言葉の森は、作文指導を専門としている教室ですが、どうして寺子屋オンラインのような企画を行うようになったかというと、それには次のような事情があります。
それは、子供たちの今の勉強の様子を見ていると、現在の日本の教育の問題点がさまざまな形で子供たちに影響を及ぼしていると思ったからです。
それらの問題点を克服する今後の方向として、言葉の森は、次の四つの大きな方針を考えています。
第一は、受験のための勉強から、実力のための勉強へ。
第二は、学校や塾で教わる勉強から、家庭と地域で自ら学ぶ勉強へ。
第三は、点数を目標とした勉強から、文化を目標とした勉強へ。
第四は、競争に勝つための勉強から、創造し独立するための勉強へ。
これらの方向を実現するものとして、作文教育以外に、ネットワークを使い、かつ人間どうしの触れ合いのある、受け身ではない自主性のある参加型の勉強をしようとして、寺子屋オンラインの企画を始めたのです。
さて、言葉の森がこれまで行っていた企画は、当初Googleハングアウトオンエアというサービスを使ったものでした。
しかし、その後、Googleハングアウトはオンエアの機能をはずすようになりましたので、言葉の森も、企画の名称を「寺子屋オンエア」から「寺子屋オンライン」に変えることにしました。
この寺子屋オンラインの概要と参加者募集を、明日の午後に記事としてアップロードします。
これまで寺子屋オンエアやオンエア講座やオンエア作文に参加されていたみなさんには、長い間お待たせして申し訳ありませんでした。
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寺子屋オンエアは、家庭学習だけで基本となる勉強力をつけるという企画です。
勉強は、誰かに教えてもらうよりも、自分ひとりでやった方がずっと能率よくできるものです。しかし、家庭でひとりでやっていたのでは、あまり張り合いがありません。また、たまには、誰かに聞きたいことが出てきます。そのときに、一緒に勉強している友達がいて、見守っていてくれる先生がいれば、家庭でのひとりでの勉強もずっとやりやすくなります。
インターネットは、そういうグループ学習と個人の学習を結びつけることができるようになりました。家庭という最も居心地のよい環境で、友達や先生と一緒に勉強することができるようになったのです。
ところで、今言葉の森が考えているのは、この寺子屋オンエアの未来の形です。
基本となる学習は、確かに寺子屋オンエアでできるようになります。しかし、その能率のよい勉強でできた自由な時間を、ただテレビを見たりゲームをしたりしているだけでは、充実した時間の使い方とは言えません。
そこで、その自由な時間も、寺子屋オンエアの特別コースに参加できるようにするのです。その特別コースには、ロボット作りコース、音楽交流コース、ファッションコース、お菓子作りコース、テーマ別た読書会コースなど、教える先生の個性と生徒の個性がマッチしたものが多数できるはずです。
通常の交流は、家庭でネットを使って行いますが、時どきは実際に会って交流する機会も作ります。
これからの時代は、特に個性や創造性が必要となってきます。その個性や創造性もまた、人間どうしの交流の中で進んでいくのです。
「寺子屋オンエアの未来形―勉強力をつけたあとは個性を伸ばす教育」
https://www.mori7.com/index.php?e=2308
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なぜ今の勉強がつまらないかというと、答えのあることをただ教わるだけだからです。
答えのあるものは、自学自習で身につけ、その代わり空いた時間を、自分の好きな勉強に集中しそれを発表できるようにするといいのです。
そのコミュニケーションを生かすものとして、現在のネットを中心とした科学技術のツールを使っていきます。
これが、寺子屋オンラインの考え方です。
子供たちが「学校ごっこ」をやるとしたら、たぶん先生役は人気があって、生徒役はあまりなり手がないと思います。
人に教えることは主体的なことで面白いのですが、教わることは受け身で全然面白くないからです。
だから、この教育を逆転して、子供たちが主体的に学び、先生はそれを見守りときどき支えるというような関係にしていく必要があります。
今、教育はそういう過渡期にあるのだと思います。
効率よく勉強できる家庭学習の弱点「張り合い・モチベーション」をうまくカバーしているシステムです。みんな、自主的に、積極的に、家庭学習を楽しんでいます。
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子供の真の学力は、問題集を解くような勉強では身に付きません。
問題集を解く勉強法は、同じく問題を解く形の入試の時期に合わせて短期間で集中的に取り組み、入試の成績を上げることに使うものです。
入試の成績を上げることと、真の学力とは違うものなのです。
しかも、近年の入試は、日本特有のガラパゴス化した問題になっています。
入試で評価されるものは、本当の学力というよりも、そのガラパゴス化した問題に対する訓練度です。
だから、家庭では、今の世間の勉強の風潮から一歩距離を置いて、子供の真の学力形成に役立つ勉強を進めていく必要があります。
そして、入試の時期だけは、合格するための勉強と割り切って、入試問題を解く練習に集中すればいいのです。
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問題を解くような形の勉強であれば、子供がある程度自主的に進めていけます。しかし、作文の場合は、そういう問題・解答形式の勉強ではありません。毎日、読書や音読などの読む自習を行い、毎週、自分で考えて作文を書くということで力がついていきます。
作文は、親子の対話を楽しむ形で進めていく勉強です。これは、小学生には特に重要です。小学校1、2年生は自由な題名ですから、毎週授業の始まる前に、「今週はどんなこと書くの」と子供に聞き、親が子供と作文に書く内容について話をします。また、書いた作文が返却されたときも、その作文の内容について家族で対話をします。この際、決して欠点を指摘して直すようなことはしないでください。欠点は、読む力がつく中でほとんど自然に直ります。欠点を指摘すると、作文を書くことが億劫になります。対話は、いつも楽しい雰囲気で行ってください。この対話のときに大事なことは、お父さんやお母さんの子供時代の似た話などをたくさんしてあげることです。そのときに、子供には、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするようにします。この対話によって親子のコミュニケーションが豊かになるとともに、子供の頭がよくなります。
小学校3、4年生の場合は課題が決まっているので、親子の対話は更にしやすくなります。次の週の課題を見て、お父さんやお母さんが似た話を子供に聞かせてあげてください。場合によっては、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんに取材してもよいでしょう。また、作文が返却されたときも、親子でその作文を話題にして話をするようにしましょう。この場合、やはり大事なことは、欠点を指摘して直すようなことはしないということです。作文はできるだけよいところを見て励ますようにしてください。
小学校中学年までに親子の対話の習慣を作っておくと、その親子の関係はあとまで続きますし、その対話によって子供の頭がよくなります。理解力や思考力は、問題を解くような形の勉強では身につきません。対話と読書によって最も確実に身につくのです。ですから、対話のときは、楽しい雰囲気で、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするように心がけてください。
小学校高学年や中学生になると、子供が自分の作文を親に読まれるのを嫌がる面が出てきます。その場合は、作文ではなく、課題の長文をもとにして対話をしていきましょう。課題の長文は、ホームページでも読むことができますから、事前にお父さんやお母さんもその長文に目を通しておくとよいでしょう。
課題の長文をもとにした対話は、次のような形で進めることができます。まず、子供に、次の週の課題がどういう内容か説明させます。そのためには、子供が事前に長文を読んでおかなければなりません。題名だけの課題の場合は、子供がどんなことを書くつもりか考えておかなければなりません。この子供に内容を説明させるということが、子供の思考力と表現力を育てる勉強になります。子供に説明させたあと、親がその課題についての関連する話をしてあげます。親の話を聞くと、子供が自分の経験を通して考えただけの作文よりも話題が広がり、感想も深まります。
小学校高学年になると、普通の家庭ではどこでも親子の対話は少なくなります。特に、お父さんは子供との日常的な接点があまりないので、対話をするとしても勉強や成績のことばかりになりがちで、ますます対話が難しくなります。ところが、作文の勉強を通して話をすることによって、親子が毎週知的な対話を楽しむ習慣ができるのです。
「問題を解く勉強ではなく、読んで話して考えて書く勉強だから国語力がつく」
https://www.mori7.com/index.php?e=2096
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人類の長い歴史から見ると、問題を解く勉強は最近になって生まれたものです。
それは、入学試験が問題を解かせる形で出されることに対応して、同じような問題を解かせる勉強法として生まれたのです。
では、それまでは、人間はどのような勉強をしていたかというと、日本の場合それは素読と筆写と対話でした。
この素読と筆写と対話と、もう一つ算盤によって培われた理解力と思考力と表現力によって、日本は急速な近代化を成し遂げたのです。
しかし、明治政府が欧米に追い付くために採用した教育法は、教科書をもとにした一斉授業と、その授業の理解度を評価するためのテストと入学試験でした。
この言わば間に合わせ的に採用した欧米流の教育法が、その後もずっと引き継がれてきて、今制度疲労を起こしつつあるのです。
今の日本の入試は、ガラパゴス化しています。
日本だけに通用する学校の序列をもとに、入試だけに通用する難問が出されています。
その難問を解く力は、思考力ではありません。難問の解法を知識として詰め込むことです。
だから、子供の本当の成長を望むならば、入試向けの勉強は短期間に集中して取り組むことです。
そして、その代わりそれまでの日常的な勉強は、読書と作文と親子の対話を中心にしていくといいのです。
同じ時間をかけるなら、真の学力形成に役立つ勉強をする方がいいですね。でも、そのことを分かっていない親も多そうです。(私も偉そうなことは言えませんが……。)
作文の勉強には親子の対話が不可欠であることを、先生はもちろん、お父さん、お母さんもしっかり認識しておく必要がありますね。
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