自然科学の本が面白いのは、そこに書かれていることが真実だからです。
どのように不思議に見えることでも、それが実際に存在するのであれば、そこに必ず合理的な説明が成り立ちます。
この世界が合理的な真実でできているという確信を持てることが、自然科学を学ぶことのいちばんの利点です。
文学の世界でも、人間の真実を描くことはできますが、そこにはどうしても作者の人生観や世界観や思い込みの癖などが入ります。
だから、文学の世界では、面白く読めるが、不自然なパターン化に流されるということもまた多いのです。
さて、ところが、自然科学の良書というのは書店には意外と少なく、児童図書の多くはフィクションが中心となっています。
今回、思考発表クラブで理科実験工作を取り上げようと思ったのは、子供たちの知的生活が、机上の勉強と架空の文学に多くを占められているような気がしたからです。
もちろんどちらも大切です。特に文学の世界は、架空ではあってもその中で人間に対する共感のようなものが育ちます。
しかし、現実の世界の中にある合理的な真実に感動することもまた、子供たちの成長には必要です。
自然科学というリアルな世界で、親子の対話ができると面白いと思います。
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賢い子を育てる、お母さんの科学的関心
https://www.mori7.com/index.php?e=2794
子供が、最初に接するのは、両親、特にお母さん、そしてお父さんです。
子供は両親を通して、社会に接していきます。だから、親の関心が子供の関心に結びつくのです。
親が科学的なものの見方に関心を持っていれば、子供もそのような関心を通して世の中を見るようになります。
これが、賢い子を育てる出発点です。
本を読んだり、勉強をしたりする以前に、子供が親の関心に自分の関心を重ね合わせることが大事なのです。
しかし、もとから科学好きな親ならまだしも、多くのお母さんは科学的なことにはあまり関心がないと思います。
そこで、使えるのが、子供向けの科学の本です。
子供と一緒に科学の本を読んでいると、「へえ、そうなんだ」と、世の中や自然の現象についての新しい理解に感心することがあります。
特に、自然界は、科学的な考え方の宝庫です。
自然の中にあるものは、どれもそれなりに必要な科学的裏付けを持って成り立っているからです。
これに対して、人間社会の現象は、にぎやかな話題が多い割に、科学的な裏付けを通して理解するということはあまりありません。
また、一般に勉強と言われるものも、科学的なものの見方にはあまり結びつかないものがかなりあるのです。
特に、成績にすぐに結びつくような勉強は、知識と手続きの理解でなりたっているので、それはそれでとても必要なことなのですが、子供を賢い子にするということにはあまり結びつきません。
むしろ、勉強の時間が多すぎると、勉強以外の読書や遊びや対話の時間が減る場合もあり、その方が子供の成長にとってマイナスになることもあるのです。
最近出た科学の本として面白いと思ったものは、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社)です。
390ページもあり、結構重たいので、読み聞かせに使うとしたらお母さんはかなり大変です。
しかし、ルビがふってあるので、ある程度お母さんが読み聞かせをして、子供が興味を持てば、続きを自分で読むようになると思います。
科学の本の選び方として大事なことは、ただ知識が書いてあるだけでなく、因果関係のような構造が書いてあることです。
科学の本とは少し違いますが、時事問題などでも、事実の経過が重要なのではなく、その背後にある因果関係の解説が大切です。しかし、世の中にある時事問題に関する本でそういう観点で書かれているものはあまり多くありまぜん。
知識が大事なのではなく、その知識の背後にある科学的な関係を知ることで、知的な好奇心が刺激されることが大事なのです。
以上のような科学的関心について考えたのは、ドクター・中松さんの「私は死んでる暇がない」を読んだのがきっかけです。
これも、とてもいい本ですから、子供向けではありませんが、ぜひ多くの方におすすめしたいと思います。
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子供たちは、実験や工作が好きです。
それは、山に登ったり、川で遊んだり、虫をつかまえたり、木の実を採ったりする遊びと同じように、現実の三次元の世界との対話があるからです。
そういう遊びのような勉強をときどき家庭でできるようになるといいと思います。
理科の試験の成績を上げるためには、実験に時間をかけるよりもも、実験の結果を参考書で覚えた方がずっと能率がいいはずです。
しかし、生きた知識は、実際の手足を動かす中で育ちます。
そういう時間のかかることを余裕を持ってできるのが家庭のいいところだと思います。
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これまで、思考発表クラブの授業では、(1)作文課題をもとにしたyoutubeなどの紹介と構想図書き、(2)算数の似た問題作りを行ってきましたが、今回新たに、(3)理科実験工作の紹介もしていきたいと思います。
今回は、過冷却の実験の紹介です。
家庭ですぐにできることなので、こういう身近な実験や工作を通して自然科学の面白さを味わっていけるといいと思います。
●授業の動画
https://youtu.be/bszK-JvM6u0
●作文の予習
▼5.3週
★日本語は、いままで
【1】日本語は、いままで日本民族によってしか使われたことのない内輪の言語、つまり部族言語です。どこの言語も初めは部族言語なのですが、それが外国に広まりだすと、外の視点が入ってきて言語の刈りこみが行われてくるわけです。【2】その刈りこみがはなはだしいのが英語です。英語というのは、外の視点と内の視点が合作でつくり上げためずらしい言語なのです。その点、ロシア語などは、多分にまだ内部の視点だけの言語ですが、それは国際普及の度合いが少ないからです。【3】日本語などはその最たるもので、これまで外側の目というのはまったくなかった。
日本人は、自分の国の言語を国語と言ったり日本語と言ったりしますが、国語、日本語の対立は実はこの問題と関係があるのです。【4】国語として日本人が自分の言語を見るときは、完全に内側の視点で見ているのです。みんな、日常の文法などは知っているという前提で、日本語の文学とか詩が論じられる。つまり基本的知識のある者同士の話なのです。【5】ところが、外国人は、ことばのきまりも発音の仕方も知らないで日本語を習うのですから、外の視点しか持っていないということです。
そして、私たちの母語である日本語は、いま徐々に外の視点を加味して整理される芽生えが出てきています。【6】もし外国人が日本語を学ぶ勢いがこのまま五十年、百年とおとろえなければ、日本語も大きく変わると思うのです。それは、英語が四百年の間にまったく変わってしまったのと同じで、日本語が国際普及するに従って、外の人の影響力が国内の日本語にもおよんでくる。【7】ただ、だからといって、日本本来の内側の視点は閉鎖社会のなごりだからやめるというのは、大きなまちがいです。英語でさえも、いまだにイギリス人しかわからない、彼らだけの内側の視点の部分があるのです。その外側に、人工的に刈りこまれた英語の部分が付加されてきたということなのです。
【8】日本語はまだこの部分が少ない。その証拠に、日本語の字引はすべて国語辞書です。日本語の辞書は、ほとんどすべて日本語を内側の視点からしか見ていません。ですから、日本語国際普及の一つの大きな課題は外の視点を取り入れた日本語辞典をつくることで∵す。【9】これは、一つの大事な国家的事業であり、個人ではできないことですから、国際交流基金などが中心にやるべき仕事だと思います。
日本語は、外国人によって学ばれ、使われた経験がないために、植木屋を十年も入れなかった庭みたいでめちゃくちゃに枝がのびているという状態です。【0】多くの西洋の言語は、ヴェルサイユ宮殿の庭木のように、整然と刈りこまれ、人工的な手入れがされているのです。かつて大学の先生をやめてフランスで日本語を教えていた学者が、ことごとにフランスには整然たる文法があるのに、日本語には文法がないと言ったのも、そのへんの問題だと思うのです。
フランスでも、十六、十七世紀のフランス語は、植木屋の手の入らない日本語みたいな状態にありました。それを研究所をつくり、一種の理念にもとづいた人工フランス語をつくって、それを世界普及のフランス語の中心にしたわけです。だから、それはフランス人にとっても学ばなければならない「外国語」でした。高等教育を受けたフランスの知識階級が話すフランス語と庶民が話すフランス語がいまだにちがうのは、庶民はお金をかけてフランス語を勉強していないからなのです。外国人がフランス語を学ぶのが易しいのは、人工的に整理されたフランス語だからです。それを文法と、かの学者は呼んだわけです。
日本語にはそれがないのです。日本語は、明治からいままで百年の間におどろくほど変わりました。戦後の四十年間でもどんどん変わっているという野放図な自然言語なのです。これは、外国に日本語はこれですよと教えるときには大きな障害になるわけです。ですから、日本は、これからどうやって日本語を刈りこんでいったら、国際普及の日本語になるかということを考えなければならない。そして、これは国家的な事業として相当大きな研究課題としてお金をかけ、真剣に取り組まないと、どうにもならないと思うのです。
▽外国人がキレそうになる日本語の特徴
https://youtu.be/e-g1qe0T9B8
・同じ漢字で読み方が違う(生→なま、い、しょう……)
・1本、2本、3本
・日本語の国際化でこういうものも、シンプルになるのだろうか。そのためには、ある程度の許容も必要か。
▽【海外の反応】この日本語は英語に取り入れるべきだ!→海外「「適当」,「懐かしい」,「もちもち」,「面倒くさい」,「しょうがない」」
https://youtu.be/vHip6GCqSPE
・日本語にしかない言葉……適当、やっぱり、しょうがない、面倒くさい、なつかしい、さすが、よろしくお願いします、など。
・国際化でこういう言葉が文化として広がる可能性がある。(もったいないなども)
▽ベトナム、第一外国語が「日本語」に!|竹田恒泰チャンネル
https://youtu.be/tQ8X47aQiAY
●算数の似た問題
「これでわかる算数小6」P25-3-(2)
「これでわかる数学中1」P32-4-(3)
●実験工作
「でんじろう先生のわくわく自由研究」より
・いろいろ冷凍実験 P60~62
▽過冷却水の実験(Supercooling Experiment)
https://youtu.be/3lyMhjeuxEI
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日本語と日本語以外の言語との比較が、こんなにもたくさん国語の問題として出てくるのは、日本だけの特徴のようです。
こういう日本語の特徴をいろいろな実例をもとに考えた経験があると、国語の入試問題で日本語論や日本文化論が出たときに、「ああ、あの話だ」とすぐに推測できるようになります。
今回から、更に理科実験工作も加えました。これも、お父さんやお母さんと一緒に家庭で取り組んでみるといいと思います。
机の上での勉強は、頭で考えるものですから、やれば誰でもできるようになります。
実験や工作は、体を使って考えるものですから、頭だけではなく心も動きます。
こういう心の動きを伴う勉強というのが、これから大事になってくると思います。
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△言葉の森合宿所は、那須高原南ヶ丘牧場と那須サファリパークの中間です。近所にはペニー・レインというビートルズの音楽が流れるパン屋さんがあります。
物語の本は、すぐに熱中できるものが数多くあります。
そして、最後まで読み続けられます。
しかし、説明文の方はそうではありません。
知的には面白いものでも、読んでいると、途中で飽きることも多いのです。
また、物語の本の場合も、現在のものがテンポが速く飽きずに読み続けられますが、昔の名作と言われる物語の中には、途中で退屈に感じるものもよくありますす。
そういう、読み終えると面白さがわかるが、読んでいる途中で飽きやすい本をどう読むか、ということで考えたのが付箋読書です。
付箋読書とは、自分が読みたいと思う方法10冊ぐらい並べておき、1冊を読んで飽きてきたら付箋を貼り次の本に移るという本の読み方です。
これを繰り返していると、何時間でも飽きずにいろいろな本を読むことができます。
ただし、この方法は理屈で言ってもなかなかわからないので、今度の夏合宿で実践してみようと思いました。
合宿に参加する生徒が、それぞれのおすすめの本を数冊持ってきます。
そして、グループごとに互いの本を貸し借りする形で付箋読書を行います。
45分本を読んだら15分休憩というような形であれば、午前中、読書三昧の生活ができます。
朝の10分間読書ならぬ、午前中の3時間読書です。
そして、たっぷり読書をしたあとに、午後は自然の中で自由に遊びます。
更に、夕方は、午前中の読書と午後の体験を活かして作文を書きます(笑)。
実は、作文と読書との間には深いつながりがあります。
文章を読む時間が多くなると、言葉が浮かんできやすくなり、その後の作文も書きやすくなるのです。
作文の題材は、実際の体験が直前に豊富にあるので、いくらでも思いつきます。
作文の中には、その日一緒に遊んだ友達なども登場すると思うので、その作文をプレゼン発表するような機会を作れば、更に面白いと思っています。
面白い夏合宿にするためにはどうしたらいいかということを考えて、以上のようなことを思いつきました。
名付けて「読書三昧の夏合宿」です。
7月23日から8月23日まで、2泊3日を1単位として連続して開催する予定です。
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これまでの夏合宿は、子供たちの交流が中心でした。
今年ももちろんそうですが、今度は場所が固定しているので、必要な道具をいっぱい持ち込めます。
例えば、ビニールプール、ウェットスーツ、防水カメラ、クロームブックなどなど。
こういう合宿所を、将来全国各地に作っていきたいと思っています。
読書はもともとひとりで楽しむものですが、同じ本を共通して読んでいると、普段の話題の中にその本をもとにした話が出てきます。
思考発表クラブでの本の紹介を見ていると、そういう本の楽しみ方もあるのだとわかってきました。
そこで、今年の夏合宿は、読書を共有する合宿にしようと思いました。
更に、共通の体験をもとに、作文もプレゼン発表会で共有する予定です。
それを、家で待っているお父さんお母さんにgoogleハングアウトで配信することを考えています。
合宿所の場所を固定化すると、いろいろな企画ができるようになりました。
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思考発表クラブに参加する生徒の中で、いちばん関心が高いのが、ほかの人がどんな本を読んでいるかという「本の紹介」のところのようです。
読書好きの生徒が多いせいか、どの子も、学年相当よりもかなり難しい本を読んでいます。
もちろん、易しい面白い本も登場しますが。
読書は個人の楽しみですが、ほかの人に紹介するのは、また別の楽しみがあるようです。
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小3のクラスは8人なので、いちばんにぎやかです。しかも、みんな力作を次々にアップロードしてくれるので、先生の授業はあとで自分で見てもらう形になっています。
このころは、それぞれの個性も出て、しかもまだ学校はそれほど忙しくないといういちばん自由な勉強ができる時期なのかもしれません。
本当は、高校3年生までこういう自分の好きな勉強を続けられれば、そのまま大学の特色入試や推薦入試に合格するのだと思います。
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家庭で決めた勉強と同じようなものが学校の宿題として出て、勉強がぶつかってしまうことがあります。
よくあるのが音読の宿題です。
昔は音読の宿題などはなかったので、言葉の森が音読の家庭学習の話をすると、「音読にどういう意味があるのですか」と質問を受けることがかなりありました。
ところが、今は、「学校でも音読の宿題があるので、子供が両方やるのは嫌だと言うのです」というような相談をときどき受けます。
勉強の中心は、あくまでも家庭で決めたものです。
宿題を中心に勉強していると、その宿題がなくなったときに、その勉強自体をしなくなってしまうからです。
勉強はひとつのことを継続することが大事なので、家庭で決めたやり方を、学校の宿題の有無にかかわらずやっていくのがいいのです。
しかし、家庭学習を優先して、宿題を無視するというわけには行きません。
そこで妥協案として話しているのが、家庭学習は朝、宿題は夕方というやり方です。
朝ご飯の前の時間帯は、よほどくたびれて起きられないないというのでもないかぎり、確実に時間がとれます。
夕方の時間帯は、ある程度習慣化することができますので、ときどき臨時に時間がとれなくなるときがあります。
特に高学年になると、夕方の時間は、できたりできなかったりすることが多くなります。
家庭学習のような、誰からもチェックされない勉強は、途中で例外的な中断があると、それをきっかけにやらなくなってしまうことがあります。
音読のような勉強は、1日やらないとそのままやらなくなってしまうことが多いのです。
だから、大事な勉強は朝やることにして、大事でない勉強、又は宿題のような強制的な勉強は夕方やるようにしておくといいのです。
時間が離れていると、子供は同じ勉強であっても、抵抗なく取り組みます。
ただし、今の世の中では、子供に要求されていることを全部やらせようとすると、時間がどんどん不足してきます。
子供の時間管理をして、力を入れることと、ある程度手を抜くことをアドバイスすることが親の大事な役割になっていると思います。
そして、子供には、世の中は、自分の原則を貫くことも大事だけど、周囲と妥協してやっていくこともあるということを肯定的に話してあげるといいのです。
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学校からもらってきた成績表で作文のところだけCの場合
https://www.mori7.com/index.php?e=2378
成績表をもらう時期になると、よくある話です。
言葉の森の生徒の保護者から、「ほかの成績はいいのに、作文のところだけCなんです」という相談を時どき受けます。
あるお母さんの話では、学校の家庭訪問のときに、習い事の話が出て、作文を習っていると言ったすぐ次の学期から、作文だけがCになったそうです(笑)。
こちらは、またかと思って笑って聞いていますが、そういう成績をつけられた子供はたまりません。せっかく熱心に勉強しているその勉強だけがとりたてて駄目だと評価されるのですから結構傷つきます。
しかも、そういう子たちが決まって明るく素直な性格のよい子なのです。
算数、理科、社会などのほかの教科では、こういうことはありません。また、同じ国語でも、漢字力や読解力の評価ではこういうことはありません。
それらは客観的に評価できることですし、誰かが特別の教え方をしているわけではないので、言わば誰でも教えられる勉強なので、先生の権威も傷つかないからです。
国語の専門の先生は、国語という教科に対して思い入れのあることが多く、特にそれが作文という勉強には強く表れます。
作文は、専門的なベテランの先生でなければ十分に教えることができないという思い込みがあるのです。
どの世界にも、未熟な人はいます。学校の先生だから特別ということではありません。
もちろん大多数の先生は、そんなことにヤキモチを焼いたりせず、むしろ子供をよいところを励ます接し方をしています。
先生という仕事で最も大事な性格が、このいつでも子供のよいところを見て明るく励ますことがができるということなのです。
では、子供がそういう「作文のところだけがC」という成績をもらってきたとき、お母さんはどうしたらいいのでしょうか。
子供には、次のように言ってあげるといいのです。
「作文というのは、いろいろな見方があるけど、お母さんはあなたの作文はとてもいいと思っているのだから大丈夫。いつか、あなたが大きくなったとき、この作文Cの評価が楽しい想い出話になると思うよ」
このように明るく爽やかに、むしろその悪い評価を楽しむような気持ちで話してあげるといいのです。
そして、こういう話し方によって、子供は不本意な悪い評価を受けたときに、どう対処していけばいいのかという人生の大事なコツも学んでいきます。
「行蔵こうぞうは我に存す。 毀誉きよは人の主張」(勝海舟)
他人の評価は過去のものとして明るく受け流し、自分は自分のよいと思ったことを実行していけばいいのです。
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今の子供は、やらなければならないことが昔の子供より多い気がしています。
自分で選んだ習い事も含めて、やれと言われたことを全部やっていると、傍から見るとうまくこなしているように見えても、内実はどれも密度薄くやるようになります。
だから、重点は何で、重点でないものは何かということをある程度親が指示してあげる必要があります。
私が思う重点はやはり読書で、次が音読又は暗唱で、そのあとは自由な遊び時間です(笑)。
それで余力があったら、ほかのことをするといいのです。
昔の子供は暇でした。年がら年中遊んでいました。
宿題もなかったし、塾もなかったし、習い事などもほとんどありませんでした。
それでもみんな、まともな社会人になっていきました。
今は、何かそれが逆になっているような感じがします。
たぶんそれは、重要でないことをやらされすぎているからではないかと思います。
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△4.2週「私は小さい頃(感)」の構想図を書いた人の作品
作文の勉強の特徴は、浅くも深くもを書けるところにあります。
例えば小学校5年生の作文で、「大笑いしたこと」という題名課題が5.1週にあります。
大笑いしたという実例は誰でもたくさん経験があります。
だから、作文の材料は簡単に見つかります。
しかし、笑いの本質とか、笑いが人生に対して持つ意味とか、笑いと社会というようなことを考えると、その作文をいくらでも深く考える作文にすることができます。
ここで、考える力のつく作文になるか、ただ出来事を書くだけの作文になるかの違いが出てきます。
では、どうしたら考える作文になるかというと、一つは生活時間の余裕です。
勉強や宿題に追われている生活では、1時間作文を書くということになかなか集中できません。
子供の成長には、自分の考えをじっくりまとめる時間が必要なのです。
もう一つは家族の協力です。
お父さんやお母さんと、「笑い」というものについていろいろな実例や感想を話し合う時間をとってもらうのです。
これは無理に高度な話をする必要はありません。楽しい雑談のようなものでいいのです。
こういう家族の対話の蓄積が、子供たちを成長させていきます。
この親子の対話による作文の準備というのは、公立中高一貫校の受験作文のときは更に必要になります。
しかし、受験に作文を使わない場合でも、親子の対話は高学年になるほど重要になってきます。
とは言っても、何もないところで突然親子の対話をするのは難しいところがあります。
思考発表クラブは、そういう親子の対話のきっかけを作るための予習の授業をしています。
小5の授業は、毎週水曜日の19:00~19:45です。
参加型の授業ですから、内容はやや高度ですが、普段の勉強でものたりなさを感じている人には面白いと思います。
言葉の森の生徒以外の方も参加できます。
●授業の動画
https://youtu.be/FgraVxVbRc8
▼5.1週
★大笑いしたこと、家族でスポーツをしたこと
▽電車の中でつられ笑い!! 笑いの魔力 おもしろ動画 funny train
https://youtu.be/8ZmUZbwmxhw
▽6秒で笑える 爆笑おもしろ動画まとめ集
https://youtu.be/eODMPgGM7Dc
▽健康21 40 笑いと健康 その1
https://youtu.be/kksxtkbQVf4
▽平成23年 枚岡(ひらおか)神社 お笑い神事
https://youtu.be/tsmalOhDnTM
(2分30秒あたりから)
●算数の似た問題
「これでわかる算数小5」P32-問題2
「これでわかる算数小6」P14-問題2
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小5の5.1週の作文課題は、「大笑いしたこと」ですが、高学年の作文は、半分は実例で、半分は主題です。
低中学年のころは、実例だけで作文を書くのが普通ですが、高学年や中高生では、その実例を通してどういう主題を表しているかということが重要になります。
この主題を充実させるために、事前の準備が大事になってきます。
子供は、時間の余裕があれば、必ずよりよい作文を書こうとします。
ときどき実力はあるのに、決められた字数ぎりぎりで、項目も一応全部入れただけという作文を書く子がいます。
そういう子は、日常生活の勉強が忙しすぎるのです。
実は、勉強が忙しい子は、今は成績がよくても、あとになるほど伸びなくなります。
それは、考えるという最も大事な勉強を省略しているからです。
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