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本当の国語力、成績の上の国語力 as/2902.html
森川林 2017/04/05 06:36 


 「国語が苦手なのですが、どうしたらいいですか」というような質問をする場合、その人は、苦手な国語も、算数や英語と同じように、塾に行って専門的に教えてもらえば何とかなるのではないかと思っていると思います。

 もちろん、国語の成績を上げるだけなら、ある程度のテクニックを教えるだけで、かなり短期間のうちに成績は上がります。しかし、その上がり方はある程度までです。

 成績を上げることは比較的容易にできますが、難しいのは、本当の国語力をつけることです。本当の国語力とは、文章を深く読み取る力と、深く考える文章を書く力です。
 しかし、そういう読解力と表現力のテストはあまりありません。それは、採点と評価に時間がかかることと、何よりも問題を作成すること自体が難しいからです。

 本当の国語力というものは、点数として評価することは難しいので、学力の差としては目につきにくいものですが、それでも文章を見ると、その生徒の国語力の本当の姿に近いものがわかります。

 この本当の国語力は、将来、AIを利用した評価によってもっと一般的に行われるようになると思います。
 しかし、そのAIの評価が一般化するころには、入学試験のようなもの自体がなくなっていると思います。

 話が進みすぎますが、今、入学試験があるのは、学校に定員があるからです。
 なぜ定員があるかとうと、学校というものが場所の制約を持っていて、その結果、机とイスの数や、教える先生の人数に制約があるので、入学する人を制限しなければならないからです。

 と考えれば、インターネットを活用した学校の場合は、もともと場所の制約はありません。だから、机やイスの数の制約もなく、教える先生の制約もなく、教え手は世界中から募集することができます。
 すると、必然的に、入学者を選抜する必要はなくなるのです。

 そのかわり、日常の授業の中での切磋琢磨が、今よりももっと厳しくなります。
 すると、本当の実力のある人は、そういう人どうしでグループになり、あまり実力のない人も同じようにあまり実力のない人どうしでグループになるので、特に評価試験のようなものを行わなくても、それぞれの人がその実力に応じて自由に勉強できるようになるのです。

 このときに大事になってくる力は、成績を上げる力ではありません。
 成績は、実際の知的な交流には役に立ちません。
 役に立つは、周囲の人が認めるその人の実力です。
 その実力が、国語力なのです。これは、国語力というよりも、むしろ読解力、思考力、表現力と言えるものです。

====
学力の要は国語力、国語力の要は作文力。作文は対話によって力がつく
https://www.mori7.com/index.php?e=1767

 学力の中で最も大事なものは国語力です。国語力が、他の教科の土台になっているからです。文章を読み取る力があるからこそ、国語以外の教科の勉強も理解することができるのです。

 しかし、この国語力ほど曖昧なものもありません。他の教科であれば、出題範囲が決まっていれば、その部分の勉強をすれば必ずよい点が取れます。勉強すれば成績はよくなるというのが、国語以外の他の教科の勉強の特徴です。
 国語はそうではありません。せいぜい漢字の書き取りや、文法の勉強をする以外、することがないのです。

 国語の勉強というと、多くのは人は国語の問題集を解くような勉強を考えます。しかし、問題集を解いて、手応えのあるような国語力がつくでしょうか。解いたら解いただけで、何も身についているような実感がないのです。

 世間の国語の勉強というのは、ほとんどそういうものです。
 通信教育の教材でも、国語の勉強というのは、市販の問題集をやるのとほとんど変わりません。問題を解いていると何か勉強をしているような気がしますが、実際は何も身についていないのです。

 では、国語の勉強はどのようにしたらいいのでしょうか。
 国語力の中心は、読解力です。文章を読んで理解する力です。しかし、この読解力には、浅くしか読めない読解力と、深く読める読解力の差があるのです。
 文章として書かれているのは日本語ですから、誰でもそれなりに読むことができます。しかし、その文章の内容について質問されたときに(これが国語の問題です)、その質問に的確に答えられる人と答えられない人がいるのです。

 だから、文章を深く読む力が読解力というものです。
 読解力はどのようにしてつくかというと、その文章をもとに自分なりにいろいろ考えることによってなのです。

 そこで登場するのが作文です。
 言葉の森の作文は、小学校低学年のうちは文章を書くことが中心ですが、学年が上がるにつれて、文章を読んで書くという形になっていきます。最初は日常的な事実中心の作文ですが、次第に、感想文のウエイトが増してきます。そして、その感想文のもとになる文章のレベルが上がっていくのです。

 その文章をもとに、自分なりに似た例を考え、自分らしい感想を書かなければならないとなると、嫌でも文章を深く読まなければならなくなります。
 しかし、文章が難しくなると、ひとりで読み取ることができなくなります。その文章は読めるが、読めても何を書いていいかわからないという状態になるのです。

 世間一般の作文通信教育では、こういうときはお手上げです。小学校低中学年の作文を書くところまでであれば、書く段階を追って説明してあれば誰でも一応は書くことができます。
 しかし、肝心の難しい文章を読んで感想文を書くというような高度な学習になると、紙の上だけでの通信教材では手も足も出ないという場面が増えてくるのです。

 ひとりでは読み取れない文章を読み取る助けになるのは、他の人との対話です。
 言葉の森の作文指導は、先生が毎週電話で説明をします。ですから、生徒の読み取れた範囲で更に詳しい説明をすることができます。電話で生徒の反応を聞きながら、その生徒に合った説明をすることができるのです。
 これが、作文による国語力アップの勉強法です。

 先生が生徒に、文章の内容を聞き、似た例や感想を聞きます。
 その生徒の答えに合わせて、先生が更に詳しい説明をします。
 生徒が浅くしか読めないときには、もう少し詳しい説明を、生徒が深く読み取っている場合は、更に発展した説明をすることができます。これが電話通信の対話による作文の勉強法です。

 また、この対話には、生徒とその家族の対話も含みます。
 言葉の森の作文の学習では、似た例を家族に取材するという項目もあります。お父さんやお母さんに、似た例を聞くと、その対話の中で自然に理解が深まっていきます。
 文章を読み取る力は、その文章をもとにさまざまな人と対話をする中で育っていきます。

 問題集で、文章を読んで、質問に答えて○や×をつけられ、赤ペンで添削されるというような勉強法では、自分の文章力の結果がわかるだけで、何も力がついたことにはなりません。
 国語力は、その文章をもとに、ほかの人の話などを参考に、自分なりに深く考える中で初めて身についてくるのです。
====

この記事に関するコメント
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森川林 20170405 1 
 成績の面からだけ考えると、国語の成績の差は大きくありませんし、そのわりに国語力をつけるには時間がかかると思われているので、国語の勉強は後回しになりがちです。
 しかし、世の中に出て役に立つのは、国語の成績という意味ではない、本当の国語力です。
 子供の勉強を考える場合、成績よりも先にその本当の学力を育てていく必要があります。
 その一つが読書に力を入れることです。


nane 20170405 1 
親が目を向けるのは、成績ではなくその子の本当の学力です。
今は、模擬試験の前に一夜漬けでがんばるというわけのわからないことをする子もよくいます。みんな、成績にとらわれすぎだと思います。

namura 20170408 10 
国語力があることで、数学の読解問題も解くことができますね。国語力はどの科目にも必要です。

mae 20170409 9 
目先の成績ばかりにとらわれず、もっと大きな目で「国語力」を大切にしていかなければなりませんね。
どの科目にも共通して必要な国語力をしっかり伸ばしていきたいです。

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小学生の学年別作文学習のポイント as/2901.html
森川林 2017/04/04 07:54 


幼児の親子作文は親子の対話の中で書く作文

 幼稚園年長のころの学力は、勉強でつくのではなく生活の中でつきます。
 ドリルを解くような勉強よりも、親子の対話、お手伝い、読み聞かせ、新しい経験、好きな遊びなどをたっぷりさせていくといいのです。
 親子作文は、そういう生活を盛り込んだ作文の勉強です。
 そのときどきの季節の話題をもとにいろいろな経験をして、それを親子で話し、お母さんやお父さんが短い作文にまとめます。
 その作文に、子供が絵をかいたり、その作文を読んだりします。
 また、そのとき写真などを貼ってあげたり、家族のほかの人がコメントを書いてあげたりすれば、作文を通して家族の対話が深まります。
 こういう生活の中での知的なやりとりが、子供の将来の最も確実な学力の土台となります。

勉強の基礎は小1から始める親子作文

 小学1年生のころは、まだ文字を書くのにも苦労をする時期です。
 まして、ひとまとまりの文章を書くというのは、多くの子にとってまだ難しいでしょう。
 しかし、文章を書くことを穴埋めドリルのような形で教えると、かえって作文を負担に感じるようになることも多いのです。
 親子作文は、そのときどきの季節の話題をもとに親子でいろいろな経験をし、その経験をもとに親子で対話をしながら作文を書くという練習です。
 勉強をしているという意識がなくても、自然に考える力が育ち、正しい書き方が身についていきます。
 そして、この時期の勉強の仕方が、その後の小学校時代の勉強の土台となります。
 親子で作文を書く場合のポイントは、思考発表クラブで毎週説明し、個別相談も受け付けています。

小2の電話指導作文は親子の対話の中で書く作文

 小2のころは、書くこと読むことが最も好きになる時期です。
 このころの子供は、自分が文章を書けることがうれしくてたまらないので、できるかぎり長く書こうとします。
 また、作文と同じように読書も好きになるので、いろいろな文章を読もうとします。
 だから、この時期には無理に上手に書かせたり難しい本を読ませたりせずに、書く力読む力をのびのびと育てていくといいのです。
 そのためには、小学校高学年や中高生までの長い見通しを持ったカリキュラムで、重点を絞った余裕のある勉強をしていく必要があります。
 小2までは、そのときどきの季節の話題や自分の体験した出来事を自由に書く作文課題ですから、家族の触れ合いや対話がいちばん盛んになる時期です。
 そういう家庭での生活の中で子供の本当の学力が育っていきます。

小3は作文力と読書力が最も伸びる時期

 小3は、作文力と読書力が最も伸びる時期です。
 小2までは、頭に浮かんだことをそのまま書いていた子が、小3になると、読み手を意識して自分らしく書こうとするようになります。
 それだけ、書き方を工夫して書く力がついてきたのです。だから、作文の字数は、小2のころよりも少なくなることがあります。
 読書についても、自分の好きな本が次第にはっきりしてきます。
 作文力と読書力が伸びる時期だからこそ、その子の個性を認めつつ、何をどう書きどういう本を読むといいかという方向を示してあげる必要があります。
 それが、その後の作文と読書に対する自信と真の実力につながっていきます。

小4は小学生らしい作文が最も上手に書ける時期

 小4は、小学生らしい作文が最も上手に書ける時期です。
 このあと、小5からは、受験作文にも対応した、考える作文を書く練習をします。小4は、その手前の、身近な経験を表現豊かに書く練習をする時期です。
 小4までは、自分のしたことや考えたことを自由に書けるので、このころの作文は小学校時代のその子らしい宝物のような作文になることが多いのです。
 この時期に、作文と読書に力を入れることによって、高学年になってからの書く力、読む力の土台ができます。
 作文も読書も楽にできるようになったからもう十分だと考えるのではなく、その作文や読書に更に時間をかけ、高学年になってからのより高度な読解力、表現力の土台を作っていくことが大切です。

小5は入試にも対応した考える作文のスタートとなる時期

 小5は、入試にも対応した考える作文のスタートとなる時期です。
 この時期には、作文だけでなく算数や理科などの教科にも考える要素が多くなり、国語の文章にも思考力を必要とする言葉が増えてきます。
 作文も、勉強も、楽しいと同時に苦しくもなる時期ですが、それを乗り越えるのは、小5から育ち始める勉強に対する向上心です。
 小5からの考える作文で、子供たちの思考力は急速に成長していきますが、それとともに個人差もまた大きくなります。
 書く力の差が大きくなる時期だからこそ、それぞれの子供の実力に対応した個別指導が大切になってきます。

小6の作文は、中高生の小論文の土台

 小6の作文は、その後の中高生の小論文の土台となる書き方を練習します。
 だから、言葉の森では、高3の受験生も、社会人も、作文の勉強をスタートするときは、小6の課題から始めるのです。
 小6のころは、書く力とともに読む力もまた大きく成長する時期で、ものごとの抽象的な本質を読み取る力が育つのもこの時期です。
 小6の作文の書き方をしっかり身につければ、それは将来もずっと生きて使える文章力になります。
 だからこそ、小6の作文を小学生の作文の仕上げと考えるのではなく、中学生高校生の作文小論文の土台と考えるカリキュラムで勉強していくことが大切になるのです。


この記事に関するコメント
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森川林 20170404 1 
 小学生の作文の勉強というと、ついその学年で作文が上手に書けるようになることと考えがちですが、本当はそれは二義的なことです。
 大事なのは、高校生や大学生や社会人になってから、しっかりした論説文が書けるようになることで、そのための練習をするのが小学生の作文なのです。


nane 20170404 1 
 小学生の子供の作文を見ると、おとなはつい、「あれも直さないと、これも直さないと」という見方をしがちです。
 しかし、大事なのは、直すことではなく、直さなくてもいいような作文を最初から書かせることです。
 それが読書に力を入れることであり、音読や暗唱の練習をすることなのです。


namura 20170408 10 
各学年、ポイントをおさえて学び続けていきたいですね。

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