文を長く書けることがうれしいので、長さだけを目的にして書くことがあるのです。

 しかし、やがて、小学3、4年生になり、文章を書く力がついてくると、長く書くことに対する情熱は自然に冷めてきます。
 そして、その長さの代わりに出てくるのが、面白く書くという目標です。

 この時期の子供たちは、面白いことが大好きです。いろいろな場面で笑って過ごしたい時期なのです。
 そこで、作文にも、面白い場面、面白い出来事を書こうとします。それは、特に身近な大人である、学校の先生やお父さんやお母さんのドジな場面などです。
 出来事の面白さを書くことに燃えるというのが、文章力がついてきた小学3、4年生の作文の主な関心事になるのです。

 小学5、6年生になると、面白いことを書きたいという気持ちは変わりませんが、そこに考える力が加わってきます。
 特に、読む文章が難しいものになってくると、自分でも自然にそういう文章に出てくる言葉を使って作文を書こうとするようになります。

 今の中学入試問題の国語は、小学5、6年生が到底普通の生活の中では読まないであろうような文章が多数掲載されています。
 物語文であれば屈折した心理の動き、説明文であれば言語や人生や文化や学問のような抽象的なテーマが盛り込まれた文章です。
 この段階になると、作文力の差がはっきり出てきます。身近なテーマでは、どの子も上手に書けますが、考えるテーマになると、使える語彙の量がまず差になり、その語彙を使ってどう考えを組み立てるかということがまた大きな差になって現れてくるのです。

 この考える作文が、このあと、中学生、高校生と続きます。
 高校生になると、考えるテーマ自体に社会的な広がりが出てくるので、世の中の動きに対する知識の裏付けも必要になります。書くための材料も必要になってくるのです。

 小学校のとき、楽しく作文を書き、それなりに上手に書けていた生徒が、中学生になったころからだんだん書けなくなるのは、この材料不足が主な原因です。

 材料は、読書によって供給されます。本を読んでいる子は、語彙も、表現も、知識の材料も、読書から入ってくるので、作文を書くときも文章がスムーズに出てきます。だから、楽に書き出すことができます。
 書き出す段階で苦労しているのは、本を読んでいない子と言ってもいいと思います。

 今の中学生、高校生は、一般に本をあまり読みません。
 理由を聞くと、勉強が忙しいから本を読んでいる暇がない、ということをよく言います。
 しかし、本当の理由は、小学生の間に本を読む習慣を確実につけていなかったために、本を読む楽しさが身についていないのです。
 本の好きな子は、受験勉強の真っ只中でも、息抜きのために本を読みます。将来、学力が伸びるのはこういう生徒なのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20161013 1 
 本をよく読んでいる子は、作文の表現がなぜかスムーズです。
 本をあまり読んでいない子は、同じことを同じように書いていても表現がどこかぎくしゃくしているところがあります。
 読んでいる本は、易しい物語文の本でもいいのです。
 言葉というのは、川のようなもので、上流から読むものが絶えず供給されていないと、下流が干上がってしまうのではないかと思います。


nane 20161013 1 
 子供に難しい勉強をやらせるというのは、一般にあまりよくありません。
 というのは、その場合の難しさは知識でカバーできるので、結局知識の詰め込み勉強になっていくからです。
 しかし、難しい文章を読ませるというのは、程度にもよりますが大体がいいことです。
 それは、読むことによって考える力がついてくるからです。


jun 20161013 2 
小学生のうちに読書の習慣をつけておくことが大事ですね。そのためには、幼児期の読み聞かせも大切ですね。

jun 20161013 2 
 本を読んでいる子の作文は、文章の流れが自然で、気の利いた言い回しがよく使われています。ちょっとしたところで、本を読んでいるかいないかが分かりますね。

namura 20161014 10 
本から得るものはたくさんありそうです。

kira 20161014 52 
 小学校低学年に、本を読むことの楽しさを体験することが、そのあとの成長に大きく影響するのですね。

mae 20161014 9 
今、小4の娘が学校で、よく百マス作文に取り組んでいます。初めは長く書かない作文にかなり戸惑っていましたが、ここでいうなら、長く書くことが面白い時期を卒業し、面白く書こうとする時期に入っているのだなあと思います。
詰め込み型で語彙を覚えていくよりも、読書で身につけた語彙を上手に使えることが、後々の「考える力」につながっていくのだなと思いました。

sizuku 20161015 51 
本を多く読んでいるかどうかは文章を読むとわかりますね。ちなみにおしゃべりしていてもわかります。

sizuku 20161112  
やはり読書です!

sizuku 20161112 51 
やはり読書です。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 高校入試作文小論文(10) 読書(95) 
コメント191~200件
……前のコメント
メディアに取り 森川林
 作文と国語の教育法のエッセンスを紹介してもらいました。 12/13
記事 4596番
不登校の子も参 森川林
 学校の勉強を面白いと思っている子は、ほとんどいないと思いま 12/10
記事 4594番
言葉の森には、 森川林
言葉の森のホームページは、文章ばかりです。 だから、体験学 12/10
記事 4593番
学力8割個性2 森川林
 個性と創造力のような未来の空想的な話を理解してくれる人はあ 12/8
記事 4591番
優しい母が減っ 森川林
 親は最初は愛情から厳しくなるのですが、そのうちに厳しくなる 12/8
記事 979番
優しい母が減っ
私の母も優しい母です、でも、どんどん厳しくなっていくんでしょ 12/5
記事 979番
ゼロサムゲーム 森川林
 自分も得をして、他人も得をして、世の中全体が得をするものが 12/4
記事 4586番
受験作文の取り 森川林
 受験作文にもコツがあります。  しかし、それは上手に書く 12/4
記事 4585番
頭の悪い子が増 森川林
「うちの子は本を読まないんです」ということをよく聞きます。 12/2
記事 4584番
日本の教育を根 森川林
 対面教育とオンライン教育を比較する人がまだいますが、その発 11/30
記事 4582番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習