作文の勉強というのは、始めるのに大きな精神的エネルギーを必要とします。
読書感想文の宿題を思い出してもわかるように、締め切りぎりぎりにならないと、なかなか始められないのです。
お母さん方は、よく「ほら、早く作文書いてしまいなさい」などと言いますが、それですぐに、「はい」と始められる子はあまりいません。
作文の通信教育が続けにくいのは、そういう事情があるからです。
言葉の森の場合は、先生から直接電話があるので、その電話をきっかけに始めることができますが、教材だけ送られてくる通信教育では、作文の勉強を続けるには、親の関与がかなり必要になります。
小学校低中学年のころは、書く内容も事実中心なので、それでもある程度強制して書かせることはできますが、高学年になり考える課題になってくると、書けないときはどうしても書けないとなるときもあります。
ある意味で、作文の勉強が家庭でしっかり続けられる子は、どの勉強もできる子だと言えると思います。
これは、以前、社会人で最初の級から最後の級まで全部続けた人が言っていたことですが、「この作文の勉強を続けている子だったら、何でもできる」ということは本当なのです。
そこで、通信教育よりも、通学教育の方が続けやすいと思う人もいると思いますが、この通学教育がまた難しいのです。
通学教室で大勢が作文を書いていると、中に、必ずぶつぶつとお喋りする子が出てきます。
喋るという意識なく、独り言を言いながら作文を書く子です。すると、その言葉に反応する子が出てきます。
1クラスに数人そういう子が出てくると、全員が作文を書けなくなります。それは、特に日本人は、人の話し声のあるところでは、ものを考えることが難しいという脳の構造を持っているからだと思います。
数学や英語など他の教科の勉強でしたら、多少お喋りのあるところでも、そのお喋りを無視して勉強を続けることはできますが、作文を書くという勉強は、話し声のあるところではなかなかできません。
だから、テレビをつけっぱなしの環境で作文を書かせるなどということはしてはいけないことなのです。
ところで、こういう通信教育の長所短所と、通学教室の長所短所をうまく組み合わせることができるのがオンラインのグループ教育です。
先生との話は個別のやりとりですから、ほかの人には聞こえません。だから、静かな環境で作文やほかの勉強の集中することができます。
しかし、決して孤独な勉強ではなく、同じ時間に一緒に勉強している友達の姿が見えます。ウェブカメラを机上に向けていれば、互いにどういう勉強をしているのかもわかります。
すると、自然に自分も自然に勉強を始められるようになるのです。
物理学で、静止摩擦と運動摩擦というものがありますが、最初のスタートに必要なエネルギーに比べると、動き出してからのエネルギーはずっと少なくて済みます。場合によっては、動きを止めるのにかえってエネルギーが必要なほど、動く慣性が出てくることもあります。
この集団の力学をプラスの方向で生かせる勉強を作っていきたいと思っています。
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「寺子屋オンエアをなぜ始めたか」
https://www.mori7.com/index.php?e=2089
小学校低学年までの子供たちは、お父さんやお母さんを基準にして暮らしています。だから、この時期は、親の言うことをよく聞きます。
しかし、小学3年生から、次第に親よりも友達を基準にすることが多くなり、その状態が中学2年生くらいまで続きます。
中学3年生になると、自我が成長してくるので、友達という他人よりも自分自身の内面が基準になってきます。
したがって、小中学生の勉強を軌道に載せるためには、友達関係を生かしていく必要があります。
江戸時代の寺子屋で多くの子供たちが早朝から昼過ぎまで素読やなぞり書きのような単調な学習を続けられたのは、一緒に机を並べる多数の友達がいたからです。つまり、一緒に同じことをする仲間がいると、退屈なことでも続けられるのです。
「見える学力見えない学力」を書いた岸本裕史さんが始めた家庭塾でも、運営がうまく行くコツは、やはり友達が数人集まるということでした。ただし、その代わりに、私語は厳禁という明確なルールがありました。子供たちの集団学習に、先生や親という大人が必要なのは、子供たちだけでは必ず最もお喋りな子に全体が引きずられるからです。
教育法制化運動の向山洋一さんの著書に、受験時代に経験した集団学習の効用の例が載っていました。向山さんは、受験生時代、友達の家に行って一緒に勉強をしたそうですが、ただ一緒にいるというだけで、互いに別のことを黙々とやっていたそうです。そして、勉強が終わって帰るときに、二人で囲碁や将棋をして短いおしゃべりを楽しんだということです。
このような例を見ると、勉強でも仕事でも、長時間続ける意欲は、同じことをしている誰かが一緒にいるというところから来ていることがわかります。ところが、友達と一緒に勉強するという環境が、個人ではなかなか用意できません。岸本裕史さんが提唱したように、近所の家族どうしの持ち回りで家庭塾を開くというのが理想ですが、狭い住宅環境という問題や、少子化で近所に友達が少ないという問題で、なかなか簡単に集まって勉強するという仕組みは作れません。
そこで、ほとんどの家庭は、近くの学習塾に子供を通わせるようになります。家で子供がひとりで勉強するだけでは、すぐに飽きてくるからです。しかし、学習塾の問題は、勉強が他人依存になりがちだというところにあります。
自分のペースでできる自習を家庭で行えるようにし、しかも家庭をネットでつなぎ、同年齢の子供たちが一緒に勉強している様子がわかるようにして、先生も(時には親も)そのオンエアの勉強に参加できるようにするというのが寺子屋オンエアの構想です。
現在、寺子屋オンエアに参加されるモニターを募集しています。詳細をお知りになりたい方は言葉の森までお問い合せください。
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▽寺子屋オンライン
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小学校3年生ぐらいまでは、親子だけで勉強を続けることができますが、子供が小学4年生ぐらいになると、親子だけの勉強には次第に限界が出てきます。
しかし、本当は、中学3年生まで、子供の勉強は親が見てあげられるぐらいの方がいいのです。
中学生で成績のいい子は、ほぼ例外なく親が勉強の内容を把握しています。
塾に任せっぱなしで、どういう勉強をしているのかわからないという家庭では、子供はかなり無駄な勉強の仕方をしているからです。
そこで生かせるのが、昔、岸本裕史さんが行っていた「家庭塾」のようなグループで行う家庭学習です。
子供の勉強をいちばんよく見てあげることのできるのは親です。
それは、親が最もよくその子の成長を願っているからです。
だから、小さいころを特に親が子供の勉強に関わってあげるといいのです。
しかし、親だけでは偏りが出てきます。いちばん問題になるのは、やりすぎてしまうことがあるということです。
子供が初めての勉強で大変なように、親も初めての子育てで実は大変なのです。
同じ空間にいると遊んでしまうこともありますが、頑張っているみんながむこうにもいると思うだけで、やる気が出そうですね。
帰国子女や海外在住のお子さんは特に、読み書きに苦手意識が強く、書き出しに苦労しているようです。みんなががんばっている姿が見えるというのは、モチベーションアップに大変有効です。
インターネットを気軽に使用できるようになったことで、理想的な勉強のかたちがとれるのですね。
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最近「UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか」という本を読み、これからの世の中の流れを再確認できた気がしました。
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UXとは、ユーザーエクスペリエンスのことです。
例えば、消費者がパン屋さんにパンを買いに行くとき、消費者は実はパンを買いたいのではなく、パン的なおいしいものを食べるという経験を買いたいのだということです。
これまでの経済観で考えると、パンを買いに行った人が、もし、パン屋さんに、「パンじゃなくてもいいから、何かおいしいものがありますか」などと聞けば、パン屋は、「それはうちの仕事ではない」と思ったでしょう。
しかし、これからは、自分のパン屋という都合よりも、消費者の希望する経験の方を優先する考え方が必要になってきます。
そこに登場するのが、クラウドサービスを中心にした新しいツールと、消費者自身が生産にも参加する仕組みです。
寺子屋オンラインが目指している方向も同じです。
まず、キーとなるツールの一つは、googleハングアウトというウェブ会議システムです。
そして、勉強の中身は、先生の授業よりも、生徒の主体的な参加です。
そこに、生徒と保護者の家庭におけるコミュニケーションが加わります。
ただし、これだけでは基礎学力をつける時間がとれないので、そこはgoogleハングアウトを使った自学自習の仕組みでカバーしていきます。
また、勉強の先取りは、スタディサプリなどの活用でそれぞれの家庭でやっていけるようにします。
また、消費者のユーザーエクスペリエンスが、生産者の側の勝手な思い込みにならないように、できるだけ頻繁に保護者懇談会などの形で互いの考えを交流するようにします。
未来の教育は、今とはかなり違う形のものになると思います。
そして、それは教育に限らず、社会のあらゆる分野で起こりつつある一つの革命的な変化なのです。
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「寺子屋オンエアの未来形―勉強力をつけたあとは個性を伸ばす教育」
https://www.mori7.com/index.php?e=2308
寺子屋オンエアは、家庭学習だけで基本となる勉強力をつけるという企画です。
勉強は、誰かに教えてもらうよりも、自分ひとりでやった方がずっと能率よくできるものです。しかし、家庭でひとりでやっていたのでは、あまり張り合いがありません。また、たまには、誰かに聞きたいことが出てきます。そのときに、一緒に勉強している友達がいて、見守っていてくれる先生がいれば、家庭でのひとりでの勉強もずっとやりやすくなります。
インターネットは、そういうグループ学習と個人の学習を結びつけることができるようになりました。家庭という最も居心地のよい環境で、友達や先生と一緒に勉強することができるようになったのです。
ところで、今言葉の森が考えているのは、この寺子屋オンエアの未来の形です。
基本となる学習は、確かに寺子屋オンエアでできるようになります。しかし、その能率のよい勉強でできた自由な時間を、ただテレビを見たりゲームをしたりしているだけでは、充実した時間の使い方とは言えません。
そこで、その自由な時間も、寺子屋オンエアの特別コースに参加できるようにするのです。その特別コースには、ロボット作りコース、音楽交流コース、ファッションコース、お菓子作りコース、テーマ別た読書会コースなど、教える先生の個性と生徒の個性がマッチしたものが多数できるはずです。
通常の交流は、家庭でネットを使って行いますが、時どきは実際に会って交流する機会も作ります。
これからの時代は、特に個性や創造性が必要となってきます。その個性や創造性もまた、人間どうしの交流の中で進んでいくのです。
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寺子屋オンラインの受講案内を大幅に改定して読みやすくしました。
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全20ページの長い受講案内ですが、内容は必要なものだけにおさえています。
しかし、内容はこれまでの受講案内よりも豊富になっています。
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ウーバーやエアビーアンドビーが、これまでの社会で当然のように成り立っていたビジネスを根底から崩しています。
同じようなことが、これから社会のさまざまな分野で起こってきます。
教育の分野では、これまでの教わる教育から、自ら学ぶ教育へ、そして、聞くだけの受け身の教育から、思考と発表を中心とした教育へという大きな変化が起こっているのだと思います。
ふと、あと数年したら、世の中が大きく変わっているだろうと思いました。
大事なことは、世の中の流れに乗ることではなく、自分の望む流れを作ろうとすることです。
みんながそれぞれによい流れを作ろうとすれば、そういう流れが現実のものになってくると思います。
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