人間の能力は、必要によって開花します。
思考力を育てるためには、思考力が必要な環境にする必要があります。
それが、読書と対話です。
内容を理解したいが、理解するためには考えないといけないというときに、考える力が伸びるのです。
しかし、子供の周囲には、そういう考える読書の環境はあまりありません。
それに応じて、家庭での対話も、日常的な話題に終始することが多くなりがちです。
そこでおすすめしたいのが、問題集読書をもとにした親子の対話です。
国語の入試問題には、一部に読み取りにくいだけのものもありますが、多くは考える内容を含んでいます。
この問題集の問題の設問を解くのではありません。
解く勉強は、解き方のコツとして短期間でできるのでそういうことに時間を使う必要はありません。
そうではなく、ただ問題の文章を読むのです。
それもただ読むのではなく、音読で、しかも1冊を読み終えたら最初に戻り繰り返し5回読むようにします。
算数数学の問題集は、解けない問題が一問もなくなるまで解くことによって力がつきます。
国語の問題集は、1冊を繰り返し読むことによって力がつきます。
そして、家庭で対話の時間をとり、それまでに読んだ問題文の中から一つを選び、親子で話をします。
この繰り返しの読書と、身近な人との対話によって語彙力がつき、理解力と表現力が伸びていきます。
問題集読書を始めると、必ず国語の成績が上がります。
国語力とは、結局読解力で、読解力とは思考力のことです。
そして、思考力に必要な語彙力は辞典などで身につけるものではなく、読書と対話という必要に応じて自然に身につくものなのです。
ただし、問題集読書は、実は家庭で続けるのはなかなか大変です。
それは、読む力がついていないうちは、問題集の文章は難しいだけで面白くないからです。
問題集の文章が面白くなるのは、読む力がついてからです。
その読む力を最初につける練習が、今、自主学習クラスでやっている問題集読書のチェックです。
自主学習クラス( https://www.mori7.com/teraon/jiga/jiga.php )
====
「読解力、記述力のもとになる思考力を鍛える、国語問題集読書のあとの質問と対話」
https://www.mori7.com/index.php?e=2350
子供の思考力を育てる最もよい方法は、考える読書と考える対話をすることです。
寺子屋オンエアでは、国語問題集読書のあとに、生徒が50文字の感想を書きそれを発表します。そのあと、先生から生徒に簡単な質問があります。
この質問にどう答えるかというのが、その生徒の読解力と思考力の指標になります。
低中学年の読む文章は、内容を理解できているかということがわかりやすいのですが、高学年になると、どこまで深く読み取っているかという読みの深さの差が出てきます。
従来の勉強の仕方は、先生が説明することを生徒が聞いて理解するという受け身のものでした。しかし、これでは表面的にわかったつもりになるだけの生徒も多かったのです。
これからの勉強は、先生が説明するのではなく、生徒が説明するのを先生が聞くという形のものになります。これは、国語に限らず、算数数学の勉強でも同じです。自分ができなかった問題を解法を見て理解し、その理解したことを先生に説明するという勉強をすると、理解が確実に自分のものになります。
読解力、記述力を鍛える勉強法は、これまではあまりありませんでした。これからは、問題集読書による難しい文章の復読、感想、質問と対話などが新しい勉強の方法になっていくと思います。
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
思考力は、思考力をつける問題集を解いても身につきません。
問題を解く勉強は、結局、解法を理解して覚える、記憶の勉強になってしまうからです。
思考力は、思考を必要な環境に置かれることによって成長するのです。
国語力をつける問題集などというものはありません。
国語力は、教材によってつくのではなく、その教材の活用の仕方によってつくのです。
その活用の仕方が、その教材を読むことと、その教材をもとにして対話をすることです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。自主学習クラス(0) 問題集読書(33) 読解力・読解検定(0)
3月15日、言葉の森事務局が入っている建物が終日点検となるため、電話とメールはつながりません。
したがって、この日は、欠席された分の振替などもできませんのでご了承ください。
なお、急な用件でお急ぎの方は、携帯までお電話くださるようお願い致します。
●携帯:080-6523-5004
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
先の話ですが、3月15日は言葉の森本部は休館です。
電話通信の指導は通常どおりあります。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。生徒父母連絡(78)
国語は、いろいろな教科のうちの一つというのではありません。あらゆる教科の土台です。
低学年のうちは、この土台を作る最も大切な時期です。
しかし、国語の勉強は、国語の問題集を解くような形では身につきません。
勉強という形に現れない国語的な生活の中で身についていくのです。
それが、読書と対話です。
そして、本当は、ここに音読と暗唱も入れていくといいのです。
言葉の森の暗唱検定の合格者が、のべ40人を超えました。
約3000字の暗唱を7分で読めるようにするのですから、毎日10分の勉強で2、3ヶ月かかります。
この子たちは、国語もほかの勉強も得意になっていくと思います。
また、国語問題集読書の音読を寺子屋オンラインで毎日続けている子もいます。
こういう子たちは、着実に国語力がついています。
====
「子供の習い事をどのように考えるか―国語の学習を生活の中心に」
https://www.mori7.com/index.php?e=1759
子供が健やかに育ってほしいと思うのは、誰にも共通する願いです。そのためのひとつは学力です。この学力を育てることが、子供の成長の中心の課題です。その学力の周辺の余技として音楽やスポーツや様々な趣味の世界があります。だから、学力をつける時間を確保したあとに、音楽やスポーツの時間を確保していくことです。
音楽の目的は、将来、日常生活の中で音楽を楽しめるようになるための技術を身につけることです。運動の目的も、将来、日常生活の中でスポーツを楽しむための技術を身につけることです。決して、将来プロとなるための練習をしているのではありません(ほとんどの人にとって)。親は総合的に子供の成長を考えて、バランスよく子育てをしていくことが大事です。
学力を教科によって分けると、国語と算数が二つの大きな柱になります。国語と算数数学は、小中高と学力の中心になります。しかし、この二つの教科は、性格に大きな違いがあります。ひとつは、国語はやらなくてもある程度できるが、やっても完璧にはできない教科であるのに対し、算数はやらなければできないがやれば百点も取れるようになる教科だということです。
これは、国語と算数が次のような構造を持っているからです。
▽算数
勉強して身につける部分
/\
/ \
/ \
━━━━━━━━━━
/ \
――――――――――
生活の中で身につける部分
▽国語
勉強して身につける部分
/\
━━━━━━━━━━
/ \
/ \
/ \
――――――――――
生活の中で身につける部分
算数は、勉強をすることがほとんどすべてです。
国語は、勉強以外の生活を国語的にしていくことが大切です。
だから、話したり、聞いたり、読んだり、書いたりする日常生活を充実させていくことが大事になります。
一般に、小学校低学年では、算数にかける時間の2倍から3倍を国語的な勉強にかける必要があります。そのためには、生活の中で国語の力をつけていく工夫をすることが必要になります。
科学技術教育に力を入れているドイツでも、小学校低学年の国語の授業時間は、算数の授業時間の2~3倍になっています。
====
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
国語の勉強というと、漢字の書き取りをしたり、問題集を解いたりすることぐらいしか思いつかないことが多いのですが、そういう勉強で国語力がつくと思う人は少ないと思います。
そのため、国語の勉強は後回しになってしまうことが多いのです。
読書や音読や対話は、毎日の生活の中で自然に国語力をつける大切な方法ですが、いずれもあとに形が残るわけではないので、張り合いがありません。
そこで、形の残る問題集などをやってお茶を濁してしまう人が多いのです。
つい算数の計算をドリルで勉強しがちですが、高学年になると、文章読解問題が多く、国語力がないと計算以前に解けないことを実感します。
※覚書として
算数の偏差値は高いけれど、国語が足を引っ張っているという相談がよくあります。高学年になるにつれて、国語力が上がってこないと、他の教科にも影響があるということだと思います。すぐに成績に結びつかなくても、コツコツと取り組んでいくことが大切だとお話ししていこうと思います。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。国語力読解力(155)