1年生の子に作文を書かせれば、直すところがたくさん見つかります。
しかし、それを全部直して、それで上手に書けるようになるかというと、そういうことはありません。
それよりも、すぐに作文が嫌いになってしまいます。
これは、作文の勉強に限らず、子供の勉強すべてについて言えることです。
更には、子供の生活すべてについても言えることと言ってもいいでしょう。
親や先生は、直したり叱ったりする前に、その子がうまくできるような準備を入念にして、その結果できたことを褒めるような教え方をしなければならないのです。
直したり叱ったりしなければならないのは、子供に問題があるのではなく、そういう事前の準備をしなかったところに問題があります。
褒める教え方をするためには、何よりも事前の準備が大切なのです。
====
「低学年は、作文を書くことに力を入れる前に、聞くこと、話すこと、読むことの土台を」
https://www.mori7.com/index.php?e=1756
低学年の子が何かを書くと、そこには必ずと言っていいほど欠点があります。
勉強というと、間違いを直すことと考えている人が多いので、大人はその欠点をすぐに直そうとしてしまうのです。
本当は、書くことを直す前の準備に力を入れて、書くときにはもうほとんど間違いがない状態で書かせればいいのですが、今の作文指導はそういう準備はなくただ突然書かせるような勉強になります。
だから、作文が苦手になる子が多いのです。
書く前に、もっと読んだり、聞いたり、話したりする指導に力を入れていく必要があるのです。
それは、学校だけでなく、家庭でももちろん同じです。
作文の勉強というと、すぐに文章を書かせることを考えがちですが、それが大きな勘違いのもとです。
特に、小学校低学年では、書く勉強はできるだけ後回しにした方がいいのです。
では何をするかというと、それは、書くことではなく、聞くこと、言うこと、読むことです。
書くことが花だとすると、聞いたり、話したり、読んだりすることは、それを支える根や葉や枝です。
花だけきれいに咲かせようとすると、子供に無理強いすることが多くなります。
しかも、子供の書く文章は欠点だらけなのが普通ですから、注意せずに済ませることができなくなります。
作文を書かせることや、その作文を添削することは、大人であれば誰でもできます。
しかし、いちばん力を入れなければならないのは、書く前の土台作りです。
作文を書かせるのは、注意したり直したりする必要がなくなってからです。
そうすれば、楽しく褒めるだけの勉強になるのです。
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
勉強の基本は、自学自習です。
しかし、それはただプリントをやらせておけばいいというのではありません。
特に小学校低学年の場合は、親子の対話を楽しむ自学自習にする必要があるのです。
作文の勉強には、それが最もよく表れてきます。
褒めて伸ばす、参考になります。
お互い気持ちよく勉強も進めていくことができそうですね。
最後にほめてあげられるように誘導するというのがコツかもしれません。
作文に限らず、生活態度でも、いいところを褒めるようにすると、見違えるように良くなっていくことがあります。一つのことをほめると、それが全体にいい影響を及ぼすようです。
やさしくほめるために、親の準備が大事ですね。
小学1年生の子に作文を書かせると、すぐに、「次、どう書くの」と聞いてくる子がいます。
それは、書いたあと直されたことが何度かあったからです。
だから、子供の作文はできるだけ直してはいけないのです。
しかし、直さなければ、子供が間違った書き方を続けてしまいます。
だから、最初から直さなくてもいいような書き方を教えて、書いたあとは褒めるだけにしておくといいのです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。作文の書き方(108) 小学校低学年(79) 子育て(117)
作文の勉強は、最初は誰でも教えられるような気がします。
特に、子供が小学校低学年のうちはそうです。
しかし、ただ教えてただ書かせているだけでは、すぐに行き詰まってきます。
それは、例えば、子供が飽きてやらなくなってくるとか、親の言うことを聞かなくなるとか、どうしても書けなくなるとかいう形で表れます。
そして、そういう状態になると、作文を書くことそのものが嫌いになってしまうことが多いのです。
作文を書くというのは、実はかなり精神的なエネルギーを必要とする勉強です。
事情を知らない大人は、すぐに、「早く書いてしまいなさい」などと言います。
しかし、読書感想文の宿題などを思い出してみるとわかるように、作文は締め切りぎりぎりになるまで書き出せないのです。
だから、最初の教室選びが大事です。
最初に書き方の流れがわかれば、たとえ途中でやめることがあっても、また必要になったときにすぐに再開できるのです。
これからの入試は、思考力や発表力が求められるようになります。
知識の詰め込みでない勉強を身につけるために、これから作文力はますます重要になってきます。
====
「作文教室を選ぶ基準は、本当に実力がつくかどうか」
https://www.mori7.com/index.php?e=2100
受講料の安さや、有名人の顔が売りの作文講座があります。しかし、そういう講座を選んで苦労するのは子供です。
最初は面白い教材のような気がしますが、面白く簡単にできるだけで実力がつくわけではありません。だから、学年が上がり課題が難しくなると、すぐに書けなくなり、親子で言い争いが始まるのです。
言葉の森には、「以前、○○でやっていたが、書けなくなったので」という理由で受講を始める人がよくいます。
その分、勉強の遠回りをしたことになりますが、書き方がわかれば誰でもすぐに書けるようになります。
言葉の森を小学生のころ受講していた生徒が、中学生や高校生になり時間がとれずいったん休会することがあります。
そういう生徒が、何年もたってから、「受験で小論文を使うので、また教えてもらいたい」とよく来るのです。
小論文を教えてくれる塾や予備校はたくさんあるはずなのに、なぜ小学生のころ習った言葉の森にまた電話をしてくるのでしょうか。
それは、高校入試の小論文でも、大学入試の小論文でも、ほかの塾や予備校と比較して、「やはり言葉の森の方がわかりやすかった」と思うからです。
作文の進歩には時間がかかるので、どういう教室がよいかわかりにくいところがあります。しかし、何年もたってから、あまり役に立たなかったということがわかっても遅いのです。
作文教室を選ぶ基準は、その教室が生徒からどれだけ信頼されているかということなのです。
▽今年の合格速報
https://www.mori7.com/as/2084.html
(この合格速報は、記事掲載時のものです。)
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
何事も最初のスタートの仕方が大事です。
途中での軌道修正はできないわけではありませんが、かなりのエネルギーを必要とします。
しかし、人間にはカレンダーという時間の概念があります。
だから、「よし、3月から新しい気持ちでがんばろう」などと思うことができるのです。
ここが、時間の概念のない動物との違いで、だから動物はインプリンティングがそのままずっと続きます。
しかし、もちろん人間もそういう軌道修正をせずに、最初からいいスタートを切れればそれがいちばんいいのです。
言葉の森の作文の勉強は、やむを得ない事情で続けられなくなった子が、その後再開することが多いのです。
塾が忙しくなったり、部活が忙しくなったりした子が、また時間の都合がつくようになったからということで、再び同じ先生に教わるということがよくあります。
通信教育なのに、こういう人間的なつながりのあるところが面白いと思います。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。他の教室との違い(22) 言葉の森の特徴(83) 作文教育(134)
言葉の森では、これまでさまざまなオンエア企画を行ってきましたが、3月からそれらを「オンライン企画」という名称にし、次のような形で再開します。
なお、寺子屋オンラインの企画とは、Googleハングアウトのウェブ会議の仕組みを使って行う企画のことで、企画の参加に必要な機器は、スマホ又はタブレット又はパソコン(カメラ付き)のいずれかです。画面が大きい方が利用しやすいので、タブレット又はパソコンがおすすめです。
Googleハングアウトの利用の仕方は、随時説明します。
言葉の森でこれまで行ってきたオンライン企画は、「寺子屋オンエア」、「読書実験クラブ」、「思考国算講座」、「先行国数講座」、「学年別作文と勉強講座」などでした。
この3月から、これらの個別に行ってきた企画を、新たに「寺子屋オンライン」という名称の大きな企画の枠でまとめ、その中の個別の企画として整理し再開することにしました。
そのため、これまでの個別企画の名称が一部変わります。
以下は、新「寺子屋オンライン企画」の中の個別企画です。
【1】
●新名称:自主学習クラス(略称:自学クラス)
◆旧名称:寺子屋オンエア
○目標:真の学力と自主性を育てる。
対象は小1~中3
用意していただくテキストは、小学生の場合は「ハイクラステスト国語読解力」(受験研究社。該当学年分)、中学生の場合は「ハイクラステスト国語長文」(受験研究社)
学習内容
・読書チェック
・国語問題集読書チェックと関連問題
・算数数学問題集チェック(希望者。算数数学のテキストは「これでわかる算数数学」(文英堂。該当学年分。先取りも可))
・スタディサプリチェック(希望者。)
・理科社会英語問題集チェック(希望者。テキストはいずれも「これでわかる」シリーズ(文英堂)。ほかに英語暗唱教材として「英会話・ぜったい・音読 入門編」(國弘正雄・講談社インターナショナル))
・毎日の長文音読チェック(希望者。skypeのビデオメッセージで)
(勉強に関する質問や相談は、保護者掲示板、又はオンライン懇談会で受け付けます。)
曜日時間
・月~金の17:30~20:50の間の1時間以内(最後の10分間に先生からの電話指導あり)
費用ほか
・月4回、月額2,160円
・言葉の森の生徒以外は3ヶ月前納制の振込。
・祝日は休み宿題、第5週目は休みで、いずれも言葉の森のカレンダーに準じます。
・振替は同じ日に限ります。講師の担当時間の空きがないと振替を受けられないこともあります。
【2】
●新名称:思考発表クラブ(学年別)(略称:思発クラブ)
◆旧名称:読書実験クラブ、思考国算講座、作文と勉強講座(学年別)
○目標:思考力と発表力を育てる。
対象は小1~小6(学年別)
用意していただくテキストは、「これでわかる算数」(文英堂。該当学年分。先取りも可)
学習内容
・読書発表5分(読んでいる本の紹介)
・作品発表10分(作文の構想図・算数数学の類似問題・家庭での実験や経験)
・次週の作文の予習解説10分
・算数数学の作問解説5分
・保護者懇談15分(希望者。ただし4週目は原則全員参加。保護者懇談と並行して子供たちは実習。)
曜日時間(学年はいずれも新学年)
・火18:00~18:45(新小1)
火19:00~19:45(新小4)
・水18:00~18:45(新小2)
水19:00~19:45(新小5)
・木18:00~18:45(新小3)
木19:00~19:45(新小6)
・そのほかに同学年の希望者が4名以上参加できる時間帯
・4名未満の曜日時間は、希望者が集まるまで保留
定員
・定員6~7名の同学年の少人数制(最少4名~最多9名)
(定員を超える場合は、これまでやっていた生徒、言葉の森の生徒を優先します。)
費用
・月4回、月額2,160円
・言葉の森の生徒以外は3ヶ月前納制の振込。
・祝日は休み宿題、第5週目は休みで、いずれも言葉の森のカレンダーに準じます。
・振替はありません。その代わり授業の動画が見られます。
【3】
●新名称:オンライン作文コース(略称:オン作コース)
◆旧名称:オンエア作文
○目標:学習の場を先生や他の生徒と共有できる。
対象は言葉の森生徒なら誰でも
学習内容
・通常の作文の電話指導の際に、先生と話す画面を共有します。
・作文を書いている間、同じ時間に作文や他のコースを勉強している生徒とも画面を共有できます。
・開始時の電話説明はありますが、終了時の電話はありません。終了したら自主的に退出してください。
・代講や振替の場合は、通常の電話指導だけになります。講師によってはオンラインにまだ対応できない先生もいます。
費用
・言葉の森の受講料以外の追加費用は無料
【4】
●新名称:自然寺子屋合宿
◆旧名称: 〃
○目標:自然の経験と、友達の交流と、自主学習の方法を学ぶ。
対象は小1~小6(保護者、祖父母も参加できます)
場所
・那須高原(南ヶ丘牧場の近く)
期間
・7月22日~8月31日の間の2泊3日(2泊3日の連続参加も可)
(722-724、724-726、726-728、728-730、730-801、801-803、803-805、805-807、807-809、809-811、811-813、813-815、815-817、817-819、819-821、821-823、823-825、825-827、827-829、829-831)
合宿内容
・自然の中での経験
・友達との交流
・朝晩の読書と寺子屋オンライン学習(機器は現地で用意しています)
費用
・35,000円程度(2泊3日。東京集合。東京―那須塩原間の往復交通費含む。次の2泊3日も続ける場合は、プラス27,000円。何回でも継続可)
※詳細は4月ごろお知らせします。
【5】
●その他
次の企画も寺子屋オンラインの企画としてGoogleハングアウトを使って行います。
・プレゼン作文発表会
・作文検定
・暗唱検定
・オンライン懇談会
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
盛りだくさんですね!
楽しみです
「寺子屋オンライン」企画の2回連続無料体験学習を受け付けます。
これまで参加されていた方には、別途郵送でご案内をお送りします。
必要な機器は、スマホ、タブレット、パソコン(カメラ付き)のいずれかですが、継続して受講される場合は、画面の大きいタブレットやパソコンの方が便利です。
いよいよ始まりますね。楽しみです。
新しい学習スタイル、多くの方に参加していただきたいですね。
合宿も楽しみです♪
親子で体験してもらいたいですね。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。オンエア講座(41) 寺オン作文クラス(2) 読書実験クラブ(9) 寺子屋オンライン(101) 思考国算講座(0) 合宿(14)
言葉の森は、作文指導を専門としている教室ですが、どうして寺子屋オンラインのような企画を行うようになったかというと、それには次のような事情があります。
それは、子供たちの今の勉強の様子を見ていると、現在の日本の教育の問題点がさまざまな形で子供たちに影響を及ぼしていると思ったからです。
それらの問題点を克服する今後の方向として、言葉の森は、次の四つの大きな方針を考えています。
第一は、受験のための勉強から、実力のための勉強へ。
第二は、学校や塾で教わる勉強から、家庭と地域で自ら学ぶ勉強へ。
第三は、点数を目標とした勉強から、文化を目標とした勉強へ。
第四は、競争に勝つための勉強から、創造し独立するための勉強へ。
これらの方向を実現するものとして、作文教育以外に、ネットワークを使い、かつ人間どうしの触れ合いのある、受け身ではない自主性のある参加型の勉強をしようとして、寺子屋オンラインの企画を始めたのです。
さて、言葉の森がこれまで行っていた企画は、当初Googleハングアウトオンエアというサービスを使ったものでした。
しかし、その後、Googleハングアウトはオンエアの機能をはずすようになりましたので、言葉の森も、企画の名称を「寺子屋オンエア」から「寺子屋オンライン」に変えることにしました。
この寺子屋オンラインの概要と参加者募集を、明日の午後に記事としてアップロードします。
これまで寺子屋オンエアやオンエア講座やオンエア作文に参加されていたみなさんには、長い間お待たせして申し訳ありませんでした。
====
寺子屋オンエアは、家庭学習だけで基本となる勉強力をつけるという企画です。
勉強は、誰かに教えてもらうよりも、自分ひとりでやった方がずっと能率よくできるものです。しかし、家庭でひとりでやっていたのでは、あまり張り合いがありません。また、たまには、誰かに聞きたいことが出てきます。そのときに、一緒に勉強している友達がいて、見守っていてくれる先生がいれば、家庭でのひとりでの勉強もずっとやりやすくなります。
インターネットは、そういうグループ学習と個人の学習を結びつけることができるようになりました。家庭という最も居心地のよい環境で、友達や先生と一緒に勉強することができるようになったのです。
ところで、今言葉の森が考えているのは、この寺子屋オンエアの未来の形です。
基本となる学習は、確かに寺子屋オンエアでできるようになります。しかし、その能率のよい勉強でできた自由な時間を、ただテレビを見たりゲームをしたりしているだけでは、充実した時間の使い方とは言えません。
そこで、その自由な時間も、寺子屋オンエアの特別コースに参加できるようにするのです。その特別コースには、ロボット作りコース、音楽交流コース、ファッションコース、お菓子作りコース、テーマ別た読書会コースなど、教える先生の個性と生徒の個性がマッチしたものが多数できるはずです。
通常の交流は、家庭でネットを使って行いますが、時どきは実際に会って交流する機会も作ります。
これからの時代は、特に個性や創造性が必要となってきます。その個性や創造性もまた、人間どうしの交流の中で進んでいくのです。
「寺子屋オンエアの未来形―勉強力をつけたあとは個性を伸ばす教育」
https://www.mori7.com/index.php?e=2308
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
なぜ今の勉強がつまらないかというと、答えのあることをただ教わるだけだからです。
答えのあるものは、自学自習で身につけ、その代わり空いた時間を、自分の好きな勉強に集中しそれを発表できるようにするといいのです。
そのコミュニケーションを生かすものとして、現在のネットを中心とした科学技術のツールを使っていきます。
これが、寺子屋オンラインの考え方です。
子供たちが「学校ごっこ」をやるとしたら、たぶん先生役は人気があって、生徒役はあまりなり手がないと思います。
人に教えることは主体的なことで面白いのですが、教わることは受け身で全然面白くないからです。
だから、この教育を逆転して、子供たちが主体的に学び、先生はそれを見守りときどき支えるというような関係にしていく必要があります。
今、教育はそういう過渡期にあるのだと思います。
効率よく勉強できる家庭学習の弱点「張り合い・モチベーション」をうまくカバーしているシステムです。みんな、自主的に、積極的に、家庭学習を楽しんでいます。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。寺子屋オンライン(101) オンエア講座(41) 寺オン作文クラス(2)
子供の真の学力は、問題集を解くような勉強では身に付きません。
問題集を解く勉強法は、同じく問題を解く形の入試の時期に合わせて短期間で集中的に取り組み、入試の成績を上げることに使うものです。
入試の成績を上げることと、真の学力とは違うものなのです。
しかも、近年の入試は、日本特有のガラパゴス化した問題になっています。
入試で評価されるものは、本当の学力というよりも、そのガラパゴス化した問題に対する訓練度です。
だから、家庭では、今の世間の勉強の風潮から一歩距離を置いて、子供の真の学力形成に役立つ勉強を進めていく必要があります。
そして、入試の時期だけは、合格するための勉強と割り切って、入試問題を解く練習に集中すればいいのです。
====
問題を解くような形の勉強であれば、子供がある程度自主的に進めていけます。しかし、作文の場合は、そういう問題・解答形式の勉強ではありません。毎日、読書や音読などの読む自習を行い、毎週、自分で考えて作文を書くということで力がついていきます。
作文は、親子の対話を楽しむ形で進めていく勉強です。これは、小学生には特に重要です。小学校1、2年生は自由な題名ですから、毎週授業の始まる前に、「今週はどんなこと書くの」と子供に聞き、親が子供と作文に書く内容について話をします。また、書いた作文が返却されたときも、その作文の内容について家族で対話をします。この際、決して欠点を指摘して直すようなことはしないでください。欠点は、読む力がつく中でほとんど自然に直ります。欠点を指摘すると、作文を書くことが億劫になります。対話は、いつも楽しい雰囲気で行ってください。この対話のときに大事なことは、お父さんやお母さんの子供時代の似た話などをたくさんしてあげることです。そのときに、子供には、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするようにします。この対話によって親子のコミュニケーションが豊かになるとともに、子供の頭がよくなります。
小学校3、4年生の場合は課題が決まっているので、親子の対話は更にしやすくなります。次の週の課題を見て、お父さんやお母さんが似た話を子供に聞かせてあげてください。場合によっては、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんに取材してもよいでしょう。また、作文が返却されたときも、親子でその作文を話題にして話をするようにしましょう。この場合、やはり大事なことは、欠点を指摘して直すようなことはしないということです。作文はできるだけよいところを見て励ますようにしてください。
小学校中学年までに親子の対話の習慣を作っておくと、その親子の関係はあとまで続きますし、その対話によって子供の頭がよくなります。理解力や思考力は、問題を解くような形の勉強では身につきません。対話と読書によって最も確実に身につくのです。ですから、対話のときは、楽しい雰囲気で、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするように心がけてください。
小学校高学年や中学生になると、子供が自分の作文を親に読まれるのを嫌がる面が出てきます。その場合は、作文ではなく、課題の長文をもとにして対話をしていきましょう。課題の長文は、ホームページでも読むことができますから、事前にお父さんやお母さんもその長文に目を通しておくとよいでしょう。
課題の長文をもとにした対話は、次のような形で進めることができます。まず、子供に、次の週の課題がどういう内容か説明させます。そのためには、子供が事前に長文を読んでおかなければなりません。題名だけの課題の場合は、子供がどんなことを書くつもりか考えておかなければなりません。この子供に内容を説明させるということが、子供の思考力と表現力を育てる勉強になります。子供に説明させたあと、親がその課題についての関連する話をしてあげます。親の話を聞くと、子供が自分の経験を通して考えただけの作文よりも話題が広がり、感想も深まります。
小学校高学年になると、普通の家庭ではどこでも親子の対話は少なくなります。特に、お父さんは子供との日常的な接点があまりないので、対話をするとしても勉強や成績のことばかりになりがちで、ますます対話が難しくなります。ところが、作文の勉強を通して話をすることによって、親子が毎週知的な対話を楽しむ習慣ができるのです。
「問題を解く勉強ではなく、読んで話して考えて書く勉強だから国語力がつく」
https://www.mori7.com/index.php?e=2096
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
人類の長い歴史から見ると、問題を解く勉強は最近になって生まれたものです。
それは、入学試験が問題を解かせる形で出されることに対応して、同じような問題を解かせる勉強法として生まれたのです。
では、それまでは、人間はどのような勉強をしていたかというと、日本の場合それは素読と筆写と対話でした。
この素読と筆写と対話と、もう一つ算盤によって培われた理解力と思考力と表現力によって、日本は急速な近代化を成し遂げたのです。
しかし、明治政府が欧米に追い付くために採用した教育法は、教科書をもとにした一斉授業と、その授業の理解度を評価するためのテストと入学試験でした。
この言わば間に合わせ的に採用した欧米流の教育法が、その後もずっと引き継がれてきて、今制度疲労を起こしつつあるのです。
今の日本の入試は、ガラパゴス化しています。
日本だけに通用する学校の序列をもとに、入試だけに通用する難問が出されています。
その難問を解く力は、思考力ではありません。難問の解法を知識として詰め込むことです。
だから、子供の本当の成長を望むならば、入試向けの勉強は短期間に集中して取り組むことです。
そして、その代わりそれまでの日常的な勉強は、読書と作文と親子の対話を中心にしていくといいのです。
同じ時間をかけるなら、真の学力形成に役立つ勉強をする方がいいですね。でも、そのことを分かっていない親も多そうです。(私も偉そうなことは言えませんが……。)
作文の勉強には親子の対話が不可欠であることを、先生はもちろん、お父さん、お母さんもしっかり認識しておく必要がありますね。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。教育論文化論(255) 家庭学習(92)
作文の電話指導をしていると、たまに、電話のうしろでテレビがガンガン鳴っていて、家族の誰かがテレビを見ているという家庭に遭遇することがあります。
そういう子は、電話指導のあとも、そのテレビの音声の中で作文を書くわけですから、まともに書けるはずがありません。
人間がものを考えるときは、左脳の言語脳を使うので、人の話し声があるところでは文章を書くような高度な思考作業はできないのです。
また、テレビをつけっぱなしにしているような家庭は、全体に子供の生活がルーズになっています。
きちんとした家庭では、テレビを見る時間は、1週間で何時間というように決めていて、見たい番組を子供との相談の上で絞っているものです。
テレビ、ゲーム、インターネット、スマホ、漫画などに共通するものは、惰性で見てしまうことがあるということです。
しかし、これらを禁止することはよくありません。親の力で禁止してしまうと、子供に自分でコントロールする力がつかないからです。
ある一定の制限を自分で決めて利用するというのは、口で言うほど簡単ではありませんが、そういう苦労を親子で一緒にすることで、子供に少しずつ自分で生活をコントロールする力がついてきます。
そのためには、まず親が子供の生活環境を整えてやることです。
その第一歩が、勉強中や食事中はテレビは消しておくということです。
そして、第二歩が、毎日必ず本を読む時間を確保するということです。
====
日本人は、話し声も自然の音も左脳で処理します。だから、集中して考える勉強をするときは、音のないところでする必要があります。高学年の作文は、集中して考える勉強ですから、静かな環境でやる必要があります。
しかし、小中学生のうちは、自分の部屋で勉強すると、勉強に身が入りません。リビングで、みんなのいる中で勉強した方が集中して取り組めるのです。
ところが、リビングにテレビがあり、弟や妹がテレビを見ていると、やはり勉強には集中できません。そういうときは、テレビの音声が外に漏れないように、ヘッドホンで聞くようにするといいのです。今は、分岐ケーブルで複数のヘッドホンがつなげられますし、無線のヘッドホンもあります。
このヘッドホンでテレビを見るというのは、赤ちゃんのいる家庭でも有効です。幼児期には、テレビのような機械の音声はできるだけ触れさせない方がいいので、テレビを見たい人だけがヘッドホンで聞きながらテレビを見るようにするといいのです。
ヘッドホンの代わりに、勉強する人がイヤーマフをつけるという手もあります。イヤーマフと耳栓を組み合わせると、近くの話し声でもほとんど聞こえなくなります。
音と集中力の関係は、子供本人にはよくわからないので、親が子供の勉強の環境を工夫してあげる必要があります。
「勉強は話し声のないところで、テレビはヘッドホンで」
https://www.mori7.com/index.php?e=2335
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
毎日決まった時間に勉強をさせたいと思ったら、アラームをセットしておけばいいのです。
小さい子供がいるときに見たいテレビ番組があったら、ヘッドホンをすればいいのです。
そういうちょっとしたツールを利用するのが、現代文明の中で生きるコツです。
テレビやゲームやインターネットやスマホが悪いわけではありません。
それだけになってしまうところに問題があるのです。
だから、読書の時間を必ず確保することです。そして、できれば作文の時間も。
読書と作文の時間が確保できれば、それに応じてほかの時間も惰性に流されなくなります。
これは、大人も同じです。
生活にはメリハリが大切ですね。
これ本当に大切ですね。
テレビやインターネットから離れる時間を作るのは、子どもより親のほうが大変なのだと思います。
親の都合で大事な時間を確保できないというのでは悲しい。
禁止するのではなくコントロールできる力を。
テレビで時間を見たりしていてはいけませんね。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。家庭学習(92) 勉強の仕方(119)
英語学習を始める最適の時期は、小学4年生からです。この時期になると、日本語の基盤はもうできているので、外国語の勉強をしても、日本語が混乱することはありません。
しかし、わずか1年の違いですが、小学3年生では、英語教育は早すぎます。それは、小学1年生から3年生にかけては、ちょうど日本語脳が形成される時期にあたるからです。
早期の英語教育をすすめている人は、こういう科学的な裏付けを知らないのだと思います。
「日本語人の脳: 理性・感性・情動、時間と大地の科学」
http://amzn.asia/1kq9phI
「英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし」
http://amzn.asia/fON88WZ
今、幼児期からの英語教育に携わっている方は、英語の前提になる日本語教育にまず力を入れていただきたいと思います。
そのことによって、かえってその後の英語教育が確実に進むのです。
====
小さい子供を持つお母さん方の中には、「日本語など自然に身につくものだ」と考えている人も多いようです。
そして、そのかわり、「自分は英語が苦手だったから、英語は子供のうちから早めに身につけていた方がよい」と考えてしまう人も多いようです。
その結果、幼児期から英語教室に通わせ、更には、親子の会話にもときどき片言の英語を混ぜて話すような人も出てきます。
そういうふうにして育った子供の中に、日本語が十分に発達しなくなる子がときどきいるのです。
そういう子は、日本語が不十分になった分、英語が得意になっているかというと、そんなことはまずありません。
小さいころは、同学年の子が知らないような英単語を知っているかもしれませんが、そういう差は中学生になり、高校生になれば、全くなくなってしまいます。
特に、大学入試の英語は、英語力が半分、国語力が半分という問題です。国語で考える力がなければ、英語がいくら達者でも、考える英語は理解できないのです。
英語教育を、小学4年生あたりからやらせるのは、決して早すぎはしません。むしろ、よいことだと思います。そのころは、中学生のころよりも、柔軟に英語の音を身につけることができるからです。
しかし、英語教育を小学3年生以下でやらせるのは、早すぎます。まして、幼児期から英語の勉強をさせるというのは、子供の思考力の正常な発達を妨げるものになると言ってもよいと思います。
渡部昇一さんは、「英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし」という本を出しています。単刀直入のわかりやすいタイトルの本ですが、中身はしっかりした英語教育論です。
日本人は、日本語でものを考えます。日本語は、単に国語の教科だけで使われるのではなく、数学も理科も社会も美術も音楽も体育も、すべて日本語で把握して身につけているのです。
だから、幼児期から小学校低中学年にかけての教育は、日本語力を育てることを第一に考えていく必要があります。
日本語力を育てるためには、まず、早期の英語教育をしないこと、テレビなどの機械的な音声にできるかぎり触れさせないこと、そして、親子の対話と読書の機会を増やしていくことです。
つまり、家庭での普通の日本語による生活を大事にしていくことなのです。
「大事なのは日本語力――早期の英語教育よりも、まず家庭での普通の日本語生活を」
https://www.mori7.com/index.php?e=2327
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
幼児期からの英語教育をすすめるような勘違いしている人が周囲にあまりに多いので、敢えて記事を書きました。
英語教育は、単なる英語の教育と考えるのではなく、幅広く言語の教育と考え、小3までは日本語教育に力を入れ、小4からの英語教育に結びつけるというように考えていくといいと思います。
だから、英語教室を、日本語を大切にする英語教室というようにしていくといいのです。
小学生からの英語教育に長年携わり優れた指導をしてきた鵜沢戸久子さんも、低学年の英語CDを聞く時間は1日15分までとしています。
英語を勉強することはいいのですが、やりすぎに問題があるのです。
「日本人の小学生に100%英語をマスターさせる法」
http://amzn.asia/6LLSfl3
英語で挨拶ができる以上に、日本語で自分の意見をしっかりいえることが大切ですね。
英語教育の理想は、新渡戸稲造や内村鑑三や鈴木大拙を育てるような英語だと思います。
3年生になると英語が学校で始める事に少し本人も不安になっているようです。 親もどうしてあげたら安心するのか分からないので、ひとまず中根先生お勧めの鵜沢戸久子さんの本を読んでみます。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。英語教育(10)
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
かつての日本には、音読と暗唱の文化がありました。
音読と暗唱は、早い遅いの違いはあっても、やれば誰でもできるものです。
これが、日本の子供たちの学力の基礎を形成していました。
その名残りが、今の掛け算の九九です。
この音読暗唱文化が、戦後の理解中心の教育の中で否定されてきました。
音読と暗唱の代わりに行われた理解とテストによる教育が、できる子とできない子の差を生み出してきました。
理解は、説明によって行われるものだけではなく、反復と慣れによっても行われるということが忘れられてきたのです。
私の父母の世代は、音読暗唱文化の中で育ちました。
だから、ほとんどの人が今の中卒ぐらいのレベルで、文章もしっかり書けたのです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。暗唱(121)