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頭を活性化させる対話と発表の学習 as/2995.html
森川林 2017/08/12 05:20 


 授業中、先生の話を聞いているうちに寝てしまう人がいます。
 また、難しい本を読んでいるうちに寝てしまう人もいます。
 昔、高校生の感想文授業で、「方法序説」の一つの章を読ませていたら、みんなそのまま寝てしまったことがありました。
 デカルトは難しいわけではないのですが、関心がない内容なので退屈だったのでしょう。

 しかし、友達とおしゃべりをしている途中に、寝てしまう人はあまりいません。
 また、自分が何かを発表しているときに寝てしまう人もいません。
 寝てしまうかそうでないかは、脳が活性化しているかどうかによるのです。

 受け身で聞いているときや見ているときは、脳があまり働かなるときがあります。
 しかし、自分から主体的に参加しているときに、眠くなるようなことはありません。
 頭をよくするためには、この脳が活性化するような機会をできるだけ持つようにすることです。

 ところが、子供たちの勉強の場面は、多くの場合、何十人かでまとまって一つの授業を聞いているか、あるいは家庭でひとりで黙々と自習をしているかというのがほとんどです。
 こういう学校での集団授業も、家庭でのひとり学習も、脳の活性化という点ではあまり理想的な勉強環境ではありません。

 ただし、受験直前で勉強に燃えているときは、ひとり学習のときの脳の活性化は、普段の勉強とは比較になりません。
 だから、受験の時期の1ヶ月は、それ以前の時期の何ヶ月分にも相当するのです。人によっては、何年か分にも相当することがあると思います。

 しかし、一般の勉強では、集団授業もひとり学習も、あまり脳が活性化する勉強にはなりません。

 これらの勉強の仕方とは反対に、少人数のグループ学習をするときは、自分が参加する度合いが高まるので、自然に脳が活性化します。
 最もわかりやすい例が、数人でひとつのテーマについてディスカッションをしているときです。
 ディカッションではなく、ただのお喋りの場合もそうです。お喋りをしながらあくびをするような場面はまずありません。

 人間がグループで交流をするとき、最も話がはずみやすいのが5人から6人の集団だと言われています。
 だから、子供たち勉強も、集団授業やひとり学習以外に、5人から6人の同じレベルの子供たちの交流という形で行う機会がときどきあるといいのです。

 そういう環境を可能にするのが、インターネットを使ったライブのオンライングループ学習です。

 言葉の森では今、自主学習クラスや思考力ラブというオンライン学習機会を作っています。
 このオンラインの学習は、少し工夫すれば、同じ学年または同じレベルの子供たちが活発に交流する場にすることができます。

 作文の勉強をはじめとして、これから子供たちが取り組む学習を、この頭脳が活性化するような仕組みを生かして取り組んでいきたいと思ってます。

 先日の小4~6の思考発表クラブでは、夏休み中でみんなに余裕があったせいもあると思いますが、授業が終わっているのにまだ子供たちが 名残惜しそうにおしゃべりをしていました。
 「それじゃあ、みんなまた来週ね」と何度か言っても、また次々に話が新しい始まるという感じでした。

 こういう全員参加型の勉強を、これから多くの人が取り組んでいく時代が来るのだと思います。

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森川林 20170812 1 
 私事になりますが、昨日は、本当はどうでもいいと思うような仕事をしていたので、ミスばかり。
 用紙を入れ間違えたり、宛先を貼り間違えたり。
 我ながら気合いが入っていないことがよくわかりました(笑)。
 しかし、この反対に、気合が入っているときの仕事は、一発で正確にできます。
 勉強もたぶん同じ。
 集中力の有無は、精神論では片付けられません。
 自然に集中してしまう環境作りが大事です。
 その環境の一つが、友達の存在と、自分が参加する機会があることだと思います。


nane 20170812 1 
 少人数学級とか、複数担任制とかいう言葉がありますが、本当は生徒が5、6人で勉強し合うような場があればいいのです。
 しかし、それでは、継続的な運営はコスト的に成り立ちません。
 ここを工夫するのが、将来の教育におけるシェアリングエコノミー(共有経済)になると思います。
 ところで、もちろんシェアリングエコノミーは終着点ではありません。
 終着点となる目標は、創造教育で、その土台として共有型の教育があるのです。


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答えを見つける力、問題を見つける力 as/2994.html
森川林 2017/08/11 05:57 


 結論から言うと、どちらも大切です。
 と、それで終わってはあまりにもあっけないので、以下その説明です。

 人間がその人生で遭遇するさまざまな問題の多くは、先人も同じように遭遇した問題です。
 だから、既にいろいろな形で答えが出されています。

 「車輪を新しく発明し直す必要はない」という言葉があるように、自分の問題だからといって、自分が独自に答えを考える必要はないのです。
 既に用意されているよりよいものをすばやく見つけそれを利用する力が、答えを見つける力です。
 この力を育てるために、学校教育では、答えのある問題を用意しているのです。

 しかし、世の中にあるさまざまな問題は、歴史の進展によって新たに生まれた問題であることが多いものです。
 例えば、イエス・キリストや、釈迦や、聖徳太子の時代には、現在の人類が直面している核兵器や環境汚染の問題はありませんでした。
 だから、これらの問題は、現代人が過去の文献から答えを見つけようとしても見つかりません。
 それどころか、その問題が問題と意識されるまでは、問題自体も見つかっていないのです。

 こういうことが、個人の人生にもあてはまります。
 例えば、政治家、経営者、最先端の科学者などは、自分の人生と社会の現実が結びついています。自分が社会に働きかけ、社会の変化が自分の生活に反映するという生活を送っています。
 こういうときは、答えを見つけるよりも、答えを自分で作り出すか、あるいは問題そのものを自分で作り出すかしなければならないのです。

 答えを見つける勉強に慣れていると、問題を見つけることを忘れてしまいます。
 今の受験を目的とした教育は、答えを見つける勉強に過度に適応させるようにできています。
 過去の事例を見つけることは得意だが、新しい問題を提起することは苦手だという人は、時代の変革期にはかえって社会の進歩を遅らせることもあります。

 「学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」という言葉は、答えを見つける力と、問題を見つける力の両方が大事だということを表しています。

 これを現代の言葉で言い換えると、基礎の学力は自学自習で確実に身につけ、思考力、表現力、創造力はそれとは別に他者との関わりの中でじっくりと育てていくということになるのです。

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森川林 20170811 1 
 「これからの勉強は、答えを見つける勉強ではなく、問題を見つける勉強になる」というのは、基礎学力がある人が言えばそのとおりです。
 しかし、基礎学力がないまま、そういう方向に進むと、かつてのゆとり教育のマイナス面が出てしまうのだと思います。
 答えを見つける力と問題を見つける力は、右足と左足のようなもので、これまでは答えを見つける足の方ばかり鍛えてきたということなのです。


nane 20170811 1 
 自分で何かを新しく作るのは苦手だが、既にあるものを的確に評価するのは得意だという人がいます。
 その反対に、評価は苦手だが、新しいものを作るのは得意だという人がいます。
 紺屋の白袴というのは、どちらというと後者。
 だから、優れた生産者がいればいいというのではなく、優れた消費者がいることもまた大切なのです。
 ということが、最近わかってきました。
 問題を作る人も、答えを見つける人も、どちらも必要なのです。


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