1,000字の文章の暗唱といっても、毎日の自習時間はわずか10分です。
朝ご飯前にやると決めておけば、誰でもできます。
そして、暗唱の勉強のいいところは、暗唱した結果があとに残ることです。
だから、子供自身も暗唱ができたあとの達成感があります。
また、先生も、毎日暗唱をしているかどうかを確実にチェックできます。
言い間違えたり、つっかえたり、途中で忘れたりする子は、毎日ではなく、週に数回しか暗唱の自習をしていなかった子です。
毎日10分の自習を欠かさずにしていれば、つっかえるようなことはまずないからです。
ところが、ここにも新たな問題が出てきました。
子供の暗唱をチェックする先生自身が、自分が子供時代に暗唱をした経験がないので、そして、先生はもともと優しい人が多いので、子供の暗唱チェックに甘くなってしまうことです。
小さい子供が、先生の前で、一生懸命やってきた暗唱を思い出して言っているのを聞くと、1、2か所の言い間違いは仕方ないと認めてしまうのです。
このようなことが何度か続くと、子供の暗唱の練習はやはりいい加減になってきます。
単純な勉強は毎日やるのが基本ですが、週に数回やればいいという勉強になってしまいます。
そして、週に数回では、完璧には程遠い暗唱になるので本人もやりがいがなくなり、次第に暗唱をやらないようになってしまうのです。
そこで、暗唱チェックは担当の先生も一応するが、正式のチェックは暗唱検定で行うというようにしました。
字数は3,000字で時間は5分、それを3ヶ月で覚えるのが目安です。更に、3,000字の暗唱が4本できたら、それらをまとめて12,000字を20分で暗唱します。
それぐらい長い文章を暗唱すると、その暗唱は確実に自分の中に残ります。
その際に、せっかく子供の中に残り一生覚えていられるような暗唱をするのだったら、日本の伝統に根ざした文化的な暗唱をしようと考えました。
それまでの言葉の森の暗唱は、作文に使えるような現代の文章の暗唱でしたが、ここで大きく方向転換し、本格的な文化的暗唱に取り組めるようにしたのです。
文化的暗唱というと、枕草子とか百人一首とかいうものももちろんありますが、日本には、そういう文学的な文章だけでなく、深い思想に根ざした古典の文章の蓄積もかなりあります。
今回、改めて日本の古典を集めて読んでみると、その文化の厚さと深さが予想以上だったことに驚きました。
翻って考えてみると、今の私たち大人の世代は戦後教育の影響で、欧米の文化を先に吸収してきたので(サルトルとか、マルクスとか、ヘーゲルとか、いろいろ)、肝心の日本の文化を知らないまま成長してきたのです。
これからの子供たちは、日本の文化を先に学び、それから海外の文化を学ぶという本来の姿に戻っていくと思います。
さて、この暗唱の練習は、単に古典の文章の暗唱だけにはとどまりません。
暗唱には、もっと大きな効果があるのです。
その一つは、人生に対する効果です。そして、もう一つは勉強に対する効果です。(つづく)
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「暗唱? ああ、覚えるやつでしょ」と普通の人は思いますが、暗唱の効果というのは、実はやってみないとわからないところがあるのです。
その効果の一つは、人生に対する効果で、もう一つは、勉強全体に対する効果です。
ただし、その場合、うろ覚え程度の暗唱では不十分です。
忘れようとしても忘れられないぐらいに徹底して暗唱すると、そこで変化が起きてくるのです。
実は、戦後、GHQの教育によって、暗唱の学習法が止められ、歴史を人物を通して学ぶことが止められた経過があるのです。
それは、両者が教育上の高い効果を持っていたからです。
古文の暗唱に取り組んでいる、フランス在住、小学2年生の女の子。お母さんにおこられると「お母さんが鬼にぞなりけり・・・」とボヤクそうです(笑)
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暗唱力があれば、作文はいくらでも上手に書けるようになります。
また、数学の成績も、英語の成績もいくらでも上がるようになります。
担当の先生が毎週電話で暗唱チェックをすれば、家庭でも毎日の暗唱が続けられます。
更に、その暗唱の成果を、暗唱検定で定着させれば、確実な実力がつきます。
しかし、まだこの暗唱の効果を知らない人が多いので、このあと何回かにわたって暗唱の話を掲載します。
ただし、暗唱の勉強をスタートするのに最適な学年は小学2年生より前の学年です。
小3以上になると、学年が上がるにつれて新しく暗唱の練習を始めるのは難しくなります。
そのときには、親も一緒に暗唱の練習をしていくといいのです。
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言葉の森は、20年以上も前から音読指導を作文学習の中に取り入れていました。
それは、作文は書かせて直す指導だけでは不十分だとわかったからです。
読む力の土台がなければ、いくら直しても作文は上手にならないのです。
読む力がつけば語彙力もつきます。すると、表現の工夫もできるようになり、深く考えることもできるようになり、自然に作文のレベルが上がります。
そういう状態で、難しい課題の作文をかくと、文章力も思考力も伸びていくのです。
しかし、ここに難しい問題がありました。
音読は、本人に任せていてはなかなか続かないのです。
そのいちばんの理由は、やったことがあとに残らない勉強なので張り合いがないからです。
そして、同じ文章を何度も読むので、飽きるのも早いのです。
家庭でお母さんやお父さんが徹底して音読をチェックするのでなければ、子供は自然に、あとに残らない音読よりも、あとに残る問題演習のような勉強をやりたがります。
そして、そういうあとに残る勉強の方が、やった感じがするので、お父さんやお母さんも問題演習のようなものの方を重視するようになってしまうのです。
音読は、作文教室の先生がいくら厳しく言っても、子供はやるようにはなりません。
それは、やはりあとに残らない勉強なので、やったかどうかがチェックできないからです。
「ちゃんと音読してくるんだよ」
「はあい」
「今週の分、音読してきた?」
「はあい」
「毎日、朝ごはん前に音読するんだよ」
「はあい」
と、全部、いい返事をしますが、1週間毎日音読している子はほとんどいませんでした。
やるとしても、せいぜい授業が始まる直前に読むぐらで、しかも黙読の飛ばし読みのようなことも多かったのです。
お母さんに、音読をするように頼んでも同じように、
「毎日やっているみたいです」
「そうですか……」
「自分の部屋で」
自分の部屋で音読などするわけがありません。
親が近くにいて聞いていなければ音読は、まず絶対にできないのです。
なぜ、親のいる前で音読をしないかというと、音読をすれば必ず親に注意をされるからです。
なぜ親がすぐ注意をするかというと、親自身が子供時代に音読をした経験がないので、子供の音読をしているときの気持ちがわからないからです。
このような事情のために、効果のある音読がなかなか普及しない状態が続いてきたのです。
そこで、言葉の森が考えたもうひとつの方法が、音読と並行して暗唱をすることでした。
しかし、暗唱と言っても、方法論がなければ子供は途方に暮れてしまいます。
そこで、江戸時代の教育書「和俗童子訓」をヒントに、100字を100回繰り返し音読して暗唱するという方法を現代風にアレンジして、約1,000字の文章を1ヶ月かけて暗唱する方法を開発しました。
これなら誰でも暗唱ができるようになるのです。(つづく)
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暗唱は、幼稚園年長や小1ぐらいから始められます。
しかし、もっと早く、子供がまだ字も読めない小さいころからでも、親が暗唱の練習をするという形でやっていくといいのです。
そうすれば、読み聞かせの代わりに暗唱を聞かせてあげることもできるので、読み聞かせの本を持つ手がくたびれるということもありません(笑)。
たぶん、昔の、電灯がなく本もない時代の親子の関わりは、そういう形で行われてきたのだと思います。
この4月に暗唱検定を始めたときは、検定試験に参加できる子はまだほとんどいないと思っていました。
ところが、蓋を開けてみると、次々と暗唱検定に挑戦する子がいたので驚きました。
その子たちは、暗唱検定がある前から、ずっと家で暗唱の自習を続けていたのです。
そして、10月の時点で既に22人の子が、約3,000字5分の暗唱検定に合格しました。
今はまだ多くの子が小学校中学年程度ですから、暗唱ができてすごいというだけですが、この子たちが中学生、高校生になり、この暗唱力を生かせるようになると、勉強面では余裕の好成績を維持できるようになると思います。
そして、その余裕を、自分らしい個性を伸ばすことに生かしていくといいのです。
小4の娘も暗唱を頑張っていますが、やはり、もっと小さいときの方がすんなり覚えてたような気がします。どうも古文などは「これはどういう意味か。何を言っているのか」と考えてしまうようなのです(笑)。
親も一緒に暗唱をがんばってみます!
暗唱は、学年が上がるほど苦労する生徒が多くなりますね。覚えようとせず、ただひたすらお経のように読むのがコツなのでしょうね。
親の都合で海外在住を余儀なくされた小5の女の子。0から始めたスペイン語でしたが、小6の終わりにクラスでトップクラスの成績に。秘訣を聞いたら、教科書ぜんぶ暗記しました、と・・・。
2020年にはセンター試験もあり、考える力がますます重要になりそうですね。
すみません、コメント入れる記事間違えました。
親の都合で海外在住を余儀なくされた小5の女の子。0から始めたスペイン語でしたが、小6の終わりにクラスでトップクラスの成績に。秘訣を聞いたら、教科書ぜんぶ暗記しました、と・・・。
自分が好きだと思う文章を暗唱していくことも楽しいと思います。
また論語なども子供たちにとっては、外国語のようで楽しいようです。娘が通う学校でも論語の暗唱が課題として出されました。
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