人間は、誰でも自分らしく生きたいと思っています。
しかし、今の教育環境では、与えられた正しい答えを早く見つけることに価値があるような教育がなされています。
そして、正しい答えを早く見つけて褒められれば、それはそれで嬉しいので、次第にその価値観に自分を合わせるようになってきます。
しかし、小中学生の義務教育でやる勉強は、基本的に、やれば誰でもできるようになるものなので、よくできる子ほどそういう勉強に飽きてしまうことがあるのです。
ところが、入試問題になるとまた話は別です。
入試問題は、本来だれでもできる基本の学習をしているはずの小中学生に、訓練をしなければ時間内に解けないパズルのような難問を出します。
そういう難問を解く練習をして、それが短時間でできるようになれば、それもある程度の達成感はありますが、そこには本当の勉強の喜びのようなものはありません。
だから、いちばんいい勉強は、誰でもできる教科書レベルの知識をもとにして、答えのない自分らしさを出せる勉強をすることです。
その一つが、作文です。
そして、もう一つが、現在オンラインで行っている思考発表クラブの勉強です。
アクティブ・ラーニングとも呼ばれる発表する勉強は、基礎学力がないままに行えば、かつてのゆとり教育のように、ただお喋りをして時間を費やすだけの勉強になってしまいます。
だから、基礎学力を自学自習で確実に身につけながら、6、7名の少人数で密度の濃い発表学習をしていく必要があります。
言葉の森では、現在、新小1から新小6の生徒を対象にした思考発表クラブを行っています。
ここで、子供たちが毎週行う発表は、いずれもかなりレベルの高いものです。
それは、多くの生徒が、自分から進んで自主的に時間をかけて発表する内容を準備してくるからです。
子供たちの様子を見ていると、人に言われてやっているのではなく、自分から楽しんでやっている様子がよくわかります。
そして、こういう発表する勉強で、これまでの正しい答えを見つけるだけの勉強よりも何倍も頭を使っているのです。
ただ、発表する勉強は、ウェブにアップロードするという作業が必要です。
アップロードは、慣れれば簡単なものですが、子供の手ではなかなかできません。どうしても保護者の協力が必要になります。
このアップロードして発表するという過程がなく、ただ受け身で授業を聞くだけになると勉強の魅力は薄れます。
以前、中学生のオンライン講座では、この発表をする生徒が限られていたので、ただ授業を聞くだけの勉強になってしまった面がありました。
だから、今回は、新小1から新小6までの生徒が対象で、毎回何でもいいから一つは発表できるものをアップロードするというルールにしています。
発表するのは、勉強以外に、家庭で行った実験や経験も含みますから、あまり負担を感じる必要はありません。
多くの人が、この思考発表クラブの体験学習をしてみるといいと思います。
なお、思考発表クラブは、言葉の森の生徒以外の方も参加できます。
現在の学年別の時間割は次のとおりですが、希望者が集まれば他の曜日時間も開設します。
・新小1 火曜日18:00~18:45
・新小2 水曜日18:00~18:45(ほぼ満員)
・新小3 木曜日18:00~18:45(満員)
・新小4 火曜日19:00~19:45
・新小5 水曜日19:00~19:45
・新小6 月曜日18:00~18:45
新小学1年生を対象にした、親子作文、思考発表クラブ、自主学習クラスの案内はこちらをごらんください。
小1から始める親子作文、思考発表クラブ、自主学習クラス
https://www.mori7.com/nireina/syou1.php
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自宅学習の仕方(「寺子屋オンエア通信」2月号より)
https://www.mori7.com/index.php?e=2530
自宅で勉強を進めている方の参考になるように、「寺子屋オンエア通信」2月号の自宅学習に関する部分を掲載します。
■音読のビデオメッセージが送れる人はできるだけ毎日
国語の問題集の音読を毎日していると、語彙力がつき、読解力がつきます。
自分だけで毎日やるのが難しいという人は特に、先生へのビデオメッセージで毎日の音読をやっていってください。ビデオメッセージを送る先生はどの先生でもかまいません。土日も含めて毎日やるのが原則です。
ただし、先生はビデオメッセージの中身をじっくり聞くわけではありませんから、ビデオメッセージの中に重要な要件や連絡は入れないようにしてください。
■実力をつける勉強は毎日の自習
勉強の中心は毎日の自習です。塾や学校で宿題が出されると、それが勉強の中心になってしまう人がいますが、それでは実力はつきません。
宿題は早めに仕上げ、必ず自分で決めた勉強をするようにしてください。時間が限られている場合は自習の量は減らしてもかまいません。
なぜ宿題が勉強の中心でないかというと、宿題はできる問題を改めて解くようなことが多いからです。できる問題をいくら解いても力はつきません。できない問題をできるようにするのが勉強です。
自習の中でも読書は最も重要なもののひとつです。勉強の時間がほとんど取れない場合でも読書だけは毎日必ずするようにしてください(ただし中学生は定期テストの10日前からはテスト対策だけに絞って読書を省略してもかまいません)。
小学4年生までは長時間勉強する必要はありません。特に低学年のうちは毎日の勉強の習慣をつけることが目標ですから、勉強は無理のないように早めに切り上げてください。そのために、入室の時間は1時間前よりも遅くてかまいません。
▼国語
小学生は、国語問題集は4~5回読むことが目標ですが、それだけ読み終えていない人も、新しい学年の「ハイクラステスト国語読解力」(受験研究社)の問題集をご用意ください。(注意:「ハイクラステスト国語」ではなく、「ハイクラステスト国語読解力」です。)
小学生で、早めに4~5回読み終えた人は、1学年先の「ハイクラステスト国語読解力」をやっていってください。
中学生で、「ハイクラステスト中学国語長文」を4~5回読み終えた人は、「くわしい国語中1~3」(文英堂)をやっていってください。この「くわしい国語中1~3」は1冊ですが、ページ数が多いので、中2、中3と同じものでやっていきます。現代文以外に古文漢文も載っています。
新しく中学1年生になる人は、「ハイクラステスト中学国語長文」(受験研究社)を用意してください。また、中学生になると定期テストで文法の問題が出ます。ほとんどの生徒がここで点数を下げるので、定期テスト前には、「これでわかる国文法」(文英堂)を用意して読んでおくようにしてください。(文法は毎日の勉強としてやる必要はありません)
▼中学生
中学生は、毎日の自習はコンスタントに行っていきますが、定期テストの10日前(又は2週間前)からは通常の自習はいったん休みにして、テスト対策用の範囲を絞った勉強に切り換えてください。
中学3年間の教科書は、社会に出て一般教養の問題などをやる必要に迫られたときや英語の勉強を再学習するときなどにも役立ちます。必ず保存しておいてください。
▼受験生
新小6と新中3で受験する人は、受験する学校の過去問題集を用意して、春休み中にその問題集に1年間分の答えを書き込み、それを全部読みどういう傾向のどういう問題が出ているかを理解してください。
新小6の場合は、子供だけではできないので、お母さんやお父さんも一緒に取り組んでください。
新中3の場合も、子供に任せていては先延ばしになるので、お母さんやお父さんが責任を持ってやらせるようにしてください。(新高3も同じです。)
過去問を答えと一緒に読むと、問題の傾向と自分の得意不得意がわかりますから、特に差がつきやすい算数数学の問題を中心に取り組む問題集を決め、その1冊を完璧に仕上げることを勉強の目標にしてください。(上記の「ハイクラステスト算数(数学)」が難しい問題まで含めて完璧にできることを目標にするといいと思いますが、そのほかの問題集でももちろんかまいません。大事なことは1冊を完璧にですから、複数の問題集をいずれも9割ぐらいまでやるということのないようにしてください。したがって、塾などに通っている人は、塾で渡された問題集を完璧に仕上げることが目標になります。ただし、塾の問題集は解法が詳しくないことが多いので、わからない問題は必ず塾の先生に質問してわかるようにしてください。)
受験生の国語については、「ハイクラステスト国語読解力小6」又は「くわしい国語中1~3」を1回以上読み終えたあと、夏休みごろから「全国入試問題集国語」(みくに出版)に取り組んでください(志望校以外の問題も含めてやっていきます。男子校・女子校などに分かれていますがどちらでもかまいません)。勉強の仕方は、答えを書き込み、漢字や語句の問題の場合はそのまま覚え、読解の問題の場合はなぜ正解の選択肢以外の選択肢が違っているのかを説明できるようにし、記述の場合はその記述が書けるように覚えるというようにしてください。国語の問題は答えが曖昧な場合もあるので、少数の理解できない問題は理解できなくてもかまわないと考えてください。
国語の読解問題での正解の選択肢以外の説明は、子供本人にさせるようにし、子供が理解できないときは親が一緒に考えてあげてください。
高校受験生の英語については、「英語の教科書の音読暗唱」「これでわかる英語」などと並行して、夏休みごろから「全国入試問題集」(旺文社)の英語に取り組んでください。その場合、取り組むのは英語の長文読解の問題だけでかまいません。長い英文を読みこなすことに慣れるということを英語の受験勉強の中心にしていってください。
受験生は、夏休み明けからがみんなの実力がそろう時期になります(夏休み前までは早めに取り組んだ生徒とまだ取り組んでいない生徒との差が大きいので模試の点数はあてになりません)。夏休みが明けたら、1~2ヶ月に1回のペースで、塾やテスト機関で実施している全国レベルの模擬試験を受けるようにしてください。ただし、実力測定の中心になるのは、過去問ですから、過去問がどのくらいできるかということを受験の目安にし、模試はその参考にするという程度にしてください。
受験には、問題を解くスピードが要求されます。夏休み明けからは、勉強も時間を計りながら行うようにしてください。
▼塾又は通信教材又は私立中学の学校の宿題
塾に通っている人、又は、通信教材をやっている人、又は、私立中学で学校の宿題が毎日の勉強として出されている人は、次のように取り組んでいってください。
国語については、寺オンの国語問題集読書の方を優先してやっていってください。
そのほかの算数数学、英語、理科、社会などについては、勉強する教材をひとつに絞るために、塾又は通信教材又は私立中学の宿題の勉強を優先してください。
ただし、その場合も勉強は1冊を繰り返して完璧に仕上げることが大事ですから、読む教材は4~5回繰り返し読み、解く教材は解法を見てできない問題が1問もなくなるまで解けるようにしてください。この1冊を完璧にという勉強をしていないと、どんなにいい塾や教材や学校の勉強であっても力はつきません。
ただし、ある特定の教科に特に力を入れたいという場合は、1教科で2種類以上の教材を並行して取り組んでいってもかまいません。
(以下、他の教科の勉強については略)
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思考発表クラブの子供たちが、それぞれ自分なりに工夫した勉強を発表しているのを見ると、小さいころ、うちの子にこういう勉強をさせたかったなあと思います(笑)。孫かなあ。
学習は模倣から始まります。
オリジナルなものができるのは、その模倣がしっかりと身についてからです。
言葉の森の作文指導は、ある程度の型を持っています。
その型を見て、作文がパターン化するのではないかと心配する必要はありません。
型自体が多様で、学年ごとの課題に応じてさまざまに組み合わせることができるからです。
しかし、世間の作文の考え方の多くは、自由に書かせるというものです。
この「自由に」ということが、作文教育の最も大きな障害になっているのです。
これは、入試の作文にも現れています。
よくあるのが、「次のA、B、Cの三つの課題の中から一つを選び作文を書きなさい」というような問題の出し方です。
ジャンルの違う三つの課題を統一して採点する基準などはありません。
一つの課題で、書く方向を指示して、その方向で採点するから初めて採点が可能になるのです。
しかし、型は、勉強の到達点ではありません。
型を身につけたあと、書く力がつけば、自然に自分のオリジナルな書き方をするようになるのです。
逆に言えば、型を指定されて、その型どおりに書ける人は既に実力のある人です。
ただし、型と言っても、言葉の森が教えている型は大きな構成の方向性のようなものです。
例えば、ある意見に対して、自分の考えと、その正反対の考えを述べ、その自分の意見の裏付けとなる理由を複数考え、そのそれぞれの理由に対して自分の体験に基づいた実例と、体験以外の社会的な実例を書き、結びには自分で作った名言を入れる、というような指導です。(中1レベルの指導)
これを真面目にやれば、かなり力がつきます。
しかし、ヒントを真似して書いているだけでも、書き方の型は身につきます。
話は変わって、現在、小学1年生ぐらいの子を対象にした親子作文コースを充実させていく予定です。
小1の場合は、型を指定して書くということはまずできません。大体、書くこと自体がまだほとんどできない時期だからです。
そこで考えているのは、お母さんやお父さんとの対話を通して作文の書き方の型を身につけるという方法です。
4月に入って、新しい学校の時間割が決まってから、体験学習の日程を決めて参加していただけるといいと思います。
小1から始める親子作文
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言葉の森の受験作文小論文で書きやすい構成の仕方を身につける
URLは、
https://www.mori7.com/index.php?e=2131
言葉の森の作文指導は、身近な生活作文から始まりますが、小学校高学年になると受験作文にも対応するようになります。
また、中学生の作文(意見文)は、そのまま高校入試、更には大学入試に使えるレベルになります。
高校生の場合は、更に構成の仕方を発展させ、読み取りにくい課題文を読み取る力とつけていきます。
塾や予備校で行われている作文小論文指導は、抽象的なアドバイスが多く、書けないときはどう書いていいかわからないということがよくあるようです。
言葉の森の作文小論文指導は、具体的な構成をわかりやすく説明するので、苦手な子でも楽に書き出せ、得意な子は更に高いレベルの文章を書くことができるようになります。
以前、桜修館中の受験作文指導を受けている生徒から、「学校説明会で、『パターン化した作文を書かないように』と言われた」と相談がありました。
ここで大事なのは、その文章がパターン化しているかどうかではありません。上手か上手でないかという中身がすべてで、パターン化していようがいまいが、上手な作文は上手であり、下手な作文は下手なのです。
そして、上手に書くためのいちばんの近道が、いくつかのパターンを使えるようになっているということです。「パターン化がだめ」というのは、文章を書く力のない人が言うことです。
その相談のときに、ある学習塾関係の有名な先生が、パターン化しない書き方というものを、抽象的に詳しく説明していました。その説明をもとに、子供が実際に作文を書こうとしたら、まず全く書けません。上手下手以前に、どう書いていいかわからないという指導なのです。
平成27年度から、東京都は学校ごとの問題作成ではなく、共通の問題になるようですので、もう特殊な作文のテーマは少なくなると思います。
むしろ、いちばんの問題は、子供がどう書いていいかわからないという発想の時点でつまずくような作文試験の問題を出していた学校の方だったのです。
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作文指導でよくあるのが、「何でもいいから自由に書いてごらんなさい」と言ってから、書いたあとの作文の、ここが違っているとか、字がきたないとかを批評する指導です(笑)。
よい指導というのは、「こういう方向で、こういう項目を入れて書いてごらん」と言って、それができていたことを認めて褒める指導です。
前者がよくある指導、後者が言葉の森の指導です。
「自由に書こう」というのは、書きやすいように思えますが、実は一番ハードルが高い書き方だと思います。題名は自由でも、書くことがある程度決まっていないとどう書いていいかわからない……そして、たいてい自由に書いたものをあまりよく言われないので(笑)どんどん作文に対して苦手意識が高まるのだと思います。