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教育の自由化とオンライン教育 as/2780.html
森川林 2017/01/03 08:43 


 教育の役割は、基礎学力をつけることと、集団活動の中で子供たちの意欲を伸ばすことの大きく二つに分けられます。
 基礎学力は、学校の授業で行われるとともに、定着力を高めるための家庭での宿題として行われてきました。
 しかし、今、学力の低下が問題となっているのは、家庭で行われる自学自習形式の学習に十分に対応できない家庭があったからです。

 そこで、今考えられているのは、家庭での自学自習を支援するためのネットワークの利用です。
 教育にネットワークが利用できるような技術革新が、ここ数年の間に急速に発達してきました。
 これが、これからの教育が大きく変わる第一の条件です。

 教育の変化の第二の条件は、副業が原則容認となる社会になりつつあることです。
 これまでのインフレの時代には、需要が供給を上回っていたので、どこでも長時間の労働が必要でした。
 しかし、これからの時代には、供給力が常に需要を上回る傾向にあるので、ワークシェアリング、派遣労働の普及と同じように、副業が原則として容認される社会になります。
 すると、会社員でも土日や早朝に子供たちの教育に関与することができるようになります。早朝の教育は特に、時差のある海外で暮らす日本の子供たちの教育に活用できます。
 また、平日でも、定年後の高齢者や、子育て中の主婦は、家庭にいながらにしてできる教育の仕事というものが可能になります。
 一斉授業の場合の先生の役割には、エンターテイナーの要素が必要でした。
 しかし、家庭学習の場合の先生の役割は、ティーチングの力よりもコーチングの力、つまり、子供たちの自学自習をうまく軌道に載せる力が必要になります。
 だから、子育ての終わった人で、あまり苦労せずに子育てを行い、子供たちがいずれもいい子に育ったというような家庭の主婦が、教える先生役としては、もっとも適役なのです。

 教育の変化の第三の条件は、これから教育の自由化が進むということです。
 これまで、国や自治体の教育予算は、学校におろされてきました。それを学校におろすのではなく、保護者におろすバウチャー制度という仕組みがこれから検討されるようになります。そして、保護者が自由に学校や先生を選べるようになるのです。
 教育の自由化には、ある程度の基準が必要ですが、その基準をもとにした学力試験や資格試験があれば基礎学力の担保は十分に可能です。

 以上の三つの条件のもとで進む教育の大きな変化に対応できるオンライン教育がこれから求められてきます。
 そのオンライン教育は、これまで行われてきたMOOCのようなビデオ授業型のオンライン教育でも、マンツーマンの個別指導型のオンライン教育でもなく、少人数のグループ学習を行えるようなオンライン教育です。

 そういうオンライン教育を広げるものは、コミュニティです。
 インフレ時代には、何かを社会に広げるためには、メディアの力や宣伝の力が必要でした。それは言い換えれば資金力が必要だったということです。
 しかし、デフレ時代には、コミュニティの力が社会に広がる原動力になります。コミュニティの中で、よりよいものを提供し、相手の助けになることをするというコミュニティ貢献力がこれからの重要になってくるのです。

 そして、このオンライン教育の普及のあとには、リアルな体験型の教育の場もまた必要になってきます。
 言葉の森が今考えているのは、自然寺子屋合宿教室をオンライン教育と組み合わせて行っていくことです。
 これから、そのための講師募集と講師のコミュニティ作りを進めていきたいと思っています。


この記事に関するコメント
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森川林 20170103 1 
 これまでの一斉授業型の教育では、教える先生にエンターテイナーとしての力や、子供たちの集団をコントロールする力が必要でした。
 しかし、家庭学習をカバーするような基礎学力の教育には、子供たちの自学自習をうまく軌道に載せる力が必要になります。
 そういう先生の適役は、自分が子育てを済ませ、子供たちの教育にあまり苦労をせず、子供たちがいずれもいい子に育ったというような経験を持つお父さん、お母さんです。
 これから、そのように誰もが子供の教育に関われるという社会がやってくると思います。


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これからの子育ての目標は、勝てる子ではなく、みんなを勝たせることのできる子 as/2779.html
森川林 2017/01/02 17:06 


 車の運転では、視線の目標を遠くに持っておくと、運転がぶれません。視線が近くにあると、微調整が必要な気がして細かいハンドルさばきをするようになり、乗り心地が悪くなります。

 子育ても、遠くに目標を持っていれば滑らかな運転ができますが、そういう目標がないと、細かいことにいちいち注意をしたくなります。すると、子供はその運転を乗り心地悪く感じるようになるのです。

 経済が発展するインフレの時代には、目標は、物を広げることでした。その時代には、自分個人の利益を追求することが、そのまま社会全体の利益につながるという資本主義の論理が成り立っていました。
 物を売るマーケットをできるだけ広くしていくことが、個人にとっても、社会にとってもいいことだったのです。

 魚釣りの例で言うと、いい場所を見つけたら、その場所を誰にも教えず、特許などで参入障壁を作り、自分だけが大量の魚をとるというのが資本主義の精神でした。

 ところが、これからの社会はデフレの社会になります。それは、物を広げるよりも事を高める時代です。
 事を高める時代のマーケットは、単なる消費者のマーケットではなく、その事に関心を持つ人の小さなコミュニティになります。
 すると、そのコミュニティで、みんなに貢献し、みんなの手助けをしてあげる人が、このコミュニティを広げられるようになります。

 魚釣りの例で言うと、いい場所を見つけたら、みんなにそれを教えてあげような生き方です。
 そして、自分は、みんなのフィードバックを参考にしながら、更にいい場所を見つけるために自分を高めていくのです。

 これまでの子育ては、勝てる子を育てることが中心でした。
 しかし、これからは勝てるだけでなく、みんなを勝たせることのできる人が求められるようになります。
 これからは、こういう大きな目標のもとに子育てをしていくことが大事になるのです。

▽youtubeの動画

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森川林 20170102 1 
 これからの世の中の変化というのは、ただ変化するだけでなく、これまでよかったことが悪くなり、悪かったことが逆によくなるような質的な変化です。
 その変化の影響を最も受けるのは、未来の社会に生きる子供たちです。
 だから、子育てもそういう変化の先を見ていく必要があるのです。

nane 20170102 1 
 自分の利益追求よりも、コミュニティの利益追求という日本的な発想が、これからの社会では大事になります。
 それは、子育てだけでなく、ビジネスもまたそうです。
 更に言えば、それは日本の国全体がそうなっていくのです。


namura 20170103 10 
相手に気を配れることは大切ですね。

touko 20170112 77 
今、子どもがどうあることかより、どんな大人になって欲しいか、に焦点を当てて子育てを考える。。。今と違ったものが見えてきそうです。

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