ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2729番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
形に残るもの、心に残るもの as/2729.html
森川林 2016/10/27 09:17 


 きれいな景色を見ていいなあと思ったときに、それを写真に撮ってしまうと、かえって心に残らないというようなことがあります。
 ある本に感銘を受けて、その作者の本を次々に読んでいる間はいいのですが、全集などを買ってしまうと、かえってもう読まなくなってしまうということがあります。
 形に残すと、安心してしまう心理が人間にあるのです。

 作文の練習として文章を書き写すという練習法があります。
 形に残るので、やる方も、やらせる方も、何か確実なことをしている気持ちになります。

 しかし、書き写している過程というのは、実は大して心に残っていません。
 書くという形に心を奪われているので、かえって内容を心に残すことがおろそかになっているのです。

 解く勉強よりも、読む勉強が大事だというのも、同じことです。
 問題を解けば、それは形に残ります。問題と解法を読むだけであれば何も形に残りません。
 だから、子供も、大人も、その形に残る方をやりたくなります。

 ところが、形の残る勉強は、形に残らない勉強に比べて何倍も時間がかかります。
 問題を解くのに1時間かかるとしたら、その問題と解法を読んで理解する勉強は、5分の1か10分の1で済むのが普通です。

 同様に、文章を書き写す勉強に比べれば、文章を読むだけの勉強は、やはり5分の1か10分の1の時間で済みます。
 では、どうしたらいいかというと、文章を1回書き写すよりも、その文章を5回読むだけの方がずっと心に残る勉強になるのです。

 今、書き写しの勉強をやっている人は、これを組み合わせるといいのです。
 つまり、書き写しが終わったら、その文章を日をおいて5回読むというようにします。
 こうすれば、形にも残り、心にも残る勉強になります。

 能率がいいのは、読むだけの勉強ですが、勉強に自覚がない小中学生のころは、形に残らない勉強は形骸化しがちです。
 そこで、学校も、塾も、親も、形の残る勉強を子供にやらせようとするのですが、本当は子供の自覚を促して、形の残らない勉強をしていくのがいちばんいいのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

nane 20161027 1 
 新聞のコラムを書き写す勉強をしている人も多いと思います。
 私だったら、子供にそういう勉強はすすめません。
 なぜなら、自分が子供だったらそんなことはやりたくないからです。
 それよりも、好きな本を読んでいる方が気楽でいいからです。
 しかし、大人の人はどうしてわざわざそういう苦労する形の勉強をさせたがるのかなあと思います。


森川林 20161027 1 
 勉強は、小1のころのスタートが大事です。
 このころに形に残る勉強を始めると、それがそのまま続いてしまいます。
 途中で形に残らない勉強に切り換えるのはなかなか大変です。
 最初から、形に残らない勉強を家庭学習の中心にしていくといいのです。
 それは、例えば同じ文章を繰り返し読むというような勉強なのです。


touko 20170111 77 
私が子供時代も、ノートにきれいにまとめることで満足し、肝心な内容は全然覚えていなかった、という無駄の多い勉強をしていました。
楽で効率的な方が、勉強も楽しくなりますね。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 音読(22) 

記事 2728番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
作文が返却されたあとの家庭での対応 as/2728.html
森川林 2016/10/26 04:54 


 作文を書いたあと、1週間後に先生から講評と評価が返却されてきます。
 それをどう見たらいいのかということについて説明します。

 まず、ほとんどすべての子は、先生の評価や講評をざっとしか見ません。ほとんど見ないと言っていいと思います。
 それでいいのです。

 講評は、生徒向け、又は、保護者向けに書かれていますが、その講評だけを読んでもらうために書かれているのではなく、翌週先生が生徒や保護者に話をするための先生のメモのような役割として書かれています。
 生徒は、書かれた評価や講評を読まなくても、先生の話を聞いて入れば、先生が大事なことを言ってくれるのです。

 ほかの通信教育では、詳しい赤ペン添削が返却されることが多いので、その赤ペン添削が勉強の中心のように思われがちですが、作文の勉強で大事なのは、書いたあとの話よりもむしろ書く前の話なのです。

 書く前の話というのは、書く前の準備のことです。
 作文の課題に合わせて、できるだけ自分の個性的な体験を書くようにする、似た話をお父さんやお母さんに取材する、というような準備が作文の内容を決めていきます。

 そして、その準備のあとに、実際に書いている過程が、子供が実力をつけている場面です。そこで、どういう表現を使うか、どういう構成で書いていくかということが作文の勉強なのです。

 どういう表現を使うかということは、その場の努力だけでできるものではありません。読書や音読によって、自分がこれまで使ってこなかったようなよりよい表現を吸収し、それらを使っていくことが表現の練習です。
 ですから、作文を書く前の準備には、毎日の音読や読書も含まれます。

 こういう準備をして、作文を書いて提出したら、それで勉強の勉強はできたということです。
 その作文は翌週に返却されてきますが、次の勉強は、その返却された作文を見直すことではなく、新しい作文を書くことです。

 新しい作文を書くときに、「前の作文はこうだったから、今度はこう書こう」というような話になります。
 例えば、「今度は段落に気をつけてね」とか、「また面白いたとえを見つけてね」とか、「今度はお父さんにも似た話を聞いてみるといいよ」とかいうようなアドバイスです。
 この積み重ねでだんだんとよりよい書き方ができるようになっていきます。

 作文は、最初に書いたものがほとんどすべてで、それをいくら直しても、最初に書いたものよりもよくなることはありません。
 だから、書いたあとの勉強は、する必要がないのです。

 さて、以上が原則ですが、ただし、次の場合だけは、書いたあとの対応が必要になります。

 第一は、誤字の書き出しです。
 添削された作文には、褒め言葉が中心に書かれているはずですが、誤字についてはすべてチェックが入っています。
 この誤字は、一度注意されただけでは直りません。漢字の書き間違いなどは、間違って覚えていることが多いので、同じ間違いを何度もする子がよくいます。
 この誤字だけを、誤字ノートのようなものを作って書き出しておくといいのです。そして、できればその場で正しい漢字を40回書いてみます。40回というのは、400字詰めの原稿用紙の2行分です。
 誤字は、これまでのその誤字を何度も使って書いていたはずなので、これまで書いた回数以上に正しい漢字を書かないと、記憶に残らないのです。

 第二は、受験作文コースの生徒の場合です。
 受験作文は、合格することが目的です。作文の実力をつけるための勉強と、合格するための勉強は、少し性格が違います。
 返却された作文をよりよい作文に書き直していくことが大事な事後の勉強になります。

 では、どう書き直すかというと、作文に書かれている実例をより感動のある実例に直し、表現をより高度な表現に直し、意見をより深い意見に直していくことです。
 これは、子供だけの力ではできません。そして、先生はそこまでは教えられません。そういう話をするには30分も1時間もかかるからです。
 ここで、お父さんやお母さんの役割が大事になります。お父さんやお母さんが子供と一緒に考え、一緒によりよい作文に直していくのです。
 そして、その作文をファイルして、毎日読むようにするのです。

 しかし、こういう親子で書き直すという勉強は、受験前でなければできません。受験前は、子供も勉強の目的がわかっているので、こういう親子での書き直しということも受け入れますが、普段の勉強でこういうことを喜んでする子はまずいません。
 だから、受験前の作文は、密度の濃い親子の話し合いをするいいチャンスだとも言えるのです。


この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20161026 1 
 海外の作家の誰だかが、「書き上げたあとの原稿は、倒したあとのライオンに似ている」というようなことを書いていました。
 ライオンがちょっとかわいそうですが、それは置いといて。
 子供が書いた作文も同じです。
 書いたあとの作文の赤ペン添削見て、その作文を書き直そうという子はまずいません。
 そんなことをさせれば、すぐに作文が嫌いになります。
 ただし、例外もあります。それは受験作文のときです。しかし、それは本当に例外なのです。
https://www.mori7.com/index.php?e=2728


nane 20161026 1 
 書き上げた作文を少しずつ直して上手にするということはできません。
 できるとしても、ほんのわずかです。
 それよりも、新しい作文を書いた方がいいのです。
 それに、何よりも、書いたあとの作文を直すというのは、全然面白くありません。
 そういうことに耐えられるのは、受験作文のときだけです。


sizuku 20161026 51 
作文の勉強は他の教科とアプローチが違うことを理解し、正しい方法で気長に育つのを待つことが大切ですね。大人は子どもが書き上げた作文をどうしても直したくなりますが、以下の理由から直すことの意味はあまり無さそうです。

・作文は書く前の準備のあとに、実際に書いている過程が、子供が実力をつけている場面です。
・書く段階でどういう表現を使うか、どういう構成で書いていくかということが作文の勉強なのです。
・どういう表現を使うかということは、その場の努力だけでできるものではありません。読書や音読によって、自分がこれまで使ってこなかったようなよりよい表現を吸収し、それらを使っていくことが表現の練習です。

しかし、誤字だけはきちんと正してゆく必要があるようですね。


jun 20161026 2 
 書き終えた作文に赤ペンを入れても、実は、それを熱心に読み返す生徒はいません。子供にとっては、作文を書くという行為自体が大きな勉強なので、それで十分なのだと思います。また、後ろを振り返るより、新しい課題に取り組み続ける方が楽しく力をつけていくことができると思います。
 もちろん、受験コースの場合は、自分の書いたものをより良く仕上げ、何度も読み返しておく必要があります。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 受験作文小論文(89) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習