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記事 3016番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/1
人口の教育から自然の教育へ as/3016.html
森川林 2017/08/31 05:47 

 昔は塩といえば、NaClという塩化ナトリウムで間に合わせればよいという考えがありました。
 塩というものの要素を抽象化して、単純な元素の組み合わせとして管理すれば利用しやすいと考えたのです。
 ところが、実際の海水に含まれている塩にはNaCl以外のさまざま4な元素が含まれています。
 そして、実はその微妙な元素の方に重要な働きがあるということが分かってきたのです。

 子供の成長についても、似たようなことが言えます。
 昔の子供の環境は、両親や先生だけでなく、兄弟や、祖父母や、近所のおじさんおばさんや、友達や、友達の中でも年齢の上の子、下の子、自分が特に好きな子、嫌いな子などが多様な人間関係の環境を形成していました。
 そこで子供たちは、バランスよく成長していたのです。

 現在は、少子化と核家族化の中で、子供はかなり単純な人間関係の中で暮らしているように見えます。
 このような単純化された、ある意味で人工的な環境の中で教育が行われると、子供の内発的な動機が正しく成長しないことがあるのです。

 例えば、子供は何かを学んだり遊んだりしているときに、自分なりにさまざまな工夫をして失敗や成功を経験します。
 その試行錯誤の経験の中で、困難を乗り越えてうまくできたというのが、子供の創造の喜びになり向上の喜びになります。
 そういう内側からの喜びを成長の糧として、子供は大きくなっていくのです。
 しかし、もしここに親や先生から評価されるという要素が加わると、本来の喜びが評価される喜びに切り替わってしまうことがあります。
 勉強で何かを成し遂げたときに本当は成し遂げたこと自体が喜びであるのに、親や先生に褒められると、それが褒められた喜びに還元されてしまうということが起きてくるのです。

 もちろんこれが子供の多様な環境の中で行われるのでしたら、褒められる喜びというものは一つの価値ある喜びになります。
 しかし、人工的な単純化された環境で、評価がある一つの方向から繰り返し行われると、子供の喜び自体が評価される喜びに単純化されていってしまうのです。

 大人になって自分の本当にしたいことがよく分からないというようなケースは、この評価の喜びが単純化された環境の中で与えられすぎたからという面があるのではないかと思います。

 ではどうしたらよいかというと、子供が何かに熱中しているときは、それを褒めもせず止めもせず、その子のありのままの姿として温かく見守ってあげることなのです。

 その熱中したことが全く無駄で無意味なことのように見えても、熱中すること自体が子供の成長にとって価値あることだと考えることです。

 また逆に、その熱中していることが親や先生の望むことであっても、それを特に褒めるようなことはむしろ抑えて、その熱中そのものをただ見守ることが重要なのです。

 昔の子供は、親や先生の目の届かない自然な環境の中で過ごす時間が豊富にありました。
 今は、こういう自然の環境になるべく近い子育てをしていくことが必要になってきているのだと思います。

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森川林 20170831 1 
 やり遂げた喜びの裏側には、失敗した悔しさがあり、その両方が子供の内発的な動機を成長させます。
 無駄な失敗の遠回りはしないようにうまく教えて、それができたら褒めるということをし過ぎると、それはかえって子供の内側の喜びを評価される喜びに切り換えてしまいます。
 昔、こういうことをわざわざ考えなくてもよかったのは、子供を取り巻く環境は自然で多様性に富んでいたからです。
 これからの子育ては、できるだけこの自然環境に近い状態を作っていくことになると思います。


nane 20170831 1 
 子供をていねいに育てることは大事ですが、最近はそれと同時にたくましく育てることも大事だと思うようになりました。
 しかし、この両立はなかなか難しいのです。
 それは、子供をいい子に育てるとともに、少し悪い子にも育てるということだからです(笑)。
 それを自然に行うのが、多様な人間関係の中で過ごす時間を作ることだと思います。


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森川林 2017/08/30 09:38 


 作文の力は、他の教科の勉強とは違って先取りをすることがなかなかできません。
 小学校3、4年生の生徒に、小学校6年生で勉強する一般化の主題を説明してもできるようになる子はいません。
 それは、例えば、「○○は人間にとって……である」というような考え方です。

 「友達とは、人間にとってAではなく、Bである」
 「食事とは、人間にとってAではなく、Bである」
 「遊びとは、人間にとってAではなく、Bである」
というような考え方は、大人であればいくつか思いつきます。
 しかし、小学校中学年の生徒では、そういう発想自体がわきません。
 精神年齢が上がらないと出てこない文章を書く力もあるのです。

 ですから、それぞれの学年に合った作文の勉強の目標があります。
 小学校1、2年生は、正しく書く、楽しく書く、書く習慣を身につける、というのが目標になります。
 小学校3、4年生は、表現を豊かに書く、題材を選んで書く、字数を長く書く力をつける、などが目標になります。
 小学校5、6年生は、構成を考えて書く、主題を深めて書く、抽象的なテーマについても書けるようにする、などが目標になります。

 それぞれの段階の練習を経ることによって、作文力は高校3年生まで継続的に進歩していきます。
 小学生のときに上手に書けたからといって、中学生になったら作文はやらなくてよいというのではありません。
 中学生で上手になった子が、高校生になれば更に上手に書けるようになります。
 そういう息の長い勉強しているうちに、文章を書くこと自体が好きになっていくのです。

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森川林 20170830 1 
 勉強であれば、どんなに苦手な子であっても、やれば何とかなるという展望がわきます。それは、正解のある勉強だからです。
 しかし、作文については、親も先生も途方に暮れてしまうような子がいます。それは、正解のない勉強だからよけいそうなのです。
 けれども、そういう子であっても、音読と読書と対話と褒める指導で、必ず上手になっていきます。ただし、あまりに長い時間がかかるので、途中であきらめてしまうお母さんが多いのです。

 また、作文が上手になるのにも、かなり時間がかかります。
 勉強面ではかなりよくできる生徒であっても、小中学生の間は、普通にちゃんとした作文を書くぐらいまでしかいかないことがよくあります。
 それが、高校生まで続けていると、次第にその子らしい内容の深い作文を書いていけるようになるのです。

 そして、その長い勉強の間には、誰も、やる気の出なかった時期や、さぼってばかりいた時期もあったのです。

nane 20170830 1 
 勉強が苦手な場合は、学校の勉強をちゃんとやっていなかったからですが、国語や作文が苦手な場合は、家庭の日本語の環境で何か問題があった場合が多いのです。
 だから、国語や作文の克服するには、家庭の全面的な協力が必要です。
 それが例えば毎日の音読ですが、わずか毎日2、3分の音読であっても、これまでやっていなかったことを習慣として続けるようにするというのは、はたからは想像もできないほど難しいことなのです。



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